結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第31268号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2598899号商標(以下、「本件商標」という。)は、「S−LINK」の欧文字を書してなり、第11類「電気機械器具」を指定商品として、昭和63年11月15日に登録出願、平成5年11月30日にその設定登録がなされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次の通り述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第4号証を提出している。
(1)本件商標の使用状況
本件商標権者である被請求人は本件商標を前記指定商品について継続して3年以上使用していない。また、本件商標権については、専用使用権の設定の登録がなされておらず、通常使用権の承諾もされていない。
したがって、本件商標の登録は商標法第50条の規定により、取り消されるべきものである。
(2)平成11年3月18日の答弁に対する弁駁
(イ)商標権者は、有限会社オープンハートとの間で通常使用権設定契約が締結され、これに基づいて、通常使用権者となった有限会社オープンハートは、本件審判請求の登録前3年の期間内において、本件商標の指定商品について本件商標を使用している旨主張している。しかし、本件審判請求人が調査したところにより、商標権者の主張は成り立たないことが判明した。
(ロ)通常使用権設定契約書(乙第1号証)について
本件商標権者は、有限会社オープンハートとの間に通常使用権設定契約が締結され、有限会社オープンハートが通常使用権者であることを主張している。しかし、上記通常使用権設定契約書の有効性には大いに疑問がある。本件商標権者である株式会社明創舎は法人登記簿謄本(甲第2号証)によれば、最低資本金未達成会社として平成8年6月1日付けで解散の登記がなされている。すなわち、株式会社明創舎は同日以後、清算法人として存続するに過ぎない。かかる清算中の会社は、現務の結了等、清算の目的の範囲内でのみ活動できるに止まり、清算目的の範囲を越える行為については為し得ない(商法第124条第1項各号)。しかるに、本件通常使用権の設定は、株式会社明創舎の解散の登記後である平成10年6月20日付けでなされていること、および、本件通常使用権は2003年11月30日まで本件商標を指定商品について継続使用を認め、その代償として対価(本件では30万円となっている)の支払いを求めることを内容とするものであることからして、かかる設定行為が清算目的の範囲を越えたものであることは明白である。よって、清算法人たる本件商標権者の行った本件通常使用権の設定行為は無効である。なお、解散の登記がなされた後は、代表取締役の地位が失われているため、本件通常使用権の設定契約が株式会社明創舎 代表取締役の名においてなされること自体も誤りである。
(ハ)商品広告チラシ(乙第2号証)および通常使用権者について
商標権者が商標の使用を証明するために提出した広告チラシ(乙第2号証)は以下(a)〜(c)の理由から信憑性に欠ける。(a)広告チラシは、商品の販売を目的とする以上、商品の購入希望者に対し商品の販売地を案内するための地図を表示するのが通常であり、そうでないにしろ少なくとも販売者の連絡先電話番号の表示が欠けることはない。しかるに、商標権者の提出した広告チラシは右下隅に社名と所在地のみが記載されているだけであり、これでは商品の購入希望者がその地に出向こうにも、地図による案内はないから、当該地を探し出すのにきわめて不便であり、さらには、電話による問い合わせもできないというのでは、販売者に商品販売の意思があるのか疑われても仕方のないところであり、このようなチラシが現実に配布されたとは到底思い難い。(b)また、通常に事業を営んでいる者であれば、上記のような販売者表示について決定的な欠落を生じさせる筈もなく、その点で本件通常使用権者が商標の使用をしているとする、東京都文京区大塚4ー7ー4の地で現実に事業を営んでいるのかきわめて疑わしい。すなわち、販売者表示から電話番号が欠けたのは、現実に電話を所有していないから、電話番号は記載しようにもできないというのではないか。しかし、このようなことは現実に商取引をしている者であれば、到底あり得ない話であるが、請求人が調査した限りでは、当該地での電話登録はなされていないし、営業実体もない。