Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第818号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、平成8年8月13日登録出願、商標の構成を後掲(1)に示すとおり「株式会社アルテス」の邦文字とし、指定商品を第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット」とするものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、その拒絶の理由に引用した登録第2709125号商標(以下、「引用商標」という。)は、昭和63年11月2日登録出願、商標の構成を後掲(2)に示すとおり「アルティス」の片仮名文字とし、指定商品を平成3年9月25日政令第299号による改正前の商標法施行令に基づく商品の区分(以下、「旧類別」という。)第7類「建築または構築専用材料、その他本類に属する商品」として、平成7年7月31日に設定の登録がされたものである。
3 当審の判断
本願商標は、その構成後掲(1)に示すとおり、「株式会社アルテス」の文字よりなるところ、その構成中の「株式会社」の文字が法人の組織形態を表す用語であり、「株式会社」の組織形態を採る法人はその商号中に必ず「株式会社」の用語を使用することが法的に義務づけられているものであることは商法第17条に照らして明らかである。このような事情を受けて、「株式会社」をその構成中に含むいわゆる商号商標の場合、法人の組織形態を表すに過ぎない「株式会社」の部分は自他商品識別機能が弱く、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、特段の事情がない限り、「株式会社」の部分が省略されて称呼されることがごく普通にみられるところである。
本願商標についてみた場合、法人の組織形態を表すにすぎない「株式会社」の部分が省略されて「アルテス」と称呼されることは当該部分の自他商品識別力に照らして極めて容易に推認することが可能であり、常に「株式会社」と「アルテス」が一体として称呼されることを認めるに足りる特段の事情があるものとはいい難い。
この点について、請求人は、生産財である本願商標の指定商品に係る建築用専用材料の商取引の実際においては、本願商標が商号商標として文字全体が一体的に認識されるものであると主張するが、同主張を認めるに足りる証拠のないものであって採用することができない。
そうとすれば、本願商標は、その構成文字全体に相応して生ずる「カブシキカイシャアルテス」の称呼のほか、前記事情よりすれば、構成中の「アルテス」の文字部分に相応して、単に「アルテス」の称呼をも生ずるものといわざるを得ない。
他方、引用商標は、その構成後掲(2)に示すとおり、「アルティス」の文字よりなるものであるから、該文字の外観及びこれに相応して生ずる「アルティス」の称呼をもって取引に資されるものと認められる。
そこで、本願商標より生ずる「アルテス」の称呼と引用商標より生ずる「アルティス」の称呼とを比較すると、両称呼は、共に4音よりなり、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含めた「アル」と語尾音「ス」の音を同じくし、異なるところは、僅かに第3音における「テ」と「ティ」の音にあるにすぎないものである。
そして、差異音である「テ」と「ティ」の音は、無声子音「t」を共通にし、かつ、前者の母音「e」と後者の母音「i」においても、母音相互の関係は比較的近接するものといえるから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は決して大きいものとは認め難く、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が相似たものとして聴取され、彼此聴き誤るおそれが少なからずあるといわなければならない。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、外観及び観念の差異を考慮しても、なお称呼において互いに紛らわしく、両者はその出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。そして、本願商標の指定商品は、旧類別第7類に属する商品を包括的に指定する引用商標の指定商品中に含まれるものと認められる。
してみれば、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといわざるを得ないから、これを理由に本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消す限りでない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標は登録されるべきであると主張しているが、それらの登録例は、比較される商標の構成又は当該称呼における音の配列等よりして、本件とは事案を異にし、本件審判の類否判断の基準とするのは必ずしも適切でないから、その主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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