結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第31411号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3084137号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第41類「知識の教授,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,ゴルフ場の提供,スキ―場の提供,テニス場の提供,プ―ルの提供,ぱちんこホ―ルの提供,遊園地の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与」を指定役務として、平成4年9月30日登録出願、同7年10月31日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
1.本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者(被請求人)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが本件商標を使用していない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定に基づき、取り消されるべきである。
2.被請求人は、本件審判請求に対する答弁書を提出し、その指定役務中「知識の教授」に関し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していると主張し、その使用に関する証拠として乙第1ないし第9号証を提出した。
しかしながら、以下に述べるとおり、本件商標は商標法50条の要件を満たし、その取消を免れないものである。
(1)被請求人は、被請求人の製造する家庭用及び業務用活水器(以下「対象商品」という。)の代理店契約者、代理店契約希望者及びその他の希望者に対して、「予防医学シンポジウム」を開催し、その案内書(乙第1ないし第3号証)に本件商標を使用していると主張するところ、これらには「【入場料】 無料 ※紹介者のある方のみ」との記載があり、これは、明らかに限られた者にのみ配送し、配送された者又は紹介者のみが受講できることを示している。
当該シンポジウムを業として提供したのであれば、入場料が記載表示されていてしかるべきであり、このような記載の仕方は、単に紹介のない者の受講を排除する趣旨で記載されているものと考えられ、当該「予防医学シンポジウム」とは、主として、対象商品の購入を検討している者や代理店契約の締結を検討している者等を対象として、対象商品の効用等を宣伝するなど、その販売促進や広告宣伝に役立てるため、付随的に開催されているものであって、独立した商取引の目的とされるものではない。
(2)被請求人は、主に販売員への知識の教授として作成された「予防医学シンポジウム」と題するリーフレット(乙第4ないし第6号証)を提出し、本件商標を使用していると主張するところ、いずれも最後の頁に「販売員の皆様へ」として、被請求人の販売員への注意事項が記載されていることから明らかなとおり、被請求人の代理店販売員に対する注意事項を伝達するために、配布する目的で作成されたリ一フレットであって、「知識の教授」自体を商取引の対象としていないものである。
(3)被請求人は、「経営者セミナー」に関する案内書(乙第7ないし第9号証)を提出し、「新医学シンポジウム」の主催者として、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「MPG本社」を使用していると主張するところ、これらには年度の記載がないから、被請求人が主張する平成10年に開催されたものかどうか極めて疑問であり、かつこのセミナーが被請求人の主催であるとの記載がなく、この案内書には「※骨密度測定を無料で実施しております。MPG本社」と記載されているのみであり、客観的にみて「MPG本社」との記載は単に骨密度測定が行われる場所を記載したものと解するのが自然であって、「知識の教授」に関して、役務の出所を表示するための商標として使用されているものとは言い難い。
また、「MPG本社」の記載は、「MPG」の部分と「本社の部分」とが同一書体、同じ大きさで、まとまりよく不可分一体のものとして表記されているものであり、本件商標と同一の標章といえるものではなく、また、社会通念上同一と解せるものではない。
被請求人は、「本件審判事件は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第11号証を提出している。