このことは、請求人が依頼して民間調査会社の行った、本件通常使用権者である有限会社オープンハートに関する調査結果の写し(甲第3号証)により明らかである。なお、甲第3号証は原本の写しの抜粋であるが、必要があれば原本を提出する用意はある。(c)通常、広告チラシはオフセット印刷機等の大掛かりな印刷専用機を用いて鮮明な商品表示を行うと共に多数刷り出される。しかるに、商標権者が出した広告チラシは、掲載商品は鮮明さを欠き、また一見したところ、個人ユーズレベルのパソコン用プリンタで印刷されたものであると思われる。つまり、デジタルカメラ等により撮影された商品の画像データを、パソコンに取り込み、パソコン画面上で編集した後、上記個人ユーズレベルのプリンタへ出力させたものと考えられる。このように、提出されたチラシは上記したような通常の工程を経て制作されておらず、印刷業者によらず個人が簡易的に制作したものではないかの感を拭い難い。したがって、このようなチラシが現実に一般購入者に向けて配布されたものとは考えにくい。もし、商標権者が広告チラシとして現実に配布されたものであると主張するのであれば、提出した広告チラシの印刷・配布の各部数、印刷業者・配布方法・配布先等を第三者の証明と共にお知らせ頂きたい。
以上より、本件通常使用権設定の契約は無効であり、また本件商標の使用を証明するとして提出された乙第2号証の広告チラシは信憑性に乏しく、また通常使用権者も営業実体を有しておらず、本件商標の使用も極めて疑わしい。したがって、答弁書の提出によっても、なお本件商標の使用は立証されるものではなく、依然として本件商標の登録は商標法第50条の規定によって取り消されるべきものである。
(3)平成11年10月20日の答弁に対する弁駁
(A)平成11年10月20日付け審判事件答弁書において、被請求人は清算中の会社といえども有効な通常使用権の設定契約を為し得ること、および「商品の広告チラシ」の有効性を主張している。しかし、これら主張に妥当性がないことは明白である。
(B)清算中の会社
(イ)被請求人が、平成8年6月1日にみなし解散になっていることは明らかである。みなし解散された会社は、商法第343条の規定によって解散とみなされた日から3年以内であれば特別決議によって会社を継続させることができる。しかし、上記3年経過後であって最新(平成11年12月10日付け)に取得した法人登記簿謄本(甲第4号証)によっても、かかる継続の登記の申請および資本の額の変更等の登記の申請を確認することはできない。したがって、被請求人の上記継続の効力は既に失われており、このため、被請求人は平成8年6月1日に遡及して解散が確定した、と解すのが妥当である。そのような会社は清算中の会社として存続することになるが、これがなしうる行為の範囲は「清算の目的」というきわめて限られた範囲に拘束される(商法124条)。
(ロ)ところで、清算とは、解散した会社の財産関係を整理する手続であり、清算の終了によって会社は消滅する。したがって、ある行為が清算目的の範囲内か否か、ということを検討する場合、その行為が財産関係を整理するものなのか、少なくとも最終目的である会社の消滅に向けてのものなのか、という点が基本的な解釈態度となる。このことを踏まえて、被請求人が行った通常使用権の設定行為を検討すると、一般的に、通常使用権の設定行為は、商標権の有する財産的価値を活用するために第三者に対価と引換えに設定期間中、継続して商標を使用することを許諾する行為であると言える。具体的には、乙第1号証によれば、契約設定の日である1998年6月20日より2003年11月30日に至るまでの期間、有限会社オープンハートに本件商標の継続的使用を保証する行為である。このような継続的契約を新たに締結することは、商標権の売却と異なって、新たな利害関係の成立となり、到底財産関係を整理するものとはいえず、清算会社の権利能力を超える行為である。
したがって、被請求人の行った通常使用権の設定行為は無効である。
(ハ)広告チラシ
