Trademark Appeal Case
著名商標の要部抽出と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第14356号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標は、「PIED ROCHE」の欧文字を書してなり、第14類「時計」を指定商品として平成7年8月31日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定において、登録異議の申立がなされた結果、「『ROCHE』は、『ロシュ』あるいは『ロッシュ』と称され、登録異議申立人を含むロシュ・グループ会社の略称として著名であり、かつ、同グループ会社の製造、販売に係る商品に付する商標としても著名であって、わが国においても、明治43年に同グループの中心的存在であるF.Hoffmann−La Roche AG(エフ・ホフマン−ラ ロシュ アーゲー買以下『ロシュ社』とする)によって、『ROCHE』が商標登録され、以後継続して使用された結果、現在では、医薬品のみならず、医療機器、化学品、香料、飼料、食品添加物等に多角経営化され、商品分野の拡大化が進んでいて、殊に、液晶製品については世界的に優れた技術力を持っており、その製品は時計を含めた精密機器類にも使用されていることなどから、『ROCHE』は、上記グループ会社の略称、また、商標としても本願商標の出願前からすでに著名であったことが認められる。してみれば、『PIED ROCHE』の文字からなる本願商標は、全体として特定の成句もなく、常に一体のものとしてのみ把握されるとはいい難いことに加えて、本願指定商品が『時計』であることから、これに接する取引者、需要者は、前記のごとく液晶製品にも著名な商標である『ROCHE』の部分に注目し、該商品がロシュ社あるいは同社の関連グループの業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
異議申立人が原審において提出した日本ロシュ株式会社案内(甲第1号証)及び東洋経済新報社発行の「外資系企業総覧’94」(甲第2号証)によれば、「日本ロシュ株式会社は、世界各国に、関連・系列会社を有する、『ロシュ・グループ』会社の日本での法人であり、大正13年(1924年)に合名会社として創業し、昭和7年(1932年)に日本ロシュ株式会社に改組しこと、資本金88億円、従業員1,976名(1996年12月31日現在)、全国各地に営業所を有し、医薬品、臨床検査試薬・機器、ビタミン・ファインケミカル製品に『Roche』商標が使用されている。」ことが認められ、また、日本経済新聞社発行の「外国会社年鑑1990年版」(甲第3号証)によれば、「F.Hoffmann−La Roche & Co.AG(F・ホフマン・ラ・ロシュ)は、1896年にスイス国バーゼル市に設立され、世界有数のスイスの医療品メーカー。世界51カ国に生産販売拠点を持ち、売上高の96%が国外向け。」との記載がみられる。
更に、昭和59年3月13日付及び14日付「日経産業新聞」(甲第8号証)によれば、「液晶がデジタル時計、電卓、電子ゲーム、さらにはテレビや自動車の計器パネルに使用されている。液晶で世界的に群を抜いた力を持つのがメルクとロシュ。」、「液晶に関して、特許の数はメルクとスイスのロシュが圧倒的に多い」旨の記載がみられる。
平成2年8月23日付「日刊投資新聞」(甲第14号証)によれば、「ロシュは、世界一を誇るビタミン類や世界3位の香料(香水)からファインケミカル、医療機器、ブランドなど関連分野へ進展している。」旨の記載が、さらに、1988年3月30日付け毎日新聞東京本紙朝刊に「大日本インキ化学工業は二十九日、ホフマン・ラ・ロシュ社(本社・スイス、フリッツ・ゲルバー会長)と合弁で各種液晶製品の製造、販売を行う『ロディク』を東京に設立したと発表した。・・・・世界の液晶需要の九〇%は、日本のエレクトロニクス、時計メーカー向け・・・」との記載がある。
以上の事実及び他の甲号証からすると、本願商標の登録出願前より「ROCHE」商標は、ロシュ社の業務に係る商品であることを表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されているというのが相当であり、その使用は現在においても継続していることが認められる。また、ロシュ社の関連会社によって、各種液晶製品の製造販売が行われ、販売先には、時計メーカーも含まれている。
してみれば、『PIED ROCHE』の文字からなる本願商標は、全体として特定の意味を有するものでなく、常に一体のものとしてのみ把握されるとはいい難いものであり、前記した「ROCHE」の著名性を考慮すると、これに接する取引者、需要者は、その構成中に「ROCHE」の文字を有するものと容易に認識、理解するというのが相当である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品について使用する場合には、これに接する取引者、需要者をして該商品がロシュ社あるいは同社の関連グループの業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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