Trademark Appeal Case
雑誌名と出所混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第4779号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「GQ JAPAN」の欧文字を書してなり、第24類「布製身の回り品,かや,敷き布,布団、布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳」を指定商品として、平成6年3月11日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
これに対して、原審において登録異議申立があった結果、原査定は、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶したものである。
3 当審におけるあらたな拒絶理由の通知
これに対して、当審において、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するとのあらたな拒絶理由通知を発したものである。
その理由は以下の内容のものである。
本願商標は、「GQ JAPAN」の文字を書してなるものであるが、当審で職権をもって調査したところによれば、次の事実が認められるものである。
ア.「GQ JAPAN」の文字(題号)からなる月刊誌(以下、この雑誌を「件外雑誌]という。)が、株式会社中央公 論インターナショナル社から発行されていること(平成11年5月号からは「株式会社嶋中書店」から発行)。
イ.「GQ」の文字を冠した雑誌は、米国ニューヨーク州在の、「Conde nast Inc(コンデナスト社)」が、「GQ」という統一的タイトルのもとに内容を主管して世界的に記事を配信し、それに基づいて「GQ」の文字に各国毎の国名を付記して題号として採択され、各国で発行されているものであり、日本では、上記した日本の出版社がライセンシーとなって、「GQ JAPAN」として発行しているものであること。
ウ.件外雑誌の我が国における創刊は、1993年2月であり、その内容は、主に20〜40歳台の男性を対象とした世界的なファッション情報を紹介するものであり、毎月の発行部数は約7万部であること。
しかして、本願指定商品は、日常の生活において身につけたり、使用したり、また、持ち歩いたりして使用されるものであるが、これらは、単に、使用するだけではなく、時々の用途に応じたファッション性も求められ、この種商品を取り扱う業界においても、需要者の二−ズにあったデザインやファッションの商品を随時提供している実情が認められるところであって、この種商品を取り扱う事業者は、そのデザインやファッションの世界的な傾向に注意を払い、また、その傾向に関心を抱く需要者は決して少なくないものというべきである。
一方、件外雑誌の内容は前記した、男性向けのファッション紹介雑誌であって、この種の雑誌が、我が国で相当の多種類にわたって刊行されているという事実は認め得ないことから、その創刊が1993(平成5)年2月であって、月の発行部数が約7万部であり、本願商標の出願日が平成6年3月11日であるとしても、前記の事業者・需要者が、本願商標の出願日前に、件外雑誌に接する機会は決して少なくなく、件外雑誌の題号およびその記事の内容は、本願指定商品を取り扱う事業者、および、デザインやファッションの世界的な傾向に関心を抱く需要者の間において、広く知られていたと推認しても差し支えないというべきである。
このことは、本願指定商品に係る事業を行っている請求人が審判請求書において、「本願商標と同じ商標『GQ JAPAN』がすでに、中央公論社から出版されている月刊誌の商標として一般需要者に認識されている。」と自認していることからも、推し量れるものである。
しかも、本願商標を構成するアルファベット「G」と「Q」の組み合わせが採択される確率、および、これに「JAPAN」の文字を結合して商標として採択される可能性は極めて低いというべきであって、本願商標の採択が偶然であったとみることはできず、むしろ、件外雑誌の存在が知られていたことにより、本件商標が採択される要因となった可能性が極めて高いというべきである。
そして、本願商標は、件外雑誌の題号である「GQ JAPAN」と同じ配列の文字よりなるものであるから、これをその指定商品に使用するときには、それがあたかも株式会社嶋中書店もしくは、米国の「Conde nast Inc(コンデナスト社)」の取り扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所についての誤認・混同を生じさせるおそれがある商標と判断される。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 請求人の意見
これに対して、請求人は意見書を提出して、要旨、以下の主張をしている。
件外雑誌「GQ JAPAN」が「男性向けファッシン紹介誌」として周知であったとしても、それは月刊雑誌の商標であり、米国のコンデナスト社や我が国の発行元が本願商標の指定商品に関して通信販売等をしている事実までは立証がなく、請求人の知る限りそのような事実もない。