1.被請求人は、予防医学の推進をコンセプトに、家庭用及び業務用活水器等の製造(販売)を営業目的の一つとし、前記家庭用及び業務用活水器を全国の代理店に向けて販売しており、昭和63年11月16日の現商号への変更時より本件商標を使用している。
また、全国の代理店契約者、代理店契約希望者及びその他の希望者に対して、知識の教授として、随時、専門家を招いて予防医学に関連するシンポジウムを開催し、その案内書に、本件商標及び社会通念上同一と認められる商標を使用している。
2.「予防医学シンポジウム」に関する案内書には、講演日時、入場料及び主催欄等の記載があり、その主催欄には本件商標の記載(シンポジウム主催者としての使用)がされている。
そして、該案内書は頒布され、該案内書に記載されたシンポジウムは、予防医学に関する知識の教授であり、実際に開催され、現在も継続されている。
3.主に販売員への知識の教授として作成された「予防医学シンポジウム」と題するリーフレットには「1999.8 Vol.39」の記載及び本件商標が使用されている。
そして、該リーフレットは頒布され、現在も月1回のベースで刊行されている。
4.「経営者セミナー」に関する案内書の写しには、講演日時、「新医学シンポジウム」の記載及び主催者として、社会通念上同一と認められる商標「MPG本社」の記載がある。
そして、該「新医学シンポジウム」は、新医学に関する知識の教授であり、実際に開催され、主催者として記載された「MPG本社」は、本件商標「MPG」を要部として含んでいる。
5.請求人の弁駁に対する答弁
(1)請求人は、「商標」といえるためには、業として役務を提供し、又は証明するものがその役務について使用するものでなければならず、「役務」とは、独立した商取引の対象になるものではなければならないにもかかわらず、乙第1ないし第6号証において表示されている標章は、いずれも独立した商取引の対象となっていないものに使用されていると主張している。
(ア)請求人は、被請求人が提出した乙第1ないし第3号証について、「【入場料】無料※紹介者ある方のみ」との記載は、明らかに限られた者にのみ配送し、配送された者又は紹介者のみが受講することを示している。」「紹介のない者の受講を前提としているのであれば、必ずそれらの者に対する入場料の記載があるはずであるから、このような記載の仕方は、単に紹介のない者の受講を排除する趣旨で記載されているものと考えられる。」「そこで、このような記載から推測すると、...対象商品の効用等を宣伝するなど、その販売促進や広告宣伝に役立てるために、付随的に開催されているものであって、独立した商取引の目的でないと考えられる。」と主張しているが、「予防医学シンポジウム」は、「予防医学の推進をコンセプト」にしている被請求人が、講師費用等のシンポジウム費用を支払って長年、反復、継続して業として実施しているものであって、請求人が述べているように、「紹介のない者の受講を排除する趣旨」ではなく、さらにまた、「対象商品の購入を検討している者や代理店契約を検討している者等」に限定しているものではなく、代理店による不特定人への案内書の頒布などにより第三者にも開放され、紹介者ある場合には無料を原則として開催され、紹介者なき場合は有料の趣旨を意味するものであり、例えば、代理店、前記シンポジウム後の代理店契約者は、被請求人との間に代理店契約が存在し、仮に、シンポジウム参加が無料であったとしても、被請求人との間にシンポジウム参加に伴う教授費用を含む商取引が成立しているものである。
(イ)請求人は、被請求人が提出した乙第4ないし第6号証について、「これらはいずれも販売員への注意事項が記載されていることから明らかなとおり、被請求人の代理店販売員に対する注意事項を伝達するために、配布する目的で作成されたリ−フレットであって、『知識の教授』自体を商取引の対象としていないものである。」と主張しているが、請求人の主張する最後の頁を除く第1頁〜第3頁には、医学知識が開示されているものである。
(2)請求人は、乙第7ないし第9号証について、「第一にこれらには年度の記載がないから、被請求人が主張しているとおり、平成10年に開催されたものかどうか極めて疑問である。」と主張しているが、前記乙第7ないし第9号証には、開催日と同時に曜日が記載されている。したがって、カレンダーによって、その真偽の確認は容易であり、いずれもその開催日は真正である。
また、請求人は、「第二に、このセミナーが被請求人の主催であるとの記載がない。」「客観的にみて『MPG本社』との記載は単に骨密度測定が行われる場所を記載したものと解するのが自然である。」と主張しているが、「経営者セミナー」をメインとするペーパーにあって、日時、講師名等の内容とともに記載されている具体的場所を表す表示を、他の小さな内容表示に結び付けることは極めて不自然であると言わざるを得ない。なお、東京会場はMPG本社である。
