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Trademark Appeal Case

周知商標との混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第6414号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第23類「時計 眼鏡 これらの部品および附属品」を指定商品として、昭和63年12月22日に商標登録出願されたものである。

2 当審における拒絶の理由の要旨

本願商標は、別掲のとおり、馬に乗った人物がマレットを振り上げている図形を中央に配し、その上部に「BEVERLY HILLS」の欧文字を扇形に表し、下段に「POLO CLUB」の欧文字を表してなるものである。

ところで、馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形及び「POLO」「Polo」「ポロ」等の文字は、以下の証拠により、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド(アメリカ合衆国ニューヨーク所在)が、商品「被服、装身具、香水、眼鏡」等に長年使用し、本願商標に係る出願前から需要者の間に広く知られている商標と認められる。

すなわち、株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。

アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている(別掲引用商標参照)。

そして、株式会社洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年11月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。

以上によれば、本願商標は、その構成中に馬に乗った人物がマレットを振り上げている図形及び「POLO」の文字を有するものであるから、本願商標を「眼鏡」を含むその指定商品に使用した場合には、前記実情から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の図形及び「POLO」の文字に注目して、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る商標を連想・想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 請求人(出願人)の意見

(1)本願商標は「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の一連の表現と真横を向いたポロプレイヤーの図形を円形的にまとまりよく構成したものであり、構成全体として看者にはラルフ・ローレンの商標とは外観上全く異なった印象を与える上、「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の表現が単なる「POLO」の表現とは観念的に異なって認識されることは、東京高等裁判所の平成11年(行ケ)253判決が明示しているところである。

(2)請求人(出願人)は、請求人(出願人)とラルフ・ローレンとの間で締結された合意書によれば、そもそもアメリカにおける両当事者間の商標をめぐる訴訟事件において、それぞれが各自の商標を認めあって、訴訟に終止符を打つために締結した和解契約書であり、当事者間に訴訟判決と同等の拘束力を有するものである。そして、請求人(出願人)は常々、この合意書による両者の商標の区別を基本にして、本願商標を使用した商品取引をしていることを公にアピールしている。

(3)ラルフ・ローレンの商標は基本的に「POLO BY RALPH LAUREN」の表現と前向きのポロプレイヤーの図形を結合して使用されている。この商標が「POLO」と略称されることがあるとしても、その使用に際しては、図形やその商品の出所の表示が併用され、それが「RALPH LAURENのPOLO」であると認識される使用態様になっている。 商標の出所の混同のおそれとは、本願商標とラルフ・ローレンの商標との実際の使用態様を観察して、さらに、これらの商標にかかる具体的な商品の取引事情を総合的に観察したうえで判断されるべきものである。「POLO」の語を含む商標は一律、抽象的に、すべてラルフ・ローレンの商標と出所の混同を生ずるとするような本件の拒絶理由は、商標の類否認定の他に、商品の出所の混同の条件の認定の2点において誤っており、ラルフ・ローレンの商標の不当な拡張解釈である。

商品としても、アメリカの東部を根拠にアイビーリーグファッションを基本とするラルフ・ローレンの商品と、アメリカ西海岸を根拠にし、その開放的なカジュアルファッションを基本とする請求人(出願人)の商品はそれ自体明らかに区別されるものである。

