結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35217(T2000−35217/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4211835号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年6月21日登録出願、その構成を別掲(1)に示すものとし、第25類「洋服,セーター類,ワイシャツ類,下着,エプロン,靴下,スカーフ,手袋,ネクタイ,マフラー,帽子」を指定商品として同10年11月20日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第8号証を提出した。
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、または同第15号に反して商標登録されたものであるから無効の審決を受けるべきである。
(2)本件商標を無効とすべき理由
請求人は、請求人のつぎの著名商標(その構成を別掲(2)に示すものとし、以下「引用商標」という。)を引用する。
引用商標は、山を形どった図形商標と、その下に二行に書してなる文字商標「SIERRA/DESIGNS」の組合せで使用されることが多いが、各商標単独に使用されることもある。
当該商標は、1965年頃から(甲第7号証第96頁および甲第1号証表紙参照)、アメリカ合衆国においてアウトドアグッズをはじめ、衣類、くつ下、帽子、マフラー等に使用され、著名になっていたものである。
我国の大倉スポーツ株式会社は、これをライセンス生産することを企画し、1995年には、請求人と契約を結び、我国において引用商標を使用して、衣服、帽子、パーカー、マウンテンパーカー、ヤッケ、アノラックジャケット、プルオーバー、ベスト、下着、Tシャツ、ズボン、ダウンジャケット、シャツ、スエットシャツ、バッグ、くつ、リュックサック、くつ下、ベルト、時計、その他、アウトドアグッズの製造販売を開始し、折からのアウトドアブームに重って、たちまち我国においても著名な商標となり、遅くとも、本件商標の商標出願の日である平成8年6月21日には、著名な商標となっているものである。
ちなみに、大倉スポーツの毎年のカタログにも引用商標は必ず記載されているが(甲第2号証および同第3号証)が、また、市中の雑誌にも引用商標が掲載され、多くの人々の知るところとなっている(甲第4号証ないし同第6号証)。
引用商標は、二つの商標の組合せからなり、これらは、上下にして表示されることも、また左右に並べて表示されることもあるが、いずれの商標も顕著なものであって、看者に強い印象を与えているものである。
本件商標は、引用商標の山形の図形と形状や線の太さ、細さの具合が全く同じであり、明らかに、引用商標をコピーしているものである。
例えば甲第3号証表紙左上に表示された引用商標と本件商標を比較すると、本件商標が引用商標の山形図形の商標をコピーしたものであることは、明らかである。
また、本件商標が請求人の商標からコピーし、請求人の営業を承知して登録していることは、甲第8号証から明らかである。甲第8号証は、平成10年11月20日の繊研新聞の広告であるが、広告スポンサーは本件商標の商標権者(被請求人)である。
この広告の右中央部に本件商標とローマ字「SIERRA」が掲載され、その下に世界有数のアウトドアブランドSIERRAとの記載がある。
広告のこの欄には、サブライセンスを募集とあることから、被請求人が掲載した商標がどこかの権利者の商標であり、被請求人はそのライセンシーであって、さらにこれにつきサブライセンシーを募集する旨の広告である。
この広告の時点において、世界有数のアウトドアブランドのSIERRAと言い、山形図形を掲記すれば、それは、請求人を置いて他にないことは明白である。請求人は、被請求人にライセンスを与えたことはない。
それ故、被請求人は、請求人の引用商標が著名であることを承知しているから、これを自己の商標として商標登録を受け、請求人の著名商標にタダ乗りして、他に使用権を与えこれから使用料を徴収しようとした、その意図は明白である。かかる被請求人の行為は、公序良俗に反するものであると言えるから、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当し、無効とされるべきものである。
さらに、本件商標は、著名な引用商標の山形図形商標を含むものであるから、商標法第4条第10号または第15号に該当し無効とされるべきものである。
被請求人は、前記請求人の主張に対し、指定された期間内を含め何らの答弁、手続をしていない。
(1)請求人が提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)甲第2号証は、本件商標が出願された年の、大倉スポーツ株式会社の頒布に係る「テント、寝袋などのアウトドアスポーツ用品」の商品カタログの写しと認められるところ、ここにおいてこれら商品に引用商標、すなわち、請求人に係る別掲(2)に示す商標が使用されていること。
(イ)甲第6号証は、本件商標出願前の発行に係る、雑誌「別冊山と渓谷」の抜粋の写しと認められるところ、この雑誌における、商品「マウンテンパーカ」の広告に引用商標が使用されていること。
(ウ)甲第8号証は、本件商標が設定登録された日に係る繊研新聞の写しであるところ、その下欄に被請求人による「サブライセンシー募集」との広告が掲載され、ここに本件商標と「SIERRA」の文字とが組み合わされた標章が矩形内に表示され、その下部に「世界有数のアウトドアブランドSIERRA」との表示がされていること。
(2)本件商標の指定商品は前記したものであるところ、これらはアウトドアスポーツにおいても使用されることがあり、また、引用商標の使用に係る商品「マウンテンパーカ」と同一又は類似する商品を含むものである。
(3)本件商標は、引用商標から文字を除いた図形標章と同一といえる程度に酷似する構成であり、この図形が請求人により、被請求人に係る事業又はその使用に係る引用商標と全く無作為に任意に採択されたものとは到底認め得ないものである。
(4)以上の(1)ないし(3)を総合すれば、引用商標は、日本国内において本件商標出願前に、商品「テント、寝袋、マウンテンパーカ」などに使用され、本件商標の指定商品に係る取引者・需要者間において知られ得る状態にあったと認めて差し支えないものである。そして、被請求人は、本件商標の商標登録願の願書記載に係る被請求人の業務との関係において、前記取引の実情を知悉し得る立場にあったといえるところ、請求人標章(引用商標)が我が国において登録されていないことを奇貨として、これと酷似する商標を採択し、本件出願をなし登録を得たものであろうことを推認するのに充分である。
また、甲第8号証により明らかとなった被請求人による広告掲載行為は、当該新聞の読者に、恰も被請求人が請求人から引用商標に係るライセンスを得ているかのような認識を与えるものであって、そのようなライセンス契約があったとの事実は客観的に明らかでなく、また、仮にあったとしても、本件商標の登録後のものでしかないから、本件商標の登録時においてその採択・出願行為に作為的なものがあったと認められる以上、被請求人による本件商標の採択・出願行為は社会的穏当性を欠くものであって、本件商標は公の秩序を害するおそれがあるものというべきであり、その登録を是認することはできない。
そして、上記の各認定を覆すに足りる証左は見いだせない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたというべきであるから、その登録は同法第46条第1項第1号の規定により無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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