結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30158号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1947083号商標(以下、「本件商標」という。)は、昭和59年11月13日に登録出願、後掲に示すとおり「SAPS」の欧文字を横書きしてなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、昭和62年4月30日に設定の登録がされ、その後、該商標権は平成9年6月3日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁をつぎのように述べた。
1.請求の理由
本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2.被請求人の答弁に対する弁駁
(1)請求人が本件商標の使用について調査したところでは、被請求人は、いわゆるPOSシステム中のコンピュータにインストールされるソフトウエアの改良版を昭和59年から60年にかけて設計・開発し、被請求人の関連会社である株式会社テック・エンジニアリングに制作させ、本件商標「SAPS」を付して市場に出し、その後、平成3、4年頃より、いわゆる「2000年問題(西暦2000年を挟んでコンピュータが誤作動する問題)」が急浮上したことから、平成4年の「SAPS 25 Version 3」を最後にバージョンアップを打ち切った、との情報を得ている。その後、被請求人は「SAPSシリーズ」に代わる新ソフト「MXシリーズ」を量販店を中心に導入を働きかけた結果、現在では大半の店舗が新ソフトを採用しているとの情報も、被請求人である株式会社テックの流通情報システム課を通して入手している。
係る状況については、被請求人が平成4年の価格表(乙第2号証)と、それ以前の印刷であろうと思われる商品カタログ(乙第3号証)を提出し、新たなカタログ等を作成していないと認めていることからして、請求人の調査結果と符合する。したがって、本件商標が取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具」について、被請求人により、平成4年頃まで使用されていたことについては、請求人も認めるところである。
しかしながら、本審判の請求の登録前3年以内における本件商標の使用については、被請求人の主張および提出された証拠(乙第4号証及び乙第5号証)によっては、本件商標が取消請求に係る指定商品に使用されていたとは認められない。
(2)被請求人は、商標「SAPS」による商品は、最近では主力商品でなくなっているものの、最近の取引例を示すものとして、平成9年6月1日および平成10年1月1日の日付が記された取引書類(乙第4号証及び乙第5号証)を提出し、依然として「メンテナンス的なものの取引」が行われていたと主張し、さらに、被請求人は、新たなカタログ等を作成することなく、取引における説明においては、「乙第3号証として示すカタログ等によっているのが現状である」と述べている。
しかしながら、乙第3号証に係るカタログ等が実際の取引説明の際に用いられているのかどうかについては、何ら証明されていない。
また、上述したように、請求人による調査によれば、被請求人の営業展開において、「SAPSシリーズ」から新ソフト「MXシリーズ」に移行しているとの状況を踏まえれば、2000年問題を抱えたまま、食品スーパー大手の「東急ストア」が平成4年にすでにバージョンアップを打ち切ったソフトを平成9年、同10年の時点で何の新たな説明書等の提示もないまま導入するとは信じ難い。
また、乙第4号証の3の物件受領書を詳細に検討してみると、「SAPS−25クレジット」の文字が記載されているのは「製造No.等」の欄であり、係る表記が実際に商標を表示しているのかは、実に疑わしいところである。
さらに、注文書と物件受領(取)書だけが本件商標の使用を証明するものであれば、被請求人は、注文を受けた本件商標に係るPOSシステム用ソフトの納品に際しては、本件商標が付された証明書等を一切添付することなく、納品したことになる。
当該ソフトは、実際の使用に際しては、何らかのハードにインストールされるものと理解されるところであり、そのインストールの際に何らかの説明書が必要と思われるが、そうした説明書についても、何ら証拠として提出されていない。 また、被請求人がソフトについての商品取引であると主張する以上、ソフトを示す何らかの媒体に格納されて納品されるはずである。しかしながら、商標の使用を示すものとして取引書類のみが提示されていることから、係る取引においては、商標を付したラベル等についても一切貼付することなく納品されたことになる。そうとすれば、何ら識別標識のない商品について、その納品を受けた者が明確に商品の検品をし得るかについては、甚だ疑問である。