さらに、請求人は、「『MPG本社』の記載は、『MPG』部分と『本社』の部分とが同一書体、同じ大きさで、まとまりよく不可分一体のものとして表記されているものであり、本件商標と同一の標章といえるものではなく、また、社会通念上同一と解せるものではない。」と主張しているが、「MPG」部分はローマ文字、「本社」部分は漢字と、文字形態が異なり、「MPG」部分が類似し、全体として類似の域を出ず、社会通念上同一と解釈されてしかるべきと思料する。
(3)被請求人は、乙第11号証に示すように「MPG音楽学院」、「MPG総合学院」を平成4年5月にMPG5ビル(東京都墨田区住吉在)にて開講したが、経済事情の急変等の事情により、同9年5月に継続を断念し、中断のまま、現在に至っており、前記乙第11号証は、本件取消審判の提起後の同11年12月23日に社員が撮影したものであり、現在も前記住所地に、前記写真状態のまま存在している。
すなわち、役務の提供は中断しているが、「使用」状態が継続しているものである。
以上のとおり、被請求人は、本件商標を、知識の教授を指定役務として使用しており、商標法第50条に該当しない。
1.被請求人が、本件商標を使用している事実を証明するとして提出した各乙号証によれば、次の事実が認められる。
乙第1ないし第3号証は、「予防医学シンポジウム」に関する案内書の写しであり、該案内書中には、講演日時、会場、入場料無料及び主催欄等の記載があり、その主催欄には、本件商標が表示されている。
乙第4ないし第6号証は、左上部に本件商標を表示した「予防医学シンポジウム」と題するリーフレットであり、そのリーフレット中には、健康に関することを内容とする記事とともに、「販売員の皆様へ」を表題とし、販売活動を行う上での販売員の心構え等の注意事項を内容とする記事が記載されているものである。
乙第7ないし第9号証は、「経営者セミナー」に関する案内書の写しであり、該案内書中には、開催日、「新医学シンポジウム」の講演内容・講師名等が記載され、右下部に「MPG本社」の表示がされている。
乙第11号証は、ビル及び同ビルに設置された看板の写真であり、そのビルの屋上には「MPG」の標章、また、各階の看板には「MPG音楽学院」「MPG総合学院」等の文字が表示されている。
2.乙第1ないし第3号証は、「予防医学シンポジウム」の題目を冠したシンポジウムの企画・運営を行い、開催するための案内書であり、また、同第7ないし第9号証は、「経営者セミナー」の題目を冠したセミナーの企画・運営を行い、開催するための案内書であるところ、前記各乙号証における役務は、役務の区分第41類「討論会の企画・運営及び開催」「経営に関するセミナーの企画・運営及び開催」に属する役務と認められるものであるから、これらの役務は、本件指定役務中の主に各種学校が教授し又は教育する役務である「知識の教授」の範疇に含まれないものといわざるを得ない。
つぎに、乙第4ないし第6号証は、請求人の製造に係る製品を販売するためのリーフレットであり、同リーフレット中には健康に関することを内容とする記事とともに、販売員の心構え等の注意事項が記載されていることからみても、その販売員に限定して配布されると認められるものであるから、たとえ、これを商標法上の役務を提供するものと認めた場合においても、これによって、本件商標をその指定役務中の「知識の教授」に使用していたものということはできない。
さらに、乙第11号証の写真は、撮影年月日が不明であるばかりでなく、同写真を撮影したのは平成11年12月23日であるという被請求人の主張に係る日付も、本件審判の予告登録日(平成11年11月17日)後の日付であること、かつ、「MPG音楽学院」等がどのような内容の役務を提供していたのか不明であることから、これをもって、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標をその指定役務中の「知識の教授」に使用していたことを客観的に証明しているものとはいえない。
3.以上のことを総合すると、本件商標は、被請求人が提出した各乙号証によっては、その指定役務中の「知識の教授」について使用されていたものとは認められない。
その他、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、その指定役務について使用されていたとする証左はない。
してみれば、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、我が国において、被請求人により取消請求に係る指定役務について使用されていたものとは認められず、かつ、使用をしていないことについての正当な理由があるとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。