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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第35190号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4049758号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ウォーターリッチ」の片仮名文字と「WATER RICH」の欧文字を二段に横書きしてなり、第3類「化粧品,せっけん類,香料類」を指定商品として平成6年11月1日に登録出願され、同9年8月29日に設定登録がされたものである。

第2 請求人の主張の要点

1 請求の趣旨

「本件商標の登録を無効にする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決。

2 請求人の引用商標

請求人の所有にかかる登録第530017の1号商標(以下、「引用1商標」という。)は、「リッチ」の片仮名文字を縦書きしてなり、第5類「歯磨及び他の類に属しない洗料、但し、歯磨を除く」を指定商品として昭和33年2月20日に登録出願、同33年11月17日に設定登録、その後、昭和53年12月12日、平成1年4月18日及び同10年9月29日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであって、現に有効に存続しているものである。

同じく登録第530500号商標(以下、「引用2商標」という。)は、「リッチ」の片仮名文字を縦書きしてなり、第4類「石鹸」を指定商品として昭和33年2月20日に登録出願、同33年11月25日に設定登録、その後、昭和53年12月12日、同63年12月21日及び平成10年10月27日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであって、現に有効に存続しているものである。

同じく登録第705500号商標(以下、「引用3商標」という。)は、「RICH」の欧文字を横書きしてなり、第4類「化粧品、香料類」を指定商品として昭和37年11月14日に登録出願、同41年4月28日に設定登録、その後、昭和51年11月8日、同61年4月16日及び平成8年7月30日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであって、現に有効に存続しているものである。

同じく登録第1373980号商標(以下、「引用4商標」という。)は、下記に示すとおりの構成よりなり、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類、但し歯みがきは除く」を指定商品として昭和50年5月16日に登録出願、同54年2月27日に設定登録、その後、平成1年4月18日及び同11年3月9日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであって、現に有効に存続しているものである。

同じく登録第2257997号商標(以下、「引用5商標」という。)は、「MILD RICH」の欧文字を横書きしてなり、第4類「化粧品、せっけん類、香料類」を指定商品として昭和63年3月31日に登録出願され、平成2年8月30日に設定登録されたものである。

3 請求の理由

(1)請求人引用の上記5件の登録商標は、「リッチ」或いは「RICH」の文字から成り、あるいは「リッチ」「RICH」を要部とするものである。一方、本件商標の要部も「リッチ」「RICH」の部分にあるから、両者から生じる称呼及び観念は同一である。したがって、両者は互いに類似するものというべきである。

(2)被請求人は、審査の段階において発せられた登録商標第705500号及び登録第1373980号引用の拒絶理由通知に対する応答として意見書を提出しているが、同書面の中で、「本願商標を構成する『ウォーターリッチ』『WATER RICH』の文字中、『ウォーター』『WATER』の文字は飲料水について使用される例が多いので、本願の指定商品に使用しても何ら商品の品位・品質を表すものでない。」との趣旨の意見を述べている。

しかしながら、これは事実に反する。最近の化粧水の中には、殆ど水そのものから成るものも販売されており、むしろ、これが最近の傾向と言ってもよいほどである。甲第6・7号証は、いずれも化粧品としての「水」についての記事である。これらの記載からも、本件商標を構成する文字のうち「ウォーター」及び「WATER」の部分は要部ではないことが理解できる。このことは、甲第8号証によっても首肯できる。これは、登録商標第4068675号の商標公報で、「うぉーたー」の語を含む「アトピッタリうぉーたー」の文字を横書きして成り、「化粧水」を指定商品とする商標についてのものである。

このようなことから、被請求人が意見書において述べているように、本件商標からは一連に「ウォーターリッチ」の称呼が生じ、後半の「リッチ」の部分のみが抽出されることは無いとの主張は理由の無いものである。

