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Trademark Appeal Case

ASKAとASUKAの称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35156(T2000−35156/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4335262号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4335262号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成10年4月9日登録出願、第3類「せっけん類、化粧用オイル及び身体用オイルを含む化粧品」を指定商品として平成11年11月12日に登録されたものである。

2 請求人の引用した商標

請求人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第1507826号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなり、昭和52年8月18日登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、昭和57年4月30日登録されたものである。

そして、商標登録原簿の記載によれば、指定商品中の「薫料」について、商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し、その確定審決の登録が平成7年7月25日にされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を概要次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。

(1)本件商標は、請求人の所有に係る引用商標と類似する商標であり、商標法第4条第1項第11号の規定に該当する。又、被請求人が本件商標を指定商品に使用すれば、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあり、同法第4条第1項第15号の規定にも該当するものである。

(2)引用商標は、上段に欧文字「ASUKA」を配し、下段に片仮名文字「アス力」を配して成り、指定商品を旧第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類(但し「薫料」を除く。)」とする商標である(甲第2号証参照)。

(3)請求人は、シャンプー容器、化粧品用容器等の製造・販売を主たる業務とする企業であり、その主たる取扱い商品との関連で、シャンプー(せつけん類)やスキンローション、ヘアエッセンス等の化粧品も取り扱っている。そして、引用商標「ASUKA/アス力」は、現にシャンプー、スキンローション、ヘアエッセンス等に請求人自身が使用(又は他者に使用許諾)している商標である。よって、引用商標と明らかに称呼類似である本件商標が、シャンプーや化粧品に使用された場合には、取引者・需要者間に商品の出所について混同が生ずるおそれがあることは明確である。

又、請求人は、被請求人を被告とする商標権侵害訴訟を提起しており(甲第3及び4号証参照)、被告(被請求人)の表示する商標には本件商標の上段の欧文字「ASKA」と同一スペルの「aska」(甲第4号証の目録六)が含まれているものである。

よって、これらの事情から、本件商標登録無効審判を請求することに関し、請求人が利害関係を有していることは明らかである。

(4)商標法第4条第1項第11号について

(ア)本件商標「ASKA/エーエスケイエー」からは、「エーエスケイエー」の称呼が生ずること明確であるが、この他に、上段の「ASKA」の欧文字に照応して「アスカ」の称呼も生ずると解される。これは、「アスカ」の称呼が被請求人の名称に通ずるものであるといった事情のみならず、取引者・需要者を含めた通常の日本人の感覚からしても、「ASKA」を「アス力」と称呼することに何ら不自然さが感じられないことからも肯定されるものである。又、実際、甲第1号証の商標公報にも参考情報として「アスカ」の称呼が記載されている。

よって、本件商標からは「アスカ」の称呼が生ずると解するのが自然であり、同じく「アスカ」の称呼が生ずる引用商標とは、明らかに称呼を同じくする類似の商標であり、同一又は類似の商品に使用されるものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当する。

(イ)請求人は、上記の考察が正当であることを証する為に、甲第5〜11号証(コンピュータ書誌検索データ)を提出する。これらに記載されている各商標は、本件商標や引用商標とは指定商品・役務が異なるが、いずれも態様中に「ASKA(a)」の文字を含む商標である。即ち、甲第8〜11号証の「特許庁称呼」欄を参照すれば明らかな通り、欧文字「ASKA(a)」から自然に生ずる称呼は「アスカ」とされるのが通例であり、又実際、欧文字「ASKA(a)」に振り仮名を付す場合には、片仮名「アス力」が用いられることが多いと解される(甲第5〜7号証参照)。

(5)商標法第4条第1項第15号について

請求人は、被請求人を被告とする商標権侵害訴訟(大阪地方裁判所 平成9年ワ第10750号商標権侵害差止請求事件)(以下「大阪地裁平9(ワ)10750号」という。)を提起しているものであるが、これと並行して被請求人を債務者とする「販売等禁止仮処分申請」も行っている(大阪地方裁判所 平成12年(ヨ)第20002号商標権侵害差止仮処分命令申立事件)(以下「大阪地裁平12(ヨ)20002号」という。)(甲第12号証参照)。そして、最近(平成12年3月2日)、債権者である請求人の申立てが相当と認められ仮処分の決定がなされたものであるが(甲第13号証参照)、「債務者らの表示する商標」には本件商標の上段「ASKA」と同一スペルの「aska」(甲第13号証の目録−)も含まれている。

