Trademark Appeal Case
品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第13650号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、「WARM&DRY」の欧文字を横書きしてなり、第24類「織物(畳ベり地を除く。),メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品」を指定商品として、平成7年12月1日に登録出願されたものである。
2.原査定の理由
原査定は、「本願商標は、繊維を扱う業界においてはいわゆる高機能の織物、布地が開発されているところ、暖かくて使用感がドライな商品であることを認識させるにすぎない『WARM&DRY』の欧文字を横書きしてなるから、これを本願の指定商品について使用しても、単に商品の品質、効能を強調したにとどまるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」と認定し、本願を拒絶した。
3.当審の判断
(1)株式会社繊研新聞社(東京都中央区在)が発行する「繊研新聞」に、「ウオーム」及び「ドライ」の語を用いた記事が、例えば次のように掲載されている。
ア.「ウオーム」の語を用いた記事
▲1▼ 1999年3月3日付けの「フジサキテキスタイルの99年秋冬ニット素材 異素材組み合わせ、加工も工夫」をタイトルとする記事中に、「ニット生地のコンバーター、フジサキテキスタイル(本社東京)は九九年秋冬向けで、(1)ウオームとクール(2)ハードとソフト(3)ナチュラルとハイテク−など、異なった素材感や素材を組み合わせたニット服地を提案する。」との記載。
▲2▼ 1998年10月8日付けの「コートを脱いだらノースリーブニット あったか素材のウルトラハイネック」をタイトルとする記事中に、「ロートレアモンの『ロートレアモン』は、ウオーム素材をクールなスタイリングで見せるのが冬物のテーマ。(中略)アンゴラでもミンク加工を施し、毛足を長くしてウオーム感を強調している。」との記載。
▲3▼ 1998年7月7日付けの「売れそうアイテム 軽くて温か冬の主役に、手こたえ確か縮じゅう服」をタイトルとする記事中に、「ウオーム&ライト。温かくて軽い、縮じゅう生地を使ったジャケットやドレス、コーディネートウエアが人気を集めている。」との記載。
▲4▼ 1997年9月18日付けの「【テキスタイル・今、現場で】 江原典子・東レ、下市育子・帝人」をタイトルとする記事中に、「素材の方向は。ソフト、ウォーム、ライト、ボリューム、反発感、落ち感、ファイン、表面効果といったところです。」との記載。
▲5▼ 1997年4月24日付けの「トレンドチェック・レディス 97年秋冬ファッションは素材で勝負」をタイトルとする記事中に、「ツイードやアンゴラ、モヘアなど『ウオーム素材』もうけている。」との記載。
イ.「ドライ」の語を用いた記事
▲1▼ 1999年4月21日付けの「旭化成と旭陽産業の来春夏婦人素材 清涼素材を強化、”快適性”の追求で」をタイトルとする記事中に、「新素材はポリエステル長繊維一〇〇%の生地『エスコス』と、キュプラ・ポリエステル複合の『ハピネス』。エスコスは絣のようなナチュラルな表面感とドライな手触り、軽さが特徴の商品。」との記載。
▲2▼ 1999年1月21日付けの「東レのナイロン新素材『ミラファイン』 春夏のカジュアル向けに開発」をタイトルとする記事中に、「ドライな触感追求、初年度1万匹の販売計画(中略)ミラファインは自然な杢感やドライ感、さらりとした触感を追求した糸。」との記載。
▲3▼ 1998年12月17日付けの「【テキスタイル・レビュー】合繊−2 99年秋冬向けポリエステル」をタイトルとする記事中に、「旭化成工業では、麻調のドライなタッチでポリエステル織物の主力となっている「ノーチェ」シリーズのなかで、・・・」との記載。
▲4▼ 1998年4月20日付けの「【99年春夏テキスタイルプレビュー】『わけあり素材』がトレンド支える」をタイトルとする記事中に、ドライで張りのある質感も素材傾向として注目されているだけに、こちらも浮上しつつある。」との記載。
▲5▼ 1997年9月19日付けの「レナウン 機能と快適さテーマ、98年春夏メンズスポーツ」をタイトルとする記事中に、「『素材の持つ機能や特性から生み出される快適さ』を切り口に、クール、ドライ、ライト、ソフト、ストレッチなどの素材感を各ブランドで取り入れる。」との記載。
