Trademark Appeal Case
マイナスイオン繊維の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第1971号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「マイナスイオン繊維」の文字(標準文字による商標)を横書きしてなり、第22類「原料繊維,編みひも,真田ひも,のり付けひも,よりひも,綱類,網類(金属製又は石製のものを除く。),衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿,布製包装用容器,ターポリン,帆,雨覆い,天幕,日覆い,日よけ,登山用又はキャンプ用のテント,靴用ろう引き縫糸」を指定商品として、平成9年7月8日に登録出願されたものである。
2 原審における査定の理由
本願商標は、「マイナスイオンを発生させる効果を持つ繊維」を容易に認識させる「マイナスイオン繊維」の文字を書してなるから、本願指定商品中前記繊維及び前記繊維を用いた商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質(質)の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審の判断
本願商標は、「マイナスイオン繊維」の文字を横書きしてなるところ、これを構成する前段の「マイナスイオン」の文字は、「陰イオン.原子または分子の帯電したもので、陰電極をもつものをいう。」を意味する外来語「minus ion」の表音と認められるから(日本語になった外国語辞典 第3版 908頁 集英社発行 1995年6月10日)、本願商標に接する取引者又は需要者は、「マイナスイオン」と「繊維」の2語を結合してなるものと容易に看取させるものである。
そして、「マイナスイオン」については、吸入されて血液中に入ると細胞の活性化を助け、血液を浄化し新陳代謝を促進、自然治癒力を高める効果があることから、「マイナスイオン」を発生する家電製品、例えば、「マイナスイオン空気発生器,マイナスイオン発生空気清浄機,ルームクーラー,マイナスイオンブラシ,マイナスイオンミネラル製水器」や医療器の「マイナスイオン発生空気清浄機」が販売されており、前記の作用・効果を有するものとして一般化している語といえるものである。
さらに、「マイナスイオン」には、前記のような作用・効果があることから、繊維を素材とする産業においても研究・開発が行われており、マイナスイオンを発生又は放出するトルマリン鉱石、レアアース鉱石等の天然鉱石の超微粒子を練り込む又はコーティング等の加工をした繊維を一般に「マイナスイオン繊維」と称して、各種商品を構成する材料の一部として利用していることが新聞やインターネットのサイトに掲載されて紹介されている。
そうすると、本願商標「マイナスイオン繊維」は、「マイナスイオンを発生又は放出する繊維」の意味合いの語として容易に理解されるというのが相当である。
以上のことは、「マイナスイオン」や「マイナスイオン繊維」に関する下記の新聞記事からも十分裏付けられるものである。
(1)繊研新聞 1997年6月17日、第9面に【記者の目・用語解説】「マイナスイオン」繊維の見出しのもと、「マイナスイオン繊維は素材メーカーの機能加工素材の一つ。最近、紡績での新開発商品が増えている。イオンは、プラスかマイナスの電子を発生させる原子で、空気中に存在するものであり、コンクリートの部屋の中、OA(オフィスオートメーション)機器や電気器具の多い都会の事務所などはプラスイオンが多く、森や水辺はマイナスイオンが多い。マイナスイオンは人をリラックスさせるほか、血行をよくする温暖効果のあることが確認されている。素材メーカーはマイナスイオンを発生させる物質を繊維に練り込むなど、マイナスイオン効果を人為的にもたらすことに成功、商品化している。用途は肌着、パジャマ、靴下など肌に直接つけるものから、寝具、カーテン、バス用品、ユニフォーム、アウター、更には室内用の人工花樹まで幅広く活用」の記事。
(2)化学工業日報 1998年1月24日、第5頁に「・・・快適性の追求では抗菌性繊維のほか、ヒーリング効果のあるマイナスイオン繊維、防炎性繊維などあらゆる素材を駆使した新タイプの繊維開発が活発化している。」の記事。
(3)繊研新聞 1999年3月3日、第3面に「連載 広がる市場・機能性素材(健康素材)下」の見出しのもと、「・・・マイナスイオンは吸入されて血液中に入ると細胞の活性化を助け、血液を浄化させて新陳代謝を促進する効果があるといわれる。このマイナスイオンを発生する超微細粉末状の特殊セラミックスを織編後の生地にコーティング加工したもので、多様な素材に加工が可能なことからアパレルの別注として今春夏物から展開している。」の記事。
(4)繊研新聞 1997年7月2日、第2面に「マイナスイオン繊維『ホーリック』開発、自然治癒力を高める」の見出しのもと「・・・体の治癒力を高める効果があるマイナスイオン繊維『ホーリック』を開発、98年春夏物から販売する。健康関連の素材として抗菌など害を防ぐ機能の開発が多い中で、同社は予防の視点から発想した素材の需要が高まるとみて多用途で展開する。ヒーリング(癒し)効果があるレーヨンを15〜30%使用し、綿やポリエステルと混紡して販売する。・・・」の記事。
そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば、「原料繊維,衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿,登山用又はキャンプ用のテント」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、「マイナスイオンを発生又は放出する原料繊維及びこの原料繊維を使用した衣服綿・ハンモック・布団袋・布団綿・登山用又はキャンプ用のテント」であること、すなわち、商品の品質表示として認識するに止まるといえるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。また、これを前記に照応する商品以外の商品について使用したときは、該商品が「マイナスイオンを発生又は放出する商品」であるかの如く、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
なお、請求人は、本願商標が一般に使用されている事実の指摘がなく、むしろ造語商標として認識されるものであること及び他の登録例を挙げ、本願も登録されるべき旨を主張しているが、本願商標の使用事実は前記のとおりであり広く一般に知られているものと認められるものであるから、「マイナスイオン繊維」の語は、仮に、それ自体としては、造語であるとしても、前示意味合いを有する複合語として認識されるものである。
また、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例が存在することのみによって、本願商標が同号に該当することを否定することはできず、また、本願商標についての同号の該当性の判断が、これらの登録例に拘束されるものでもない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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