結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30296号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1本件商標
本件登録第712287号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和40年2月6日に登録出願され、別記に示すとおりの構成よりなり、第31類「調味料、香辛料、乳製品、動物性油脂、加工油脂」を指定商品として、昭和41年7月4日に設定登録されたものである。
2請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、その指定商品中請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)平成10年7月8日付答弁書に対する通り弁駁として
(イ)被請求人は、本件商標が「被請求人の会社を象徴する社章として用いられているとともに、同人の製造販売に係る各種の食用油脂、ドレッシングその他の調味料、乳製品、乳等を主要原料とする食品、薬剤等並びに輸出用製品の商標として永年に亘って常に使用された結果、日本国内は勿論のこと世界的に周知著名なる商標であると主張している(乙第1号証及び同第2号証)。しかしながら、これらの証拠には本件商標と実質的に同一の商標が示されているものの、いずれも「植物油(Vegetable oil)」を指定商品とする登録第382091号が単に掲載されているに過ぎない。その商標の著名性云々は本件取消審判事件について全く無関係の事項に属する。
(ロ)被請求人は、本件商標の指定商品中の「乳製品」に関して、食品衛生法第21条の規定による「乳製品製造業」に関する営業許可申請書を提出した結果、「乳製品製造業」、「乳等を主原料とする食品」の営業許可を受け、現在に至る迄継続して「乳製品製造」、「乳等を主原料とする食品」の業務を実施していると主張し、乙第3号証ないし同第5号証の営業許可申請書、同第6号証ないし同第8号証の営業許可証及び同第9号証の「食品設計企画書」を提出している。
食品衛生法第20条には、「都道府県知事は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業 ... であって、政令で定めるものの施設につき、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。」とあり、同第21条第1項(括弧内は現行法)には、「前条に規定する営業を営もうとする者は、(厚生)省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。」と規定されている。
而して、同第3号証の営業許可申請書(申請区分:新規)に含まれる「設備共用に関する件」には、乙第3号証の通り記載されている。
同第6号証は、同第3号証の新規営業許可申請に係る営業許可証(帳票番号2597)であり、同第4号証及び同第5号証は帳票番号2597の営業許可の更新申請書である。同第7号証及び同第8号証は、これに相応する営業許可証である。
したがって、被請求人が「乳製品」製造業の許可を得て製造していると主張する製品は、「配合に関しては現状の製造マーガリンと同様の原材料、添加物を使用し、乳脂肪の量を変えるだけの乳等を主要原料とした食品(乳脂肪50%入りマーガリンタイプ油脂加工品)」であることは明白である。
さらに、被請求人は、同人作成の「食品設計企画書」(乙第9号証)には、該証拠に記載された商品(商品名「トルディオン」)の種類、原材料名は、乙第3号証の「営業許可申請書」末葉に記載された数値と一致しており、商品「トルディオン」が営業許可を受けた商品に該当するものであることが立証されると主張する。多少の数値のばらつきはあるものの、確かに乙第9号証及び同第3号証に記載された商品は、その配合等において実質的同一性が認められる。したがって、被請求人が仮に商品「トルディオン」を製造販売していたというのであれば、乙第3号証ないし同第9号証の全趣旨に徴して、「配合に関しては現状の製造マーガリンと同様の原材料、添加物を使用し、乳脂肪の量を変えるだけ」の「乳等を主要原料とした食品(乳脂肪50%入りマーガリンタイプ油脂加工品)」の製造を行っていたに過ぎない。
