結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35222(T2000−35222/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4196014号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおり「美加素」の漢字を縦書きしてなり、平成9年7月24日登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、平成10年10月9日登録されたものである。
請求人が引用する登録第477022号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示すとおり「加美乃素」の漢字を縦書きしてなり、昭和26年7月21日登録出願、第3類「髪油及髪液」を指定商品として、同31年2月20日登録され、現にその商標権が存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を概要以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第121号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)根拠条文
本件商標は、証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効とされるべきものである。
(2)具体的理由
(2)の1 請求人について
請求人の創業は、創立者山敷捨多郎が明治41年に「加美」の商標で「紙おしろい」の製造販売を開始したことに始まる。
昭和7年に養毛・毛生剤「加美乃素」を製造販売することでその実効性が認められて世人の脚光を浴びるようになり、昭和28年11月に設立された「株式会社加美乃素本舗」にその事業は引き継がれて、発展の度は更に高まり現在に至っている。
請求人は、現在商標「加美乃素」を「養毛・毛生剤」を中心とする頭髪用製品、及び「スキンケア」を中心とする化粧品等、請求人が製造する各種商品に使用しており、当該商品は、日本国内では、130余の代理店と、19,200店余の登録販売店を通じて一般需要者に販売されている。
ところで、請求人の商標「加美乃素」は、明治41年創業時の商標「加美」を発展させたものであるが、これは請求人の「美と健康に奉仕する」企業理念を商標に託し表したものである。
(2)の2 最高裁判例について
本件の審判の審理に際し留意して頂きたいのは、「大森林」と「木林森」は類似する商標であるとした最高裁判所の判例である。
該判決によれば「商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象・記憶、連想等を総合して全体的に観察すべきであり、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきであって、綿密に観察する限りでは、外観、観念、称呼において個別的には類似しない商標であっても、具体的な取引状況如何によっては類似する場合があり、外観、観念、称呼についての総合的な類似性の有無も、具体的な取引状況によって異なってくる場合もあることに思いを致すべきである。」(最高裁判決平成4年9月22日 平成3年(オ)1805号)。
かかる「大森林」と「木林森」の判決は、当該事件の対象商品「育毛剤」とその商品分野を同じくする本件「美加素」と「加美乃素」の類否判断にも当てはまるものである。
(2)の3 商標法第4条第1項第11号違反について
本件商標は、漢字で「美加素」と表示してなり、漢字は古来より意味を示す表意性が強く、「美加素」は「美を加える素(となるもの)」の観念を生じ、かく感得されるのが自然である。
一方、請求人の永年使用に係る周知著名商標「加美乃素」は前述の商標選択の由来及び漢字の表意性からも「美を加える素(となるもの)」の観念を生じる商標である。
したがって、本件商標「美加素」と引用商標「加美乃素」とは、「美を加える素(となるもの)」の観念を共通にし、観念において相紛れるおそれのある類似する商標である。
次に、引用商標「加美乃素」の漢字の構成は、商標公報より明らかなとおり「加」「美」「素」の文字が比較的大きく「乃」の文字は比較的小さく構成され、外観上は「加美素」の文字が目立つ構成である。かような商標構成の引用商標「加美乃素」は、「加美乃素」の外観であると共に「加美素」の如き外観でもある。また、「加美素」の表示は「カミノモト」と称呼されるのが自然であり、「加美素」は「加美乃素」と同義の商標にほかならないのである。
そうであるとすると、「美加素」と「加美素」は、請求人の著名商標「加美乃素」=「加美素」とは、文字順を変えて「美加素」とし、「加美素」の文字をその構成に含んでおり、外観において区別しにくく、外観上相紛れるおそれのある類似する商標である。
とくに時と処を異にする取引の実情を考慮しての離隔的観察によるときは、「美加素」と「加美素」・「加美素」と「美加素」を明確にすることは困難であり、両商標が縦書きであることも、外観的混同を助長している。
請求人としては、「加美素」(「加美(乃)素」)を認識した上で、商標「美加素」に接する者は、「加美素」又はその一種と見誤る、思い誤るといわざるをえない。
そうであるとすれば、「美加素」と「加美乃素」の両商標は、外観及び観念において相紛れるおそれのある類似する商標である。
