結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35689号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4050773号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成7年10月19日に登録出願され、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,電池,電気磁気測定器,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,遊園地用機械器具」を指定商品として、同9年8月29日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を無効にする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
(1) 本件商標は、ローマ字「SHOCK」を左から右に横書きした下側に、黒字に白抜きのローマ字「WAVE」を横書きしてなる部分を含む。看者は、これをSHOCK WAVEと理解するものと考えるのが自然である。本件商標の商品区分には、衝撃波を利用する機械器具が含まれるから、「SHOCKWAVE」の文字から容易に「衝撃波」の意味に理解されるものと認められる。また、本件商標の右側には「衝撃波」をイメージさせるような図形が付加されてなる。
(2) 本件商標は、衝撃波の意味を有する「SHOCK WAVE」の文字を含み、本件商標の指定商品には衝撃波を利用する機械器具(例えば、地震探鉱機械器具)が含まれているところから、これをそのような商品に使用した場合は、単に商品の品質を表示したものにすぎないものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するので、その登録は無効にすべきものである。
(3) 本商標権者は、本件商標の商標出願と同日、同じ指定商品につき商標「SHOCK WAVE」を商標登録出願している。同商標登録出願は商願平7-109238として審査され、上述したところと同趣旨の理由をもってその商標登録を拒絶されている。この事実に照らしても、本件商標登録は、無効にされるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1及び第2号証を提出している。
(1) 商標法第3条第1項第3号の当否について
請求人の主張するように、「SHOCKWAVE」の文字から容易に「衝撃波」の意味が理解され、「SHOCKWAVE」の文字は、「衝撃波を利用する機械器具」の品質を表示したものではない。
なぜならば、「SHOCKWAVE」の文字は、「衝撃波を利用した機械器具」に、直接的・具体的に品質を表示する語として取引上、普通に用いられている事実は全くないからである。
そうとすれば、本件商標は、指定商品中「衝撃波を利用した機械器具」について使用しても、商品の品質を表示するものとは認められず、自他商品の識別標識としての機能を十分果たし得るといえるものである。
例えば、指定商品「運動用特殊ぐつ」について登録商標第2248498号「ショックウエイブ」が存在する。運動用のくつには、その設計過程において衝撃波を和らげる工夫が施されている可能性が充分にある。このような場合であっても、「衝撃波を利用している」といい得るのであって、請求人の主張するような基準に照らせば、品質を表示するものであって登録されないことになる。この結論が妥当であるとは到底思われない。運動用のくつについて、一般的に衝撃波を利用しているものについて「ショックウエイブ」の文字が使用されているといった事情があれば、品質を表示する文字であるといえるかもしれない。しかしながら、請求人は、本件商標について、そのような個別具体的な事情を、証拠を挙げてなんら立証していない。
(2) 商標法第4条第1項第16号の当否について
請求人の主張は、「SHOCKWAVE」の文字は、物理学でいうところの衝撃波を容易に理解させるという、常識に照らしてみても的外れの認識を前提とするものである。
「SHOCK」の文字も、「WAVE」の文字も、外来語として一般的に使用されているものであり、それぞれ日本語として「精神的なショック」、「波、時代の流れ」などを意味するものとして、少なくとも、物理学上の「衝撃波」よりも日常的に身近な感覚、自然現象、社会現象を表すものとして親しまれているものである。
であるならば、「SHOCKWAVE」の文字に接した需要者は、物理学でいうところの「衝撃波」を学問的に正確なものとして想い起こすというよりも、大多数の需要者は、それぞれの漠然としたイメージを想い描くものと理解するのが、常識的な理解ではなかろうか。被請求人も、本件商標を、「衝撃に耐えうる商品」ということを訴求するために使用しているものである。
この点に関連し、本件商標の具体的な態様も影響を与えるものである。具体的には、請求人も認めるように、本件商標は、「ローマ字『SHOCK』を左から右に横書きした」部分と、「黒字に白抜きのローマ字『WAVE』を横書きしてなる」部分との二つの独立した部分からなるものである。その各々の部分における文字が、日本において独立して独自の観念を有するものであり、必然的に直接的に、一連の「SHOCKWAVE」若しくは「Shockwave」を理解させるということはできないのである。
