結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35053号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2715211号商標(以下「本件商標」という。)は、「CREER VOGUE」(前半の構成文字中の第3文字「E」にアクサン・テギュが伴っている。以下同じ。)及び「クレェ ヴォーグ」の各文字を二段に書してなり、昭和55年6月5日に登録出願、第26類「雑誌」を指定商品として平成8年7月31日に設定登録されたものである。
請求人が引用する登録第655209号商標(以下「引用A商標」という。)は、「VOGUE」の文字を書してなり、昭和36年10月23日に登録出願され、第26類「印刷物 ただし、この商標が特定の著作物の表題(題号)として使用される場合を除く」を指定商品として同39年10月9日に設定登録され、その後、同50年8月1日、同59年9月17日及び平成6年9月29日にそれぞれ商標権存続期間の更新登録がされているものである。
同じく引用する登録第967284号商標(以下「引用B商標」という。)は、「ヴォーグ」の文字を書してなり、昭和43年12月20日に登録出願され、第26類「雑誌、その他本類に属する商品」を指定商品として同47年6月7日に設定登録され、その後、同57年6月25日及び平成4年5月28日にそれぞれ商標権存続期間の更新登録がされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1ないし第92号証(枝番号を含む。)を提出している。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は、世界的に著名なファッション誌の題号である引用A商標及び引用B商標と類似し、かつ、指定商品が抵触する。すなわち、本件商標は、世界的に著名なファッション誌の題号である登録商標「VOGUE」との関係において、その構成が著名な登録商標「VOGUE」と他の欧文字「CREER」とを結合してなるものであり、片仮名文字部分も、上記著名商標の片仮名商標である引用B商標「ヴォーグ」と、他の片仮名文字「クレエ」とを結合してなるものである。
(2)引用A商標「VOGUE」の著名性は、商標登録原簿謄本(甲第3号証の2)に22件の防護標章登録がされていることや、一連のいわゆる「VOGUE」判決(甲第62ないし第64号証、第68号証、第84号証等)に照らし、既に特許庁及び裁判所において顕著な事実であると思量される。
(3)特許庁商標課編の「商標審査基準」の商標法第4条第1項第11号の運用基準の1つに、「指定商品又は指定役務について著名な商標と他の文字が結合した商標は、原則として、その著名な商標と類似する。」ことが明記されており、本件商標は、これに該当する。
(4)以上のことから、本件商標は、引用A商標及び引用B商標と類似し、かつ、その指定商品が抵触するので、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2.商標法第4条第1項第15号について
(1)引用A商標「VOGUE」の著名性は、上述のとおりであるが、ファッション雑誌のタイトルとして現在世界10ケ国で出版されており(甲第80号証の1ないし9)、また、「VOGUE」誌が有名大学を含む日本の各大学に古くから配布されていることは、紀伊国屋書店発行「学術雑誌総合目録」で明らかである(甲第81号証)。
(2)前掲の「商標審査基準」においても、商標法第4条第1項第15号の弾力的な運用を考慮し、「それが他人の著名商標と類似しないと認められる場合又は他人の著名商標と類似していても商品又は役務が互いに類似しないと認められる場合において、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるときは、原則として、本号に該当するものとする。」と定めている。
(3)これらの事実から判断すれば、被請求人が著名商標「VOGUE」(ヴォーグ)の文字を含む本件商標がその指定商品「雑誌」に使用される場合には、これに接する取引者・需要者は、「VOGUE」誌を連想し、これを発行する請求人と経済的あるいは組織的に何らかの関連を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあることは明白である。
(4)以上のことから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当する。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べるとともに、証拠方法として乙第1ないし第21号証(枝番号を含む。)並びに参考資料1及び2を提出している。
(1)被請求人は、昭和33年の創業以来、第26類「印刷物」について登録第684245号商標「株式会社日本ヴォーグ社」(乙第1・2号証)、登録第1334472号商標「日本ヴォーグ社のあむあむ」(乙第3・4号証)、登録第743590号商標「日本ヴォーグ社の編物ヴォーグ」等を所有するとともに、全ての書籍には「日本ヴォーグ社」の商標を付し、多数の印刷物を出版している(乙第5ないし第11号証)。
(2)これらの印刷物の販売数量は、昭和55年度で510万部、平成6年度(7月21日から期半ばの5月20日に限って)で617万部に至っている(乙第12・13号証)。また、一般紙、新聞紙等による宣伝(乙第14ないし第19号証)のほか、被請求人である株式会社日本ヴォーグ社は、編物教室その他通信講座を開設し、昭和32年段階で既に公認編物学校800校、教室は3万ないし5万ともいわれ、同教室は「ヴォーグ学園」として知られており、このような長年の使用・宣伝の結果、被請求人の会社名でもある「日本ヴォーグ社」は、広く知られるに至っているものである。
被請求人が当事者となっていないために十分な立証ができていないと思われる事案(前掲甲第16号証判決参照)においてさえ、「編物、手芸の分野では『日本ヴォーグ社』が昭和40年以来雑誌『編物ヴォーグ』を発行するとともに、専門図書を多数発行し、また、編物教室、通信講座を開設するなどの活動を行い、右分野では広く知られた存在になっていることが認められる。」とされている。
