結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35479号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4177098号商標(以下、「本件商標」という。)は、「冬のプリンチョコ」の文字を横書きしてなり、第30類「チョコレートを加味した菓子」を指定商品として、平成8年3月29日登録出願され、その後、平成10年1月9日付け手続補正書をもって、指定商品を「プリン及びプリンを加味したチョコレート」と減縮補正して同10年8月14日に設定登録されたものである。
結論掲記の審決
本件商標は、以下に示す理由により、商標法第3条第1項第3号または同第6号に該当し、また、本件商標と対応する商品以外に使用する場合には商標法第4条第1項第16号に該当するので、これについてなされた商標登録は、商標法第3条および第4条第1項の規定に反してなされたものであり、無効である。
(1)利害関係
請求人は、平成9年7月7日付けで、商標「冬のカフェ」について、第30類の「菓子、パン等」(後に「コーヒーを加味した菓子」に補正)を指定商品として、出願(商願平9−135197号)したところ、本件商標に類似するとされ、拒絶査定となった。
したがって、利害関係があることは明らかである。同出願は、現在審判請求中である。
また、請求人は、平成10年から同11年にかけて「冬期限定」の製品として商標「冬のカフェ」を商品「チョコレート」について製品化し、同商標を使用して販売した。この点でも請求人は利害関係を有する。
(2)本件商標の前段「冬の」の意義
本件商標「冬のプリンチョコ」であり、後半部分「プリンチョコ」は、「プリンを加味したチョコレート」の意味であり、原材料表示を含む普通名称であることは明白である。
一方、前半の「冬の」が、「冬に販売される」「冬に使用される」「冬に生産された」「冬用の」などの意味に需要者一般によって認識されるものであることもまた明白といわねばならない。商品「菓子、パン」の分野では、季節商品を原料とすることが多く、季節ごとに商品を企画し販売することが広く行われているところであり、「春の」「夏の」「秋の」といえば、それらの季節に販売され、あるいは使用される商品であることを需要者は容易に認識するものである。
そして、本件商標全体としては「冬に販売されるプリンを加味したチョコレート」または「冬に食されるプリンを加味したチョコレート」のように、「冬の」が冬期製品であることを示すものとしか解釈しようがないのである。
また、本件商標の構成を見ても図形や当て字等の特殊な態様をしているわけではない。それゆえ、本件商標は、全体として使用の時期などを表す「冬の」と原材料+普通名称の「プリンチョコ」からなる商標であり、自他商品識別力なき商標であり、登録時点で、商標法第3条第1項第3号或いは同第6号に該当していたといえる。
(3)特許庁における従来の審査
これは請求人個人の主張だけでなく特許庁における長年の審査方法もこのような出願は拒絶してきており、次の商標が拒絶となっている。
(a) 商願平8−5457「冬の...アーモンドチョコレート」(第30類)
拒絶理由:近時は口溶けがよく、低融点のチョコレートが冬季向けに販売され、菓子店等に出回っていることよりすれば、これを指定商品中のアーモンド入りチョコレートに使用しても商品の品質、特性を表したものとして認識、理解されるにすぎない。
(b) 商願平8‐5458「冬のアーモンドチョコレート」(第30類)
拒絶理由:上記に同じ
(c) 商願平8‐105887「夏の味」(第30類)
拒絶理由:「夏の味」の文字よりなるものであるが、本願指定商品中には、例えば、「水ようかん、ゼリー菓子」等の「冷やして食する,夏に適した食品」を含んでいるから,これをその指定商品について使用するときは、「夏に適した味」の意の顧客向けの広告・宣伝語句の類型の一つと理解されるに止まり、需要者が、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。
(d) 商願平9‐143982「春の味」(第30類)
拒絶理由:食品業界において、春期商品、夏期商品、冬期商品のように季節を限定して商品を販売しているものがあるのが実情であるところ、この商標登録出願に係る商標は、春期商品であることを認識させる「春の味」の文字を表してなるから、これを本願指定商品に使用するときは、単に商品の品質、使用の時期を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。
(e) 商願平9‐143983「夏の味」(第30類)