被請求人は、有限会社オープンハートが配布したとされる広告チラシ(乙第2号証)の有効性を主張している。しかしながら、当該広告チラシは依然としてその信憑性に乏しい。提出された広告チラシは商品表示がきわめて不鮮明であり、また販売者の電話番号表示すらない等、通常のチラシの体裁を全く整えておらず、このようなものが現実に配布されたとは到底思いがたい。被請求人は、チラシ中に地図すら掲載していないことの理由として、販売者及び住所により容易に販売地を知りうる近隣に配布したと主張している。しかし、販売地のみ知らされ、これによって誤りなく目的の地にたどり着くことが期待できるのは、せいぜい同一町内・同一ブロック内といったきわめて限定された狭い地域の住人に限られる。もし、そのような狭い地域にのみ限って、きわめて少ない部数が配布されたに過ぎない、というのであれば、その程度の使用によって、本件商標に法が期待するような業務上の信用は全く化体されていないと言える。住所表示を見てある程度の場所の予測がつく範囲の消費者に配付されたとしても、そうであるならば、なおのこと地図の表示があるのが自然と思われる。一個人商店が近隣に配付する広告チラシにおいても、電話番号の記載は言うまでもないが、略図程度は掲載するのが世間常識というものであり、前記した被請求人の主張は詭弁としか言いようのないもので、到底信用できるものではない。
(ニ)書類提出と証人尋問
被請求人が広告チラシを配付してそれに基づいて商品を販売した、というのであれば、具体的な配付の方法の説明、当該商品の納入伝票および売上日、売上個数、売上金額等の販売の事実を客観的に証拠だてる関係書類を提示すべきである。そのような書類は存在しないということであれば、使用の事実関係を明確にする目的から、本件審判請求人は本件商標の使用者である有限会社オープンハートの代表者、小林佐登子氏の証人尋問を請求するものである。
被請求人は「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第5号証を提出している。
(1)理 由
本件商標については、1998(平成10)年6月20日付けを以て、本件商標権者である株式会社明創舎と有限会社オープンハートとの間で通常使用権設定契約が締結され(乙第1号証参照)、この契約により本件商標の通常使用権者となった上記有限会社オープンハートは、本件審判請求の登録(平成10年12月21日)前の3年以内である平成10年7月20日から同年8月10日の間において、本件商標の指定商品である「電気機械器具」に該当する「クリップ付ライト」、「ヘッドライト」、「常備灯」に本件商標が付された商品広告を以て日本国内で営業活動を行っていた(乙第2号証参照)。
(2)上記の通り、本件商標は本件審判請求の登録(平成10年12月21日)前の3年以内に日本国内において、通常使用権者により本件審判請求に係る指定商品に使用された事実があるから、商標法第50条の規定により登録を取り消されるべきものでないことは明らかである。
(3)平成11年10月20日付け弁駁に対する答弁
(イ)請求人は、平成11年7月5日付け審判事件弁駁書において、本件商標権者が提出した平成11年3月18日付け審判事件答弁書に、本件商標が本件審判請求の登録前の3年以内に日本国内で通常使用権者により本件審判請求に係わる指定商品に使用された事実を証明する証拠として添付した通常使用権設定契約書(乙第1号証)の有効性に疑問があること、並びに、「商品の広告チラシ」(乙第2号証)は信憑性に欠けると主張しているが、当を失した主張である。
(ロ)請求人は、上記通常使用権設定契約書の有効性に疑問がある理由として、本件商標権者である株式会社明創舎は平成8年6月1日付けで解散登記されている清算中の会社であり、清算中の会社は、清算目的のみ活動できるに止まるのに、通常使用権設定契約を締結し、代価を得る行為は、その範囲を越えていることと、並びに、解散登記後は、代表取締役の地位が失われているから、株式会社明創舎の代表取締役の名においてなされた契約は誤りであることを挙げている。
(ハ)然し乍ら、株式会社明創舎は定款に定めた存立時期の満了による解散、或いは、株主総会での決議による解散などの自らの意思による解散とは異なって、平成2年改正の商法に規定するいわゆる「最低資本金未達成会社」として解散したものとみなされ、登記官の職権によって解散登記されたものである。そのことにより、会社は清算中の会社とみなされているが、清算中の会社は清算結了が必至であるわけではなく、現に特別決議による会社継続が認められている。かかる状態にある法人が、その所有する商標権につき通常使用権の許諾をして、代価を得たとしても、その行為が清算目的の範囲を越えて無効であるとは直ちには言えない。商法に定める清算人の職務権限に関する規定(乙第3号証参照)は、清算人の当然の職務としてなしうるべき範囲を定めたのにすぎず、会社清算の範囲を限定したものではない。商法第430条の参考判例にも「清算人は解散後に於いても功労者に慰労金を贈与することができる」との判例が挙げられている(乙第4号証参照)。清算事務の目的は、不必要に会社財産の価値を減少させたり、会社に損害を生じさせたりするのではなく、できる限り会社に有利に現務を結了することにある。