Trademark Appeal Case
品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第13574号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり「ロングライフ住宅」の文字を書してなり、平成9年12月26日に登録出願され、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」を指定役務とするものである。
2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『ロングライフ住宅』の文字を書してなるところ、これは、『永住に適する長期の耐用年数をもつ住宅』の意を容易に認識させるものであるから、本願指定役務中、例えば上記に照応するような特徴を施した建築一式工事・屋根工事・内装仕上げ工事などに使用するときは、単に役務の質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは役務の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定判断して、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
請求人は、下記の主旨の主張をし、証拠方法として甲第1号証ないし甲第2号証、および添付書類として、甲第1号証ないし甲第2号証および参考資料を提出した。
本願商標である「ロングライフ住宅」を構成する「ロングライフ」が特定の意味を持たない造語であることは、外国語の辞典類に掲載されていないことから明らかである。原審は「永住に適する長期の耐用年数をもつ」という役務の品質を「容易に認識させる」と断じているが、その根拠について述べていない。確かに「ロングライフ」という語句は比較的親しまれた英単語「ロング=long(長い)」と「ライフ=life(命)」とを結合させたものではある。いわゆる和製英語が頻繁に用いられた結果、特定の意味を持つ例は数知れない。しかし、本願商標にそのような事実はない。むしろ、住宅業界において請求人が独自に生み出した新たなコンセプトを踏まえた造語であり、その意味は原審で述べられている「永住に適する長期の耐用年数をもつ」という理解をはるかにこえるものとなって、請求人の役務の出所を表示するものとして世の中に急速に浸透し始めているものである。それは請求人によりすでに使用されている本願商標について掲載された新聞記事、雑誌記事等に明らかである。また、他社について述べられた記事では、本願商標について全くふれられておらず、原審で述べられている「永住に適する長期の耐用年数をもつ住宅」を理解させるものとしては、住宅業界では一般的に「長期耐用」という語句である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号の規定に該当するものでなく、出願人の役務を表示するものと認識される。
4 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり「ロングライフ住宅」の文字よりなるところ、構成文字中「ロング」は、「長い」の意を有する良く知られた外来語であり、また、「ライフ」は、「寿命、耐久性、命」等を意味する外来語として一般に広く知られており、本願商標の構成中の「ロングライフ」の文字部分はこの2語を結合してなるものといえ、この文字部分から、「長い寿命」という程の意味合いが容易に認識されるものであり、小学館発行「小学館ランダムハウス英和大辞典」(1994年第2版1593頁)中にも「longlife=(消耗品が)長くもつ」が英語の成語として記載されている事実がある。
また、住宅については、一般的にその耐用年数が長いことが望まれることは顕著な事実である。
そうとすると、本願商標は、上記の「ロングライフ」の部分に、「住宅」の語を結合してなることから、その一連の語の連関から、「長い寿命の住宅」の意味合いを容易に認識させるものというを相当とする。
そして、本願の指定役務には建築一式工事などの住宅に関連する役務が多数含まれていることからすれば、本願商標をその指定役務に使用するときは、「寿命の長い(耐久性の高い)住宅」の意味で、提供される指定役務の質を表わすものと取引者・需要者に理解されるものと認められる。
そして、以上のことは、例えば、集英社1999年1月1日発行「イミダス1999」第676頁「ロングライフ住宅」と題する記述;「寿命の長い(耐久性の高い)住宅。わが国の住宅事情は、今や住宅戸数が全世帯数を上回り、ストック重視の時代へとさしかかっている。ところが一方、わが国の住宅の寿命はきわめて短く、特に戦後から1970年代あたりまでに建った木造住宅の寿命は平均26年といわれる。先進諸国の住宅平均寿命80〜100年に比べると、異常なほど短命である。そこでストック重視の時代の中で、ロングライフ住宅の必要性が叫ばれている。すでに住宅メーカーの中には、住宅供給にロングライフ住宅の考え方を取り入れ、具体的な家作りを実施しているところが増加している。」とあることにも明らかである。
また、「施工・構造へのこだわり〜高気密・高断熱〜ロングライフ住宅」と銘うって、住宅建築一式工事の役務の質が明示されている証左としては、例えば、愛知県日進市折戸町藤塚56−823在、(株)拓穂工務店のURL:http//www.takuho.co.jp/の「ロングライフ住宅とは:日本の今までの住宅は、1.世界的に比較してもかなり高額な住宅である。2.10年後には建物の不動産評価はほとんどゼロになる。3.子供成長時には、ローンと教育費の負担に親のすねは細るばかり。4.30年後ローンが終わったら、家の寿命も終わってしまった。5.そして、せっかく悠々自適の老後のはずが、古くなった家の建て直しか、マンション住まいか、大規模なリフォームなどでまた家のための出費に悩まされる。;こんな悪循環をなくし、何代にも伝えて住める住まいがそれがロングライフ住宅です。(中略)古くて汚い家ではなく、古くなって良さがでる家をこれから私達は、創っていかなければならないと思うのです。それが私たち工務店の使命だと考えています。そのためには、しっかりした構造、確実な施工、確かな品質の素材を提供しなければならないと思っています。又、間取りのオープニングプランニングは将来の変化に対応可能です。又、本物の素材を使った建物は、古くなってもよさが失われず、古いからこそその趣がでてくるのです。例えば無垢材のフローリングならば、水害で床に浸水しても水がひいて乾けば元のままの状態に戻りますが、合板フロアーは、張り合わせの部分が水でめくれてしまって貼り替えなければ使い物になりません。」とあり、また共同通信記事には、1994年2月17日付の「ロングライフ住宅を開発へ」と題して「建設省は新年度から、五十年以上の耐用年数がある木造住宅(ロングライフ住宅)の開発に乗り出す。長持ちする住宅を普及させることで、二世代ローンなどの利用を増やし、結果的には一生涯の住宅費用を少なくできる、との狙いがある。(中略)ロングライフ住宅は、環境問題の高まりで無垢の木材が将来的には供給不足になることや、木材の有効利用などを考慮。集合材など木質の新建材の使用を基本にしている。新建材自体の耐久性や維持管理が簡単な工法などについて、評価技術の開発や評価基準の整備などに取り組み、三年後には結論をまとめる予定。建設省は、ロングライフ住宅は一般的な在来木造住宅に比べて建設費は一割程度上がるが、耐用年数の増加で、結果的には三割程度建設費を節約できるとみている。」とあり、また日経産業新聞1995年11月28日付の「太平住宅、ロングライフ住宅(セレクト日経産業消費研究所調査)」と題する記事中に、「ロングライフ住宅『くらしすとエルエル』」太平住宅、五十年以上の長時間に耐えるツーバイフォー住宅で定期借地権付き住宅に向いている。長期使用に耐えるようにするため基礎部分の使用材料の質を高めたほか、床組の防腐性を向上させた。価格は三・三平方メートル当たり五十二万円から。」とあることにも明らかである。
また、請求人は、原審の平成11年5月12日付け意見書において、本件商標を使用していると主張してその事実を立証する証拠(原審甲第1号証ないし甲第10号証)を提出している。そして、同証拠の各記事中には、いずれも「ロングライフ住宅」という言葉が使用されているが、これらの記事の内容全体をみると、請求人の商標として「ロングライフ住宅」という言葉が示されているというより、「長期の使用に耐える住宅」という意味で使用していると認められるものであって、商標的な使用とはいえないから、これらの使用事実をもって、本願商標を登録すべき根拠とすることはできない。
そうとすると、本願商標は、その指定役務に使用しても、提供する役務の質を表示する標章のみからなる商標というべきであり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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