sokuhyo

Trademark Appeal Case

地天泰の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第16887号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3113779号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3113779号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第42類「占い,易」を指定役務として平成4年5月28日に登録出願され、同8年1月31日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第27号証(枝番号を含む。)を提出している。

2 請求の理由

本件商標は、商標法第3条第1項第2号、同第3号、同第6号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。

(1)易について

易にいう「八卦」とは、易占で算木(甲第12号証の図、写真及び甲第14号証の写真参照)に現れる形象である「卦」の基本的な8種をいうもので、「卦」は「八卦」を基本とし、「八卦」を組み合わせた64種の「六十四卦」から構成されているものである。そして、易占では、自然界・人事界の現象を象徴するとされるこの「卦」から吉凶を読み取るのである。

「易」の基本型は今から約4000年の昔に「伏犠(ふっき)」によって造られたと伝えられる。「伏犠」は、宇宙の本質は陽と陰との二つの要素からなると考え、これを陽と陰の記号によって表した。そして、これにもう1本の記号を加え、8通りの変化とし、これがいわゆる「八卦」である(甲第3号証中の図2、図3、図4参照)。

「八卦」は、万物を象徴するものであるとしても、これではより錯綜した変化は表現し得ないため、「伏犠」はこの「八卦」を上卦(上に位置する卦)と下卦(下に位置する卦)として、上下に重ねて「六十四卦」とした(甲第3号証中図5、甲第8号証,甲第9号証、甲第12号証、甲第14号証参照)。64種の各卦とその組み合わせを図示したものが甲第3号証の図5である。

易経が日本にいつ伝来したか正確には不明であるが、易や暦などの大陸文化は4世紀には朝鮮半島を経てわが国に伝わり、513年に五経博士・段楊爾、516年に高安貞、554年に五経博士・王柳貴、易博士・王道良が来朝し、易の本や筮竹の手法、その他の占法等が伝来した。そうして奈良時代の702年には大宝律令により陰陽寮という官庁が設置され、国家運営の指針決定機関として公認されるまでになった。

江戸時代後期には、易学中興の祖といわれる新井白蛾、平沢随貞、真勢中州により、易学の研究がなされ、江戸時代末から明治にかけては、「高島易断」を表した高島易断の祖(但し実際は直系の弟子をもたない)高島呑象(嘉右衛門)が現れ、近代に易占の流行をもたらし、巷に多くの易者が現れることになった。

「六十四卦」の中で上卦(上に位置する卦)が「坤卦」、下卦(下に位置する卦)が「乾卦」である卦は「地天泰」と呼ばれ、この「卦」は、天が下に降り地が上に昇る状態を指し、一見矛盾しているようであるが、実はかくてこそ天地が交わり陰陽の気が相通じ、概して泰平、万事順調であることを示すものであり、「六十四卦」中では最も目出度い「卦」とされている(甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第8号証、甲第9号証、甲第10号証、甲第11号証、甲第12号証、甲第13号証、甲第14号証、甲第15号証)。

したがって、旧くから、易者たちは、泰平、万事順調を示す「地天泰」の「卦」を看板等に好んで使用しており、多くの易者が使用する(甲第16号証、甲第17号証)ことで、この「地天泰」の「卦」は、易者のシンボルマークとして理解されるに至ったものである(甲第6号証、甲第13号証、甲第15号証、甲第18号証)。

(2)商標法第3条第1項第2号該当性について

本件商標は、甲第1号証の商標公報のとおりの図形であり、第42類に属する「占い,易」を指定役務として、登録されたものである(甲第1号証及び甲第2号証)。

しかしながら、本件商標は、前述の「六十四卦」の中の「地天泰」と同じ形象であり、「地天泰」の「卦」は易業界においては、旧くから多くの易者に普通に使用されており、易者のシンボルマークとして理解されるに至った標章である。

甲第15号証は、本件商標の出願人代表者の雑誌インタビュー記事であるが、その冒頭には、易の看板は「地天泰」である旨書かれており、これは出願人側にもそうした認識があることの証拠である。

