Trademark Appeal Case
著名商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91435号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4296055号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年5月7日に登録出願され、「ポロネーズ」の片仮名文字と「POLONAISE」の欧文字とを二段に横書きしてなり、第24類「織物、メリヤス生地、フェルト及び不織布、オイルクロス、ゴム引防水布、ビニルクロス、ラバークロス、レザークロス、ろ過布、布製身の回り品、シャワーカーテン、のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」、及び第25類「被服、履物」を指定商品として、平成11年7月16日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人(以下、「申立人」という)の異議理由
(1)申立人は、米国ニューヨーク州所在のリミテッド パートナーシップであり、その関連会社やライセンシー及び販売店を通して、被服や眼鏡類及びフレグレンスその他のファッション関連商品の世界的な製造・販売に携わっているものである。
申立入がライセンシーや販売店等を通じて製造・販売している商品は、申立人の主な構成員の一人であり世界的に著名なデザイナーであるラルフ・ローレンによって主にデザインされたものである。英国の伝統を基調としそれに機能性を加えたデザインと、卓越した製造技術並びに一貫した品質管理による良質の製品は、本拠地である米国のみならず日本を含む数十ヵ国に及ぶ世界の国々において、多くの消費者から高い評価を得ており、現在では世界的規模で事業を展開している。
申立人は、申立人が取扱う商品の商標として「Polo」又は「POLO」(以下単に「Polo」という)又は「Ralph Lauren」の欧文字又は「馬に乗りポロ競技をしている人」の図形(以下「ポロプレーヤーマーク」という)」の標章を単独又はそれらを組合わせて長年使用している。そして、それらの標章は(2)において立証する通り、本件登録出願前から既に周知・著名となっているものである。
(2)「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」標章の著名性について
「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」標章は、本件登録出願前より申立人に係る商品を表彰する商標として既に周知・著名となっているものである。その事実を以下に示す。
(イ)商品のカタログ誌「男の一流品大図鑑」(昭和53年発行)において、特集記事「一流ブランド物語」の中で、「ポロ」(Polo)及び「ポロプレーヤーマーク」が著名服飾デザイナーであるラルフ・ローレンによってデザインされた商品を表彰するブランドであり、’68年にポロ社を創立してから僅か10年で世界的著名なブランドとなったことが明記されている。このカタログ誌は世界的に信用の確立している商品を選別し掲載した年刊誌であり、編集スタッフに各商品分野の専門家を起用してその内容に付いて高い信頼性を得ているものである。そして毎号「一流ブランド物語」のタイトルのもとに特に著名なブランドを厳選し、そのブランド商品の特色やデザイナー、ブランドの歴史等を特集して紹介している。
ラルフ・ローレン及びその使用商標が、かかる高い評価をされているカタログ誌の特集記事に掲載されたということは、陶磁器や家具など他の分野で掲載されている著名ブランドに互して、「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」の標章が衣服の分野において一流ブランドであり、またこの時代(遅くとも’78年)既に著名になっていた事を証明しているに他ならないものである(甲第3号証)。
なお、「Polo」標章を使用する広告の実例を甲第4号及び同第5号証として提出する。
(ロ)日本におけるPolo(ラルフ・ローレン)の商品は、西武百貨店が昭和52年(’77年)からライセンシーの権利を取得しその製造、販売を行ってきたが、その後松屋、東急、大丸、阪急等のデパート内へインショップを出店し、また昭和62年から鎌倉、東京の銀座、原宿に相次いで大型専門店を開設している(甲第11号証)。なお、申立人の商品だけを扱うデパートのインショップや専門店は「ポロ・ショップ」と呼ばれ現在日本に約300店舗余り存在している。
その後、昭和63年(’88年)に西武百貨店における申立人商品を取り扱う部門が独立し、株式会社ポロ・ラルフローレン・ジャパンが設立されより一層の宣伝・販促費を費やし申立人商品の普及に努めている。なお、かかる宣伝活動の際も「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」が使用されていることは勿論である。かかる広告宣伝活動の結果、日本における申立人商品は、昭和52年(’77年)の5億円余であったものが順次売上げを伸ばし現在では年間900億円近い売上げを誇る日本でも有数の人気の高いブランドの一つとなっている。このことは、申立人の「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」標章が、申立人商品を示すものとして短期間に日本における周知・著名性を獲得し継続していることを示すものである。
(ハ)甲第10号証は平成1年5月にラルフ・ローレンブランドの偽ポロシャツについて、警視庁が不正競争防止法違反容疑で捜査を行ったことを報じた新聞記事であるが、その記事中で「Polo(ポロ)」及び「ポロプレーヤーマーク」が申立人の著名な商標であることを報じている。我が国において不正競争防止法に基づく刑事事件は、著名性の立証が困難などの理由により立件されるのは希であるが、上記事件が立件されたことは、申立人の商標である「Polo」(ポロ)及び「ポロプレーヤーマーク」が不正競争防止法の下で刑事事件として保護されるほど著名であることを証明しているに他ならないものである。