即ち、該決定は、引用商標「ASUKA/アス力」と「aska」が類似商標であることを裁判所が認めたものとなっている。

又、被請求人が本件商標を出願(平成10年4月9日)したのは、請求人が訴訟を提起(平成9年10月23日)した後であることも考慮すれば、本件商標は、被請求人が使用していた「ASUKA」(甲第3号証の目録一)の代用とも推認される。従って、この様な状況下で、被請求人が本件商標を指定商品に使用すれば、取引者・需要者間に商品の出所につき混同が生ずるおそれがあることは明らかである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当する。

(6)被請求人の答弁に対する弁駁

(ア)被請求人は、本件商標は、欧文字「ASKA」と仮名文字「エーエスケイエー」を上下二段に配置、併記して構成されており、仮名文字部分は欧文宇部分の称呼・読みを特定すべき役割を果たすものであるから、本件商標からは「エーエスケイエー」の称呼のみが生ずると主張する。

しかし、請求人が提出した甲第5〜11号証は、本件商標の上段「ASKA」からは「アスカ」の称呼が生ずることを証したものであり、「紅梅」の文字に「ベニウメ」の振り仮名が付されていても「コウバイ」の自然の称呼も生ずるとする現行商標審査基準の例からしても、「ASKA」からは「アスカ」の称呼も生ずると解するのが自然である。

(イ)被請求人は、裁判所に提訴(甲第3・4号証)したというのみでは商品の出所混同が生ずるという理由にならないと主張する。

しかし、この訴訟「大阪地裁平9(ワ)10750号」には既に判決が出ており、「アスカ」の称呼が生ずる被告標章1〜6の使用差し止めと損害賠償請求を認めたものである(甲第14号証)が、被告標章六は、本件商標の上段と同じく「a(A)」「s(S)」「k(K)」「a(A)」の欧文字4文字からなるものであり、且つ本件商標の出願日(平成10年4月9日)と同じ頃(同6月)に使用され始めた標章である。以下に判決文の被告標章六に関する部分を抜粋する。『争いのない事実等記載のとおり、被告は、本件訴え提起後である平成一○年六月ころから被告標章六を使用し始めたが、そのころ被告が配布した通信販売の広告(甲13)には、表面左上に「アスカ」と記載され、表面右上に囲みで「ASUKA(被告標章二のもの)から「aska」へ パッケージ・ボトル・ロゴをリニューアル!」、「おかげさまで、発売以来、三二万人の方々にご愛用いただいてきたアスカが、六月からスキンケアのパッケージを新しいデザインに変えさせていただきました。」などと記載されている。』『被告標章六が使用されている通信販売の広告(甲14)には、表面上部に「アスカ」と記載され、表面中央に被告標章六をパッケージ、ボトルに表示した各スキンケア商品の写真が掲載され、裏面には、被告標章六をパッケージ、ボトルに表示した各ヘアケア商品の写真が「アスカは表示指定成分を一切含みません。」との表示と共に掲載され、被告標章五が被告商品の注文用電話番号と共に記載されている。争いのない事実等記載のとおり、被告は、通信販売により石けん類や化粧品を販売しているのであるから、その広告の記載は被告標章六の使用態様を検討するに当たり重視すべきところ、右事実からすると、被告は、「あすか」の称呼を、被告が販売する石けん類及び化粧品の統一的ブランド名として使用しており、被告標章六に接した需要者(被告が被告標章六を使用し始める前から被告のスキンケア商品又はヘアケア商品を知っていた需要者はもちろん、そうでない需要者も含む)は、被告標章六を前記広告におけるその他の被告標章等と関連づけて観察し、被告標章六は「あすか」との称呼が生じるアルファベット「aska」をデザイン化したものであると認識するものと認められる。そうとすると、本件商標と被告標章六を比較した場合、その称呼が同一であるから、被告標章六は本件商標と類似するというべきである。』