拒絶理由:食品業界において、春期商品、夏期商品、冬期商品のように季節を限定して商品を販売しているものがあるのが実情であるところ、この商標登録出願に係る商標は、春期商品であることを認識させる「夏の味」の文字を表してなるから、これを本願指定商品に使用するときは、単に商品の品質、使用の時期を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。
このような拒絶例から見て、本件登録が如何に不当なものか容易に理解できる。
(4)季節用語の独占適応性と現実使用
「冬の〜」や「夏の〜」のような季節用語を有する商標は、商品の産地、販売地を記述する商標と同様、これに対応する商品に何人もその使用を欲するはずである。これらをふまえるとやはり特定人に独占使用させるべきではない。このような公益上の見地からも、本件商標の登録はされるべきではなかったというべきである。
そして現実に、請求人は、「冬の」という語だけでなく、「春の」「夏の」の語を季節商品に使用しているものであり、この点は甲第3号証のとおりである。
(5)商標法第4条第1項第16号の該当性
本件商標の指定商品は「プリンおよびプリンを加味したチョコレート」である。
したがって、その指定商品は、「プリン」と「プリンを加味したチョコレート」を含む。
しかし、「プリン」は、原則的には「チョコレート」を含まない製品であり、ましてや「チョコレート」自体ではない。
然るに、本願商標は後段に「プリンチョコレート」の語を含むから、「チョコレート」を加味してない「プリン」について、本件商標「冬のプリンチョコレート」が使用されたならば、需要者は、あたかも当該商品が「チョコレート」を含むものと誤認を生ずるはずである。したがって、本願商標は、登録時点で商標法第4条第1項第16号に該当していたはずである。
また、本件商標の「冬の」は、使用時期、生産時期、販売時期などをあらわす季節用語であるから、「冬以外の季節商品」あるいは「冬とは関係のない商品」に使用されれば、商品の品質について必ず誤認を生ずる。したがって、本願商標は、登録時点で商標法第4条第1項第16号に該当していたはずであり、その登録は無効である。
(6)結論
以上述べたように、本件商標は商標法第3条第1項および第4条第1項に違反して登録がなされたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。
請求人は、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)を提出した。
被請求人は、これに対して何の答弁もしていない。
本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、前記のとおり、「冬のプリンチョコ」の文字を横書きしてなるものであるところ、その構成中「冬の」の文字部分は、「夏の」等とともに請求人主張の全趣旨及び甲第2号証より、指定商品との関係では、「冬に販売される」「冬に使用される」「冬に生産された」「冬用の」等などの意味に需要者一般によって認識されるものであって、菓子業界においては、「冬」の文字を含む標章が「冬期限定」等の文字の掲載された菓子で販売されている事実があるものと認められる。
また、本件商標の「チョコ」の文字部分は、板チョコ、チョコボール等のように用いられ「チョコレート」の略語として、菓子業界をはじめとして、幼児さえも使用していることは、顕著な事実である。
さらに、本件商標の「プリンチョコ」の文字部分は、「プリンを加味したチョコレート」の意味合いを理解、認識させるものである。
そうとすると、「冬のプリンチョコ」の文字を横書きしてなる本願商標を指定商品「プリンを加味したチョコレート」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、「冬期限定の販売であるプリンを加味したチョコレート」の如き意味合いを認識させるものであって、商品の品質、販売時期を表示するに止まり、商品の自他識別の標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。これに対して、被請求人は、何ら答弁するところがない。
また、本件商標を指定商品「プリン」に使用したときは、該商品が「チョコレートを用いたプリン」であるかのように、商品の品質について誤認を生じるおそれがある。
したがって、「冬のプリンチョコ」の文字よりなる本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「チョコレート」以外の商品について使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号に該当し、その登録を無効とすべきものである。
以上のとおりであるから、請求人の審判請求を認容することとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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