4 弁駁の要点

(1)被請求人は、本件商標は「(a) 外観上まとまり良く一体に表現されている、(b) 全体は僅か6音で澱みなく一連に称呼し得る。」と主張する。

しかしながら、この「外観上まとまり良く一体に表現されている」という主張は正しくない。本件商標を構成する語のうち、片仮名部分は一連に記載されているものの,欧文宇部分は「WATER」と「RICH」の語との間に間隔を空けており、必ずしも一連に記載されているとは言えない。仮に、これを以て一連の表現と見るとしても、識別力の無い語が、要部となるべき語の前に付加されているのであるから、看者はその部分を除外して要部を認識するであろうことは、社会常識上からも当然のことである。

既に述べたように、「ウォーター」「WATER」は、指定商品・化粧品の関係で見た場合、化粧品そのものであって、この部分に識別力の無いことは明らかである。

(2)被請求人提出の答弁書に次の記載がある。

「・・・業界(特に化粧品業界)においては、その化粧品中、特に『化粧水』等に使用するときには、単なる『水(ウォーター・WATER)』ではなく、各メーカーによって、その水に特色を持たせて、その商品をアピールしているものであります。そして単なる『水(ウォーター・WATER)』でないことは、必ず、その商品に『●飲み水ではありません』と注意書があります。」

請求人は、この主張および書証の乙第1・2号証を利益に援用する。

ここで、被請求人が自から主張しているように、本件商標に表われている「ウォーター・WATER」は、単なる「水」ではなく化粧品としての水であって、この部分は識別力を有しない部分である。

なお、過去において、本件商標と同様に「識別力を有しない語+リッチ」の構成から成る商標につきなされた登録出願について、拒絶査定となった例も数件ある。

(3)被請求人は、本件商標「ウォーターリッチ」及び「WATER RICH」からは、「ウォーターリッチ」の称呼及び観念のみが生じるとしている。請求人も、本件商標から生じる称呼の一つとして「ウォーターリッチ」があること自体は争わない。しかし、これのみではなく単なる「リッチ」のみの称呼も生じるのである。また、「ウォーターリッチ」の観念が生じるというが、想定している「ウォーターリッチ」の観念とはどのような観念をいうのであろうか。請求人は、これから生じる観念は、殆んど日本語化している「リッチ」、或いは「化粧水リッチ」であって、これ以外の観念が生じる余地は無い。

(4)上述のように、本件商標を構成する前半の「ウォーター」「WATER」は識別力を有しないものであるから、要部は後半の「リッチ」の部分にあるというべきであり、引用商標とは互いに類似するものである。したがって、本件商標の登録は無効とすべきである。

5 証拠方法

請求人は、証拠として甲第1号証ないし同第8号証(枝番を含む。)を提出した。

第3 被請求人の答弁の要点

1 答弁の趣旨

結論掲記の審決。

2 答弁の理由

(1)被請求人は、請求人の主張には、到底容認しがたいところであり、以下にその理由を詳細に述べる。

本件商標と各引用商標との類否について比較すると、本件商標の構成は、「ウォーターリッチ/WATER RICH」構成各文字は外観上まとまりよく一体に表現されていて、しかも、全体をもって称呼しても、わずか6音構成からなり、その各音はそれぞれ長音(ー)を帯有することにより、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、仮に、本件商標の構成中にある「ウォーター」「WATER」の文字部分が「水」を意味する語であるとしても、本件商標を指定商品について使用する業界(特に化粧品業界)においては、その化粧品中、特に「化粧水」等に使用するときは、単なる「水(ウオーター・WATER)」ではなく、各メーカーによって、その水に特色をもたせて、その商品をアピールしているものである。そして、単なる「水(ウォーター・WATER)」でないことは、必ず、その商品に「●飲み水ではありません」と注意書がある。

そうしてみると、商標中に単に「ウォーター・WATER」の文字があるからといって、需要者は「ウォーター・WATER」の文字部分を省略して、単に「リッチ」「RICH」の文字部分のみを捉えて、一般取引にあたることは、皆無である。

結局、本件商標「ウォーターリッチ」及び「WATER RICH」文字からは、「ウォーターリッチ」の称呼及び観念のみ生じるものでる。他方、各引用商標は、仮に「リッチ」の称呼及び観念を生じるものがあるとしても、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しないものである。

(2)請求人は、弁駁書(平成12年3月17日付)において、本件商標と同様に「識別力を有しない語+リッチ」の構成からなる商標につきなされた登録出願について、拒絶査定となったケースを四個程あげて本件の登録も同様であると論じている。

