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Trademark Appeal Case

通信機器と通信役務の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35227(T2000−35227/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4337358号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年5月19日に登録出願、「HITMAIL」の欧文字を横書きした構成よりなり、第35類「コンピュータデータベースへの情報構築」、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,付加価値通信網の提供,電子メール通信,インターネットによる通信,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの提供」を指定役務として、同11年11月19日に設定の登録がされたものである。

2 引用商標

請求人が商標法第4条第1項第11号該当を理由に本件商標の無効を述べる理由に引用した登録第1991562号商標(以下「引用商標」という。)は、昭和60年1月16日に登録出願、「HITMAIL」の欧文字を横書きした構成よりなり、指定商品を平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条に基づく商品の区分第11類(以下「旧第11類」という。)「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)、電気材料」として、同62年10月27日に設定の登録がされ、該商標権は平成9年6月24日に存続期間の更新登録がされ、現在有効に存続しているものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番を含む)を提出している。

本件にみる役務と商品の類否は、商標法の目的や商標の定義に照らし、出所混同のおそれがあるかを基準に判断すべきで、商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者であるのが一般的であるか、商品と役務の用途の一致、商品販売場所と役務提供場所の一致、需要者の範囲の一致等を総合的に考慮し個別具体的に判断されるべきである。そして、役務の販売に用いられる商標と同一・類似の商標を当該商品の名称として使用されている場合には、役務提供者と商品の出所とが同一であるとの印象を需要者・取引者に与える結果となる。

しかして、商品区分旧第11類の指定商品中の「電気通信機械器具、電子応用機械器具」と役務区分第35類の指定役務「コンピュータデータベースの情報構築」、同第38類「移動体電話による通信、テレックスによる通信、電子計算機端末による通信、電報による通信、電話による通信、ファクシミリによる通信、無線呼出し、付加価値通信網の提供、電子メール通信、インターネットによる通信、電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供、電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与、テレビジョン放送、有線テレビジョン放送、ラジオ放送、報道をする者に対するニュースの提供」とでは、一般に上記役務提供の事業者は「コンピュータ」及び「各種通信、放送」の販売主体であり、需要者も一致し、更に商品と役務の用途が一致し、商品の販売場所と役務の提供先も一致するから、出所混同を招くおそれがある。よって、両商品と役務は互いに類似するから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。

商標法は、第2条第5項の規定により、区分を超えて役務と商品が類似することがあることを明記しているが、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品とでは類似性がない。

請求人は、商品と役務の類否判断に関する審査基準に挙げられている4つの基準、即ち、(1)商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者であるのが一般的であること(2)商品と役務の用途の一致(3)商品の販売場所と役務の提供場所の一致(4)需要者の範囲の一致について、何んら個別具体的に検討することなく、単に、旧第11類の「電気通信機械器具,電子応用機械器具」と第35類「コンピュータデータベースへの情報構築」及び第38類「移動体電話による通信他」の指定役務とでは、一般に上記役務提供の事業者は「コンピュータ」及び「各種通信,放送」の販売主体であり、需要者も一致し、更に、商品と役務の用途が一致し、商品の販売場所と役務の提供先も一致するから、出所混同を招くおそれがあり、両商品と役務は互いに類似すると結論づけている。

しかしながら、被請求人は、請求人の主張には納得できない。役務は無体物であり、商品は有体物であるから性質が異なるため、両者が混同することは一般的には考えられない。性質が異なる役務と商品との間に類似関係があるか否かを判断する際には、機械的、画一的ではなく、あくまで取引の実状を考慮して、個別具体的に判断すべきである。特に、その4つの基準の中でも、一番比重が重いとされる基準(1)の役務の提供と商品の製造・販売が同一の事業者によって行われることが、当業界において通例となっていることが必要であるが、本件の場合は、いずれもこれには該当しない。更に、基準(2)及び

(3)

については、「電気通信機械器具」と「電子応用機械器具」は、放送・通信等のサービスを受ける為の道具であるから、用途や需要者の範囲が致するのは当然で、これらが一致するからと言って、その商品と役務が類似になるとの決め手にはならない。それよりも、基準

(4)

の役務の提供場所と商品の販売場所が一致するか否かが重要で、これについては一致しない(

(3)

及び

(4)

の項番は、被請求人の述べる上記(4)及び(3)の項番の誤記と認められる。)。

なお、請求人は、自己の商品カタログと被請求人の広告を提出しているが、審判請求書の中で何の言及もないため、何を立証しようとしているのかが解らない。一般的に役務と商品との間では混同が生じるためには、使用される商標(サービスマーク)が著名であるかどうかが重要な判断事項になるが、請求人は、引用商標の著名性について何ら立証も言及もしていない。その点でも、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との間には類似性はないものと考える。

以上のとおり、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品が類似するという請求人の主張は失当というべきであり、たとえ両商標が同一又は類似であったとしても、請求人の主張する無効事由は本件商標には存在しない。

5 当審の判断

本件商標の指定役務(以下「本件役務」という。)と請求人が本件役務に類似すると主張する引用商標の指定商品(「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具」、以下「引用商品」という。)との類否について検討する。

商標法は第2条第5項において、商品と役務との間に類似関係があることを規定しているところ、商品と役務の類否を判断するに際しては、例えば、イ)当該商品の製造・販売と当該役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、ロ)当該商品と当該役務の用途が一致するかどうか、ハ)当該商品の販売場所と当該役務の提供場所が一致するかどうか、ニ)当該商品と役務の需要者の範囲が一致するかどうかを総合的に考慮して具体的に判断すべきものと解するのが相当である。