4 当審の判断

(1)平成11年10月22日付けで通知した前記2の拒絶理由は、妥当なものと認められる。

請求人の意見は次の理由で採用できない。

(ア)請求人(出願人)の意見(1)について

ポロ競技のプレーヤーを表した図形と「ASCOTPARKPOLOCLUB」の文字との結合商標において、東京高等裁判所における平成12年(行ケ)第57号審決取消請求事件(平成12年7月18日判決言渡)では、ラルフ・ローレンに係る引用商標の著名性を認め、又混同のおそれの判断に当たっては、経験則及び取引の実情における需要者の注意力を考慮して判断すべきであるとした上で、「本願商標の図形部分は、馬上の競技者が、先端が小さなT字状になった棒のような物を持っている図形と理解されるものであり、それが商標の中央部分に大きく表示されて見る者の注意を引くところである。しかし、上記図形は、『馬上の競技者』、あるいは、馬上の競技者が、先端が小さなT字状になった棒のような物を持っている点で、ラルフ標章のうちの図形の商標と共通性があるために、『ポロ』ないし『馬に乗ったポロ競技のプレーヤー』と観念されるものではあっても、『ASCOT PARK POLO CLUB』という文字ないし観念を想起させるものではない。一方、本願商標の文字部分は、17文字からなり、これより生ずる『アスコットパークポロクラブ』の称呼は長音を含む12音より構成されているから、その外観、称呼とも、一つの名称のものとしては、冗長というべきである。そして、『ASCOT PARK』は、地名ないし場所名として、その後に続く『POLO』以下の語を修飾する語であり、『POLO CLUB』は、『ポロの同好の士の団体』というような意味合いであるから、本願商標において『POLO』の文字は重要な意味を持つ言葉と認識されるものと認められる。ところが、本件全証拠によっても、『ASCOT PARK POLO CLUB』との文字が、全体として特定の熟語や団体名称を表すものとして我が国の一般の取引者・需要者によく知られているものとは認められない。このように、本願商標の図形と文字の結びつき、文字相互の結びつきは、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほどまでに不可分的に結合しているものとは認めることのできないものである。そうすると、本願商標がその指定商品のうち、『洋服、コート、セーター類、靴下』等のファッション関連商品に使用された場合には、これに接した取引者・需要者は、その図形部分が、馬上の競技者が、先端が小さなT字状になった棒のような物を持っている図形であって、この点において、ラルフ標章のうちの「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」と共通する図形であることに着目し、さらに、その『POLO』の文字部分に着目して、『ポロ』(『POLO』ないし『Polo』)の商標と呼ばれるラルフ標章や、『ポロ』(『POLO』ないし『Polo』)と呼ばれるブランド名を連想し、ラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。」と判示しており、さらに、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーと「ROYAL POLO SPORTS CLUB」の文字との結合商標における東京高裁平成11年(行ケ)第268号審決取消請求事件(平成11年12月21日判決言渡)、同じく馬に乗ったポロ競技のプレーヤーと「ASCOT PARK POLO CLUB」の文字との結合商標における東京高裁平成12年(行ケ)第140号審決取消請求事件(平成12年10月25日判決言渡)も同様の立場に立った判示をしているものである。

本願商標中の「POLO」の文字は、ラルフ・ローレンに係る商標として周知なものであること、本願商標中の「BEVERLY HILLS POLO CLUB」の文字部分は、全体が20文字でありこれより生ずる称呼においても、長音を含めて12音と冗長なものであること、本願商標中の「BEVERLY HILLS」の文字がわが国においてよく知られているものであるとしても、「BEVERLY HILLS」及び「POLO CLUB」が意味する「ビバリーヒルズのポロクラブ」が我が国においてよく知られているものとは認められないこと、また、球技としてのポロは我が国においてはほとんどなじみのないものであること、「POLO」の文字は下段の冒頭見やすい位置に表されているものであること、本願商標は文字のみについてのものではなく、図形も含まれた結合商標であり、その図形部分もラルフ・ローレンに係る商標の図形部分もともにポロプレーヤーについてのものであること、ラルフ・ローレン又は同人と関係のある者が使用する商標は「被服、装身具、香水、眼鏡」等についてのものであり、これと本願商標の指定商品はともにファッションに関連する商品であることよりすれば、本願商標をその指定商品について使用をしたときには、ラルフ・ローレン又は同人と関係のある者の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるものである。

また、請求人(出願人)が引用した判決は、「PALM SPRINGS POLO CLUB」の文字よりなるものであり、本願商標は「BEVERLY HILLS」及び「POLO CLUB」の上下二段の文字の中央に一際大きく馬にまたがりマレットを振り上げた人物が描かれてなるものであるから、本件とは事案を異にするものである。

(イ)請求人(出願人)の意見(2)について

請求人(出願人)は、ラルフ・ローレンとの間には和解契約書が存在すると述べるが、アメリカにおける請求人(出願人)の商標とラルフ・ローレンの商標とが全く混同を生ずるおそれがないというのであれば、両当事者においてこのような契約がなされることはないというのが自然である。また、請求人(出願人)はこの合意書による両者の商標の区別を基本にして、本願商標を使用した商品取引をしていることを公にアピールしていると述べているけれども、少なくとも、請求人(出願人)が当審において提出した資料によってはその事実を認めることができない。

(ウ)請求人(出願人)の意見(3)について

ラルフ・ローレンに係る「POLO」「Polo」「ポロ」及び「ポロプレーヤーの図形」の商標が、需要者の間に周知なものになっていることは、拒絶理由に通知したとおりであるし、だからこそ商品の出所の混同を生ずるおそれがあるといえるものであって、請求人(出願人)とラルフ・ローレン若しくは同人と関係のある者とが全く何の関係のないものであることを、需要者が周知していることなどの特別の事情がある場合は別として、そのような状況にないのであれば、使用態様が異なるゆえをもって商品の出所の混同を生じないことになるとは認められない。

むしろ、ラルフ・ローレンに関係する「POLO」等の商標が周知なものであるから、そのファミリー商標ないしは兄弟ブランドと誤認される場合があるというべきである。

また、アメリカにおいて、東部を根拠にアイビーリーグファッションを基本とするラルフ・ローレンの商品と、アメリカ西海岸を根拠にし、その開放的なカジュアルファッションを基本とする請求人(出願人)の商品はそれ自体明らかに区別されるものであるとしても、そのようなことは我が国においては一部の事情通にはいえることであったとしても、一般需要者にまで商品の出所の混同を生ずるおそれがないとまではいえない。

(2)以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、本願商標は、登録すべきものとすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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