また、取引書類のみが商標の使用を示すものである以上、ソフトを格納する磁気テープ、CD−ROM、フレキシブル・ディスク等といった媒体を収納するパッケージ等の包装容器にも、何ら本件商標は付されていないことになる。したがって、ラベル等のように簡単に用意できるものさえ、何ら貼付せずに納品が行われていることになる。ソフトの場合、格納媒体又はその包装容器に簡単にラベル等を貼付することが可能な商品であるにもかかわらず、乙第4号証、乙第5号証といった注文書、受領書にのみ、本件商標が表示されると言うのは、商品取引上、あまりに不自然であり、名目的な使用意図が感じられ、実際に使用されたものとは思われない。実際にラベル等を貼付して出荷しているのであれば、ラベル等を提出できたはずであるのにそれを提出しないのであるなら、使用証明として提出しない理由を述べるべきであったが、被請求人より提出された答弁書には、そうした説明は一切ない。
また、被請求人が古いカタログ等により取引説明をしていると主張している点について、そうした事実が立証されていない上、本件商標を付した他の一切の印刷物を用いることなく取引が行われているのであれば、実際の取引説明においては、すでに導入済みのPOSシステムのメンテナンスに係る説明が主であって、本件商標を自他商品識別標識として用いる機会はなく、単に、社内の他のソフトとの識別を目的として、取引書類上、表示されているにすぎない、とも思える。
注文書の内容についても理解できないところがある。乙第4号証の2によれば、ハードについては、「TP90F‐E,DKU‐9401A」というように、詳細に製品番号と思われる記号が表示されているにもかかわらず、同号の2において、ソフトについては、単に「SAPS‐25クレジット」と表示されているだけで、どのハードに適するものかが特定されていない。乙第2号証の価格表によれば、ソフトについても「型式」等が詳細に特定されていることがわかる。例えば、本件商標に係る「SAPS25V3」については、係る価格表の第7頁および第8頁に記載されている。第7頁にある「店舗クレジットシステム」だけでも3種類の「型式」、「製品コード」が用いられており、それらは使用されるハードにしたがって、それぞれ別途に付与されていることがわかる。具体的には、型式は「SPAC‐6323‐635」、「SPAC‐6323‐637」.「SPAC‐6323−639」の3種類があり、「製品コード」は「29830148」、「29830441」、「29830435」の3種類が付与されている(別紙添付の乙第2号証の第7頁の写し参照)。
それにもかかわらず、実際の注文書には、そうした「型式」等は一切明記されていない。こうした不明確な注文の指示で間違いのない納品がなされるとは、商品取引上、到底考えられない。したがって、取引書類上の「SAPS」の文字が仮に本件商標を表示するものとしても、それは、商品の取引のためではなく、「電子計算機のプログラムの保守」という役務の提供を目的として、使用されていると理解される。つまり、かかる役務への使用では、本件商標を指定商品の一部である「電子応用機械器具」に使用した証拠にはならないものと考えられる。
(3)また、被請求人が現在も本件商標を使用しているとの根拠となる乙第4号証及び乙第5号証が取引書類の原本でなく、写しであることから、証拠能力においても疑問のあるところである。
例えば、注文書において、「買い主」の欄に捺印がない。また、「責任者/担当者/作成者」の欄についても、それぞれの捺印が全くなされていないため、係る注文書が正式な取引書類であるとは考えられない。さらに、乙第4号証の1および同号の2は、同じ日付で注文されたにもかかわらず、日付の欄が手書きとスタンプの相違等不自然である。
さらに指摘すれば、乙第4号証の3においては、当該書類の中段に記載される物件NO.「00001」と「00002」とを比較すれば、両者の境界線でもって、文字の鮮明さが左右で異なるとの印象がある。また、同一行に記載される同じ文字であっても各欄における字体が異なっているなど、同時に印字されるはずの書面上で、不自然な箇所が見受けられる。コピー機上の問題なのかどうかは不明であるが、請求人が試したところでは、複数回コピーを繰り返した場合でも、文字の鮮明さが相違したり、字体が異なって複写されるとの結果は得られなかった。
したがって、請求人は、被請求人に対し、証拠書類の原本を提出することを切望する次第である。営業上の秘密の保持を理由に提出が難しいとのことであれば、本件審理を書面審理から口頭審理への変更を申し立てることにより審判廷において請求人に原本を提示することも考えられる。