(1)そこで、これを本件についてみるに、まず、引用商品中の電気通信機械器具は、電気及び電子の作用を応用した機械器具であって、専ら電気通信を用途とする機械器具、例えば、電話機、自動交換機及びテレビジョン送信機等が含まれる。同じく、電子応用機械器具は、電子の作用を応用したものでそれを機械器具の機能の本質的な要素としているもののうち、特定の用途をもって他の概念に属するものを除いたものであって、例えば、電子計算機等が含まれる。そして、これら引用商品に属する機械器具類は、いわゆる、電気又は電子機器メーカーで製造される場合が多く、その製造メーカーの販売部門あるいは小売店等の販売場所により、市場一般の流通に供されるものといえる。

(2)次に、本件役務についてみるに、第35類の「コンピュータデータベースの情報構築」は、商標法施行令第1条で定める別表(以下、「施行令別表」という。)第35類「広告、事業の管理又は運営及び事務処理」中の「事務処理」に該当するとみるべきものであって、事務処理の能率を図るためにコンピュータデータベースの構築を提供する役務と認められる。したがって、その提供者は、引用商品の製造・販売業者とは異なる事業者であって、その用途、取引対象も異なるものであり、かつ、引用商品の販売場所において本件役務が提供されるのが一般的とはいえず、また、引用商品と本件役務の需要者の範囲が必ずしも一致するものともいえない。

そうとすれば、本件役務中の「コンピュータデータベースの情報構築」と引用商品とは、いずれの観点よりしても共通するところはなく、類似するものとはいえないというべきである。

(3)次に、本件役務中の第38類の役務についてみるに、施行令別表によれば、第38類は電気通信に関する役務であるところ、そのうちの「移動体電話による通信」等の通信に関する役務は、電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の用に供することであって、一般に電気通信事業法の規定により所定の事業承認を受けた電気通信事業者が提供する役務である。また、「電子計算機端末による通信ネットワークの接続の提供」は、需要者のために、いわゆるインターネットの接続を行う役務であり、アクセスプロバイダーと呼ばれる通信回線の接続業者が提供する役務である。さらに、「テレビジョン放送」等の放送に関する役務は、公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を行う役務であり、一般に、電波法又は放送法の規定により事業承認を受けた放送事業者(一般放送事業者等)が提供する役務である。

そうとすると、上記の「通信」、「放送」に関する役務及び「電子計算機端末による通信ネットワークの接続の提供」は、放送用機械器具、電話機、電子計算機等の引用商品中の一部商品を使用して行う役務であるから、これら役務と商品は、その利用関係において共通する場合があるとしても、これら役務の提供者は、上記のとおり、電気通信事業者や放送事業者又はアクセスプロバイダーと呼ばれる通信回線の接続業者等の特定の事業者に限られるものであるところ、引用商品の製造・販売業者が上記事業を行っていることが一般的とはいい難く、また、上記役務の提供場所と引用商品の販売場所が一致するものとも認められず、さらに、請求人提出の資料によっては、これら役務と商品が同一事業者により取り扱われている証左は認められない。

そうとすれば、本件役務中の「通信」、「放送」に関する役務及び「電子計算機端末による通信ネットワークの接続の提供」と引用商品は、類似しないものとみるのが相当である。

(4)同じく、本件役務中の「報道をする者に対するニュースの供給」は、通信社が行う報道機関へのニュースの提供についての役務であるところから、その提供者は引用商品の製造・販売者とは異なる事業者であることが明らかであり、また、それぞれの用途、引用商品の販売場所と本件役務の提供場所、引用商品と本件役務の需要者の範囲等、いずれの点よりしても一致するとはいえないものである。

そうとすれば、本件役務中の「報道をする者に対するニュースの供給」と引用商品は、類似するものとはいえないというべきである。

(5)同じく、本件役務中の「電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」は、通信機器の貸与であるところ、その貸与に係る商品である通信機器は、引用商品に含まれるという点において、これら役務と商品は、その利用関係において共通する場合があるとしても、貸与と商品の販売とは、流通形態を異にするものであり、また、商品の貸与を業とする者は、当該商品の製造・販売業者ではなく、リース業者又はレンタル業者であることが一般的といえる。そして、請求人提出の資料からは、これら利用関係にある商品及役務を同一事業者が行っていることの事実を認め得ることができない。したがって、当該役務の提供者は引用商品の製造・販売者とは異なる事業者であるというべきであり、かつ、引用商品の販売場所と本件役務の提供場所が一致するということはできない。

そうとすれば、本件役務中の「電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」と引用商品も、類似しないものとみるのが相当である。

以上のとおり、本件役務と、請求人が本件役務に類似すると述べる引用商標の指定商品である「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具」とを、前記観点に照らし総合的かつ具体的に判断するに、それぞれの業務に係る事業者並びに役務の提供場所と商品の販売場所が異なる上、その取引形態、流通経路等も共通するものではなく、また、取引対象も自ずと異なるものであるから、これら取引の実情を併せ考慮するに、両者を類似のものと判断することはできない。そして、この認定を覆すに足りる証拠はない。

したがって、本件商標は、商標法第4条1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項により、無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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