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Trademark Appeal Case

「エムフルート」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第91624号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4306556号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4306556号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年7月27日に登録出願され、「エムフルート」の文字を横書きしてなり、第16類「紙類,紙製包装用容器」を指定商品として、平成11年8月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、甲第1号証ないし甲第18号証(枝番を含む)を提出し、その登録は取り消されるべきである旨登録異議の申立ての理由を述べている。

3 本件商標に対する取消理由

本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして商標権者に対して通知した取消理由は、つぎのとおりである。

<取消理由>

本件商標は、「エムフルート」の文字よりなるものであるところ、申立人の提出に係る証拠によれば、段ボール紙等の紙類を取り扱う業界ないしはパッケージ業界においては、段ボール紙の「段」又は「段形」(中芯の形状)を表示するものとして「フルート」(flute)の語を普通一般に用いている事実があり、その種別又は段形規格について、JIS規格(日本工業規格)においては、特に、「Aフルート」、「Bフルート」、「Cフルート」、「Eフルート」等と分類し所定の定義付けを行うと共に、当業界においては、それら表示を取引上普通に使用しているのが実情である。また、これらのほか、「Fフルート」、「Gフルート」及び「Nフルート」などと称して、前記同様に使用している状況も認められる。

かかる実情よりみて、段ボール紙の種別又は(フルートの)段形規格について「フルート」の文字にローマ文字の1字を冠して表示することは当業界において顕著な事実と認められるところ、本件商標は、ローマ文字の1字「M」の片仮名表記である「エム」と前記「フルート」の語との結合よりなるものと容易に看取されるものといえる。

そうすると、本件商標をその指定商品中の「段ボール紙」又は「段ボール紙製包装用容器」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品の種別又は段形規格を表示するための類型の一つと理解するに止まり、商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものといわなければならない。また、これを前記以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

してみれば、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

4 商標権者の意見

上記3の取消理由に対し、商標権者はつぎのように意見を述べた。

(1)本件商標は、識別力を有する商標であり、取消しを免れるべきものである。すなわち、本件商標は、片仮名を同大、同間隔に配置した「エムフルート」である。

ここで、取消理由は、本件商標は、ローマ文字の1字「M」の片仮名表記である「エム」と「フルート」の語との結合よりなるものと看取され、商品の種別又は段形規格を表示するための類型の1つと理解するに止まるとされている。

しかし、本件商標は「エムフルート」であり、「エム」の部分が必ずしも欧文字の「M」を観念するとは限らず、本件商標「エムフルート」は全体に特定の意味を持たない造語であるというべきである。つまり、本件商標は、全ての文字が片仮名で構成されており、全体に一体に結合した構成となっており、「エムフルート」の「エム」のみを分離して把握し、これを「M」の片仮名表記と認識する特段の理由はないというべきである。

例えば、過去の審決例においては、「建築又は構築専用材料」等を商品とする「ケイブロック」において、「ケイ」の部分が必ずしも欧文字「K」を示すとはいえないとする判断例が存在する(乙第1号証)。

(2)申立人も認めるとおり、現在段ボール業界においては、「Mフルート」という段形の規格は存在しておらず、仮に、需要者が「エムフルート」より「M」の片仮名表記である「エム」と「フルート」の語との結合よりなると認識したとしても、現存しない「Mフルート」を想起することは考えられず、少なくとも、段ボール業界において、「エムフルート」が商品の品質や規格を示すものとして普通に用いられている事実は存在しない。

よって、仮に「エムフルート」が「Mフルート」を意味するものと認識されるとしても、直ちに識別力がないとはいえないと判断されるべきである。

(3)以上のとおり、本件商標について取り消す旨の判断は誤りといわざるを得ない。

5 当審の判断

本件商標についてした取消理由の通知(上記3)は妥当であって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ない。

商標権者の述べる意見は、以下に述べる理由により、いずれも採用の限りでなく、先の認定を覆すことはできない。

(1)商標権者は、本件商標は「エムフルート」であり「エム」の部分が必ずしも欧文字の「M」を観念するとは限らず全体に特定の意味を持たない造語である旨述べている。

しかしながら、取消理由は、段ボール紙等の紙類を取り扱う業界ないしはパッケージ業界においては、段ボール紙の「段」又は「段形」(中芯の形状)を表示するものとして「フルート」(flute)の語を普通一般に使用していること、また、その種別又は段形規格に関し、「Aフルート」、「Bフルート」、「Cフルート」、「Eフルート」等と分類し、あるいは「Fフルート」、「Gフルート」及び「Nフルート」等と称して当業界においてそれら表示を取引上普通に使用していること、さらに、それら実情よりして当業界においては段ボール紙の種別又は(フルートの)段形規格について「フルート」の文字にローマ文字の1字を冠して表示する状況が顕著であること等の取引の実情に照らし、当業者であれば勿論のこと、この種商品の取引者・需要者は本件商標からはローマ文字の1字「M」の片仮名表記である「エム」と前記「フルート」の語との結合よりなるものと容易に看取されるとしたものであって、前記認定の種別又は段形規格の類型の一としか認識し得ないものとみるのが相当であるから、その認定・判断に誤りはない。

したがって、この点を述べる商標権者の主張は妥当でなく、採用することができない。

(2)商標権者は、現在段ボール業界においては「Mフルート」という段形の規格は存在せず、仮に、需要者が「エムフルート」より「M」の片仮名表記である「エム」と「フルート」の語との結合よりなると認識したとしても、現存しない「Mフルート」を想起することは考えられず、少なくとも、段ボール業界において、「エムフルート」が商品の品質や規格を示すものとして普通に用いられている事実は存在しない旨述べている。

しかしながら、たとえ、現在「Mフルート」という段形の規格製品が存在しないとしても、前述この種商品について類型的に使用されている取引実情よりすれば、かかる表示は将来とも一定の種別または規格を備えた製品を取引過程に置く場合、当業者であれば何人もその使用をする必要性が生じ得るものであり、また、そうとすれば、何人もその使用を欲するものとみるのが相当であるから、かかるものを特定の一私人に商標登録しその独占的使用に委ねることは、商標本来の機能・役割(自他商品の識別標識)と商標使用者の業務上の信用の維持・保護を目途とする法目的(商標法第1条)に照らし、妥当性を欠くものといわなければならない。

したがって、この点を述べる商標権者の主張は妥当でなく、採用することができない。

(3)結語

以上のとおり、商標権者の述べる意見はいずれも是認し得るものでなく、本件商標の登録は前記法条の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、その登録は商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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