したがって、本件商標は、これをその指定役務「占い,易」に使用しても需要者が何人の営業に係る役務であるかを認識することができない商標である。

よって、本件商標は、商標法第3条第1項第2号に違反して登録されたものである。

(3)商標法第3条第1項第3号該当性について

本件商標は、前述したとおり「六十四卦」の中の「地天泰」と同形象であり、かかる「地天泰」の卦は、易占においては、概して泰平、万事順調を示すものであって、易占の結果の質を表す形象そのものである。

すなわち、人の運勢を見る易占の役務と易占の結果である「卦」との関係は、例えば、医業の役務と検診結果との関係と同質のものであり、医業の役務について、検診の結果名が当然に商標として登録されないのと同じく、易占の役務については、易占の結果である「卦」は商標として登録されるべき性質のものではない。

よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。

(4)商標法第3条第1項第6号該当性について

易占では、算木に現れる形象である「卦」が易占の礎であり、「卦」なくしては易者は何も占うことはできず、「卦」はすべての易者が吉凶の判断に使用する標であり、易占においては64種の「卦」はいずれも当然に自他役務識別力を有しない図形である。

そして、本件商標は、前述したように64種の「卦」の一つと同じ形象なのであるから、「占い,易」の役務については、自他役務識別力のない商標であるといえる。

また、易者たちは、旧くから、泰平、万事順調を示し「六十四卦」中で最も目出度いとされる「地天泰」の「卦」を看板等に使用しているが、「地天泰」の「卦」を掲げる理由の一つには、縁起のよい「地天泰」の「卦」によって「易占で福運を」(当易占で占えばきっと福がもたらされます)といったアピールをする目的もある。

これは、例えば、縁起物として売られている「だるま」や「招き猫」「熊手」等に書かれている「開運」、「大入り」、「商売繁盛」等の文字が持つ効果の一つと同じものであり、「開運」、「大入り」、「商売繁盛」の文字がこうした縁起物商品について識別機能を発揮しないのと同様に、「地天泰」の「卦」は「易占」の役務については識別機能を発揮しえないのであり、本件商標は、この「地天泰」の「卦」と同じ形象なのであるから、「占い,易」の役務については、自他役務識別力のない商標であるといえる。

よって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものである。

(5)答弁に対する弁駁

(ア)請求人の利害関係について

請求人である橋本継男、青木秀訓、前田岩男、児玉到、田中泰象の5名は、いずれも高島易断連合会(近畿、中国、東海地方を拠点に活動する高島易者で組織された高島易断の一会派)に所属し、高島易断に基づいた易占を行う易者である(甲第19号証)。

各人について述べると、青木秀訓(易号:高島秀雲)は、昭和57年より易者としての活動を始め、現在は岡山県津山市にある高島易断総宮館の館長としてこれを経営している(甲第20号証の1ないし同号証の4)。

前田岩男(易号:高島弘明)は、昭和27年より易者として活動を始め、昭和34年に高島易断神明館を設立、昭和51年に大阪市北区に高島易断本部を設立、現在は兵庫県西宮市にある高島易断神明館を経営している(甲第21号証の1、同号証の2)。

児玉到(易号:高島照雲)は、昭和55年より易者として活動を始め、現在は兵庫県尼崎市にある高島易断妙法館の館長としてこれを経営している(甲第22号証の1、同号証の2)。

田中泰象(易号:高島泰象)は、昭和30年より易者として活動を始め、現在は京都市中京区にある高島易断三世霊宝閣総本部の宗主としてこれを経営している(甲第23号証の1ないし同号証の4)。

橋本継男(易号:高島泰成)は、昭和23年より易者として活動を始め、現在は前記高島易断総宮館、高島易断本部、高島易断妙法館、高島易断三世霊宝閣総本部の顧問をつとめている。

以上5名は、その易業活動において、他の易占業者と同様に易者のシンボルマークとして「地天泰」の「卦」を看板等に使用しており、また今後も使用する予定である。よって本審判を請求することについて利益がある。

