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Trademark Appeal Case

形容詞付商標の称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2000−60106(T2000−60106/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「ハウスおもちゃ」に使用するイ号標章は、登録第4197935号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

1.本件商標

本件判定請求人(以下、「請求人」という)が所有する登録第4197935号商標(以下「本件商標」という。)は、「たのしいボールハウス」の文字を一連に書してなり、第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカ−用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形」を指定商品として平成9年3月12日に登録出願、同10年10月9日にその登録がされたものである。

2.イ号標章

被請求人が「ハウスおもちゃ」の商品に使用する商標として請求人が示す標章(以下「イ号標章」という。)は、「ボールハウス」の片仮名文字よりなるものである。

3.請求人の主張

請求人は、「商品『ハウスおもちゃ』に使用するイ号標章は、登録第4197935号商標の商標権の効力の範囲に属する。」との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第15号証を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、「たのしいボールハウス」の文字よりなるものであるから、「タノシイボールハウス」、「タノシイ」、及び「ボールハウス」の称呼を生ずる。これに対し、イ号標章は、「ボールハウス」の文字よりなるものであるから、「ボールハウス」の称呼を生ずるものである。よって、両標章は、「ボールハウス」の称呼を共通にする類似の商標である。また、本件商標に係る指定商品中、「おもちゃ、人形」とイ号標章の使用商品「ハウスおもちゃ」とは同一又は類似の商品である。

(2)被請求人は、東京ビッグサイトで平成12年3月16日から19日までの4日間開催された「2000東京おもちゃショー」において、「ボールハウス」の文字からなるイ号標章を付した商品「ハウスおもちゃ」を展示した商品を掲載した「2000コンビトーイ総合カタログ」(甲第6号証)を配布した。

請求人は、平成9年5月より商品「ハウスおもちゃ」について本件商標の使用を開始し(甲第7号証)、その後も継続して使用している。しかも請求人と被請求人がディズニーの同一キャラクターを「ハウスおもちゃ」に使用している。

(3)判定請求の必要性

請求人は、本件商標の商標権者である。現在、本件商標を使用する権原なき被請求人がイ号標章を使用していることについて、平成12年4月28日、被請求人に対し前記商標登録の商標権を侵害するものである旨を通知した(甲第4号証)。これに対し被請求人は、同年5月15日、請求人に対し、前記商標登録の商標権を侵害するものではない旨を回答した(甲第5号証)。そのため、判定を求めた上で、請求人は、被請求人と話し合いをする予定である。

(4)イ号標章が商標権の効力範囲に属するとの説明

本件商標は、「たのしいボールハウス」の文字よりなるものであるから、「タノシイボールハウス」、「タノシイ」、及び「ボールハウス」の称呼を生ずる。イ号標章は、「ボールハウス」の文字を書してなるものであるから、これより「ボールハウス」の称呼を生ずるものである。

したがって、本件商標とイ号標章とは、「ボールハウス」の称呼を共通にし、商品の出所について、混同を生じさせるおそれがあるから、類似の標章というべきである。

そして、本件商標に係る指定商品中第28類「おもちゃ、人形」とイ号標章の使用商品「ハウスおもちゃ」とは同一又は類似の商品である。

この点に関して、被請求人は、甲第4号証において、「玩具」を含む商品区分において、「楽しい遊園地」と「ゆうえんち」、「たのしい汽車ぽっぽ」と「きしやぽっぽ」、「ゆかいなドライブ」とTDRIVE/ドライブ」等々は、全て非類似として併存している旨を主張、被請求人は、一般には、形容詞付の標章となしのものとでは、互いに非類似と認められて取り扱われていると述べている。しかしながら、被請求人の主張は失当であるといわざるを得ない。

すなわち、形容詞付の標章となしのもの(名詞のみ)では、非類似の商標として併存する場合とそうでなく類似の商標として拒絶される場合とがある。玩具を含む商品区分の審査実務において、被請求人が列挙した3件の審査登録例の如く、名詞部分が一般に実存しないおもちゃであれば、形容詞付の標章との間で非類似と判断される。例えば、「ゆうえんち」というおもちゃはなく、遊園地関連のおもちゃとしては、「メリーゴーランドおもちゃ」とか「コーヒーカップおもちゃ」などは存在する。また、「きしやぽっぽ」というおもちゃはなく、「汽車おもちゃ」や「電車おもちゃ」ならば存在する。さらに、「DRIVE/ドライブ」というおもちゃはなく、「自動車おもちゃ」や「飛行機おもちゃ」ならば存在する。このように、一般に玩具業界では実存しないおもちゃが名詞部分の標章である場合には、形容詞付の標章と形容詞なしのものでは、非類似の商標として審査されている。

これに対して、名詞部分が存在するおもちゃの場合には、類似する商標として拒絶されている。「ゆかいな乗りもの」に対して、「のりもの」は類似する商標として、拒絶査定されている。本件商標とイ号標章とはこの場合に相当し、イ号標章「ボールハウス」のうち、ハウスおもちゃは、業界において多数存在する。

したがって、本件商標「たのしいボールハウス」は、イ号標章「ボールハウス」とは類似する商標である。

4.被請求人の主張

被請求人は、「本件判定の請求は成り立たない。被請求人が使用するイ号標章は、登録第4197935号商標の商標権の効力の範囲に属さない。」との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出した。

