Trademark Appeal Case
記号と略称の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第18419号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「D−MAIL」の文字を標準文字により表してなり、第38類「電子メールサービス」を指定役務として、平成9年9月3日に登録出願され、その後、指定役務については同11年6月14日付の手続補正書により「電子メール通信」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由の要点
本願商標は、指定役務との関係においては、その構成中「D」は、ローマ字の1字若しくは2字が役務の種類・規格等を表示するための記号・符号として普通に採択使用されていることよりすれば、これもその類型の1つとして認識されるものであり、また、「MAIL」の文字部分は「電子メール」の略称として広く使用されているものであるから、これを該指定役務に使用するときは、単に役務の質を表示したにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 請求人の主張の要点
(1) 「MAIL」の語自体は、本来「郵便」を意味するものである。
最近は、E−mailないし電子メールが「MAIL」又は「メール」と略称されることがあることは事実であるが、それは、文脈上「電子メール」「E−mail」に言及していることが明らかな場合に限られる。書き言葉として一般的に「MAIL」が電子メールの意味で用いられることは現実にはなく、新聞等の記事においても必ず「電子メール」「e−mail」と表記されるのが普通である。
(2) 本願商標は、「E−mail」ではなく、ことさら「D−MAIL」という従来にない表示からなるものであり、これが単なる一般の「電子メール」と認識されることはあり得ない。
(3) 本願商標中の「D」は、単なる記号・符号ではなく、請求人「Disney」の頭文字「D」にほかならず、請求人が本願商標を使用すれば、このことは容易に理解されるところであり、本願商標は請求人を役務の出所として表示する機能を有する造語商標である。
(4) 本願商標と同様の構成をとる「QMAIL」、「PMAIL」、「VMAIL」に係る登録が別人名義で併存しており、このような先例からも、本願商標の識別性は否定されるべきでない。
(5) したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号には該当しないものである。
4 当審の判断
本願商標は、上記のとおり、「D」の文字と「MAIL」の文字とをハイフンを介して結合してなることから、両文字部分が視覚上分離して看取されるばかりでなく、両文字部分が常に一体不可分にのみ認識されるべき格別の理由の見出し難いものである。
しかして、上記「MAIL」の文字は、「郵便、郵便物」を意味する英語であるが、本願の指定役務との関係においては、「電子メール」を表したものと容易に認識されるものというべきである。すなわち、近年の情報通信産業の発展は目覚ましく、コンピュータが各企業はもとより家庭にも普及進展しているところ、「コンピュータネットワークに接続できる環境を持っている人あてに、メッセージを記録したデータを配信するシステム」を電子メール(electronic mail;e−mail)と称し、「郵便のイメージに近いことからメールの名称が使われる」とされている(日経BP社発行「日経パソコン新語辞典99年版」参照)。
また、一般に、ローマ字の1字ないしは2字が商品や役務の型式、品番、種別等を表示するための記号、符号としてハイフンを介して用いられている事実があることからすると、本願商標中の「D−」の文字部分も、この種記号、符号の類型の一つとして認識されるにすぎないというべきである。
そうすると、上記「D−」と「MAIL」の文字とを結合してなる本願商標は、これをその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、電子メールの類型の一つを示したもの、すなわち、該役務の質、内容を表示したものと認識するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
なお、請求人は、本願商標は従来にない表示からなるものであり、単なる「電子メール」と認識されることはなく、また、「D」は単なる記号・符号ではなく請求人の「Disney」の頭文字であることから、本願商標は請求人を役務の出所として表示する機能を有する造語商標である旨主張しているが、「D」が請求人の頭文字として広く知られているともいえないし、本願商標が一連一体のものとして一般に親しまれている事実も見出せないところであるから、上記認定判断に照らし、請求人の主張は採用できない。さらに、請求人は当庁における登録例を挙げて主張するところがあるが、掲げられた登録例は、本願商標とは商標の構成が相違し事案を異にするものであるから、本件の判断に影響を及ぼすものではなく、請求人のこの主張も採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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