Trademark Appeal Case
ODS-APの識別力と慣用性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第1916号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ODS−AP」の文字を横書きしてなり、第9類「測定機械器具、理化学機械器具、電気磁気測定器、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成9年1月17日登録出願、その後、指定商品については、平成10年7月13日付手続補正書をもって、第9類「高速液体クロマトグラフィー用カラム」と補正されたものである。
2 当審の拒絶理由
当審において、本願商標の新たな拒絶の理由として、請求人(出願人)に対して通知した理由は、次のとおりである。
本願商標は、「ODS−AP」の文字を表してなるところ、構成中、前半の「ODS」の文字部分は、本願指定商品「高速液体クロマトグラフィー用カラム」との関係においてみると、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography)(略語「HPLC」)による物質の分析の際に目的に応じて用いられる充てん剤の種類のひとつである「オクタデシル基化学結合型シリカ」(OctaDecyl Silica)をあらわす語(昭和電工ホームページ「やさしいHPLC入門講座」より:http://www.sdk.co.jp/shodex/japanese/kouzac.ht)と認められる。
また、同後半の「AP」の文字部分は、商品の規格、品番等を表すための記号又は符号として取引上普通に採択使用される欧文字1文字ないし2文字の一類型と認められるものである。
そして、本願指定商品を取り扱う測定機器業界の実情について関連メーカーのインターネットホームページ情報等をみると、例えば、「HPLC」については「LC-VP、LC-10A」(株式会社島津製作所)の如く使用され、また、(クロマトグラフィー用)充てん剤についても「Inertsil ODS−P」(ジーエルサイエンス株式会社)、「ODSpak F-411」(昭和電工株式会社)等の如く、「ODS」又はこれに欧文字1文字ないし2文字を付して、充てん剤の種類名ないしはその記号表示として、取引上普通に使用している状況が認められる。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中の「高速液体クロマトグラフィー用のオクタデシル基結合シリカを使用したカラム」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該充てん剤の種別(商品の品質)、型式等を表示したものと理解するに止まり、それをもって何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものといわなければならない。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであって、また、これを前記カラム以外の「高速液体クロマトグラフィー用カラム」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の意見
当庁の示した上記2の拒絶の理由に対して、請求人は要旨次のように意見を述べ、甲第6号証乃至同第7号証を提出した。
本願商標の指定商品は、特殊な商品であって、請求人が既に15年近く使用しているという事実に留意すれば、本願商標が自他商品識別能力を有し、かつ品質誤認の蓋然性は存在しない。
(1)拒絶理由通知は、「Inertsil ODS−P」、「ODSpak F-411」の2例を挙げ、本願商標が該充てん剤の種別(商品の品質)、型式等を表示したものと認定しているが、2例だけでは、これらが取引上普通に使用されていることにはならず、また、これらの例示は、「ODS」に欧文字2字を付したものとはいず、該充てん剤及びその種別、型式だけを表示したものとはいえない。請求人は、該2例の例示は、それ自体で自他商品識別能力もあり、商標としての機能を有するものと判断する。
(2)本願商標の指定商品の主たる需要者層は、微量測定の専門家であり、
精密測定機械器具である圧力計や材料試験機などの使用者であるから、通常の市販品に比べて遙かに該当商品に対する注意力が高く、本願商標及び上記2例の表示が充填剤の種別や型式だけを表示したものと理解するにとどまることはない。
(3)請求人は、甲第2〜5号証で示すように、本願商標を1982年から15年以上に亘り使用した結果、本願商標「ODS−AP」は、需要者らが本件請求人の業務に係る商品であることを容易に認識できるに至っている。
そして、請求人は、この点の証拠が必要であれば、提出する用意がある。
(4)商標公報等を参照すると「ODS−AP」とほぼ同様の文字態様で登録された商標が多くあり、また、欧文字をハイフンで結合した表示は、例えば、「jpo−miti.go.jp」の如く、インターネットホームページアドレスの最も重要な部分として使用されていることが多いから、インターネットの隆盛につれ、これを一体不可分のものとして解釈されることが時代の趨勢である。
4 当審の判断
本願商標について示した先の拒絶の理由は妥当であって、これについて述べる請求人の意見は、以下の各理由よりして、いずれも採用することができない。
(1)請求人は、当審の拒絶理由における例示が2例のみであること、また、これらは「ODS」に欧文字2文字を付した事例とはいえない旨、意見を述べている。
しかしながら、例えば、化学機器を取り扱う事業者である野村化学株式会社の製品カタログ及び第28回全国科学機器展の展示資料等によれば、「GLP/GMP対応バリエーションサポートカラムDevelosil ODS−UG,ODS−HG」、「ODS−TMSデュアルファンクションカラムDevelosil ODS−MG」、「高保持型ODSカラムDevelosil ODS−SR」の如く、前出2例の他にも、「ODS」に欧文字2文字を付して用いている表示例を容易に見出し得るところであるから、前出2例を含むこれら表示例は、いずれも、いわゆるODS型充てん剤の種別・型式表示の類例とみて差し支えないものである。よって、これらの点について述べる請求人の主張は、採用することができない。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中の「高速液体クロマトグラフィー用のオクタデシル基結合シリカを使用したカラム」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該充てん剤の種別(商品の品質)、型式等を表示したものと理解するに止まり、それをもって何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものと判断するのが相当である。
(2)また、請求人は、本願商標の指定商品に接する需要者層は、一般の需要者に比して注意力が高いという商品取引上の特殊性があること、「ODS−AP」とほぼ同様の文字態様での登録例が多くあること及び欧文字をハイフンで結合した表示が、近年、インターネットホームページアドレスの重要な部分として多用され、これを一体不可分のものとして解釈されることが時代の趨勢であること等を理由に、本件商標は、自他商品識別力がある旨、意見を述べている。
しかしながら、本願商標の指定商品に接する需要者に注意力が高く、専門知識を備えている者が多いとしても、そうであればこそ、当該需要者は、「ODS」又は「ODS−○○」の表示を当該充てん剤の品質又はその種別表示として容易に認識するというべく、この種商品の需要者の注意力を考慮のうえ判断した先の認定は正当といわなければならない。
また、本願商標については、その指定商品の分野における取引の実情を考慮のうえ、事実に基づき客観的に判断したものであるのに対し、欧文字をハイフンで結合した表示について他に登録例があること及びインターネットホームページアドレス上における表示例に関して述べる請求人の主張は、いずれも具体性に欠けるものであり、また、その主張を理由づけるに足りる証拠の提出もないから、それらの主張も適切でなく、採用の限りでない。
(3)さらに、請求人は、本願商標「ODS−AP」を長年に亘って使用した結果、需要者らが本件請求人の業務に係る商品であることを容易に認識できるに至った旨主張しているが、提出に係る書証(甲第2〜5号証)によっては、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識するに至ったものとは、直ちに認め難く、その主張を理由づけるに充分なものとはいえない。また、請求人は、これを立証するための更なる証拠の提出の用意がある旨主張しているが、すでに意見書の提出期間を含め、相当日数を経過した現在に至るも、何ら新たな証拠の提出はないから、これ以上本件審理を遅延させるべき合理的な理由を見出せない。よって、これらの点を述べる請求人の主張は採用することができない。
その他、請求人の主張を認めるに足りる証拠はない。
(4)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、本願商標は、この理由をもって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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