なお、本件商標に係るソフトが証拠資料に記載の店舗にどのように納品されたかについて、請求人において調査したところ、買い主である「東急ストア」の各店舗においては、「(株)東芝」製のハードが使用されていたことが判明された。これだけでもって、被請求人より商品の納品がなされていないことを立証するつもりはないが、納品先である「東急ストア」にどのような取引形態で納品されたのか、確認を求めるべく書面を準備しているところである。
以上をまとめると、以下のとおりである。
(ア)被請求人の主張及び提出された証拠からすれば、実際の取引説明において、カタログなどが用いられていることは、何ら立証されず、平成4年頃までの使用が証明されているにすぎない。
(イ)通常、ソフトを格納する媒体又はそれを収納する容器に添付されるであろうラベル等については、一切の証拠が提出されていない。係る状況で、注文書等の取引書類にのみ「SAPS」の文字が表示されているのは、商品取引上、実に不自然である。
(ウ)取引書類上の表示も、実際には、「製品No.等」の欄に記載されていることから、商標としての表示かどうかも疑問である。
(エ)実際には、自社内の他のソフトとの識別を目的とする標識としてのみ「SAPS」の文字が取引書類上で使用されているのではないか。よって、係る文字の表示が自他商品の識別標識を発揮しているかどうかは疑わしい。
(オ)本質的には、本件商標の指定商品の一部である「電子応用機械器具」についての使用というより、「電子計算機のプログラムの保守」という役務の提供を目的として使用されていると理解される。
(カ)取引書類である乙第4号証及び同5号証が原本ではなく、写しであることから、証拠能力の点からしても疑問がある。
以上の理由より、被請求人の主張及び提出された証拠資料によっては、本件商標を指定商品「電子応用機械器具」について使用しているとは認められず、その使用については、あくまで役務であるところの「電子計算機のプログラムの保守」についての使用であったと思料される。したがって、本件商標の指定商品「電子応用機械器具」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する再答弁をつぎのように述べ(当庁より発した平成11年5月10日付審尋書に対する釈明事項を含む。)、証拠方法として乙第1号証乃至乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1.答弁の理由
被請求人(商標権者)は、本件商標を昭和59年頃から使用を開始し始めた(たとえば、乙第1号証)。その後の使用も平成4年のTEC製品価格表(乙第2号証)及び「SAPS25 V3」(乙第3号証)等にみられるように継続して使用しているものである。
ただ、商標「SAPS」による商品は、最近では、いわゆる主力商品でなくなったため、広告のために新たにカタログ等を作成して広告するということはなく、取引における説明は乙第3号証として示すカタログ等によっている現状である。主力商品ではなくなったとはいえ、ハード及びソフトともにメンテナンス的なものの取引は依然として行っており、最近における取引例は、乙第4号証及び乙第5号証に示すとおりである。
乙第4号証及び乙第5号証の物件についての明細を示す「SAPS25」が乙第3号証に示す商品商標である。前記乙各号証に示すいわゆるPOSシステムのハード及びソフト(電子計算機のプログラムを記憶させた磁気テープ等)が本件審判の取消請求に係る「電子応用機械器具」の概念に属するものであることは、特に説明をするまでもなく、明らかなところである。
以上のように、商標権者である被請求人は、本件審判請求前3年以内に国内において、本件商標を取消請求に係る指定商品について使用しているものである。
2.請求人の弁駁に対する再答弁
(1)請求人は弁駁書において、本件商標を指定商品「電子応用機械器具」について使用しているものではない旨反論しており、特許庁からも別途審尋もあったので、新たに証拠を提出する(乙第6号証の1及び同2)。
(2)弁駁「前記(3)(ア)乃至(カ)」に対する反論
イ.請求人は、実際の取引説明においてカタログ等が用いられていることは何ら立証されていない旨主張するが、被請求人は、答弁書において述べたとおり、取引における説明は、まさに乙第3号証カタログ等によっていたものである。
ロ.請求人は、ソフトの容器等に添付されるであろうラベル等については一切の証拠が示されていない旨主張するが、実際に取引した商品の実態を示すための納入先の関係者の確認証明書(乙第6号証の1及び2)を新たに提出する。
ハ.請求人は、取引書類上の表示が商標でないかのように主張するが、商標としてカタログに表示し、それを取引書類に示して実際に取引しているのであるから、疑問の余地はない。
