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Trademark Appeal Case

称呼類似と音の脱落

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35730号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4021236号商標(以下、「本件商標」という。)は、「スプリングフィールド」の片仮名文字を上段に、「SPRINGFIELD」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成7年11月2日登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同9年7月4日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第9号証を提出した。

(1)本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであり、同法第46条によって、その登録は無効にされるべきものである。

(2)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することについて

請求人は、「SPRIN−FIEL」の欧文字を横書きしてなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,はき物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成6年2月8日登録出願、同8年11月29日に登録された登録第3223214号商標(以下「引用商標」という。甲第2号証)を引用する。

引用商標は、その構成文字に相応して「スプリンフィール」の称呼を生ずるものであること明らかなものである。

これに対して、本件商標は、「スプリングフィールド」の片仮名文字と「SPRINGFIELD」の欧文字よりなるものであり、これより「スプリングフィールド」の称呼を生ずるものである。

しかして、近時における英語の普及には目覚ましいものがあると共に、情報化社会のグローバル化や海外旅行等の進展に伴って、英語に接する機会が極めて多くなっているのが実情である。一方、両商標の指定商品である被服等は、いわゆるファッション商品とも称され、その流行が米国や欧州から多く流入してくることにより、これには、英語等の外国語の使用される頻度が高まってきているばかりでなく、これらの商標についても、英語が採択されることが日常茶飯事となっている状況にある。

こうした状況にあって、例えば、英語の「Washington」が「ワシントン」「Hong Kong」が「ホンコン」「frying pan」が「フライパン」と発音され構成文字中の「g」が「グ」と発音されずサイレントになる事例と同様に、本件商標「SPRINGFIELD」「スプリングフィールド」に接する取引者・需要者は、これを「スプリンフィール」に近いように発音する場合も決して少なくないものであり、これを聴取した場合には、一層「スプリンフィール」に近いように聞こえるものとみるのが相当である。

そこで、引用商標より生ずる「スプリンフィール」の称呼と本件商標より生ずる「スプリングフィールド」の称呼とを比較するに、両者は、中間における「グ」の音と語尾における「ド」の音の有無という差異を有してはいるが、上記したように「スプリングフィールド」が「スプリンフイール」に近いように発音され聴取されるという取引の実情に照らせば、その差異は決して大きなものではなく、それぞれを一連に称呼した場合には語調、語感が近似し、彼此相紛れるおそれのあるものとみるのが相当といわなければならない。

この点については、同様の事例についての過去の審決において「ホームキング/ホームキン」(甲第3号証)、「ETIQUETANEGRA/ETICHETTANERA」「ヤングペット/YOUNPET」(甲第4号証)、「プリベアー/Pre−Pared」(甲第5号証)が各々類似と判断されたことに照らしてみても首肯し得るものであると確信する。

そうすると、本件商標は、引用商標と商標において類似し、その指定商品も同一または類似の商品であること明らかなものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(3)本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当することについて

請求人は、スペインのコルテフィエルグループの一員であって、最も国際的なブランドである「SPRINGFIELD」の欧文字よりなる商標(以下「請求人商標」という。)を、本件商標の出願日前より、紳士カジュアルウェアー等の商品につき継続して使用しているものであり、これが、取引者・需要者に広く認識されるに至っているものといえるものである。即ち、請求人は最初の店舗を本件商標の出願日よりも8年も前である1987年にスペインで開店し、その後店舗数は1992年に50店を数え、順次増加して1996年には167店に達し、現時点においては193店にも拡大している。そして、該店舗の配置は、スペインに115店、フランスに38店、ドイツに12店、ポルトガルに11店、ベルギーに6店、イギリスに3店、メキシコに4店、ペルーに2店、シンガポールに2店と世界各国に展開されているものであり、請求人の1997年における商品売上高は、5億800万ペセタにも達しているのである(甲第6号証〜甲第8号証)。さらに、請求人は、顧客サービスとしてスプリングフィールドのメンバーズカードを発行しているところ、カード発行後1年足らずでメンバー数は10万人にも達している。

