Trademark Appeal Case
JRの周知性と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−10917(T2000−10917/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第12類「輸送用コンテナ」、第35類「経営の診断及び指導、市場調査、経営に関する情報の提供」、第39類「車両による輸送、船舶による輸送、廃棄物の輸送及び保管、廃棄物を含む貨物の輸送の媒介、コンテナの貸与」、第42類「一般廃棄物の収集及び分別、産業廃棄物の収集及び分別、環境保全に関する調査及び指導、廃棄物処理に関する調査及び指導、官公庁に提出する書類その他の権利義務又は事実証明に関する書類の作成及びそれらの手続の代理又は相談」を指定商品及び指定役務として、平成11年2月12日に登録出願されたものである。そして、指定商品及び指定役務については、平成12年4月26日付けの手続補正書において、第12類「輸送用コンテナ」と補正されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要点
本願商標の構成中の「JR」の文字は、旧日本国有鉄道が民営化されたことにより設立された7社の鉄道会社(以下「JRグループ」という。)の業務を表示するものとして、本願商標登録出願時には、既に取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
そして、本願商標は、前記構成よりなるものであり、その構成中にJRグループが自己の業務に使用した結果、取引者、需要者間に極めて広く認識されている「JR」の文字を有してなるものであるから、これをその指定商品及び指定役務に使用するときは、その商品及び役務が、JRグループと経済的又は組織的に何らかの関係にある者の業務に係る商品及び役務であるかの如く、商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 請求人の主張の要点
(1)本願商標は、「JR」と「環境」の文字及び「星形と地球儀」の図形から構成されており、全体として極めて特徴的なものである。
そして、「JR」のようなアルファベット2文字は、一般に商品又は役務の記号、符号として類型的に使用されているものであるから、そのアルファベット2文字自体は自他商品又は役務の出所表示としての機能を有しない。
このことから、記号、符号として認識される、「JR」の文字から「JRグループ」を想起させるものではない。
(2)また、前記のように本願商標は極めて特徴的な「星形と地球儀」をデザイン化した図形と「JR環境」の文字とがまとまりよく一体に構成されているものであり、「JR環境」の文字から生ずる称呼も「ジェイアールカンキョウ」の一連一体のものであるから、本願商標をその指定商品について使用しても、「JRグループ」と商品の出所の混同を生ずるおそれはない。
4 当審の判断
(1)「JR」の文字の周知性について
株式会社岩波書店「広辞苑」(1998年11月11日発行)の「ジェーアール」(JR)の項においての、「『JR』(Japan Railway)は、日本国有鉄道が1987年に分割・民営化して新設した旅客鉄道会社6社と貨物鉄道1社の統一的略称であり、それぞれの会社はJR東日本・JR西日本などと称する。」との掲載記事、株式会社集英社「イミダス1999」(1999年1月1日発行)の「JR」(Japan Railways)の項(1419ページ)においての、「1987年に旧国鉄が分割・民営化されてできた、6つの旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社のグループ名。」との掲載記事によれば、「JR」の文字は、旧日本国有鉄道に由来する7つの民営鉄道会社のグループ名を表すものとして、本願商標登録出願時において、広く一般に認識されていたものと認められる。
(2)商品の出所の混同について
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、図形部分と「JR環境」の文字部分とが常に一体となって把握されなければならない特別の事情は認められないばかりでなく、「JR環境」の文字部分においても、これが一般に親しまれた特定の熟語を表すものであるとかの事情は認められない。
一方、前記認定のとおり「JR」の文字は、かつての国鉄に由来する「JRグループ」を総称するものとして周知である。
そして、前記「イミダス1999」における「物流」中の「鉄道貨物輸送」(234ページ)の項においての、「かつては国内貨物輸送の中心をなしたが、トラックの進出により比重は低下した。しかし、コンテナやパレットの利用により駅頭での荷役も合理化され、短時間、低コストでの荷役が可能となった。鉄道の輸送実績は1996年度で・・・。このうちJR貨物(日本貨物鉄道株式会社)による輸送が・・・」との掲載記事、同じく「コンテナ列車」(235ページ)の項においての、「コンテナ輸送のための専用貨車によって編成された列車であり、高速で拠点間輸送が行われる。JR貨物は現在1日403本のコンテナ列車を運行し、そのうち175本が地域間の列車となっている。コンテナ列車は専用貨物列車と共に、鉄道貨物輸送の2本の柱として有力な輸送方式である。・・・」との掲載記事、同じく「知恵蔵1999」(1999年1月1日発行、朝日新聞社)における「物流産業」中の「鉄道貨物輸送」(635ページ)の項においての、「・・・鉄道輸送のほとんどは、かつての日本国有鉄道、現在の日本貨物鉄道(株)によって担当されており、民営鉄道による輸送はわずかである。87年の国鉄の分割民営化で、貨物部門は全国の貨物輸送を一元的に担当する独立の日本貨物鉄道(株)(JR貨物)となった。JR貨物の主要な輸送形態は、・・・5トンあるいは10トンクラスのコンテナで、拠点駅間を高速で輸送する『コンテナ扱い』、・・・」との掲載記事で明らかなように、「日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)」は、「輸送用コンテナ」により、貨物輸送を行っているものである。
そうすると、「JRグループ」中「JR貨物」は、その事業「鉄道による貨物」において「コンテナ輸送」を行っており、「輸送用コンテナ」はその事業において提供の用に供する物であって、「JR貨物」に係る事業と本願指定商品との間には密接な関係がある。
加えて、「JRグループ」は、グループを構成する各々の名称の略称において、「JR東日本」、「JR西日本」、「JR貨物」などと、「JR」の文字の後に地域名や、業種名の文字を用いており、また、一般にグループ会社は、それを構成する中核的会社の名称の前後に、地名や業種名などを結合して新たな名称とする場合が多いことなどを合わせれば、本願商標中の「JR環境」の文字のうち、「JR」の文字は前記「JRグループ」を認識させ、また、その「環境」の文字は、単なるこの文字の持つ意味を越えて、「環境に関する事業」との意味も、需要者に与えるものと認められる。
以上を総合すれば、本願商標をその指定商品について使用するときには、取引者、需要者は、たとえば「JRグループ」若しくはその関連会社において、環境に関係する事業を行うものではないかなどと理解、認識して、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
そして、この混同を生ずるおそれは、本願商標の登録出願時から現在まで継続しているものと認められる。
(3)請求人の主張について
(イ)商品や役務に使用されるアルファベット1文字または2文字が、商品の記号、符号として認識されるのは、表示された文字が全体として何らかの意味を表すなどの特別の理由のない限りいえることであって、本願商標のように「JR」の文字が、前認定のとおり、旧国鉄に由来し、旅客鉄道会社6社と貨物鉄道1社の統一的略称として広く認識されている場合についてまでも、需要者、取引者に商品や役務の記号、符号として認識されるものではない。
(ロ)本願商標が、「星形と地球儀をデザイン化した図形」と「JR環境」の文字とがまとまりよく一体となって構成され、「JR環境」の文字から「ジェイアールカンキョウ」の一連一体の称呼を生じても、そのことによって、需要者が、本願商標中の「JR」の文字より前認定の「JRグループ」を認識しなくなるわけではない。
したがって、請求人の主張はいずれも根拠がないものであって、採用できない。
5 結び
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同様の理由により拒絶した原査定は、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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