ニ.請求人は、乙各号証に現れる「SAPS」が自社内のソフトの識別にのみ使用しているものである旨主張するが、そのようなものでないことは、詳述するまでもなく明らかであり、現にそれを自他商品の識別標識として取引していたものであるから、その主張はいずれも根拠がない。
ホ.請求人は、本件商標の使用は商品について使用するものでなく、「電子計算機のプログラムの保守」の役務についての使用である旨主張するが、その使用が「電子応用機械器具」に属する商品についての使用であることは乙各号証で明らかであるから、疑問の余地はない。
ヘ.請求人は、乙第4号証及び乙第5号証の原本の存在が疑問で、かつ、不自然・不明瞭である旨主張するが、本来、原本を証拠とするものであるところ、金額を伏せる必要があることから現にあるものの写しを提出したものであって、指摘されるような疑義を生ずる余地はない。
本件商標は、「SAPS」の欧文字よりなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品とするものであるところ、請求人は、本件商標の不使用を理由に指定商品中の「電子応用機械器具」についてその登録の取り消しを求めている。
これに対して、被請求人(商標権者)は、本件商標をその指定商品中の「電子応用機械器具」に属する「POSシステムのハード及びソフト(電子計算機のプログラムを記憶させた磁気テープ等)」について、本件審判の請求前3年以内に使用していた旨答弁し乙各号証を提出したところ、請求人は、提出証拠によっては、本件商標の表示態様、使用状況が明瞭でなく、商標として機能するものであったかどうか疑問であり、また、当該商品の取引状況も不自然であって判然とせず、むしろ、「電子計算機のプログラムの保守」という役務の提供を目的とするものであるから、本件商標はその指定商品について使用されたものではない等の理由をもって、本件審判の請求前3年以内における本件商標の取消請求に係る商品についての使用は証明されない旨述べている。
そこで、被請求人の答弁並びにその提出に係る乙各号証についてみるに、被請求人が平成4年当時、本件商標「SAPS」を付した小売店舗用コンピュータ機器並びにその周辺機器を市場の流通に供していた点については、乙第1号証(新聞広告)、乙第2号証(製品価格表)及び乙第3号証(製品カタログ)により明らかであって、請求人もこれを認めるところである。
ところで、商品の生産・販売活動を業とする事業者が当該企画に係る商品の生産、販売に際して、予め一定の生産・販売計画(販売期間とも)のもとに生産ライン及び流通網を確保しつつ、広告・宣伝活動のためのカタログ・パンフレット類を制作・頒布し、或いは、在庫管理・出庫調整等により需給状況を把握しつつ全体の事業運営に当たっていることは、現今、普通一般に行われる商活動であって、この点、本件商標の指定商品とする電気通信機器、電子応用機器ほか各種電気機器類の商品分野においても同様の状況というべく、当該企画・設計に係る商品の市場流通は一定の持続性を伴うものといわなければならない。そして、かかる商活動にあって、当初制作された商品カタログ・価格表等は、少なくとも爾後数年間は事業指針の一つとして営業活動に資されるというのが通例であって、販売計画等に特段変更がなくかつ増刷等を要しない場合、当該市場流通に供される商品は原則当初制作に係る印刷物によりその商品の型式・種類特定が行われ、或いは、その受・発注及び納品等の商活動が行われるとみるのが取引の実情に照らし相当であるから、特定商品の特定時期における市場流通の存否を問題にする場合、商品カタログ等の印刷物の制作時期のみに拘泥することは必ずしも適切でなく、前記商活動の実情を併せ考慮のうえ、個別具体的に判断することが必要と解される。
かかる実情を踏まえ、かつ、乙各号証並びに乙各号証相互の関連性について、さらに検討する。
(1)製品価格表(乙第2号証)は、被請求人作成に係るいわゆるPOSシステムと呼ばれる販売時点情報管理システム等各種の店舗情報管理システムに供する各種通信機器類、電子応用機器類及び各種ソフトウエア類を小規模店向け、中小規模店向け及び量販店向け等の規模別・事業種類別に、また、その型式(型番)、品番、仕様(機能)別に逐一当該価格を掲載したA4版の全30頁以上に亘る主として営業部門用の極めて綿密かつ網羅的な印刷物と認められる。