しかも、乙第9号証第1頁には、「トルディオン」の用途が「製菓全般」であり、「バターよりも製菓機能は優れている。」とある。その第2頁には成分組成が「マーガリンのJAS法」により記載され、「使用上の注意」として、「水分が含まれていますので、フライ用には使えません。」と記載されている。乳製品をフライに使用することは常識的に有り得ない。用途が製菓全般であり、わざわざフライに使用することを禁じているのであるから、「トルディオン」は食用油脂として使用され、取引される商品であるといわざるを得ない。当該商品は、商標法上は食用油脂(加工油脂)に属する商品であると思料する。
食品衛生法上の営業許可申請手続において「乳製品」その他の商品として取り扱われている商品が、法目的、対象を異にする商標法における指定商品としての「乳製品」と同一であるとは言えない。現に、乙第3号証に含まれる「設備共用に関する件」には、「マーガリン・ショートニング製造業、食用油脂製造業、食品製造業(調理用油脂加工製品)の各許可を受け営業しておりますが」であるとか、「設備共用に関する衛生的安全性確保証明理由 工場建屋及び原材料調合設備は共用しているが、マーガリン、ショートニング、食用油脂、フイリングの各製造充填ラインは個別となっています。」と記載され、「マーガリン」、「ショートニング」等が「食用油脂」とは異なる商品として並列的に記載されている。乙第3号証ないし同第5号証の「他許可取得業種」の欄にも、「マーガリン」、「ショートニング」が「食用油脂」と異なる商品として並列的に記載されている。「マーガリン」及び「ショートニング」は、特許庁において「食用油脂」として取り扱われている商品である。食品衛生法上の「乳製品」についても、これが直ちに特許庁において「乳製品」として取り扱われている商品であると結論付けることはできない。よって、食品衛生法上の「乳製品」等についての営業許可を取得したからといって、法趣旨、規制対象等を全く異にする商標法の下で登録された本件商標の指定商品「乳製品」を製造しているという主張を補強する証拠にはならない。
東京高裁昭和53年(行ケ)第128号(昭和57年2月16日判決。上告棄却)(甲第2号証)においても、「指定商品としての右『家畜及び家禽の合成飼料』とは、広く、牛、馬、豚、鶏などの飼養動物に与える食物であって、二種類以上のものを合して一つの状態をなすようにされたものと解すべく、必ずしも、飼料の品質改善に関する法律、その改正法律等に定められた「飼料」(...これには、たとえば、馬の飼料が含まれないとされることもあり得る。)と一致するものではなく(このことは、商標関係の法規と行政関係の法規とでは、規律の日的、対象を異にすることに徴しても明らかである。)...」と判示されている。
上述の通り、被請求人が営業許可を得て製造していると主張する商品は、「配合に関しては現状の製造マーガリンと同様の原材料、添加物を使用し、乳脂肪の量を変えるだけ」の「乳等を主要原料とした食品(乳脂肪50%入りマーガリンタイプ油脂加工品)」であり、当該商品は特許庁において食用油脂(加工油脂)として取り扱われている商品であると思料する。
(ハ)乙第1号証及び同第2号証は、本件商標と実質的に同一の商標が著名であると信ずる旨の被請求人の所信表明のために提出されているに過ぎず、本件商標の使用事実の立証に関しては何らの証拠価値が無いことは前述した。
本件商標の使用事実を立証するためには、本件商標と関連付けられた実際の取引書類等の証拠を提出すべきところ、乙第3号証ないし同第8号証は、これとは全く無関係の単なる営業許可申請書及び営業許可証であり、本件商標の現実の使用事実を立証する証拠として採用することを得ない。
乙第9号証は、単なる社内文書たる商品設計企画書であり、これも本件商標が実際に取引において使用されていたという現実の使用事実を立証するには、何らの証拠価値を有しない。
乙第10号証のみが、僅かに被請求人が「乳製品」につき本件商標を使用していたと主張する証拠として検討に値するものであるが、乙第10号証は、内容物が不明の単なる金属製の缶に、本件商標及び「トルディオン」なる標章を付したラベルが貼付された写真であるに過ぎない。被請求人は、缶に貼付したラベルの賞味期限の欄に「98.10.10」の文字が表示されており、乙第9号証に、当該商品の賞味期限は製造日より8ヶ月間であると記載されているから、本件審判の請求前の98年2月10日に製造されたものである旨主張する。しかしながら、ラベルに賞味期限として記載された「98.10.10」の文字は、商品の説明書中の他の文字に比して異様に克明に表示されており、不自然さを免れ得ない。乙第10号証の作成のために作為が加えられたことを推測させるに十分である。この種の証拠が不使用取消審判請求後、取消を免れるために作成されることはしばしば経験するところであり、その作成も容易であることは周知の事実である。