また、本件商標の指定商品「化粧品」と引用商標の指定商品「髪油及髪液」とは互いに抵触するものであること明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して商標登録されたものであって、その登録は無効とされるべきものである。
(2)の4 商標法第4条第1項第15号違反について
請求人は、昭和7年に養毛・毛生剤「加美乃素」を発売し、昭和28年11月に現在の株式会社加美乃素本舗に組織を変え、発展の度は更に高まって現在に至っている。
現在では、ヘアケア製品のみならずスキンケア製品も販売し、「養毛剤、養毛料」に関する老舗企業である。請求人の製造販売する養毛の原材料「カミゲンE」を主成分とする「養毛料(ヘアートニック)」についての商標「加美乃素」は、工業的生産に成功した昭和7年当初から、同商品の商標として採択使用され現在に至っている。同商標は、昭和26年(1951年)7月21日に出願され、昭和31年(1956年)2月20日に登録第477022号として登録され、登録当時と変わることなく現在も同じ書体で使用されているのである。商標「加美乃素」がわが国において屈指の著名商標であることは、商標登録第477022号が商品区分の第1類ないし第34類、役務区分第35類ないし第42類の全ての類で防護標章登録を受けていることを指摘するだけでも十分である。これと、同時に「加美乃素」が請求人の著名な略称であることもあえて立証するまでもない顕著な事実である。
「加美乃素」の表示は、請求人の著名な商号の略称としては勿論のこと、請求人の「ヘアートニック」(養毛料)の商標として、また「薬用・養毛剤」(毛髪剤)の商標として、化粧品業界、養毛剤業界においては、広く知られているところであり、該商標「加美乃素」(現実の使用は「乃」が小さく「加美素」と認識されることがある。)と見誤る、思い誤る蓋然性が極めて高い本件商標「美加素」が使用された場合、一般需要者は、あたかも請求人の商品、または、請求人と人的・資本的に何らかの関連のある商品、若しくは、ライセンス関係にある商品のごとく混同するおそれがあることは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して商標登録されたものであって、その登録は無効とされるべきものである。
本件商標と引用商標とを比較すると、引用商標は、その最初の文字が草書体の漢字「加」であると容易に理解されると認められるから、両商標はいずれも縦書きした漢字からなるという点で共通しているものといえる。そして、本件商標と引用商標は、その第1字と第2字の「美」と「加」の順序が逆ではあるものの、これらの漢字が有する意味として一般に知られている「うつくしさ」又「加える」というそれぞれの意味からすると、「美加」と「加美」の漢字からは、いずれも「うつくしさを加える」というほどの意味合いが自然に想起され、これらの漢字に続く、本件商標にあっては漢字の「素」、引用商標にあっては漢字の「乃素」とがあいまって、両商標は、その構成文字より、共に「うつくしさを加える素(もと)」との意味合いを観念することが多いものということができ、この点において両商標は互いに紛らわしいものとするのが相当である。
また、両商標の外観を比較すると、構成している漢字の第1字と第2字の「美」と「加」の順序が逆ではあるが共通しており、最終文字が「素」であって一致し、引用商標には、本件商標にはない漢字の「乃」が第3字としてあるけれども、この漢字「乃」は前後の漢字との比較で小さく表されており、その意味合いも助詞の「の」に通ずるものであって、見る者に与える印象が弱いものというべきである。
そうすると、両商標は、これを構成している「美」「加」「素」の3個の漢字が共通し、いずれも縦書きに表されているという、その全体の外観においても紛らわしいところがあるものとするのが相当である。
そして、本件商標は、その構成文字からみて「ミカモト」と称呼され、引用商標は、「カミノモト」と称呼されるものと認められるところ、前記の両称呼は、聴取した場合、紛らわしいとまではいえないが、語尾の「モト」の音が共通しているなど、まったく似たところがないともいえない。
本件商標と引用商標が、その外観、称呼及び観念において、紛らわしいところがあるかについては、以上のとおり判断できるものである。
これに加えて、請求人が提出した甲第2号証、甲第3号証及び甲第7号証ないし甲第121号証を総合すると、引用商標は、請求人が養毛・毛生剤、養毛・育毛剤、化粧品等の商品について長年にわたり使用して著名となっている商標であり、また、請求人の著名な略称表記ともいえるものと認められる。
そして、引用商標が著名であることから、本件商標を、その指定商品に使用した場合、引用商標を使用の請求人の業務に係る商品であるかのように、需要者において出所について誤認を生ずる蓋然性は、通常の場合より高いというべきである。
そうしてみると、本件商標は、引用商標と類似する商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品と認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
なお、請求人は、本件商標の商標登録を無効とすべき根拠条文として商標法第4条第1項第15号違反をも挙げているが、同号の文言によれば、商標法第4条第1項第11号違反と重複して適用できないことは明らかである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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