また、被請求人は、本件商標が登録されて後、広告(甲第24号証)において、本件商標は被請求人の登録商標であり、許可無き使用は罰せられることがある等の注意書きを載せているが、このような内容の広告を見た一般の需要者等には、本件商標と同形象の「地天泰」の「卦」を使用している他の業者(請求人)は正当な商標使用者ではないかのような誤解を生じる虞があり、こうした被請求人の広告だけでも請求人の被る営業上の弊害は大きく、本審判を請求することについて利益がある。

(イ)商標法第3条第1項第2号について

商標法第3条第1項第2号の主旨は、多数の者に慣用されているような商標に登録により独占排他性を与えることは不適当であると認められるから、そうしたものを登録しないとした規定であって、本件商標は、請求人の提示した証拠から明らかなとおり、それぞれに関係のない多数の易占業者によって旧くから普通に使用されている標章(「地天泰」の「卦」)と同じものであるから、これを登録することは適当でないことは明白である。

(ウ)商標法第3条第1項第3号について

被請求人は、本件商標は、記述的商標には該当しないと述べているが、易占の結果の質を表す「卦」は、易者が依頼者に対して易占の鑑定結果を説明する際に鑑定書等にしばしば記されるものであり、易占サービスにおいては記述的商標であると言えるものである。

(エ)商標法第3条第1項第6号について

商標法第3条第1項第6号により拒絶される商標とは、同項第1号から第5号までの規定に該当しない商標であって、しかも外観上よりして文字どおり識別力の認められないようなもの、多数人が現に使用しつつあるゆえに識別力の認められない商標、公益上特定人に独占させることが不適当と認められるような商標で3号から5号には該当しないが各号の趣旨からして拒絶するのが適当と解されるもの等が含まれるのであり、請求人の提示した一連の証拠を見れば、本件商標が本号規定に該当することは明白である。

第3 被請求人の答弁

(1)請求人の利害関係人の有無について

本件審判請求書には、橋本継男、青木秀訓、前田岩男、児玉到、田中泰象の5氏が請求人として列記されているが、橋本継男以外の4氏については記憶にないものである。また、その橋本継男との間でも、少なくとも本件商標に係る商標権の間では特に係争は存しないと認識している。

一方、商標登録無効審判では、単なるいやがらせの訴や間接的な利益があるにすぎないような訴を取り上げることは濫訴のおそれがあるため、「利益なければ訴権なし」という裁判上訴を提起する場合の原則がはたらくので、その請求人には、審判請求にあたって利害関係を有することが要求されることは、過去の審決例により確立している。

しかるに、この審判請求は、上述の事情から勘案するに利害関係を有しない者による審判の請求であるとするのが妥当であるので、そもそもにおいて実体審理をおこなうことなく、不適法な審判請求であるとして、審決却下されるべきものである。

(2)商標法第3条第1項第2号、第3号及び第6号該当性について

(ア)請求人は、審判請求書において、『本件商標は、前述の「六十四卦」の中の「地天泰」と同じ形象であり(括弧内略)、「地天泰」の「卦」は易業界においては、旧くから多くの易者に普通に使用されており、易者のシンボルマークとして理解されるに至った標章である。(中略)したがって、本件商標は、これをその指定役務「占い,易」に使用しても需要者が何人かの営業に係る役務であるかを認識することができない商標である。』ので、商標法第3条第1項第2号に該当すると主張している。

しかしながら、実際に本件商標が慣用商標であるか否かはともかくとして、慣用商標とは、特定種類に属する商品又は役務について慣用的に使用されている標章を意味し、その当初においては個人の商標として機能していたものが、一般人に広く認識され、多数の者により同種商品(サービス)についてその商標としてまたは商標の一部に表示されて使用され、特定の者の製造・販売する商品または提供するサービスの識別標識としての機能を失ったものである。

してみると、審判請求書の記載と上述した慣用商標の概念とは矛盾することから、本件商標は少なくとも慣用商標には該当しないので、商標法第3条第1項第2号の適用の余地はない。

