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Trademark Appeal Case

「WINDOWS」の周知性と要部

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成8年審判第15313号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおり「G」及び「WINDOWS」の文字をハイフンにより結合した構成よりなり、第26類「印刷物、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年7月3日に登録出願されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由

原審において、登録異議の申立てがあった結果決定した理由の要点は以下のとおりであり、この理由により、本願を拒絶したものである。

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る各証拠によれば、申立人は本願商標登録出願前、既に「WINDOWS」を要部とする商標を「パソコン用基本ソフト」に使用していたこと、件外株式会社アスキー等を通じて製品の紹介、販売を行っていたこと、そして、コンピュータ関係専門誌にしばしば広告を行い、「パソコン用基本ソフト」が「WINDOWS」を要部とする商標と共に掲載されていることが認められ、更に、「WINDOWS」を要部とする商標の「パソコン用基本ソフト」が搭載されたパーソナル・コンピュータが各社、各種、多数存在していることよりすれば、「WINDOWS」を要部とする商標は、本願商標登録出願前より、申立人の業務に係るパソコン用の基本ソフトを表示するものとして、取引者、需要者間において広く認識されているものと判断するのが相当である。

ところで、本願商標は「G−WINDOWS」の文字よりなるものであるところ、ハイフンの前の「G」は商品の品番、形式等を表示するものとして普通に採択使用される欧文字1字あるいは2字の類型の一とみられるものであるから、本願商標の出所表示機能は、「WINDOWS」の文字部分にあり、該部分を以て取引に資される場合も決して少なくないものと判断するのが相当である。

してみれば、「WINDOWS」を要部とする商標と同一の文字を有してなる本願商標をその指定商品中例えば「パソコン用の基本ソフト」に関する書籍、雑誌、録画済みビデオテープ等に使用するときは、その商品が申立人の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとする本件登録異議の申立ては、理由があるものとすべきである。

第3 請求人の主張の要点

1 「WINDOWS」の商標は、「コンピュータソフトウエア」についてそれ単独では商品の出所標識として、マイクロソフト社の商標として使用されているわけではなく、また「WINDOWS」の語は、コンピュータソフトウエアの分野では、「コンピュータの表示画面を複数に分割し、複数の作業、複数の状態を表示させるソフトウエア」の普通名称として一般に使用され、認識されているものである。したがって、「WINDOWS」の商標が、マイクロソフト社の商標として著名であるとの拒絶査定の理由には根拠がない。

2 本願商標は、同じ書体で、「G」の語と「WINDOWS」の語を結合機能を有するハイフンによって、軽重の差なくまとまりよく一体に書されているため、「ジーウンドウズ」と一連に称呼される造語商標として一般に認識されるものである。

第4 当審の判断

1 「Microsoft Windows」「MS−Windows」の商標(以下「申立人使用商標」という。)の周知性について

(1)原審において、登録異議の申立てにおける主張及び提出された証拠によれば、以下の事実が認められる。

(ア)1988年10月ないし1990年5月作成の三菱電機株式会社のカタログにおいて、同社製パーソナルコンピュータに基本ソフトとして「MS−Windows」が標準装備された旨及び「MS−DOS」「MS−Windows」は米国マイクロソフト社の登録商標である旨の記載(異議甲第4号証ないし同第7号証)。

(イ)1989年7月及び1990年5月現在の三洋電機株式会社のカタログにおいて、同社製パーソナルコンピュータ及びコミュニケーションターミナルに基本ソフトとして「Microsoft Windows2.1」が標準装備されている旨、「MS−DOS」「Microsoft Windows」は「Microsoft Corporation」の登録商標である旨の記載(異議甲第9号証及び同第13号証)。

(ウ)1989年11月ないし1990年4月現在の富士通株式会社のカタログにおいて、同社製のパーソナルコンピュータで「MS−WindowsV2.1」が動作する旨、「MS−DOS」「Microsoft」は米国マイクロソフト社の登録商標である旨及び「MS」は米国マイクロソフト社の米国における登録商標である旨の記載(異議甲第14号証ないし同第16号証)。

(エ)1989年4月現在の日本電気株式会社のカタログにおいて、同社製のパーソナルコンピュータで「MS−WindowsV2.1」が動作する旨、及び「MS−DOS」「MS−Windows」は米国マイクロソフト社の登録商標である旨の記載(異議甲第17号証)。

(オ)1989年12月作成と認められる、株式会社東芝のカタログにおいて、同社製のパーソナルコンピュータに基本ソフトとして「MS−WINDOWS/386」が標準装備されている旨、及び「MS−Windows/386」「MS−Windows」「MS−DOS」は米国マイクロソフト社の登録商標である旨の記載(異議甲第18号証)。

(カ)1989年5月ないし1990年5月作成の沖電気工業株式会社のカタログにおいて、同社製のパーソナルコンピュータで「MS−Windows2.0」の提供(サポート)が可能である旨及び「MS−DOS」「MS−Windows」は米国マイクロソフト社の登録商標である旨の記載(異議甲第19号証、同第21号証ないし同第23号証)。

