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Trademark Appeal Case

立体商標の識別性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2000−4597(T2000−4597/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、商標の構成を別掲(1)に示すものとし、第28類「愛玩動物用おもちゃ」を指定商品として、平成11年5月17日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、指定商品に採用し得る一形状を表したものと認識される立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」との理由で本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張

本願商標は、請求人の属する企業グループであるマースグループが世界各国で販売している商品「愛玩動物用おもちゃ」に使用されており、その商品の出所を表示する機能を果たしている。

即ち、通常の愛玩動物用おもちゃとして用いられる骨型やボール型、輪型等とは大きく異なって、本願商標は半円の円弧のみを3本、直径を共通として120度の角度をつけて結合させてなる立体図形であり、このようなものは愛玩動物用おもちゃはもとより、他の商品においても例をみない特異なものであり、そのユニークな形状ゆえに他の商品と自己の商品とを差別化するのに十分役立つものである。

本願商標は他に類を見ない変わった形状からなるものであり、その商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではない。

このような形状の商品は他にはないので、需要者はその形状をたよりに商品を識別するであろう。即ち、本願商標を構成する形状は自他商品識別機能を果たすのである。

しかも本願商標を構成する形状は、その商品に必須の形状という訳ではなく、高度にデザイン化されたものである。このような形状は目立つので、模倣もされやすい。模倣するのは、該形状に顧客吸引力が化体しているからであり、それは裏を返せば自他商品識別力があるということに他ならない。従って、本願商標は保護されなければならない。

4 当審の判断

(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の有する機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の有する美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

さらに、本来的には自他商品・役務を識別するための標識として採択されるものではない立体商標については、登録によって発生する商標権が全国的に及ぶ更新可能な半永久的な独占権となることを考慮すれば、その識別性について厳格に解釈し、適用することが求められるところである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をよりよく発揮させあるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地方裁判所 昭和50年(ワ)第3035号 昭和52年12月23日判決言渡【最高裁判所事務総局発行 無体財産権関係民事・行政裁判例集第9巻第2号769頁】)との判示がなされているところである。

(3)これを本願についてみるに、本願商標は、別掲(1)に示すとおり、半円円弧状立体三つを各端部で三叉状態で結合させてなる形状(以下「本願商標立体部分」という。)の立体に、図形(上記半円形状立体のひとつに付されているものであって、別掲(2)中央部に示したもの。当図は該部分を拡大したものであり、以下「本願商標図形部分」という。)が付された構成よりなるものである。

しかして、本願商標立体部分は、指定商品の形状の一形態を表したものとみるべきであって、この立体的形状のみを指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状の一形態との認識をするにすぎないと判断するのが相当である。

請求人は、前記「3」を主旨とする主張をしているが、本願指定商品である「愛玩動物用おもちゃ」を取り扱う業界においては、用途などに応じて商品そのものの形状に特徴をもたせたものを多種類採択し、販売していることが一般に行われているところであって、本件における「愛玩動物用おもちゃ」の形状の特徴は、その一形態の範囲のものというべきであり、この点に関する請求人の主張は採用できない。

(4)しかしながら、本願商標を構成する本願商標図形部分は、商品の品質等を表示するものとはいえず、また、付記的な模様よりなるものとすることもできず、この他、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないとする事情はない。

そうとすれば、本願商標は、その指定商品の品質、構造等を表示する標章のみからなる商標とはいえず、これをその指定商品に使用した場合、自他商品の識別機能を発揮し得ないとすることはできないものである。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項3号に該当するとした原査定の理由は妥当でなく、その理由をもって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

その他、本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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