一読して明らかな通り、上記判決に於いても登録第1507826号商標「ASUKA/アスカ」(甲第2号証商標)と被告標章六「aska 」は、称呼同一の類似商標であると明確に判断されているものである。

そして、被請求人が本件商標を出願(平成10年4月9日)したのが、請求人が訴訟を提起(平成9年10月23日)した後であり、且つ被告標章六「aska」を使用し始めた頃(平成10年6月)と重なっていることも考慮すれば、被請求人が「アスカ」ブランドの一貫として本件商標を出願し登録したことは明らかである。つまり、本件商標「ASKA/エーエスケイエ−」は、被告標章六「aska」と共に、或いは被告標章六「aska」の代用として使用される商標であると推認される。

従って、この様な状況下で、被告標章六「aska」と上段の文字が社会通念上同一である本件商標を指定商品に使用すれば、取引者・需要者間に商品の出所につき混同が生ずるおそれがあることは明らかである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものである。 ・

尚、被請求人は上記大阪地方裁判所の判決(甲第14号証)を不服として控訴していたが、最近(平成12年9月)両者の間に和解が成立したので、その和解調書を甲第15号証として提出する。該和解調書の内容は、控訴人(本件被請求人)が前記甲第14号証判決を概ね受け入れたものであり、該和解調書中の「別紙目録五記載の標章」とは甲第14号証判決中の被告標章六「aska」である。即ち、この和解は、引用商標と標章「aska」が類似であることを、控訴人(本件被請求人)が自ら認めたことを意味している。

4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判請求は理由がない、審判費用は請求人の負担とする」と答弁し、その理由を概要次のように述べた。

(1)本件商標は、欧文字「ASKA」と仮名文字「エーエスケイエー」とを上下に二段に配置、併記して構成されており、仮名文字部分は欧文字部分の称呼・読みを特定すべき役割を果たすものである。これは本件商標の文字の構成からしても無理なく理解することができるものであり、その結果、本件商標については「エーエスケイエー」なる称呼のみが生ずる。本件商標からは、「アスカ」なる呼称は生じないことは明白である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではない。

(2)本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するとする、請求人の意図が不明である。出所混同のおそれがあるというのであれば、その理由を明確に示すことが、審判請求の最低限の常識であると考える。この理由が裁判所に提訴したから混同するとでも言うのか、請求人の意図がまったく不明である。このように本件商標が、同法第4条第1項第15号の規定に該当するものではないことは明白である。

5 当審の判断

(1) 本件商標は、別掲(1)のとおり、欧文字「ASKA」と片仮名文字「エーエスケイエー」を2段に横書きしてなるものであるところ、下段の片仮名部分は、上段の欧文字の表音と認められるものであり、上段の欧文字及び下段の片仮名文字は特定の意味を有するとは認めらないものである。そして、下段の片仮名文字部分は、長音を含む8文字で構成され、外観及び称呼において比較的冗長といえるから、本件商標に接する取引者、需要者は、4文字の構成からなる上段の「ASKA」の文字部分に注目し、英語風読みの「アスカ」の称呼をもって、取引に資する場合も少なくないというのが相当である。したがって、本件商標は「アスカ」の称呼も生ずるものと認められる。

(2)引用商標は、別掲(2)のとおり、欧文字「ASUKA」と片仮名文字「アスカ」を2段に横書きしてなり、これら構成文字より、「アスカ」の称呼を生ずるものであり、特定の意味合いを有するとは認められないものである。

(3) 以上のとおり、本件商標と引用商標は、観念において比較することはできないものであり、外観において差異を有するとしても、同一の「アスカ」の称呼を生ずることから紛れるおそれがあり、類似する商標といわざるをえない。

また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に含まれる商品である。

(4)したがって、本件商標は、請求人の他の請求理由を判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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