(3)請求人は、本件において販売数量を明白にしていないが、他の事件における同人の主張によれば、請求人の発行に係る書籍「VOGUE」は、1980年度においても、アメリカ版、フランス版あわせても月平均約4400部にすぎず、商品「雑誌」において周知性を主張する資料として十分なものとはいえず、この程度の資料で著名性が立証されるのであれば、被請求人の使用する「日本ヴォーグ社」をはじめ「ヴォーグ」を含む商標の方がより著名である。
(4)請求人の引用に係る各判決の事案は、その判決に従う限り、当初請求人の所有する商標の信用をフリーライドする意図で「VOGUE」を使用していたところ、請求人の請求により使用を中止し、その後、「○○ヴォーグ」や「○○VOGUE」に近似させ、あくまでフリーライドの成果を得ようとする意図が推測されるものであり、到底認めることができない。 また、これらの商標の登録出願に係る異議申立事件も、判決当事者と本件被請求人とを対比すると、多くは商標登録を得ることによりフリーライドを維持確保する意図が推測され、当然、請求人もその旨の主張・立証を行った結果、請求人の主張に沿った決定が得られたものと思われる。
本件は、このような他人の信用・名声を不当に利用しようとする者とは、フリーライドの意図の有無において事案を全く異にする。すなわち、仮に「VOGUE」商標が著名であったとしても、被請求人の使用は正当なものである。
(5)本件商標は、そもそも本件審判の請求人により、同一の引用A商標及び引用B商標を根拠として商標法第4条第1項第11号違反を理由に登録異議申立てがされ、その結果拒絶査定がされ、その不服審判において、本件商標がそれらの引用商標とは非類似であり商標法第4条第1項第11号に該当しないとの認定により商標登録されたものである(参考資料1)。
また、「被服」を指定商品とする「ヴォーグヤーン」及び「エクトリー」の各文字を二段に書してなる登録第2106915号商標について、本件審判の請求人が引用する登録第2525108商標の「VOGUE」とは非類似であり、かつ、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないとの審決がされている(参考資料2)。
(6)以上のことから、本件商標は、その構成中の「VOGUE」及び「ヴォーグ」の文字部分が分離観察されるべきものではなく、また、請求人が主張するような出所の混同を生じさせるおそれもない。
1.引用商標の著名性について
(1)請求人の提出に係る甲各号証を総合すると、「VOGUE」誌は、1892年アメリカで創刊され、1909年からは、コンデ・ナスト社(後日本件審判の請求人に合併)により、ファッション雑誌として発行されるようになり、アメリカ、フランス、イギリス等で出版され、世界各国で発売されており、古典的かつ世界的な権威を持ったファッション雑誌として、世界的に広く知られている。請求人は、昭和63年にコンデ・ナスト社を合併したが、「VOGUE」誌は、その後も同様に発行されていることが認められる。
(2)我が国においても、昭和28年頃から「VOGUE」誌が発売され、遅くとも本件商標の登録出願がされた昭和55年6月頃には、既にファッションに関心のある各種デザイナーはもとより、一般女性その他ファッション関連商品の取引者・需要者間において、「VOGUE」は、その片仮名表記の「ヴォーグ」とともに、ファッション雑誌の題号として広く認識され、その状態は本件商標の設定登録がされた平成8年7月当時に至っても継続していたものと認められる。
(3)被請求人は、我が国における「VOGUE」誌の販売部数が少ないこと等を理由に、著名性の立証資料が十分でない旨主張している。しかしながら、「VOGUE」に関する過去の判決を含む証拠関係に照らし、上記認定を妥当とするものであって、他にこれを左右するに足りる証左は認められないから、この点に関する被請求人の主張は採用することができない。
2.出所の混同を生ずるおそれについて
(1)本件商標は、上記第1のとおり、「CREER VOGUE」及び「クレェ ヴォーグ」の各文字を二段に書してなるものであるところ、その構成上、「CREER」・「クレェ」と「VOGUE」・「ヴォーグ」の各文字が結合してなると容易に認識されるものであり、また、その構成文字全体をもって、一般に親しまれた熟語的意味合いを表す語として一般に認識されているとも認め難いところである。
(2)そうすると、本件商標の指定商品が著名商標「VOGUE」の使用に係る商品と同じ「雑誌」であることから、これに本件商標が使用された場合には、これに接する取引者・需要者は、請求人会社(又は合併前のコンデ・ナスト社)の著名商標と共通の「VOGUE」・「ヴォーグ」の文字部分に着目し、同社の著名ブランドあるいはその兄弟ブランドを連想し、その商品が請求人会社又は同社と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとするのが相当である。そして、この出所の混同を生ずるおそれは、本件商標の出願時はもとより、設定登録時においても認められるものである。
(3)この点に関し、被請求人は、請求人が証拠として示す各判決(甲第51、第52、第54、第55、第65、第66等の各号証を指すものと認められる)の事案は、いずれも他人の信用・名声を不当に利用する意図が推測されるものであり、そのような意図がない本件商標とは事案を異にする旨主張している。しかしながら、商標法第4条第1項第15号の適用は、被請求人が主張するような意図の有無にかかわらず、客観的に商品や役務の出所について混同を生ずるおそれがあれば足りることは文理上明らかであるから、請求人の上記主張は理由がない。
また、被請求人は、過去の判断例(参考資料1及び2)を挙げて、本件商標の登録は無効とされるべきではない旨主張しているが、本件商標は、請求人の提出に係る甲各号証との関係において、上記認定を妥当とするものであって、他にこれを左右するに足りる証左は認められないから、この点に関する被請求人の主張も採用することができない。
3.むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号(引用A商標及びB商標との類否)について判断するまでもなく、同法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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