(1)本件商標は、「たのしいボールハウス」の平仮名及び片仮名文字よりなり、各文字は、同じ書体、同じ大きさで一連に等間隔にて配置しており、分断されるべき記号やスペースなどはなく、一連かつ一体不可分に書してなることから、これをことさらに分断する構成上の理由はない。

これを「たのしい」と「ボールハウス」との二つの語に分断して、いずれか一方のみを表示したり、文字の配列や大きさを変えたり、或いは「ボールハウス」だけをことさら強調したりすることは、登録商標の重大な変更使用になり、却って不当な使用になる。また、本件商標の称呼は「タノシイボールハウス」と10文字で表記されるが、実際の称呼ではことさらに冗長な称呼よりなるとはいえず、一息に称呼し得る長さであるから、「ボールハウス」の部分のみを特に抽出して他の部分を略して発音する必要はない。

これに対して、イ号標章からは「ボールハウス」の称呼が生じるのみである。

してみれば、「タノシイボールハウス」のみの称呼が生じる本件商標と「ボールハウス」の称呼が生じるイ号標章とは、かれこれ混同することのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標の構成の一部に、たとえイ号標章と称呼上同様に発音する部分を含むものがあるとしても、それをもって、直ちに両商標が、称呼上相紛らわしいと判断できず、本件商標の場合、構成態様の自然で且つ密接不可分の配置と、発音語数の点からしてもイ号標章との称呼上の類似性はない。

(2)過去の登録例の検討

乙第1号証から同第10号証の事例により「たのしい○○」と「○○」、「ゆかいな××」と「××」等、感覚・気持を表す形容詞+名詞よりなる商標とこれと同一の名詞「○○」や「××」のみからなる商標が、共に「おもちゃ娯楽用具」等を指定商品に含んでいるにもかかわらず、異なる所有者によって登録されている実例が有りいずれも非類似として成立している。

これらは、請求人が主張するように、「たのしい」等の形容詞の部分と他の名詞「○○」「××」の部分とに分離してそれぞれに称呼、観念が生じるのでなく、一連一体不可分のものとして捉えられ商標全体として一連に称呼され、観念されると判断されたからである。

請求人は、「名詞部分が一般に実在しないおもちゃ」であれば、形容詞付の標章との間で非類似と判断され、「名詞部分が実在するおもちゃ」の場合には、類似する商標として拒絶されていると主張しているが、この区別は主観的で、客観性に欠ける主張である。

また、請求人は「ボールハウス」が、「実在するおもちゃ」であることを前提とした主張を行っているが、もし、そうであれば商品「おもちゃ」に付してもそれは普通名称或いは一般名称にすぎないため、「ボールハウス」自体に識別力はないはずであり、商標の類否の問題が生じることなく何人も使用できるはずである。この場合、登録商標「たのしいボールハウス」と「ボ−ルハウス」の類否を検討すると、「ボールハウス」の部分は識別力がないわけだから、前者が登録されたということは、前半部の「たのしい」の部分が単独で、又は、「ボールハウス」と結合することによってはじめて自他商品の識別標識としての機能を果たしていることになる。したがって、本件商標からは、「たのしい」或いは「たのしいボールハウス」の称呼・観念は生じ得ても、単に「ボールハウス」の称呼や観念が生じることはあり得ず、その結果、「ボールハウス」とは称呼及び観念上明らかに非類似である。

以上のように、「ボールハウス」が「実在するおもちゃ」であるなら、なおさら両者が非類似であることは明白であり、両者が類似するとの請求人の主張は極めて矛盾した論理と言わざるを得ない。

実際、乙第12号証は第三者がおもちゃについて標章「ボールハウス」を使用しているが、「ボールハウス」の用語はおもちゃの種類を表す普通名詞・一般名詞として普通に使用していると考えられ、本件商標については「たのしいボールハウス」が一体のものとして登録されたものと推定される。そうであれば、普通名詞、一般名詞である「ボールハウス」を使用しても、イ号標章は本件商標権の効力の範囲に属するものではない。例え、一般名称でないとしても、本件商標は、一体不可分であり称呼上顕著に相違し非類似の商標である。

5.当審の判断

よって判断するに、本件商標は、平仮名文字と片仮名文字とで「たのしいボールハウス」と書してなるものであるところ、その構成中前半部の「たのしい」の文字は、一般に「楽しい」ことの意味合いを表す形容詞として名詞の前に付して使用される語であり、また後半部の「ボールハウス」の文字は、特定の意味合いを有しない造語と認められ、全体として特定の観念を生じさせるものではない。

そうとすれば、本件商標に接する取引者・需要者は、前半部の「たのしい」の語はその後に続く「ボールハウス」を形容するに止まり、主に自他商品の識別機能を果たす部分は、後半部の「ボールハウス」の部分にあるものと理解し.該文字部分を捉え、これより生ずる「ボールハウス」の称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「タノシイボールハウス」の一連の称呼が生ずるほか、後半部の「ボールハウス」の文字より、単に「ボールハウス」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

これに対して、イ号標章は、「ボールハウス」の片仮名文字よりなるから、該文字に相応し「ボールハウス」の称呼を生ずること明らかである。

そうとすれば、本件商標とイ号標章とは、外観及び観念上相違するとしても、「ボールハウス」の称呼において類似する商標といえ、かつ、イ号標章に関する商品「ハウスおもちゃ」は、本件商標の指定商品中に包含されるものである。

したがって、商品「ハウスおもちゃ」に使用するイ号標章は、本件商標の効力の範囲に属するものと認められる。

よって、結論のとおり判定する。

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