Trademark Appeal Case
吸水拡散の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第16962号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「吸水拡散」の文字を書してなり、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,シャワーカーテン,紅白幕,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成10年9月2日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『吸水拡散』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、繊維業界においては、汗を良く吸い取る吸水機能、さらに拡散機能を有する高機能素材が数多く開発され、その素材を用いた商品が多数販売されていることより、これを本願指定商品に使用しても、これに接する需要者は該商品が吸水性拡散性に優れた商品であることを理解するに止まり、単に商品の品質・機能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」との理由で本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は前記したように、「吸水拡散」の文字を書してなるところ、「吸水」の語は「物体・生体・機械などが水を吸うこと」の意味を有し、また、「拡散」は「広がり散ること」の意味を有する語であって(いずれも「広辞苑」より。)、これよりは、全体として「水を吸い取り、広がり散らせること」の意味合いを容易に看取させるものである。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、取引者、需要者は前記の品質・機能を備えたもの、又は、そのような機能を有する繊維を使用した商品という品質・原材料を表示したものと理解するに止まり、それをもって自他商品の識別標識とは認識し得ないものとみるのが相当である。
請求人は、本願商標は請求人(出願人)が創作した造語であり、「吸水拡散」の文字が、指定商品を取り扱う業界において商品の品質等を表示するものとして使用されている事実はない旨主張している。
しかしながら、「吸水、拡散」の文字は、例えば繊維素材に関連するインターネット情報及び新聞記事データベース情報によれば以下の事実が認められるところである。
(1)「高多汗処理素材“エアファイン”の発売について」として、「東レ(株)はこの度、.........の開発に成功し、99年春夏向けに本格発売を展開します。本素材は、“フィールドセンサー”機能とマイクロスリット構造糸の最適複合化により驚異的な吸水性・拡散性が得られ、多量の発汗が余儀なくされるアクティブスポーツに対応可能な高多汗処理性を実現しました。.........2.商品特徴(1)汗処理性(吸水・拡散)に優れている.........3.技術概要(1)技術内容.........吸水・拡散性に優れた性能を付与する。.........」との表示が用いられていること(http://www.toray.co.jp/news/nr980728.html)。
(2)「アルフィラは、『衣服内気候』の水分と熱のトランスポート特性の考え方を発展させ、汗(液相、気相)の吸収、拡散、乾燥および放湿をより高めるために、東洋紡独自の技術開発力から生まれたポリエステルフィラメント多層構造糸です。 1.特徴 1.優れた吸水性、水拡散スピードがあります。」との表示が用いられていること(http://www.toyobo.co.jp/press/press052.htm)。
(3)「キャロン元気いきいき吸水パンツ(軽失禁用パンツ).........『特徴』.........パットは肌側に当たる部分が吸水、拡散の早いパイル編みの『キャロンドライシート』を使用しているため、サラッとした肌ざわりです。」との表示が用いられていること(http://www.vcc.ne.jp/exhibition/ex_c/ex_c_kaigo/exh_zone/clothes/katakura/pants.htm)。
(4)「バイオ素材でスポーツウエア 旭化成が開発、ミズノ商品化 吸・防水性併せ持つ」との見出しのもと、「ミズノは24日、旭化成が開発した新素材.........でできたウインドブレーカー(スポーツウエア)を、9月1日から発売すると発表した。.........さらに吸水拡散機能を持っており、内側からの汗を吸い取って瞬時に蒸発させるのでウエアの中に水滴がつかない。.........」との記事中に用いられていること(1989.8.25 東京朝刊 9頁)。
(5)「クラレ、超極細繊維使い吸汗・速乾性素材.........スポーツ衣料に。」との見出しのもと、「クラレはポリエステルのマイクロファイバー(超極細繊維)を使った吸汗・速乾性素材...を開発、93年春夏物を皮切りにスポーツ分野向けに発売する。.........新素材はポリエステルニットの開発・生産チーム『テクニット』研究会が快適性をテーマに汗処理の研究を続け、商品化した。吸水拡散層を生地表面近くに作り、肌の接する裏面から吸収した汗を素早く拡散させる多層構造のニット。.........」との記事中に用いられていること(1992.2.14 日経産業新聞 15頁)。
(6)「シキボウ 来春夏向けニットは開発素材数多く提案」との見出しのもと、「シキボウは2001年春夏向けのニット販売で、健康・快適を切り口に、綿と機能性・ファッション性の融合を打ち出す。.........東レのX断面ポリエステルを使って...吸水拡散性をアップさせた...などを販売する。」との記事中に用いられていること(2000.3.15 繊研新聞 4面)。
これらの事実によれば、本願商標を構成する「吸水拡散」の文字は、「汗(水分)を吸い取って蒸発させる」機能を有する商品、あるいは同機能を有する繊維を使用した商品であるという機能特性を表示するものとして当業界において取引上普通に使用されていることが認められるところである。
そして、請求人会社は、上記インターネット情報及び新聞記事に紹介されている商品分野に携わる事業に関する当業者であることに照らしてみれば、請求人においてもかかる業界事情を知悉していたと推認するに難くないものであって、本願商標が請求人の創作に係る造語であって「吸水拡散」の文字が指定商品を取り扱う業界において商品の品質等を表示するものとして使用されている事実はない旨を述べる請求人の主張は妥当でなく採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当なものであって、これを取り消す限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
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