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Trademark Appeal Case

専門用語結合の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2000−90743(T2000−90743/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4375461号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4375461号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成11年1月22日に登録出願され、「γハイテン」の文字を左横書きしてなり、第6類「鉄及び鋼」を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立の理由

本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由

登録異議申立人の提出した甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)を徴するに、鉄鋼を取り扱う業界及び学術の分野において「ハイテン」の語は、「高張力綱(High Tensile Steel)」を略称する語として普通に使用されている事実が認められる。また、「γ」の文字は、鉄及び鋼に関し、その相(Phase)、結晶構造等を意味する語として、「γ相」又は「γ鉄(iron)」のように、普通に使用されている事実も認められる。

してみれば、本件商標は、指定商品「鉄及び鋼」について使用しても、該商品が「γ相を有する高張力綱又はγ鉄からなる高張力鋼」であることを認識するに止まり、その商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。

また、本件商標を「γ相を有する高張力綱又はγ鉄からなる高張力鋼」以外の「鉄及び鋼」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見要旨

「γ」の文字は、鉄鋼を取り扱う業界においては「鉄、相、残留.含有型、鋼、固溶体」等の様々な語と結合して、γ鉄、γ相、残留γ含有型、γ鋼、γ固溶体と表現して、はじめて特定の意味合いを有する語を構成するものであり、「γ」の文字自体は、何ら特定の意味を有するものではない。

鉄鋼を取り扱う業界の需要者は、いずれも鉄鋼の専門家であるが故に取引にあたっては専門用語を用いるものであり、商品の品質を表示するにあたっても、正しい専門用語ではない「γOOO」なる表示を使用することは決してない。例えば、「γ相を有する高張力鋼」又は「γ鉄からなる高張力鋼」である旨を表示するに当たっては、あくまで、それぞれ「γ相ハイテン」「γ鉄ハイテン」なる表示が使用されるのであり、「γハイテン」と表示したのでは、商品の品質を理解することは全くできないのである。

したがって、本件商標は、全体として特定の意味合いを有しない一体不可分の造語からなるものであり、商品の品質を表示することなく自他商品識別標識として機能し得るものである。

5 当審の判断

本件商標は、上記のとおりの構成からなるところ、商標登録異議申立人の提出に係る甲第1号証の1ないし5(「金属用語集」社団法人日本金属学会 昭和58年4月15日第3版発行)、同第2号証の1ないし3(「高等学校用 金属材料2」実教出版株式会社 昭和56年2月25日発行)、同第3号証の1ないし3(「鉄鋼の実際知識(第5版)」東洋経済新報社 昭和55年7月17日発行)及び同第8号証の1ないし4(「金属熱処理用語辞典‐改訂版‐」日刊工業新聞社 昭和60年10月30日発行)によれば、鉄鋼を取り扱う業界においては、「γ」の文字は、鉄及び鋼に関し、その相(Phase)、結晶構造等を意味する語の構成語であり、「γ相」、「γ鉄(iron)」のように使用されており、又、「ハイテン」の語は、「高張力綱(High Tensile Steel)」を略称する語として使用されている事実を認めることができる。

そしてまた、甲第4号証の1ないし4(「材料とプロセスVol.4」社団法人日本鉄鋼協会 平成3年9月3日発行)、同第5号証の1ないし4(「材料とプロセスVol.5」社団法人日本鉄鋼協会 平成4年3月3日発行)及び同第6号証の1ないし4(「鉄と鋼」社団法人日本鉄鋼協会 平成7年6月1日発行)の文献には、「残留γ含有型冷延ハイテン」、「残留γ型ハイテン」、「残留γハイテン」、「低炭素残留γハイテン」等の記載を認めることができる。

上記事実に照らしてみれば、鉄鋼を取り扱う業界及び学術の分野においては、「γ」の文字は、鉄及び鋼に関し、その相(Phase)、結晶構造等を意味する語として、又、「ハイテン」の文字は、「高張力綱(High Tensile Steel)」を表す語として、いずれも普通に使用されているということができ、しかも、「γハイテン」の文字も、他の文字と結合しているとはいえ、現に使用されているものである。

そうとすれば、「γハイテン」の文字が商標権者の主張しているように、直ちに、特定の品質の高張力綱を指称するとまではいえないとしても、これに接する取引者・需要者は、γ相を有する高張力綱あるいはγ鉄からなる高張力鋼のように、ある一定の相、結晶構造を有する高張力綱を表したものと理解・認識するにとどまるものとみるのが相当であって、「γハイテン」の文字から何人かの商標を表したものと認識することはないものというべきである。

してみれば、本件商標は、「γハイテン」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品である「鉄及び鋼」について使用しても、これに接する取引者・需要者は、該商品が「γ相を有する高張力綱又はγ鉄からなる高張力鋼」の如く、その商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、また、これを「γ相を有する高張力綱又はγ鉄からなる高張力鋼」以外の「鉄及び鋼」について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであり、通知した取消理由は、妥当なものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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