因みに、項見出しを「GMS向店舗情報管理システム(SAPS25)」、「SAPS 25 V3店舗システム」とする品目欄冒頭のものをみると、商品名「SAPS 25 V3 店舗基本システム」、型式「SPAC−6023−635(or「・・・637」,「・・・639」)」、製品コード「29830136(or「・・・437」,「・・・431」)」、仕様「食品系、JAN商品の管理、非食品系の衣料品トランザクションデータの収集を行い、システム監査、ターミナル管理、売上情報、会計情報、ファイル管理、キャッシー管理、商品情報、売上管理などPOSシステムが必要とする基本機能を有し、又、消費税(外・内・非課税)にも対応しています。ターミナルは、スライドM&M、セット販売が可能で、消費税2次仕様のM−2800−36P2.0を使用します。」、対応ハード「T−8500」(or「・・・7000」,「・・・9000」)」、FDサイズ「5′′(or「3.5′′」)」、価格「715,000(税別)」、備考「(空欄)」の各記載が認められる。
そして、この価格表は、本件商標に相応する「SAPS」商標に係る製品を主要品目として取り扱っていること、また、該印刷物が1992年(平成4年)10月現在のものであること等の点よりして、同時期以降一定期間、「SAPS」商標に係る製品の取引に資されたものであろうことを十分推認させるものである。
(2)製品カタログ(乙第3号証)は、被請求人制作に係る「テック ストアオートメーション システム」、「SAPS 25 V3」、「ソフトウエアガイド」なる表題のもと、前記(1)の価格表において主要品目の一つとして取り扱われている「GMS(総合的大規模スーパーマーケット)向け店舗情報管理システム(SAPS25)」なる機種専用のソフトウエア(「SAPS 25 V3」)の製品カタログであって、これまた、写真入り、図解入りでその機能・用途特性又は利用環境等について入念に解説を施した広告・宣伝用印刷物と認められる。
因みに、同カタログは、「店舗のSA化とネットワークによるトータルシステムを推進する店舗総合情報化ソフトウエアSAPS 25 V3」との見出しタイトルのもと、「店舗で発生するデータをストアプロセッサT−8500EXシリーズで高速一括処理するとともに、バックヤード処理をはじめ、OA業務を含めた店舗情報化に必要な機能を効率的に統合処理するシステムです。」と解説され、また、「ストアオートメーションシステムSAPS 25 V3の特長」が5点に亘って説明され、さらに、同ソフト及び関連ハードを利用したトータルシステム、すなわち、本部にホストコンピュータを置き、店事務所にワークステーション機器を配備し、各商品フロアごとにPOSターミナルを設置するなどして、店舗の総合情報化及び統合管理システムを構築するものであること等、同ソフトの全体的な利用環境について細部に亘って詳細な説明が施されているものである。
また、カタログ掲載のソフトウエアの製品名「SAPS 25 V3」の表示は前出価格表掲載の「SAPS」商標に係る製品と符合するものと認められるから、その作成時期(1992年(平成4年)10月)と相前後して制作されたことを十分窺わせるものであって、同時期以降一定期間頒布され、取引に資されたであろうことを容易に推測させるものである。
(3)乙第4号証の1(注文書)は、1997年(平成9年)6月1日付件外住信リース株式会社名義による被請求人会社宛件外株式会社東急ストア納入用「一之江店P0Sクレジットシステム(ソフトウエア),SAPS−25−クレジット,一式」なるいわゆるリース物品に係る商品の注文書(以下、「ソフトウエア取引」という。)と認められる。
同じく、乙第4号証の2(注文書)は、1997年(平成9年)6月1日付件外住信リース株式会社名義による被請求人会社宛件外株式会社東急ストア納入用「一之江店P0Sクレジットシステム(ハードウエア),TP90F−E,DKU−9401A,一式」なるいわゆるリース物品に係る商品の注文書(以下、「ハードウエア取引」という。)と認められる。
同じく、乙第4号証の3(物件受領書)は、1997年(平成9年)6月1日付件外株式会社東急ストア名義による件外住信リース株式会社宛前記ハードウエア取引及びソフトウエア取引に係る物件受領書と認められる。
これら注文書及び物件受領書の当該所定欄に表示された「P0Sクレジットシステム(ソフトウエア),SAPS−25−クレジット,一式」の物品名は、前出製品価格表(乙第2号証)又は製品カタログ(乙第3号証)掲載の「GMS(総合的大規模スーパーマーケット)向け店舗情報管理システム(SAPS25)」なる機種専用のソフトウエア(「SAPS 25 V3」)の製品名と符合するものであって、被請求人主張の如く、ソフトウエア取引がそれらカタログ等に基づき前記時日において取引された事実を客観的に示すものであって、平成4年以後も引き続き当該ソフトウエア取引が行われていた状況を十分窺わせるものである。