したがって、会社財産の管理行為は清算行為と矛盾せず、現務の結了に必要であれば、新たに第三者との間に法律関係を発生させることもできるし、清算会社は営業の減価を防止するため清算行為の内容として従来の営業を継続しうると解釈されている(乙第5号証参照)。株式会社明創舎の解散は、株主総会決議による解散ではないが故に、清算人の選任は行っておらず、清算人の登記もしていない。しかし、このような職権解散の場合は、従前の取締役及び代表取締役がそのまま清算人及び代表清算人となるのであるから、「代表取締役」の表記が誤記であるとしても小林亘に代表権が存することは自明である。従って、上記通常使用権設定契約は有効である。
(ニ)請求人は、上記商品の広告のチラシが信憑性に欠ける理由として、当該チラシに商品の販売地を案内する地図の表示、及び、販売者の連絡先電話番号の表示がないこと、並びに、当該チラシが印刷業者により制作されたものにみえないことを挙げている。然し乍ら、上記理由は全て商品の広告チラシの有効性を否定できるものではない。販売者(本件商標の通常使用権者である有限会社オープンハート)は、近隣の消費者、即ち、販売者名及びその住所により容易に販売地を知り得る者を対象にして、上記商品の広告チラシに掲載された商品の販売を企図していたので、商品、価格、販売者名及びその住所が表示された上記商品の広告チラシにより十分に販売活動を行い得たのである。また、販売活動の規模も小さかったため、作製するチラシの部数も少なく、印刷業者に依頼するまでもなく、自社でチラシを制作した次第であるが、それ故に、チラシとしての有効性を欠くものでないことは述べるまでもない。請求人は、販売者が営業実態のないことを明らかにする証拠として、民間調査会社の行った調査結果(甲第3号証)を提出しているが、本件商標の本件審判請求に係る指定商品に対する最終の使用時期、即ち、平成10年7月20日〜同年8月10日の当時において、販売者が営業実態のないことを明らかにするものではない。
(ホ)上記の通り、本件商標の通常使用権設定は有効であり、登録商標の使用事実は商品の広告チラシにより疑念なく証明される。従って、本件商標は商標法第50条の規定により登録を取り消されるべきものでないことは明らかである。
(4)平成11年12月14日付け弁駁に対する答弁
(イ)請求人は、平成11年12月14日付け審判事件弁駁書(第2回)において、本件商標権について被請求人の行った通常使用権の設定行為は無効であること、並びに、本件商標の使用の事実を証明する証拠として提出した「商品の広告チラシ」(乙第2号証)の有効性を否定しているが、当を失した主張である。
(ロ)通常使用権の設定行為の有効性について
(a)請求人は、被請求人の最新の登記簿謄本を取得して、「被請求人は平成8年6月1日に遡及して解散が確定した、と解するのが妥当である」旨主張しているが、被請求人が平成8年6月1日に所謂「最低資本金未達成会社」として職権解散させられている事実については当初より明らかであり、「遡及して確定」した訳ではない。この事実が示すことは、被請求人が依然として清算中の会社である、ということのみである。
(b)清算中の会社は、最終的に残余財産の帰属者を定めて、これをその者に引き渡す必要があるが、ここに於いて清算事務の目的は、不必要に財産の価値を減少させたり、会社に損害を生じさせたりするのではなく、できる限り会社に有利に現務を結了することにある。
本件商標権に即して述べるならば、被請求人は会社財産のーつである商標権を最終的には第三者に譲渡し換価しなければならないが、商標権を譲渡し換価するためには、その時まで商標権が維持されていることが条件となる。したがって、被請求人が本件商標権を維持するために本件商標の使用を第三者に許諾するのは、財産の不必要な減価を防止するために当然とるべき行為である。一般に、商標権を持つ会社が解散して清算に入り、自らの営業について商標を使用しない場合に於いて、商標権を維持するためには他人に当該商標の使用を許諾する以外に方法は見当たらない。もし、この方法を執らずに漫然と不使用取消を甘受するのであれば、その清算人の行為は、むしろ業務懈怠(不必要な減価)もしくは、少なくとも不注意であると言わねばならない。自明のことであるが、商標権について通常使用権を設定することは、将来当該商標権を換価する上で、何ら障害とはなり得ないものである。請求人の主張によれば、清算中の会社の持つ商標権は、解散前に第三者に対して使用許諾をしておくか、自らの営業に使用しない限り、不可避的に取消されることになり、その主張は合理的ではない。清算人が残余財産の換価・分配に向けて会社財産の維持管理を図り、そのために必要な措置を講ずることは当然の職務であり、商標権の消滅防止のための必要な手だてとして他人に商標の使用を許諾することは清算目的に適合した行為である。したがって、被請求人の行った行為を無効とする請求人の主張は失当である。
