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Trademark Appeal Case

著名商標と一般名称の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第19756号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第18類「原革、原皮、なめし皮、毛皮、革ひも、かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、かばん金具、がま口口金、傘、ステッキ、つえ、つえ金具、つえの柄、乗馬用具、愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成5年9月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン カンパニー』が商品『被服、ネクタイ』等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『ポロプレーヤーの図形』及び『POLO』の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或はこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張

「POLO」は、日本国内及び海外の辞書、事典を調査したところ、全て「スポーツ名」としか記載されておらず、アメリカのデザイナー「ラルフ・ローレン」の事は一切記載されていない。「POLO」はペルシャで始まりイギリスで発達した「スポーツ」に過ぎず、「スポーツ」として「POLO」を知らない日本人はいない程である。そのため、「POLO」は「テニス」「ゴルフ」と同様に「スポーツ名」であり、「一般用語」として認められるべきである。

「POLO」又は「POLO RALPH LAUREN」が「ラルフ・ローレン」のものであるとしても、「POLO」との合成語の全ての商標が「ラルフ・ローレン」のものと決めつけることはできない。

「ASCOT PARK POLO CLUB」はイギリスに実在する世界的に有名な「ポロクラブ」である。

平成12年1月27日判決日「東京高裁H11(行ケ)253」の事件で、「PALM SPRINGS POLO CLUB」の特許庁での「拒絶査定に対する不服審判」の「審決」が取り消されている。

4 当審の判断

(1)「POLO」の著名性について

(株)講談社昭和53年7月20日発行の「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。

アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレン(Ralph Lauren)は、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、注目を浴び、翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(現在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップ」の前身,以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コテイ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞し、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。

我が国においても、ラルフ・口ーレンの名前は、服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、これらを一括して「ポロ商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」の略称でも呼ばれている。

そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。

また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典 ’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」において「POLO」、「Polo」、「ポロ」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。

なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定とほぼ同様に認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)がある。

以上、認定の事実を総合し、かつ、上記判決の趣旨も併せ考慮するに、「ポロ商標」は、我が国においては、遅くても昭和55年までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、靴、かばん類等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められ、その状態は現在もなお継続しているというのが相当である。

そして、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。

(2)出所の混同のおそれについて

本願商標は、別掲に表示するとおり、文字と図形との組み合わせよりなるものであるところ、該図形部分は「ASCOT PARK POLO CLUB」の文字を上半分に描いて楕円形を形成する2本の曲線(内側が細線になっている。)と、ポロ競技用のマレットといえる先端がT字状になった棒のような物を持った馬上の競技者の図形とから構成されているものである。そして、2本の曲線は単なる輪郭にすぎないものであるのに対し、馬上の競技者の図形は 本願商標の中央部に大きく表示されており、それ自体外観印象において、看者の印象に強く残る図形といえるものである。

しかして、この本願商標中の馬上の競技者の図形は、前記(1)で認定したポロ商標のうちの「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」とマレットといえる先端がT字状になった棒のような物を持っている点で共通性があるためポロ商標を連想させるということができるものである。

また、本願商標中の文字部分「ASCOT PARK POLO CLUB」は、17文字からなる構成及びこの構成文字から生ずる「アスコットパークポロクラブ」の称呼が冗長にわたるものといえるから、1つの名称からなる語と常に認識、理解されるとは限らず、また、全体として特定の団体の名称や熟語を表現したものとして我が国の一般の取引者、需要者においてよく知られているものとは認められないところであり、むしろ、本願商標の文字部分においては、その構成中に前記(1)で認定した「POLO」の文字を有してなるとの印象を看者に与えるということができるものである。

そうとすれば、前記のように、我が国において、遅くても本願商標の登録出願前までに、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとしてポロ商標の著名性が被服類、かばん類等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識されていたものと認められる以上、かかる取引者、需要者が本願商標に接した場合にはマレットといえる先端がT字状になった棒のような物を持っている馬上の競技者の図形部分及び「POLO」の文字部分に着目して、商品の出所について識別するというのが相当である。

してみると、本願商標をファッション関連商品といえる「かばん類、袋物」を含む本願の指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、米国の著名なデザイナーであるラルフ・ローレン(原査定における「ザ ポロ ローレン カンパニー」はラルフ・ローレンが関係する会社で両者は同一視できるものである。)に係る商品を表示するものとして広く知られるポロ商標を連想、想起し、同人又は同人の事業と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

(3)請求人の主張について

請求人は、「POLO」はスポーツ名を示すもので一般用語であるとしているが、ポロ商標がラルフ・ローレンのデザインに係るファッション関連商品に使用される商標として著名であることは上記(1)で述べたとおりであるから、本願商標に接した取引者、需要者がその文字部分のうち「POLO」の文字に注意を惹かれるのは自然なことであって、「POLO」がポロ競技を示す一般用語であることと何等矛盾するものではない。

次ぎに、「POLO」が「ラルフ・ローレン」のものであるとしても、「POLO」との合成語の全ての商標が「ラルフ・ローレン」のものと決めつけることはできないとしているが、ポロ商標は、「ポロ」と呼ばれて著名である事実に徴すれば、「POLO」の文字を含む結合商標について上記事実を前提として出所の混同のおそれを判断すべきことは当然のことである。

また、「ASCOT PARK POLO CLUB」はイギリスに実在する世界的に有名な「ポロクラブ」であるとしているが、提出に係る資料(「25ans雑誌(1995年3月号)」)をみても、同クラブが実在することは認められるものの、このことが我が国の取引者、需要者によく知られていると認めることはできず、したがって、同クラブがイギリスに実在するとしても、そのことをもって我が国における本願商標についての出所の混同のおそれの判断を左右するものとはいえない。

さらに、本願商標は、東京高裁 平成11年(行ケ)253号 平成12年1月27日判決言渡の「PALM SPRINGS POLO CLUB」商標と同様の判断がされるべきで、したがって、登録になるべきであると述べている。しかしながら、本件と同様に請求人の登録出願に係る「ASCOT PARK POLO CLUB」の文字を有する商標について平成11年(行ケ)340号(平成12年7月18日判決言渡)、平成12年(行ケ)57号(平成12年7月18日判決言渡)及び平成12年(行ケ)140号(平成12年10月25日判決言渡)の各訴訟事件として東京高等裁判所において「原告の請求を棄却する。」との判決が出されているから、請求人の指摘する前記判決をもって本件判断を直ちに左右するものとはいえない。

5 むすび

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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