よって、乙第9号証が真正に成立したものであるかにつき、重大な疑義がある。
(ニ)請求人は、本件審判の請求前に被請求人側の調査を行い、同人が本件商標の指定商品中「乳製品」の製造販売等を行っていないことを確認の上で本件審判の請求をした。仮に、被請求人が本件商標を指定商品「乳製品」について真に使用していたというのであれば、需要者、取引者に乳製品として認識され取引されている商品について、本件商標の使用と関連付けられた納品書、請求書その他の現実の取引を立証する取引書類等を提出することが出来る筈である。被請求人の主張は、現実の取引を立証するに足るだけの証拠価値のある、かつ真正に成立した証拠であることが合理的に推認し得る証拠をもって立証されていないから、被請求人が「乳製品」について本件商標を使用していたとの主張は理由がない。
被請求人は、「本件審判請求は、成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び請求人の弁駁に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証を提出した。
(1)本件商標及び指定商品に関する使用事実について
(イ)本件取消審判の対象となっている商標に関する使用事実に関して
本件取消審判の対象となっている商標は、細線で描いた菱形輪郭内に、被請求人日清製油株式会社の英文社名「THE NISSHIN OIL MILLS,LTD.」の頭文字「NOM」の欧文字3字を太線をもって横書きした構成よりなるものである。
そして、この商標は、被請求人の会社を象徴する社章として用いられているとともに、同人の製造販売に係る各種の食用油脂、ドレッシングその他の調味料、乳製品、乳等を主要原料とする食品、薬剤等並びに輸出用製品の商標として永年に亘って常に使用された結果、日本国内は勿論のこと世界的に周知著名なる商標なることは、例えば、特許庁監修・商標研究会編・商標研究会発行「日本商標大辞典(TRADEMARKS OF JAPAN)」(乙第1号証)及びThe Japanese Patent Office編集Japanese Group of AIPPI発行「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN」(乙第2号証)の記載事実に徴しても明白なことである。
(ロ)本件取消審判の対象となっている指定商品「乳製品」に関する使用事実に関して
請求人が、本件取消審判の対象としている商標権に係る指定商品中の「乳製品」に関しては、本件商標の権利者である日清製油株式会社の横浜磯子工場において、平成4年2月4日、平成7年2月9日及び平成10年2月20日付けをもって、食品衛生法第21条の規定による「乳製品製造業」に関する営業許可申請書を提出した。
そして、その後、平成4年2月26日付け「横浜市衛公指令第102号」、平成7年3月7日付け「横浜市衛公指令第81号」及び平成10年3月18日付け「横浜市衛食品指令第31号」をもって、「乳製品製造業」「乳等を主原料とする食品」の営業が許可され、以来、現在に至る迄継続して「乳製品製造」「乳等を主原料とする食品」の業務を実施している次第である。
(ハ)しかして、上記被請求人の主張を立証するため、下記の事実を提示する。
(a)平成4年2月4日付けをもって、日清製油株式会社横浜磯子工場が、食品衛生法第21条の規定により、横浜市磯子保健所に提出した「乳製品製造業」に関する営業許可申請書(乙第3号証)。
(b)平成7年2月9日付けをもって、日清製油株式会社横浜磯子工場が、食品衛生法第21条の規定により、横浜市磯子保健所に提出した「乳製品製造業」に関する営業許可申請書(乙第4号証)。
(c)平成10年2月20日付けをもって、日清製油株式会社横浜磯子工場が、食品衛生法第21条の規定により、横浜市磯子保健所に提出した「乳製品製造業」に関する営業許可申請書(乙第5号証)。
(d)平成4年2月26日付け日清製油株式会社宛の横浜市衛公指令第102号による食品衛生法第21条の「乳製品製造業営業」「乳等を主原料とする食品」に関する営業許可証(乙第6号証)。