(イ)請求人は、審判請求書において、「本件商標は、前述したとおり『六十四卦』の中の『地天泰』と同じ形象であり」とし、さらに、「人の運勢を見る易占の役務と易占の結果である『卦』との関係は、例えば、医療の役務と検診結果との関係と同質のものであり、医療の役務について、検診の結果名が当然に商標として登録されないのと同じく、易占の役務については、易占の結果である『卦』は商標として登録されるべき性質のものではない。」ので、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしている。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号はいわゆる記述的商標の排除を目的とした規定で、この記述的商標とは「なんらかの意味において商品またはサービスの特性を記述する目的をもって表示されるもの」を意味する。

したがって、請求人の上記理由は明らかに商標法第3条第1項第3号の規定趣旨と沿わないものであり、また、本件商標は、少なくともこの記述的商標には該当しないので、商標法第3条第1項第3号が適用される余地はない。

また、他の審査例を見ると、丁度本件商標と天地逆転した請求人でいうところの「天地否」の卦の図形について「易断」を指定役務として商標登録出願され、登録査定になっている(乙第1号証及び乙第2号証)。

(ウ)請求人は、審判請求書において、「易占では、算木に現れる形象である『卦』が易占の基礎であり、『卦』なくしては易者は何も占うことができず、『卦』はすべての易者が吉凶の判断に使用する標であり、易占においては64種の「卦』はいずれも当然に自他役務識別力を有しない図形である。そして、本件商標は、前述したように64種の『卦』の一つと同じ形象なのであるから、『占い,易』の役務については、自他役務識別力のない商標であるといえる。」ので、商標法第3条第1項第6号に該当するとしている。

しかしながら、自他役務識別力のない商標とは、「需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標」という商標法第3条第1項第6号の規定がそのまま該当するのであり、だとすると、請求人の本件商標が「卦」の一つと同じだから自他役務識別力がないとの主張は、自他役務識別力の意味内容と沿わないものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当するとした根拠自体が失当である。しかも、前述したように、丁度本件商標と天地逆転した請求人でいうところの「天地否」の卦の図形について「易断」を指定役務として商標登録出願され、登録査定までなっていることの説明がつかない。

従って、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しないとするのが相当である。

(3)以上により、本件商標は、商標法第3条第1項第2号、同第3号、同第6号のいずれにも該当せず、しかもそもそもにおいて請求人は利害関係人ではないので、不適法な審判請求であるとして審決却下又は請求棄却の審決がされるべきである。

第4 当審の判断

1 利害関係について

甲第19号証の1ないし同第23号証の4によれば、請求人は高島易断連合会に所属する会員であることが認められる。そして、請求人のうち、青木秀訓(易号:高島秀雲)、前田岩男(易号:高島弘明)、田中泰象(易号:高島泰象)、橋本継男(易号:高島泰成)の4名は、いずれも後述の易にいう地天泰の標章(以下「地天泰の標章」という。)を使用していることが認められる。また、児玉到(易号:高島照雲)は、甲第22号証の1及び2によれば、広告に地天泰の標章を使用しているものとは認められないものの、甲第19号証の1及び2によれば、同人は、他の4名と同じく高島易断連合会の会員と認められること、甲第16号証、同第17号証の1ないし6によれば、他の高島易断を指称する者がいずれも地天泰の標章を自己の業務の広告に使用していることからすれば、同人もまた自己の業務に関する広告に地天泰の標章を使用している蓋然性が極めて高いものと認められる。

そうすると、仮に本件商標と請求人が使用している地天泰の標章とが同一又は類似するものであるならば、請求人は被請求人から訴の提起を受けるおそれがあり、請求人は本件審判請求をするについて利害関係があるものと認められる。

2 本件商標と地天泰の標章及び請求人等の使用する標章との類否について

(1)本件商標について

本件商標は、別掲のとおり、下3段は黒塗り横長四角形を表し、その上部三段には黒塗り横長四角形の中程を切り取りその切り取った部分を赤色に着色した図形よりなるものであり、その指定役務は第42類「易,占い」である。