(ニ)申立人の使用する「Polo」及び「ポロプレーヤーマーク」並びにそれらを組合わせ標章が被服類及び眼鏡の取引関係者・需要者間において広く認識されていたことは、東京高等裁判所(「Polo Club」事件)及び東京地方裁判所(「Polo Crocus」事件)の判決において既に認められているところである(甲第7号証及び同第8号証)。また、多くの商品分野における異議決定においても申立人の主張が是認されている。その一部を証拠として提出する(甲第9号証の1乃至同号証の7)。
上記証拠及び申立人による異議申立てが認められた他の登録出願の商標について通観すると、それらの商標の態様及び描写方法は多種多様であって混同の生ずるとされる範囲はかなり広いと言える。即ち、図形部分の差異に関する判断については、馬の向きが反対のもの、マレットの位置が相違するものであっても両者の類似性は認められており、さらに、ポロ競技者の姿勢、ポロ競技者数及び馬の頭数等の差異を有していてもそれらが「ポロプレーヤーマーク」と構成の軌を一にするとされている。また、「Polo」の文字を含む文字標章については、全体としてよく知られた観念を有しない場合においては殆どが混同を生ずると認定されている。そして、騎乗のポロプレーヤーの図形と「Polo」の文字を含む欧文字を組合せた登録出願の商標についても然りである。このように、「騎乗したポロプレーヤーの図形」及び「Polo」を含む文字商標について混同の範囲がかなり広く認められているのは、申立人の使用標章が商標として高い出所表示機能を有していることが認められているからであって、それと構成の軌を一にする、或は「Polo」の文字を一部に有するかかる商標は、例え細部において多少の差異があっても時と所を異にして見た場合は出所の混同を生ずると判断されたと言えるものである。
上述の通り、「ポロプレーヤーマーク」又は「Polo」又は「Ralph・Lauren」並びにそれらを組合せた標章は、申立人及びその関係者によって製造・販売される商品の商標として使用しており、それらの標章はラルフ・ローレンの服飾業界における活動並びに申立人の世界的規模での事業展開を通じて、遅くとも本件商標出願前には日本の被服業界はもとより一般消費者の認識に定着し、その著名性が確立したものとなっていたものである。
(ホ)混同の生ずる必然性
本件商標は、「ポロネーズ」及び「POLONAISE」の文字よりなるところ,該文字は「器楽の一種であるポーランドの舞曲」を意味するが特殊な分野での用語であるところから普遍的な成語ではない。したがって、本件商標は、申立人の著名標章である「Polo」と他の文字とを結合したものと認識されるものである。
たしかに、本件商標は、申立人が使用する「Polo」標章とは差異を有することは明らかであるが、店頭で販売されることの多い本件指定商品を購入する一般需要者が、時と所を異にしてそれらの商品に付された「Polo」を含む欧文字からなる標章を通常払う注意力で見た場合に、本件商標が全体として何ら特定の観念を有するものではなく、かつ、上述の通り申立人の使用する「Polo」の標章が商標として高い出所表示機能を有しているところから、例え細部において多少の差異があっても著名な申立人の「Polo」と何らかの関係がある商品であると認識・理解されるものであると言うのが相当である。
また、近時の企業における取扱商品及びサービスの多様化、ボーダレス化はー般的な潮流であり、この傾向は所謂ブランドオーナーの取扱う商品についても言い得ることであって、本件の指定商品についても多くのオーナーブランドが進出しているところである。
申立人も主たる商品である被服類以外に眼鏡や香水その他のファッション関連商品を総合的に製造・販売しており、本件指定商品についても取扱っているものである(甲第6号証)。
したがって、本件商標は、申立人が使用して著名となっている標章「POLO」をそのー部に含むものであるから、これを指定商品に使用したときは、取引者.需要者をして、申立人又はその関係者によって製造・販売されている商品のー種であると誤認し、商品の出所について混同を生ずることが必定と言うべき商標である。
(ヘ)むすび
本件商標は、申立人が、その業務に係る被服類、眼鏡等の商品に長年使用し、広く一般に知られている標章「POLO」の文字をその一部に有してなるものであるから、これをその指定商品に使用した場合は、商品の出所について混同を生ずること必定である。
したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
よって判断するに、申立人が「被服、眼鏡」等に使用する「POLO by RALPH LAUREN」、「馬に乗りポロ競技をしている人の図形」よりなる商標が「POLO」、「polo」、「ポロ」(以下、これらを「引用商標」という。)とも略称して称呼され、これが取引者・需要者間に広く知られていることは、申立人が提出している甲第2号証乃至同第10号証により知ることができる。
ところで、本件商標は、上記のとおり「ポロネーズ」、「POLONAISE」の各文字を上下二段に書してなるものである。そして、該文字は、我が国で「ポロネーズ」と称呼され、「ポーランド特有の歌曲及び舞踊」(広辞苑)を意味する語と親しまれ使用されているのが実状である。
そうとすれば、本件商標は、その構成中の一部に申立人の著名な商標の略称「POLO」と類似する「POLO」の文字を含んでなるものであっても、これに接する取引者・需要者は、上記実状より、該商標は「ポーランド特有の歌曲及び舞踊」を表したものと理解し、これより申立人の引用商標を想起することはないものとみるのが相当である。
更に、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼上何ら類似するものではない
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、その商品が申立人又は申立人と何等かの関係のある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれはないものと言わざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
よって、結論のとおり決定する。
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