(e)平成7年3月7日付け日清製油株式会社宛の横浜市衛公指令第81号による食品衛生法第21条の「乳製品製造業営業」「乳等を主原料とする食品」に関する営業許可証(乙第7号証)。
(f)平成10年3月18日付け日清製油株式会社宛の横浜市衛食品指令31号による食品衛生法第21条の「乳製品製造業営業」「乳等を主原料とする食品」に関する営業許可証(乙第8号証)。
(g)1991年10月9日制定 1996年7月1日改正の日清製油株式会社食品開発センター作成の「乳等を主要原料とする食品」の「食品設計企画書」(乙第9号証)。
ここでは、同証に記載された商品(商品名「トルディオン」)の種類、成分、原材料名は、前述の「営業許可申請書」(乙第3号証)末葉に記載された数値と一致しており、上記商品「トルディオン」が営業許可を受けた商品に該当するものであることが立証される。
(h)日清製油株式会社の製造販売に係る「乳等を主原料とする食品(乳製品)」の現物写真(乙第10号証)。
ここでは、同証のラベルの賞味期限の欄に「98.10.10」の文字が表示されているが、前述の「商品設計企画書」(乙第9号証)に、この商品の賞味期限は「製造日より8ヶ月間」である旨記載されており、したがって乙第10号証に示された商品は98年10月10日より8ヶ月前、すなわち98年2月10日に製造されたものであることが立証される。
以上に示す各事実に徴しても、先に申し述べた被請求人の主張は信態性のあることと思料する。
(ニ)したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に商品「乳製品」について、本件商標を使用していたこと明白である。
(2)平成10年12月1日付け請求人の提出に係る弁駁書の答弁として
(A)被請求人の商品「トルディオン」が食用油脂(加工油脂)である旨の請求人の主張について
(イ)請求人の主張の根拠
(a)乙第3号証に、「トルディオン」が配合に関しては現状の製造マーガリンと同様の原材料、添加物を使用し、乳脂肪の量を変えるだけの乳等を主要原料とした食品(乳脂肪50%入りマーガリンタイプ油脂加工品)である旨記載されている。
(b)乙第9号証に、「トルディオン」は水分が含まれているからフライ用に使用できないとの注意書きがあるところ、乳製品をフライ用に使用することはないから、「トルディオン」は食用油脂として取引される商品である。
(c)乙第3号証ないし同第5号証に、マーガリン、ショートニング等が食用油脂とは異なる商品として並列的に記載されているところ、特許庁ではマーガリン、ショートニングを食用油脂として取扱っている。よって、食品衛生法上の乳製品について営業許可を取得したからといって、法趣旨、規制対象等を異にする商標法の下で登録された本件商標の指定商品「乳製品」を製造していることにならない。
(ロ)請求人の主張に対する反論
(a)商品及び役務の区分に基づく類似商品・役務審査基準によれば、乳製品と食用油脂とは非類似商品と推定されている。ここで特許庁における商品の類否判定の一般的基準は、商品の生産部門、販売部門の同一性、原材料、品質の同一性、用途の同一性、需要者の範囲の同一性及び完成品、部品の関連性である。
(b)そこで、これを本件についてみると、「トルディオン」は乳等を主要原料とした、乳脂肪を50%以上含むもので、製菓全般に用いられ、バターより製菓機能が優れた商品であるから、普通の食用油脂、マーガリン、ショートニングとは原材料、品質、用途、需要者の範囲を異にし、バターと同様に乳製品に属する商品である。
(c)請求人は乙第3号証の「現状の製造マーガリンと同様の原材料、添加物を使用し、乳脂肪の量を変えるだけ」との記述を引用し、「トルディオン」がマーガリンと大差ない商品であるかの如き主張をしているが、上記引用部分は、食品衛生法に基づく営業許可申請書においてマーガリン製造設備を共用するに当たり、設備共用に関する衛生的安全性確保証明理由として記載されたに過ぎないものであり(乙第3号証)、そのことのみをもって「トルディオン」をマーガリンと同一視することはできない。
(d)請求人は、食品衛生法上の乳製品について営業許可を取得したからといって、法趣旨、規制対象等を異にする商標法の下で登録された本件商標の指定商品「乳製品」を製造していることにならない旨主張する。しかし、かかる主張の根拠は、乙第3号証ないし同第5号証に、マーガリン、ショートニング等が食用油脂とは異なる商品として並列的に記載されているのに対し、特許庁ではマーガリン、ショートニングを食用油脂として取扱っているというに過ぎない。」ことと「トルディオン」の帰属とは何の関連もない。