(キ)「NIKKEI COMPUTER」における「MICROSOFT WINDOWS」の広告(異議甲第25号証ないし同第29号証)。

(ク)1989年5月1日ないし同年12月18日発行の雑誌(日経パソコン、NIKKEI COMPUTER、ASAHIパソコン)において、「Microsoft Windows2.0」、「Microsoft Windows2.1」、「マイクロソフト社のWindows」、「Microsoft Windows」、「MS−Windows」または「MS Windows」の表示が雑誌記事中に認められること(異議甲第30号証、同第32号証、同第34号証、同第38号証及び同第41号証)。

(ケ)本願商標登録出願以前の書籍において、「MS−Windows」または「Windows」の語を含んだ題号が多数採用されていること(異議甲第42号証)。

(2)以上によれば、申立人使用商標は、本願商標の登録出願前において米国マイクロソフト社のコンピュータ基本ソフトの商標として、取引者、需要者の間に広く知られていたものと認められる。

(3)また、「Microsoft」の文字はパソコン用ソフトの開発業者として著名な米国マイクロソフト社(Microsoft Corporation)の略称を表すものとして理解されているものと認められる。

(4)さらに、株式会社日本実業出版社1990年改訂新版発行「コンピュータ用語の意味がわかる辞典」の「MS−DOS」「MS−Windows」の項、及び日経BP社1994年10月10日発行「日経パソコン新語辞典95年度版」の「MS−DOS」、「MS−IME」、「MS−KANJI API」、「MS−Works」の項の記載によれば、「MS」の部分は、米国マイクロソフト社が少なくとも1981年の「MS−DOS」を米国IBM社に提供したときより、同社製作のOS(オペレーティングシステム)、FEP(フォロント・エンド・プロセッサー:仮名漢字変換)の基本ソフト及びワープロ、表計算、データベース等を統合したソフトウェアに系統的に用いている略号であることが認められる。

(5)そうすると、申立人使用商標は、米国マイクロソフト社の取り扱う商品のうち「Windows」の標識に係る「コンピュータ基本ソフト」として、取引者、需要者間に広く認識されており、加えて、職権により調査したところによれば、「WINDOWS」の商標は、平成4年10月20日登録出願され、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路,同磁気ディスク,同光ディスク,同磁気テープ,未記録の磁気ディスク,同光ディスク」を指定商品として平成9年10月9日に登録商標第3351402号として設定登録がなされているものであって、同商標の周知性は、現在も継続しているものと認められる。

2 商品の出所の混同のおそれについて

本願商標は、別掲のとおり「G」及び「WINDOWS」の文字をハイフンで結合して、「G−WINDOWS」と表してなるものであり、全体として特定の意味を表すとかあるいは何らかの意味合いを連想させるような、一体としてみるべき必然性は認められず、単純にアルファベットの「G」と「WINDOWS」の英単語とをハイフンで結合したものと認識されるものといえる。

そうすると、本願商標中「WINDOWS」の部分が米国マイクロソフト社のコンピュータ基本ソフトとして周知な「Windows」と同一の綴りのものであること、及びパソコンの基本ソフトに関する書籍のタイトルに「MS−Windows」又は「Windows」の語を含んだ題号が多数採用されている実情にあることを考慮すると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、前記米国のマイクロソフト社の申立人使用商標すなわち「Microsoft Wondows」「MS−Windows」の商標を連想、想起して、該商品が同社の取り扱いに係る商品、又は同社と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、「Windows」の商標は「コンピュータソフトウエア」についてそれ単独では商品の出所標識として、マイクロソフト社の商標として使用されているわけではなく、また「WINDOWS」の語は、コンピュータソフトウエアの分野では、「コンピュータの表示画面を複数に分割し、複数の作業、複数の状態を表示させるソフトウエア」の普通名称として一般に使用され、認識されているものである。したがって、「Windows」の商標が、マイクロソフト社の商標として著名であるとの拒絶査定の理由には根拠がないと述べている。

しかし、「自由国民社発行1999現代用語の基礎知識411ページ」、「英和コンピュータ用語大辞典 第2版(1996年7月22日 日外アソシエーツ株式会社発行)678ページ」などによれば、「コンピュータの表示画面を複数に分割し、複数の作業、複数の状態を表示させるソフトウエア」を意味する語としては「multi−window」「マルチウィンドウ」の語が使用されているものと認められ、「WINDOW」の複数を表す「WINDOWS」が用いられているわけではなく、他に「WINDOWS」が「コンピュータの表示画面上の複数の窓」を表す語として普通に使用されていると認めるに足りる証拠はない。

また、申立人使用商標の使用例は「WINDOWS」単独のものでないと述べているけれども、申立人使用商標は、米国マイクロソフト社の取り扱う商品のうち「Windows」の標識に係る「コンピュータ基本ソフト」として、取引者、需要者間に広く認識されているものであるとの判断は前記のとおりである。

(2)請求人は、本願商標は同じ書体で、「G」の語と「WINDOWS」の語を結合機能を有するハイフンによって、軽重の差なくまとまりよく一体に書されているため、「ジーウンドウズ」と一連に称呼される造語商標として一般に認識されるものであると主張する。

しかし、前記認定のとおりむしろ単純にアルファベットの「G」と「WINDOWS」の英単語とをハイフンで結合したものと認識されるものというのが相当であるから、この点に関する請求人の主張も採用できない。

4 結び

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同様の理由により拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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