(2)請求人等が使用する標章について

甲第16号証、同第17号証の1ないし6および同第19号証の1ないし同第24号証によれば、請求人等が使用する標章は別掲のとおり、下3段は黒塗り横長四角形を表し、その上部三段には、黒塗り横長四角形の中程を切り取りその切り取った部分は他の地色に比しやや薄いグレーの地で表された図形よりなるものである。(なお、請求人等が使用する標章の中には上部三段の横長四角形を切り取った部分はそのまま白抜きとなっているもの、あるいはその部分が赤色に表されているもの、標章が黒字に白抜きとなっているものもある。)

(3)地天泰の標章について

本件審判の請求理由及び甲第3号証ないし同第9号証及び甲第12号証ないし同第15号証によれば、易は易経を意味し、また、易経の説くところに基づいて、算木と筮竹(ぜいちく)とを用いて吉凶を判断する易占をいうものである。

そして、易占で算木に現れる現象に「卦」があり、「卦」は「コウ」と称する中央が欠けた横長四角形で表す「陰」と、欠けのない横長四角形で表した「陽」の記号よりなり、基本的な組み合わせは8種類あって、これを「八卦」と称すること、さらに易占は「八卦」を上卦と下卦とし、これを組み合わせて「64卦」として構成して、この「卦」から吉凶を読みとるものであることが認められる。

次に、64卦についてはそれぞれ名称が付されており、別掲のとおりの標章を「地天泰」と称するものである。

地天泰の標章は、甲第7号証、同第9号証、同第10号証によれば、上卦に坤卦を表し、下卦に乾卦を表したものをいうものと認められる。そして、甲第14号証によれば、坤卦の中央の欠けた部分を赤色で示す場合があることが推認できる。

(4)本件商標及び請求人等の使用する標章と地天泰の標章との比較について

本件商標及び請求人等が使用する標章と地天泰の標章とを比較すると、本件商標及び使用標章と地天泰の標章とは上部3段の中央が欠けた横長四角形であるか、あるいは欠けた部分が赤色であるかまたは他の地色に比し薄いグレーであるかの差異が認められるものの、他の外形的要因はすべて同一であり、欠けた部分または赤色部分(あるいは薄いグレーの部分)が他の部分と一体となって、それぞれが別異の印象を与えるような要因は認められないものである。

さらに前記(3)で認定のとおり、坤卦の中央が欠けた部分は赤色に表される場合があることが推認されること及び本件商標の指定役務が「易,占い」であることよりすれば、本件商標は地天泰の標章よりなるものと認められるものである。

また、請求人等が使用する標章も、甲第12号証によれば算木中央の欠けた部分(陰の中央部分)は、他の地色と異なった表示(グレーで表されている。)となっていること及び使用標章は易の広告に用いられているものであることからすれば、請求人等が使用する標章も地天泰の標章と認められるものである。

そうすると、本件商標は、請求人等が使用する標章と外観、称呼、観念において紛らわしい類似するものであるといわなければならない。

2 商標法第3条第1項第6号該当について

甲第6号証によれば、「(地天泰の卦は)64卦中、もっとも目出度い卦とされ、周知のように易占家の看板に描かれているのも、専らこの卦である。」と記載され、甲第13号証によれば、「こ(地天泰)の卦は、易者の看板のシンボルとなっています。」と記載され、「易の看板は(図)。これを地天泰といい、・・・」(注、(図)の部分には「地天泰の標章」が描かれている。)と記載されているものである。また、甲第16号証の易占業者の広告用チラシ、同第17号証の1ないし4および同第19号証の1ないし同第24号証における易占業者の各広告によれば、地天泰の標章は易占業者が自己の営業を表象する表示として、広く普通に使用していた事実が認められる。

そうすると、本件商標は易占家が用いている地天泰の標章であり、地天泰の標章は前記のとおり易占家の間で広く普通に使用されてきたものであるから、本件商標をその指定役務「易,占い」について使用しても、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるといわなければならない。

したがって、本件商標は商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものである。

第5 結論

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから、その余の請求理由について判断するまでもなく、商標法第46条第1項第1号の規定によりその登録は無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。