そうであれば、被請求人も「識別力を有しない語+リッチ」の登録例があることを申し上げる。

そして、本件審判の争点は、本件商標中「ウォーター・WATER」の文字があるからといって、需要者は「ウォーター・WATER」の文字部分を省略して、単に「リッチ」「RICH」の文字部分のみを捉えて、一般取引にあたることは、皆無である。

すなわち、今日「リッチ」及び「RICH」の文字は、「(気分などが)ぜいたくなさま,または、豊かなさま」などを意味する外来語を表すものとしてよく知られているところである。

もちろん、自他商品の識別標識としての機能を具有することは否定するものではない。しかしながら、特に、本願商品(特に化粧品)を需要者とするのは、圧倒的に、婦人(女性)層が多いのも事実である。そうして、その女性心理をくすぐるような言葉(文字)がすなわち、「リッチ」及び「RICH」である。

このような事情から、既に「リッチ」の文字は、多くの化粧品業界においては、需要者(顧客)の購買意欲をそそるものである。

したがって、この用例は、過去、現在にいたるも如何に商標中に「リッチ」「RICH」の文字を含んだ商標が化粧品業界において見受けられる。

また、請求人は、「リッチ」の文字より、殆ど日本語化している「リッチ」と述べているが、これが本件審判の無効理由といかなる関係にあるのが理解に苦しむものである。さらに、「ウォーターリッチ」の文字部分を捉えて「化粧水リッチ」であると主張しているが、「ウォーター」の文字が直ちに直截的に「化粧水」に結びつくのかその用例は全くない。

結局、本件商標「ウォーターリッチ」及び「WATER RICH」の文字からは、全体的に「ウォーターリッチ」/「WATER RICH」なる一体不可分の創造語として看取されるとみるのが極めて自然である。したがって、本件商標からは、その構成文字に相応して「ウォーターリッチ」の一連の称呼のみ生じるものである。

他方、引用商標は、仮に「リッチ」の称呼及び観念を生じるものであるとしても、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しない。

3 証拠方法

被請求人は、証拠として乙第1号証ないし同第2号証を提出した。

第4 当審の判断

本件商標は、前記のとおり、「ウォーターリッチ」の片仮名文字と「WATER RICH」の欧文字を二段に横書きしてなるところ、その構成文字は、同一の書体、同一の大きさ、同一の間隔で書されているばかりでなく、外観上もまとまりよく一体に表されていて、しかも、これより生じると認められる「ウォーターリッチ」の称呼も格別冗長というべきでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。そして、たとえ構成中の「ウォーター」と「WATER」の文字部分が「水」の意味があるとしても、化粧品業界においては、各社で目的に沿って調整、処理を加えた水が登場しており、同業界で使用している水は、化粧品の製造の点からすれば、化粧水(lotion)に近いものと認められるもので、水を化粧に使用しているものでもない。この点について請求人の提出した甲各号証より、そのような証拠もないものであるから、全体として、「水豊かな」の意味合いの観念が生ずるものであるから、本件商標中の前半の「ウォーター」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見出せない。

そうとすれば、本件商標は、その構成文字に相応して「ウォーターリッチ」の称呼のみを、「水豊かな」の意味合いの観念を生ずると判断するのが相当である。

他方、引用1商標ないし引用5商標は、前記のとおり、「リッチ」の文字、「RICH」の文字及び「MILD RICH」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「リッチ」の称呼を、「豊かな」の意味合いの観念を生ずるものと認められる。

そこで、本件商標より生ずる「ウォーターリッチ」の称呼と引用1商標ないし引用5商標より生ずる「リッチ」の称呼を比較するに、両称呼は、その音構成、音数の差などにより、明瞭に区別し得るものといわなければならない。

また、本件商標と引用1商標ないし引用5商標とは、その外観・観念についても類似するものということはできない。

したがって、両商標は、その称呼、観念、外観のいずれの点よりみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべき限りでない。

以上のとおり、本件審判請求は、成り立たないものとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項、民事訴訟法第61条の規定を適用して、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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