なお、被請求人の調査によれば、請求人も、「SHOCKWAVE」なる商標を「電子計算機用プログラム」に使用している(乙第1号証)が、請求人の使用する商標に接した需要者が、果たして「このプログラムには衝撃波が利用されている」と思うであろうか。この文字に接する需要者にとって、「SHOCKWAVE」イコール「物理学上の衝撃波」であってそれ以外のなにものでもないという事情がない限り、たとえそのプログラムに「物理学上の衝撃波」が利用されていないとしても、品質の誤認には全く繋がらないのである。社会一般人の通常の感覚からすれば、「このプログラムには絶対に物理学上の衝撃波を利用しているはずだ」という感覚はかなりずれているからである。需要者が仮に「衝撃波を利用している」ものと理解するとすれば、ほとんどの需要者は、「健康上何らかの影響があるかも知れない」と認識し、請求人の製品を利用するものはいないであろうと思われる。
以上の考察に照らせば、本件商標が、一般人にとって「自然科学としての物理学上の衝撃波」として、学問的に正確な内容でもって認識させるものでない以上、本件商標について「衝撃波を利用する機械器具以外の商品」に使用しても何ら「商品の品質の誤認を生じさせるおそれ」はないものと言わざるを得ない。
(3) 被請求人の商標「SHOCKWAVE」出願(商願平7一109238)について
請求人は、上記商標登録出願(以下「別件出願」という。)が、請求人の主張する無効の原因と同趣旨の理由をもって拒絶された事実をもって、本件商標が無効にされるべき旨主張するが、特許庁審査官の拒絶理由を請求人がそのまま本件審判請求に援用しただけであって、別件出願について発せられた拒絶理由に対する被請求人の反論は上述したとおりである。
また、本件商標とは具体的な態様の異なる全く別の出願である別件出願が審査の段階で拒絶された事実をもって、本件商標登録が無効原因を有することにはならないことはいうまでもない。
なお、被請求人は、結果として別件出願について拒絶査定を不服とする手段を講じなかったが、決して拒絶理由に承服した訳ではない。その時の経緯を示せば以下のとおりである。すなわち、別件出願について被請求人は意見書を提出しているが、被請求人の主張は受け容れられず、拒絶査定となった。しかしながら、被請求人は本件商標を同時出願しており、実際の使用態様に基づく本件商標のみの権利化を図る選択をし、「別件出願」は別段審判請求も行わず放置したものである。
(4) 補足
被請求人の調査によれば、請求人は、おそらく登録性があるものと認識した上で、「SHOCKWAVE」なる商標を出願している(平成8年商標登録願第32565号、乙第2号証)。請求人が、本件商標は無効であるとの主張を行うのであれば、速やかに請求人の出願を取り下げるべきである。
請求人は、本件商標は衝撃波の意味を有する「SHOCK WAVE」の文字を含み、本件商標の指定商品には衝撃波を利用する機械器具が含まれているところから、これをそのような商品に使用した場合は、単に商品の品質を表示したものにすぎない旨主張しているので、この点について検討する。
本件商標は、別掲のとおり、「SHOCK」及び「WAVE」の文字を二段に併記(「WAVE」の文字は黒塗り四角形の中に白抜きで表わされている)の右側に、「く」の字の下辺に直線を付けた如き線を4本並べて描いた図形を配してなるものである。しかして、「SHOCKWAVE」の文字は、「衝撃波」を意味する英語であり、「衝撃波」が「空気のような圧縮性流体の中で、音速を超える速さで伝わる強い圧力変化の波。その全面に圧力・温度・密度が急激に変化する不連続面ができる。爆発に伴う圧縮波、遷音速で飛行する翼から発生する波などはその例」(岩波書店発行「広辞苑」第5版)を意味する語であることは認められるとしても、本件商標の構成中の「SHOCK」及び「WAVE」の文字部分は、上記のように、一連一体に表されたものではなく、もともと「SHOCK」の文字は「衝撃、激動、ショック」を、「WAVE」の文字は「波」をそれぞれ意味する英語として親しまれているものであり、一連の「SHOCKWAVE」の語は物理学上の専門用語であることからして、上記文字部分はこれら「SHOCK」及び「WAVE」の2語からなるものと認識されるとみるのが自然であるから、これらが、直ちに本件商標の指定商品の品質を具体的に表示するものとはいい難く、また、本件商標の指定商品について品質を表示するものとして普通に使用されている事実も見出せないし、請求人も何ら具体的な証左を示していない。
しかも、本件商標は、上記のように、文字と図形の組み合わせからなるものであり、その図形は、何を表したのか直ちに判別し難いものであって本件商標の指定商品の品質を表すとは到底いえないものである。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が商品の品質を表示したものと認識するようなことはなく、充分に自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものではないから、その登録は、商標法第46条第1項の規定により無効とすべき限りでない。
なお、請求人は当庁における審査例を挙げて主張するところがあるが、掲げられた審査例は、本件商標とは商標の構成が相違し、本件とは事案を異にするものであるから、上記認定判断に照らし、請求人の主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。