(e)請求人は、食品衛生法と商標法は法趣旨、規制対象等を異にすると主張するが、それは当然である。(なお、請求人は、この主張を裏付けるものとして判例(甲第2号証)を提出しているが、これは飼料に関するものであり、本件とは何の関係もない。)
しかし、商標法における商品の類否は前述の一般的基準が適用されるところ、その適用に際して、商標法が全く独自に判断するはずもない。その場合に、例えば食品衛生法が公衆衛生の見地から立法されたものであるとすれば、公衆衛生が重視される商品については商標法でも共通した考え方をとることが妥当であり、また商標法が食品衛生法における位置づけを全く無視することはできないと思料する。
これを本件についてみると、「トルディオン」のような商品の帰属に食品衛生法の位置づけを導入しても、なんら不都合がないばかりか、むしろ商標法の法目的に良く合致すると考える。そうとすれば、「トルディオン」は食品衛生法と同様に商標法においても乳製品に属するものであるといわなければならない。
(B)被請求人が使用事実立証のため提出した証拠の価値がない旨の請求人の主張について
(イ) 請求人の主張の根拠
(a)乙第3号証ないし同第8号証は、取引書類と無関係の単なる営業許可申請書及び営業許可証であり、本件商標の使用事実を立証する証拠として採用できない。
(b)乙第9号証は、社内文書である商品企画書であり、使用事実を立証しない。
(c)乙第10号証の賞味期限の文字は作為が加えられたと推測され、疑義がある。
(d)被請求人は、取引書類をもって使用を立証していない。
(ロ)請求人の主張に対する反論
(a)乙第3号証ないし同第5号証に示す営業の種類「乳製品製造業」に関する営業許可申請書及びこの営業許可申請書に基づく乙第6号証ないし同第8号証に示す営業の種類「乳製品製造業」「乳等を主原料とする食品」に関する営業許可証は、食品衛生法第21条の規定に基づき、商品「乳製品の製造販売」を営利目的とした事業を営むことを許可された法的利益を目的とする証明書であることは明らかである。
そして、平成4年2月26日付けをもって、平成7年2月25日までの営業許可期間の営業許可証が発せられて以来、平成7年3月7日付けをもって、平成10年2月25日まで営業許可期間の営業許可証が発せられ、さらに、平成10年3月18日付けをもって、平成17年2月25日までの営業期間の営業許可証が発せられた事実によっても明らかなように、平成4年2月26日以来現在に至るまで継続して営業許可を受けている事実が示すことによっても、本件商標を商品「乳製品」についての使用事実を立証するに足りないとする請求人の主張は当を得ていないこと明白である。
(b)乙第9号証に示す「商品企画書」は、商品「乳等を主要原料とする食品」に付するラベルに表示するための企画書であり、これに基づくラベルが商品「乳等を主要原料とする食品」に付されて使用されている事実は、乙第10号証に示す商品「乳等を主要原料とする食品(乳製品)」の現物写真によって明らかであるから、これをもって、本件商標を商品「乳製品」について使用する事実を立証するに足りないとする請求人の主張は当を得ていないこと明白である。
(c)請求人は、乙第10号証の賞味期限の文字は作為が加えられたと推測され、疑義がある旨述べている。
このような請求人の主張は何を根拠にして言うのか、被請求人としては知りたいところである。
4当審の審尋
被請求人は、本件登録第712287行商標取消事件に対して、平成10年7月8日及び同第11年2月8日付けで答弁書を提出し、そこで登録商標の使用を証明するものとして乙第1号証から同第10号証を提出しているが、本件商標が付された商品はどのような流通経路を経て、誰に販売されているのか具体的な取引事実を示す書類等を提出されたい。
5審尋に対する被請求人の回答
(1)審尋に対する第1回回答(平成11年6月22日)
乙第6号証ないし同第10号証に対して、「本件商標が付された商品の流通経路及び販売先、取引事実」の提出を求めたところ、証拠方法として、乙第11号証ないし同第15号証を提出した。
(イ)商品の流通経路及びその取引の事実を示す事項に関して商品「乳等を主原料とする食品」(乳製品)(品名 トルディオン ポンド500G)の販売に関する流通経路は、例えば日清製油株式会社大阪支店より、1次代理店である商事会社を通して、2次代理店である製菓材料問屋に販売され、ここから菓子、パン製造販売等の食品業または3次代理店に納入されている。
