Trademark Appeal Case
地名商標の称呼・観念類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第17804号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本願商標は、「丸子の宿」の文字を書してなり、第30類「菓子、パン」を指定商品として、平成3年7月26日に登録出願されたものである。
2 原査定の理由
原査定において、本願の拒絶の理由に引用された登録第2582984号商標(以下、「引用商標」という。)は、「丸子宿」の文字を書してなり、第30類「菓子、パン」を指定商品として、平成3年2月27日に登録出願、平成5年9月30日に登録されたものである。
3 当審の判断
そこで、本願商標と引用商標との類否について判断するに、コンサイス日本地名辞典(株式会社三省堂発行)及び大辞林(株式会社三省堂発行)によれば、「丸子」の文字は「まりこ」或いは「まるこ」と読まれるものである。
「まりこ」と読むときには[静岡市西部の旧宿場町」、「静岡市の地名。東海道の宿駅の一つで宇津ノ谷峠の東口にあった。」等の地域を表すものであり、「まるこ」と読むときには「長野県中部、小県群。千曲川支流の依田川流域を占める町」「長野県東部の町。霊泉寺・鹿教湯・大塩温泉からなる内村温泉郷がある。」等の地域を表すものとして、それぞれに読みならわされてなるものみられる。
しかして、コンサイス日本地名辞典(株式会社三省堂発行)及び広辞苑(株式会社岩波書店発行)の「まりこ(丸子)」の項をみると、前者には「『旧綴』鞠子」との記載がみられ、後者には「静岡市のもと東海道の宿駅。とろろ汁が名物。鞠子」との記載がみられる。そして、読売新聞(1998年12月6日付け)の「にっぽん食紀行」には「JR静岡駅から西に六キロほど行った静岡市丸子(まりこ)は、知る人ぞ知る『丸子のとろろ』の名所である。......とろろ汁は十返舎一九の『東海道中膝栗毛』にも登場し、芭蕉は『梅若菜まりこの宿のとろろ汁』と詠んだ」等の記事が掲載されている。また、請求人の提出した甲第2号証(東海道五十三次ウォーク▲6▼インターネットホームページ写し)の「静岡市丸子路(まりこじ)」の欄には、「静岡県には東海道53次の内、東は三島宿、西は白洲賀宿までの22宿がありました。...丸子宿(現代の静岡市丸子)は、古くは鞠子とも書かれ、江戸から京方面に上の人にとって、宇津ノ谷峠を越える前に英気を養った宿でした。」との記載がみられ、「丸子周辺の情報」の項には、「俳聖芭蕉の『梅わかな丸子の宿のとろろ汁』で知られるようにとろろが名物。丁子屋、待月楼などが有名」等と紹介されている。
そして、本願商標は、「丸子の宿」の文字を書してなるところ、上記のような事情からしてみると、その構成中の「丸子」の文字は、静岡市の旧宿場町としての「丸子(まりこ)」を表し、芭蕉の句で詠まれた「まりこ(丸子)の宿」を表したものとして看取され場合も少なくないと判断するのか相当である。
そうとすれば、本願商標は、「丸子の宿」の文字を書してなるから、その構成文字に相応して、「マリコノシュク」の称呼と東海道五十三次の宿駅の一つである「丸子の宿場」である「丸子宿」の観念をも生ずるものである。
一方、引用商標は「丸子宿」の文字を書してなるから、その構成文字に相応して、「マリコシュク」の称呼と東海道五十三次の宿駅の一つである「丸子の宿場」である「丸子宿」の観念をも生ずるものである。
そこで、本願商標より生ずる「マリコノシュク」の称呼と引用商標より生ずる「マリコシュク」の称呼を比較するに、両者は、称呼の識別上最も重要な部分である語頭部分を含む「マリコ」の音と語尾部分の「シュク」の音を共通にし、僅かに第3音の「ノ」の音を有無の差異にすぎないから、これを全体として称呼した場合、その観念と相俟って、その語調、語感が近似したものとなり、互いに彼此聞き誤るおそれがあるものというのが相当である。
してみれば、本願商標と引用商標とは、その外観におい異なるところがあっても、その称呼及び観念において類似する商標であり、かつ、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品中に包含されているから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当し登録することができない。
なお、請求人(出願人)は、引用商標に対する無効審判事件(平成6年審判第5989号)における審決を援用して、本願商標と引用商標とは、称呼、外観、観念のいずれについても非類似である旨主張しているが、引用商標が有効に存在する以上、請求人(出願人)の主張は採用できない。
よって、結論のとおり審決する。
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