(2)これらの記載よりすれば、織物等本願指定商品や被服を取り扱う業界において、「ウオーム」の文字は、商品が温かな、ウオームなものであることを表すものとして、また、「ドライ」の文字は、商品の手触り、触感がさらりとしていること、ドライであることをそれぞれ表すものとして使用されているものであって、かつ、いずれの語も、需要者に同様の意味を表す商品の品質を表示するものとして理解されているものと判断するのが相当である。
(3)そして、上述の「繊研新聞」に、織物等の商品の品質、機能を表示するものと認められる二語を「アンド」又は「&」を介して、「○○○アンド○○○」又は「○○○&○○○」のように表した記事が、例えば次のように掲載されている。
▲1▼ 1998年4月28日付けの「フェルトが増える ふわふわ、もこもこのあったか生地」をタイトルとする記事中に、「パリ、ミラノメンズコレクションのトレンドの一つとして注目される『ライト・アンド・コンフォート』。」との記載。
▲2▼ 1998年4月6日付けの「98〜99年秋冬コレクション クール&ウオーム」をタイトルとする記事中に、「バルマンの肉厚ツイードスーツはスパンコールやラメ糸でクールな光りをのせている。いずれもあったか生地をすっきりとシックに収めたクール・アンド・ウオームな仕上がりだ。」との記載。
▲3▼ 1998年4月1日付けの「東レ、帝人 99年春夏総合素材展を展開、合繊独自の機能性を提案」をタイトルとする記事中に、「両者が展開する『T−40コーナー』は『ナチュラル&コンフォート』がテーマ。」との記載。
▲4▼ 1998年2月12日付けの「ミズノのゴルフウエア『グランドモナーク』 新機能素材拡充、防寒を中心に」をタイトルとする記事中に、「(1)軽量性・吸水・撥水(はっすい)・保温機能の綿素材『ライト・アンド・ウオーム』のシャツ」との記載。
▲5▼ 1997年8月7日付けの「東レの糸・テキスタイル輸出 4〜6月は10%増、南通からは3倍に」をタイトルとする記事中に、「ミフティは商品に『クール・アンド・ドライ』の説明タグをつけ、特殊素材を訴えながら販売しているが、今後はブラウスのほかにランジェリーやアウター全般に用途を広げ、大型素材に育てていく。」との記載。
▲6▼ 1997年5月19日付けの「東邦レーヨンの来春夏ニット 4ブランド重点に明るい色で内容一新」をタイトルとする記事中に、「東邦レーヨンは九八年春夏ニット素材提案で、『フィット・アンド・ドライ』をテーマに四つの重点ブランドを打ち出した。」との記載。
(4)上記(3)の記載よりすれば、織物等本願指定商品や被服を取り扱う業界において、商品の品質を表示するものと認められる二語を「アンド」又は「&」を介して「○○○アンド○○○」又は「○○○&○○○」と表わした文字は、商品が有する二つの特徴的な品質、機能を表示するものとして使用されているものであって、かつ、需要者にも同様の意味を表示したものと理解されていると判断するのが相当である。
(5)そして、本願商標は、「WARM&DRY」の欧文字を普通に用いられる方法で書してなるものであり、本願の指定商品を取り扱う業界及び我が国の一般における英語の普及程度よりすれば、これに接する取引者、需要者は、「WARM&DRY」の文字を「ウオーム&(アンド)ドライ」の文字と同義のものと容易に理解するものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、上述の事情よりして、「WARM&DRY」の文字を、その商品が「温かで手触りがドライなもの」であるという商品の品質を表示したものと認識するにすぎないものと言うべきである。
なお、請求人は、過去の審査例、審決例をあげて、本願商標は自他商品の識別標識としての機能を有している旨主張し、甲第1号証乃至甲第56号証を提出しているが、自他商品の識別標識としての機能の有無は、判断時の社会通念に応じて判断されるべきものであり、また、提出された事例は本件と事案を異にするものであるから、この主張は採用できない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。
したがって、この判断と同様の趣旨で、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であってこれを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。