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Trademark Appeal Case

称呼の音質と構音位置

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第91344号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4283142号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4283142号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年8月18日に登録出願され、「AUTOSET」の文字を横書きしてなり、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同11年6月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件商標は、昭和54年12月17日に登録出願され、「AUTOSEP」の文字を横書きしてなり、第10類「恒温器、試験管、望遠鏡用三脚、反射鏡、スライド映写機、フイルター、録音機械器具、温度計、比重計、血液検査器、心電計、体温計、注射筒、注射針、フイルム、感光剤、その他本類に属する商品」にを指定商品として、平成2年7月30日に設定登録された登録第2253854号商標(以下、「引用商標」という。)及び昭和55年1月25日に登録出願され、「オートセップ」の文字を横書きしてなり、第10類「恒温器、試験管、望遠鏡用三脚、反射鏡、スライド映写機、フイルター、録音機械器具、温度計、比重計、血液検査器、心電計、体温計、注射筒、注射針、フイルム、感光剤、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年8月30日に設定登録された登録第2256463号商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由

本件商標は、前記構成よりなる引用商標に類似する商標であって、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品と認められる。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

(1)本件商標より生ずる「オートセット」と引用商標より生ずる「オートセップ」の各称呼が互いに相紛らわしいとの認定には全く納得できない。

両称呼における差異音の「ト」と「プ」は、帯有する母音が「0」と「U」と異なっており、その発音方法は異なる。特に、本件の場合、「ト」と「プ」の前音は促音である。「ット」は密着させた舌の先と歯茎を一気に開いて発する破裂音であり、引用商標の「ップ」は両唇を併せて破裂させる両唇音で、両者は構音位置が異なる。両者とも呼気がつまって強く発音される強音同士なので、相違が明瞭である。

また、促音の前音「セ」は摩擦音で弱音なので、「セット」又は「セップ」と言うときは当然、「ト」又は「プ」が強く発音される。このように、両商標はその構成音の構音位置と音質の違いから聞き分けられるものである。

次に、本件商標と引用商標のアクセント或いは区切れについて考察するに、本件商標は「オート・セット」、引用商標は「オート・セップ」と、それぞれ前半後半に瞬時区切れるように発音される。この区切れがあることは、両者が冗長であることを示しておらず、逆に前半と後半のそれぞれが明瞭に発音されることを意味している。アクセントについては、音の高低のアクセントは「オ‐‐セ‐‐」であるが、強弱のアクセントについては、語尾音の「ト」や「プ」は日本語では強く発音されるが、本件の場合は促音を伴うので、なお一層アクセントが置かれる。したがって、音の区切れやアクセントは、両商標の区別性を逆に明瞭にしている。

更に、「SET」は、我が国でも英単語として親しまれているので一見して「セット」と明瞭に発音され、引用商標の「セップ」と紛れることはあり得ない。したがって、意味の点からも両者の違いは明瞭である。

このように、同列音でも同行音でもない商標を類似とするのは、明確な根拠がなければならないはずであるが、申立人の理由補充書中、明確な根拠は示されていない。

(2)本件商標権者は、1989年にオーストラリアで設立され、睡眠時無呼吸症候群用のCPAP装置を製造するものである。睡眠時無呼吸症候群とは、夜間、睡眠時にみられる異常呼吸の一つで、糖尿病などと並んで中年男性に患者の多い疾患である。本件商標権者の製造するCPAP装置とは、「Continuous Positive Airway Pressure system」を意味し、就寝中の人の気道を開けさせて送風機で空気を送り、各患者に合った適正圧力をみつけてマスクから圧力をかけることにより、睡眠中の呼吸を一定に保つものである。この装置自体専門的なもので、専ら病院で医師の管理の下に使用され、一台あたりの単価はかなり高額なものである。

一方、申立人は我が国でも有数のディスポーザブル(使い捨て)医療器具メーカーである。これまでに本件商標権者が調べたところ、引用商標「AUTOSEP」は、使い捨て医療機器の一環として、病院で患者から排泄された血液を収集するチューブについて使用しているとのことである。こちらは医療機械器具の中では、その部品・附属品といえるもので、使い捨てという点から、むしろ旧分類第1類でいう医療補助品に近いといえる。更に使い捨て商品という点で、単価は高いものではないと聞いている。

本件商標権者・申立人の商品は、いずれも医療機械器具の範噂に属するものであるが、これらはもとより家庭用洗剤や菓子・パンなどの一般需要者向け商品と異なり、医業に従事する需要者・取引者が通常以上の注意力をもって取り扱う性質の商品である。両者の用途が限定されていることに鑑み、たとえ商品の区分上同じ医療用機械器具の範疇に属しているとしても、取引の実状に鑑みれば両者間で具体的な混同が生じるおそれは低いといえる。

さらに、本件商標と引用商標は、オーストラリア、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ合衆国で併存している事実を主張する。

上述したように、本件商標は、申立人の引用商標と称呼において異なっており、相紛れるおそれのないものである。また、両者とも医療機械器具について使用されるものであっても、具体的に考察した場合それぞれ用途が限定されているので、出所の混同が生じるおそれはない。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、登録を維持されるべきものである。

5 当審の判断

本件商標と引用商標は、前記した構成よりなるものであるところ、それぞれの構成文字に相応して、前者は「オートセット」、後者は「オートセップ」の各称呼を生ずる。

そこで両者の称呼を比較するに、両称呼は、共に6音からなり、冒頭音を含む「オ」「ー」「ト」「セ」「ッ」の5音を共通にし、末尾(第6音目)の「ト」と「プ」の音に差異を有するのみである。そして、該差異音の「ト」と「プ」は、その音に特にアクセントがあるものとは認められないこと、無声の破裂音という調音方法に共通性を有するものであること及び比較的明瞭に聴きとりにくい末尾に位置するものであること等を併せ考慮すれば、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その全体としての語調、語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。

また、本件商標と引用商標は、「AUTOSE」までの欧文字6文字を共通にするものであって、僅かに語尾における「T」と「P」の文字にその差を有するにすぎないものであるから、両者は、その外観においても類似するものといわなければならない。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観において類似する商標であって、かつ、引用商標の指定商品中の「血液検査器,心電計,体温計,注射筒,注射針」は、本件商標の指定商品「医療用機械器具」の範疇に属するものであるから、両者の指定商品は互いに同一又は類似するものである。

なお、本件商標権者は、本件商標と引用商標の具体的な使用商品名を挙げて、両商品の非類似を主張しているが、商品の類否は、両商標の指定商品との関係で判断されるべきものであるから、この点に関する申立人の主張は認め難い。

さらに、本件商標権者の挙げる登録例は、いずれも本件とは事案を異にするものであるから、それに基づく主張は採用の限りでない。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものである。

したがって、本件商標は、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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