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Trademark Appeal Case

周知図形商標との類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第16838号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、後掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成4年12月2日に登録出願さけたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原審において、商標法第4条第1項第11号及び同第15号該当を理由とする登録異議の申立てがあった結果、原査定は、本願商標を同法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、後掲したとおり、中央部を楕円形に白抜きし全体をややいびつにした黒塗り五弁の花びら様図形を大きく表し、同図形下部に「人が花」の邦文字を比較的小さく横書きに表してなるものであるところ、文字と図形の各部分は視覚上自ずと分離して看取し得るものであり、かつ、意味上において主従・軽重の差もなく、また、これら両部分を常に一体のものとして把握しなければならないような特段の事由も見出せないから、かかる場合、両部分はともに看者の印象に強く残る部分というべく、それぞれは独立して商品識別の機能を発揮するものといわなければならない。

ところで、原審において、登録異議申立人「メヤリィ クアント リミテッド」(以下、「申立人」という。)の提出した甲号証(甲第1号証ないし甲第304号証)によれば、以下の各点を認めることができる。

(1)申立人は、昭和40年代前半において、すでに、後掲(2)(イ)及び(ロ)に示す商標について、旧第4類(平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令に基づく商品の区分,以下、「旧類別」という。)に属する「せつけん類、化粧品類、香料類等」を指定商品とする商標登録(商標登録第831592号、同第831590号)を保有していたこと(なお、現在の登録名義人は申立人の国内関連会社「株式会社マリークワント コスメチックスジャパン」である。)(甲第1号証及び甲第2号証)。

(2)申立人会社の創立者「マリー クワント(Mary Quant)」は、英国の女性デザイナーとして、特に、ミニスカートの創始者として我が国においても早くから知られた者であったこと、同人は昭和40年代後半から同50年代にかけて屡々我が国を訪れ、その都度、業界新聞各紙、日刊新聞各紙、ファッション関連雑誌等の各種マスコミにおいて大きく取り上げられ需要者一般に広く紹介され、或いは、ファッション関連文献等においてその旨解説されていること、また、1971年(昭和46年)に国内の販売会社「株式会社マリークワント コスメチックスジャパン」(以下、「国内関連会社」という。)を設立し、クリーム類、ほお紅、口紅、マスカラ、アイシャドウ、ローション、バスオイル及びコロン等の各種化粧品の国内販売を開始したこと(甲第3号証ないし甲第30号証、甲第32号証ないし甲第42号証)。

(3)申立人会社又は国内関連会社の取扱いに係る化粧品、衣料品、かばん類ほかいわゆる各種ファッショングッズは、その後も引き続き、その作成・頒布に係る商品カタログ・パンフレット類とともに、繊研新聞、日本商業新聞、日本粧業新聞、日本化粧品商報ほか各種業界紙(誌)及び各種ファッション雑誌、女性向け週刊誌ほか大衆雑誌等において継続的かつ広範に広告・宣伝が繰り返されてきたものであって、それら広告に係る各商品は現在に至るまでの間営々として国内の需要に供されてきた状況が顕著であること、また、それら取扱い・販売に係る化粧品、衣料品、かばん類ほかいわゆる各種ファッショングッズにはその発売の当初からいわゆるデージーマークと呼ばれる五弁の花の図柄(引用商標(イ))が一貫してシンボルマーク的に付されて使用されてきたものであり、かつ、その周知・著名性に関しては、国内有数の化粧品関連事業者をはじめその他関連事業者に係る第三者証明が存すること、そして、特に、昭和51年11月当時、申立人会社又は国内関連会社に係るいわゆるデージーマークないしはその類似マークの第三者による無断使用の問題が生じ、その防止策の一として、「引用商標(イ)」及び「デイジーマークは、マリークワントの登録商標です。」とする見出し表示の下、当該購読者に対して注意喚起を行う旨の新聞報道がされ、或いは、これに関して、引用商標(イ)を「マリークワントのシンボルマークであり、世界的な登録商標であるデージーマーク」とする旨の新聞報道が当時の業界紙(日本粧業新聞)により行われたこと等の事実が認められる(甲第44号証ないし甲第133号証、甲第135号証ないし甲第278号証、甲第279号証ないし甲第295号証及び甲第296号証)。

(4)申立人会社に係る化粧品の我が国における年別売上高は、国内関連会社を設立した1971年(昭和46年)当時において約2億円だったのが1981年(昭和56年)には約33億円以上に増大し、さらに1991年(平成3年)には約82億2千万円と順調に伸び、1994年(平成6年)には約97億8千万円に達する状況であること(甲第43号証の1及び同2)。

以上の(1)ないし(4)に認定した各点を総合するに、巷間デージーマークと呼ばれる引用商標(イ)は、デザイナー「マリークワント」又は申立人会社ないしは国内関連会社の取扱い・販売に係る化粧品、衣料品、かばん類ほかいわゆる各種ファッショングッズについて永続的に使用されてきた結果、本願商標の出願時(平成4年12月)前より我が国の需要者一般に広く認識せられたいわゆる周知・著名商標と認め得るものであり、また、その状態は現在もなお継続しているものと認められる。そして、この認定を覆すに足りる証拠はない。

しかして、本願商標は、構成中の図形部分がそれ自体独立して商品識別の機能を果たし得るものであること前記のとおりである。そして、該図形は中央部を楕円形に白抜きし全体をややいびつに描いた黒塗り五弁の花びら様図形よりなるものであって、全体を黒塗りの五弁の花びら様に表し、かつ、その中心部を円形状に表出してなる点において引用商標又は前記デージーマークと共通の特徴を有し、かつ、その歪み具合は、丁度、引用商標又は前記デージーマークを水平方向斜め上部からみた場合の形象、すなわち、一定の状態で店舗内に陳列・展示された商品が任意的に上下・左右方向から観察される場合があるように、デージーマークの付された当該商品を斜め横方向からみた場合の外観印象と極めて近似するものといえる。

かかる場合、本願商標をその指定商品(「せっけん類、香料類、化粧品ほか」)について使用した場合、そして、時と処を異にしてこれに接した場合、取引者・需要者は、前記各事情よりして、構成中の黒塗りの五弁の花びら様の図形部分に強く注意を惹かれると同時に、マリークワント又は申立人会社ないしは国内関連会社に係る引用商標又はデージーマークを容易に想起し、また、それら者の業務に係る商品の如く認識する場合が少なからずあるものといわなければならない。

そうすると、本願商標は、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生じさせる虞があるものといわざるを得ないから、結局、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、この理由をもって拒絶すべきものである。なお、原査定は、商標法第4条第1項第11号を理由に本願を拒絶したものであるが、本件については、商標自体と引用商標(イ)の著名性、取引の実情等諸般の事情を考慮した結果、前記認定による法条の規定を適用すべきものと判断した。

よって、結論のとおり審決する。

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