そうしてみると、請求人商標は、請求人が世界各国において盛大に使用した結果、取引者・需要者に広く認識されるに至っているものといえるものである。

なお、この点については、主として外国で使用されている商標の周知性について判示した「COMPUTERWORLD」判決(甲第9号証)の趣旨に照らし首肯し得るものと確信する。

これに対して、本件商標は、「スプリングフィールド」の片仮名文字と「SPRINGFIELD」の欧文字よりなるものであるから、請求人商標と類似するものであることは明らかであり、その指定商品も同一又は類似の商品である。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。

(4)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することについて

請求人商標が、本件商標の出願前に、取引者・需要者に広く認識されるに至っているものといえるものであることは前述したとおりであり、これと類似する本件商標をその指定商品について使用した場合には、あたかも請求人の業務に係る商品であるかの如く、或いは請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所につき混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

(5)本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当することについて

請求人商標が、本件商標の出願前に、取引者・需要者に広く認識されるに至っているものといえるものであることは前述したとおりであり、これと類似する本件商標をその指定商品について使用した場合には、請求人商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等が毀損されるおそれが極めて高いものであるから、結局、被請求人によって本件商標が使用された場合には、不正の目的をもって使用をするものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3 被請求人の答弁

被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。

4 当審の判断

(1)本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるか否かについて

本件商標の構成は前記したとおり、「スプリングフィールド」の片仮名文字を上段に、「SPRINGFIELD」の欧文字を下段に、それぞれ横書きしてなるものであって、これより「スプリングフィールド」の称呼が生ずるものである。

一方、引用商標は「SPRIN−FIEL」の欧文字よりなるものであって、特定の意味合いを看取し得ない造語といえるものであるから、もっとも親しまれている英語風の読み方をもってこれを「スプリンフィール」と読み、その称呼をもって取引に資されるとみるのが相当である。

しかして、両称呼を比較するに、両者は「グ」と「ド」の音の有無という2音の差異を有しており、本件商標が取引の実際において、必ずしも請求人主張のように「グ」や「ド」の音が発音されずに称呼されるとはいい難く、上記の差異が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼しても、その語調、語感が相違し、互いに十分区別し得るというべきである。

また、本件商標を構成する「スプリング、SPRING」が「春」を、「フィールド、FIELD」が「野原」を意味する外来語および平易な英語であることから、これより「春の野原」の如き意味合いを容易に想起させるといえるものであり、そのような意味合いを想起させない引用商標とは観念上類似するとはいえないものである。

さらに、両商標は、外観においても「G」と「D」及び「ハイフン」の有無という差異を有することから、判然と区別し得るものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても互いに区別し得る非類似の商標というべきあるから、結局、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。

(2)本件商標が商標法第4条第1項第10号、同15号、同19号に違反して登録されたものであるか否かについて

請求人提出に係る甲第6号証は、請求人の所属する企業グループである「CORTEFIEL GROUP」の1996年の年次報告書の抜粋及びその訳文であるが、ここに記された内容が事実であるとしても、該レポートは英語によるものであり、また、これが我が国で広く頒布され読まれているとの証左も認め得ないものである。

甲第7号証は、「SPRINGFIELD」の文字及び国名と商店数が記された一葉の書面にすぎず、これが何を証明し明らかにしようとするものなのか趣旨不明のものである。

さらに、甲第8号証は、商品カタログと推認し得るものの、英語による該カタログが我が国で広く頒布されたとする証左は見出せない。

してみれば、請求人が提出した前記甲各号証によっては、請求人商標がスペインを始めとするヨーロッパ諸国で本件商標出願以前から商品「紳士服」等に使用されている点は認め得るものの、それが請求人の取り扱いに係る商品に使用する商標として、我が国の取引者、需要者の間で広く知られ、あるいは著名となっていたという点までは明らかでなく、該主張を立証するには不十分なものといわざるを得ない。

また、当審において調査するも、請求人商標の我が国における周知・著名性を認め得る証左は発見できなかった。

したがって、本件商標出願前に請求人商標がわが国において本件商標の指定商品に係る取引者、需要者間において周知・著名であったということはできないから、結局、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものということもできない。

5 結論

以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものとはいえないから、その登録は同法第46条第1項第1号の規定によっては無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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