しかして、当該取引が偶々リース目的の物品として第三者に対して賃貸されるものであったにしても、その前段階における物品の取引は通常の商取引と同様に行われたものとみて差し支えないものであり、かつ、当該ソフトウエア取引又はハードウエア取引の製品特定(種類・型式)が前記製品価格表(乙第2号証)又は製品カタログ(乙第3号証)に基づき行われ、取引伝票類にもその旨掲載されたものというべく、それ以外の方法により行われたものとする特段の事情は見出せないから、たとえ、前記印刷物(カタログ及び価格表)が本件審判の請求前3年をさらに遡る平成4年の制作に係るものであるとしても、前述商活動の実情を併せ考慮すれば、納品書記載のソフトウエア取引による本件商標の使用を認め得るものであって、その使用は本件審判の請求前3年以内の時日のものといわなければならない。そして、ほかに、この認定を覆すに足りる証拠はない。
(4)乙第5号証の1(注文書)は、平成10年1月1日付件外住信リース株式会社名義による被請求人会社宛件外株式会社東急ストア納入用「パッケージソフト,SAPS−25−クレジット,一式」ほかハードウエアを含む全9点に亘るいわゆるリース物品に係る商品の注文書と認められる。
同じく、乙第5号証の2(物件受取証)は、平成10年1月1日付件外株式会社東急ストア名義による件外住信リース株式会社宛「パッケージソフト,SAPS−25−クレジット,一式」ほかハードウエアを含む全9点に亘るいわゆるリース物品に係る商品の受取証と認められる。
これら注文書及び物件受取証の当該所定欄に表示された「パッケージソフト,SAPS−25−クレジット,一式」なる物品は、前出製品価格表(乙第2号証)又は製品カタログ(乙第3号証)掲載の「GMS(総合的大規模スーパーマーケット)向け店舗情報管理システム(SAPS25)」なる機種専用のソフトウエア(「SAPS 25 V3」)の製品名と符号するものであって、被請求人主張の如く、それらカタログ等に基づき前記時日において取引された事実を客観的に示すものであることは、前記認定の乙第4号証(注文書)の場合と同様である。
また、前記同様に、当該取引は通常の商取引とみて差し支えなく、当該ソフトウエア取引及びハードウエア取引の製品特定(種類・型式)が前記製品価格表(乙第2号証)又は製品カタログ(乙第3号証)に基づき行われ、取引伝票類にもその旨掲載されたものというべく、それ以外の方法により行われたものとする特段の事情は見出せないから、たとえ、前記印刷物(カタログ及び価格表)が本件審判の請求前3年をさらに遡る平成4年の制作に係るものであるとしても、前述商活動の実情を考慮すれば、納品書記載のソフトウエア取引による本件商標の使用を認め得るものであって、その使用は本件審判の請求前3年以内の時日のものといわなければならない。そして、ほかに、この認定を覆すに足りる証拠はない。
以上によれば、本件商標は、本件審判の請求前3年以内に日本国内において、取消請求に係る商品(「電子応用機械器具」)中の「(パッケージ型)コンピュータ用プログラムを記憶させた記憶媒体(FD)」について使用されていたものとみるのが相当であって、被請求人は、本件商標の取消対象の商品についての使用を主張・立証し得たものというべきである。
請求人は、弁駁の理由として、1)カタログが実際の取引説明の際に用いられているとする証明がないこと、2)ソフトの格納媒体が不明であって取引書類のみにより納品されるというのは不自然であること、3)注文書の記載に疑問があり原本照合のため口頭審理に依るべき主張を留保する、4)注文書に型式表示等がなく不明確な記載であってその取引は商品の取引ではなく役務の提供に係るものであること等、本件商標の使用状況及び当該商品の取引状況・取引形態に関して疑義を述べ、本件商標の使用を否定する。
しかしながら、追って被請求人より提出された乙第6号証(「株式会社東急ストア」システム開発部部長山崎稔による乙第4号証の1乃至同3に係るソフトウエア取引及び当該納入事実に関する証明書)によれば、当該時日におけるソフトウエア取引が実際に存在したものというべく、これを敢えて否定すべきような特段の事由は見出し難い。そして、前述商活動の実情を併せ考慮すれば、同取引及び乙第5号証の1乃至同2に係るソフトウエア取引が当該時日においてなお前記価格表及び商品カタログに基づくものであることを十分推認させるものであり、ここにおいて本件商標の当該商品についての使用を認め得るとする前記認定は相当であって、これらの事実を否定し又は疑義を述べる請求人の主張は、確たる根拠に基づくものでなく或いは推量の域を出ないものであって、いずれも採用することができない。このほか、請求人の主張を認めるに足りる証拠はない。
してみれば、本件商標の登録は、その指定商品中の取消請求に係る商品について、商標法第50条により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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