また、件外雑誌のタイトルと本願商標とでは、指定商品が根本的に相違している。
総じて雑誌の類には、商品や役務の広告が掲載されるが、だからと言って雑誌講読者は、広告商品等に関してそれが雑誌発行社と密接な関係であるとまでは想定しない。雑誌のタイトル(商標)は特殊であり、その流通販路も特殊である。一般世人は、そのタイトルは雑誌のものと認識するに過ぎない。
我が国で発行の「GQ JAPAN」の雑誌が周知であれば、それは雑誌のタイトルとして一人歩きし、本願の指定商品とは無関係と一般世人に認識される筈である。
月刊雑誌というひとつのメディアの標章が、記事内容に傾向性があるというも、それを唯一の理由にして商品「雑誌」と本願指定商品との間に出所の混合を生じるとするのは合理的な根拠を欠くと言わざるを得ず、月刊雑誌「GQ JAPAN」の関係者が、「GQ JAPAN」の商標を以て本願商標の指定商品を販売している事実などが立証されなければならない。
また、「GQ JAPAN」が一般世人にまで広く周知であるとは思えず、請求人が「GQ JAPAN」の商標を採択した趣旨は、件外雑誌の周知性に便乗する意図ではなく、かかる商標選択の意思は商標登録要件の判断材料にはならないものである。
よって本願商標は、件外雑誌「GQ JAPAN」が存在しようとも、その指定商品との関係で出所の混同を生じる余地はない。
5 出所の混同について
商標法第4条第1項第15号の趣旨は、ある者が自己の業務に係る商品又は役務について特定の商標を使用した結果、当該商標(以下「特定商標」という)を通して、その使用者の業務上の信用が蓄積されている状態になっている場合、他人による他の商標(以下「他者商標」という)の使用が、結果として、特定商標に化体されている使用者の業務上の信用、あるいは、利益を損なうおそれがあると認められるときには、その業務上の信用あるいは利益を保護する観点から、他者商標を、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当するものとして、その商標登録を拒絶するものと定めていると解するのが相当である。
したがって、特定商標に係る商品又は役務と、他者商標の使用に係る商品又は役務が互いに類似しない場合であっても、そのことをもって出所混同のおそれが生じないとすることは、出所混同の範囲を指定商品の類似の範囲に固定化することとなり、特定商標に化体される使用者の業務上の信用が保護されない結果となり、前記の商標法第4条第1項第15号の制定の趣旨に悸ることにもなりかねない。
それゆえ、ある商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かは、特定商標に係る商品と他者商標の指定商品の類否を基準とすべきではなく、特定商標の周知・著名性の程度を基準にして総合的に判断されねばならないというべきである。
これを本件についてみるに、件外雑誌は、男性向けのファッション紹介雑誌であって、本願商標の指定商品を取り扱う事業者、および、デザインやファッションの世界的な傾向に関心を抱く需要者の間において、その内容と題号は、本願商標の出願前に広く知られていたと認定・判断したことは、先の拒絶理由通知で示したところであり、また、本願商標の採択要因についての判断も先の拒絶理由通知で示したところであって、件外雑誌の周知性は否定し得ないものである。
また、請求人は、意見書において、「米国のコンデナスト社や我が国の発行元が本願商標の指定商品に関して通信販売等をしている事実までは立証がない。『GQ JAPAN』の雑誌が周知であれば、それは雑誌のタイトルとして一人歩きし、本願の指定商品とは無関係と一般世人に認識される。月刊雑誌の記事内容に傾向性があっても、それを唯一の理由にして商品『雑誌』と本願指定商品との間に出所の混合を生じるとするのは合理的な根拠を欠き、件外雑誌の関係者が、『GQ JAPAN』の商標を以て本願商標の指定商品を販売している事実などが立証されなければならない。」旨主張している。
しかしながら、前記したように、出所混同の判断は、互いの商品間の類否を基準とすべきではなく、特定商標の周知・著名性の程度を基準にして総合的に判断されねばならないというべきであり、かつ、雑誌の題号と他者商標の出所混同に関する判決(平成9年(行ケ)第278号 東京高等裁判所平成10年9月29日言渡)をも考慮すれば、この点についての請求人の主張は採用できない。
したがって、先の拒絶理由通知で示したように、本願商標は、これをその指定商品に使用するときには、それがあたかも株式会社嶋中書店もしくは、米国の「Conde nast Inc(コンデナスト社)」の取り扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所についての誤認・混同を生じさせるおそれがある商標というべきである。
6 結語
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ないから、本願商標は登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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