この事実は、日清製油株式会社の請求書「期間平成9年12月16日から12月31日」に第11号証に示す証拠書類参照)、「期間同」(乙第12号証)、「期間平成10年1月16日から1月31日」(乙第13号証)、「期間平成10年2月1日から2月15日」(乙第14号証)に記載されている。
(ロ)日清製油株式会社の製造販売に係る「乳等を主原料とする食品」(乳製品)の現物写真
前記、(1)の項において示す、日清製油株式会社の請求書に記載されている商品「乳等を主原料とする食品」(乳製品)(品名トルディオンポンド500G)の現物写真を提出した(甲第15号証)。請求書の内容については、商取引上の慣習として、企業秘密を原則としている。
(2)第2回回答 (平成11年9月3日)
(イ)平成11年4月23日付け審尋書に対し、平成11年7月22日付け「回答書」において、
(a)日清製油株式会社の請求書(乙第11号証ないし同第14号証)及び同請求書に記載されている商品「乳等を主原料とする食品」(乳製品)(品名 トルディオン ボンド500G)の現物写真(乙第15号証)を提出した。
(b)前記(1)の項に示す商品の流通経路及びその取引の事実をより明確にするたの「受領書」及び「受払明細」を提出した。
○受領書
平成9年12月1日に商品「トルディオン」他を、運送会社である斉藤商運が日清製油株式会社の事業場に引き取りに来た際に、斉藤商運の社員(運転手)が商品を受領したもの。この商品は、斉藤商運の車によって同社の親会社である株式会社KRS八王子営業所に届けられた。
○売上・受払明細
平成9年12月から平成10年2月の期間に「トルディオン」が納入された店名のりスト。納入先は、2次代理店又は製菓材料問屋である(乙第17号証)。
(3)第3回回答書 (平成11年9月3日)
商品の流通経路及びその取引の事実をより明確にするため、証拠資料中の日清製油株式会社の請求書(乙第11号証ないし同第14号証に示す証拠)に関し、1次代理店である商事会社および2次代理店である製菓材料問屋の名称を削除していない日清製油株式会社の請求書(乙第18号証ないし同第21号証)を提出した。
(1)よって判断するに、被請求人の提出している、乙第3号証ないし同第8号証は、営業許可申請書及び営業許可証であり、これにより被請求人は「乳製品製造」を行っていることが認められる。そして、乙第9号証、同第10号証及び同第15号証によれば、「トルディオン」なる商品が「乳脂肪、食用精製加工油脂、生クリーム、粉乳、食塩、乳化剤、香料、着色料(カロチン)」を原材料にして造られ「バターよりも製菓機能は優れている」商品であることが確認し得るものである。また、乙第11号証ないし同第14号証、同第16号証ないし同第21号証は「トルディオン」の「請求書」、「受領書」、「売上・受払明細検索」、「請求書」である。
(2)ところで、商標法施行規則別表中の「乳製品」は、「牛乳等の動物の乳及びこれらを加工したものが含まれる。」、そして、例示の「バター」は「天然のバターに限られる。」とされている。
なお、「マーガリン」は食用油脂中の「加工油脂」に属し、そして「加工油脂」には、上記「マーガリン」の他に「食用硬化油、ショートニング」等が含まれるものとされている。
(3)そして、被請求人が本件商標を使用しているとする商品「トルディオン」は「バターよりも製菓機能は優れている。」(乙第3号証、同第9号証ないし同第10号証)と述べていること、及び審尋の回答を総合勘案すれば、その取引先は主に製菓業者であることから、該商品は、「加工油脂」に属するショートニングに近似した商品であると判断するのが相当である。
(4)そうとすると、被請求人が、本件商標を付して使用しているという「トルディオン」なる商品は、本件取消し請求に係る指定商品「乳製品」ではなく「加工油脂」と認められるものである。
(5)してみれば、本件商標は、被請求人によって 本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について使用されていたものとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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