(ハ)「商品の広告チラシ」の有効性について
(a)請求人は、商品表示がきわめて不鮮明であるとか、販売者の電話番号や地図の表示がないことなどを論って、乙第2号証の広告チラシ(以下、本件チラシという)を通常のチラシの体裁を整えていないとか、世間常識を欠く旨の主張をしているが、全て請求人の主観による感想に過ぎず、本件チラシの有効性を否定する客観的な論拠となり得ないことは明白である。即ち、商品の広告チラシは、述べるまでもなく、商品の販売促進を目的として配布されるものであるから、その有効性とは上記目的を達成するための条件を具備しているか否か、つまり、消費者が商品を購入するのための情報が提供されているか否かの点を、個々の状況に照らして判断するべきであり、「通常のチラシ」と比較して一律に判断できるものではない。そこで、商品名、価格、商品の写真、販売者の住所及び名称が明確に表示されている本件チラシ(乙第2号証参照)の配布は、商品の販売促進という目的を達成するための条件を具備しているとみることができる。また、そもそも「通常のチラシ」とか「世間常識」いう基準自体が主観的見解に過ぎず、客観的判断の基準たり得ない。従って、このような主観的見解により本件チラシの有効性を否定する請求人の主張は当を失したものであることは明白である。
(b)請求人は、恰も狭い地域で使用される商標については、商標法が期待するような業務上の信用は全く化体されていない旨主張している。然し乍ら、商標の使用について、個人又は零細業者の商標の保護を排除するような、商標の使用の範囲や程度に関する条件、即ち、一定の範囲以上に渡る地域での使用とか、一定の販売数量以上の使用である等を課した規定は商標法のどこにもない。従って、本件商標は狭い地域で使用されたのは事実としても、請求人がそれを以て「商標の使用」には該当しないと主張するならば、それは請求人の独断に過ぎず、論外である。
(ニ)上記の通り、本件商標の通常使用権の契約は有効であり、登録商標の使用の事実は商品の広告チラシ(乙第2号証)により疑念なく証明される。従って、本件商標は商標法第50条の規定により登録を取り消されるべきものでないことは明らかである。
よって、請求の趣旨通りの審決を賜りたく、答弁する次第である。
被請求人は、本件商標の使用を立証するための証拠として、乙第1号証(通常使用権設定契約書)及び同第2号証(広告チラシ)を提出している。
しかしながら、(a)商標権者が商標の使用を証明するために提出した広告チラシには、他の広告チラシにみられる商品の販売場所を伝える地図、問い合わせ先の電話番号がない(b)該広告チラシは、文字部分が鮮明であるのに対して、商品部分の写真は極めて不鮮明であり、どの程度の枚数が印刷され、どのような需要者、地域等を対象として頒布されたものか明確でない(c)該広告チラシ以外に実際に商品が取引・販売された事実を証明する証拠の提出がない(d)請求人の「このようなチラシが現実に一般購入者に向けて配布されたものとは考えにくい。もし、商標権者が広告チラシとして現実に配布されたものであると主張するのであれば、提出した広告チラシの印刷・配布の各部数、印刷業者・配布方法・配布先等を第三者の証明と共にお知らせ頂きたい。」との疑問に対しても、被請求人は何ら納得させる反証を挙げ回答していない。
以上の事実を総合勘案すれば、本件商標は、被請求人、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、日本国内において、継続して3年以上、取消請求に係る指定商品について使用されていなかったものといえ、かつ、使用していないことについて正当な理由があるものとは認め難い。
したがって、本件商標は商標法第50条第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
なお、請求人が言及している証人尋問についてはその必要性が認められないものと判断をした。
よつて、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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