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Trademark Appeal Case

「フェイスマスク」の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第90923号
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4250545号商標の指定商品中、第5類「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤,その他の薬剤」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4250545号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年10月16日に登録出願され、「フェイスマスク」の文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」及び第5類「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤,その他の薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド,おりものシート」を指定商品として、平成11年3月12日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

(1)本件商標は、その指定商品中「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤」に使用しても、「顔用のパック状の商品(薬剤)」を直感させるものであって、本願指定商品の用途、形状、品質等を表す標章にすぎないものであることから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)また、万一本願商標「フェイスマスク」を「顔用のパック状の薬剤」以外の商品に使用するときは、あたかもその商品が「顔用のパック状の薬剤」であるかのごとく直感させ、需要者がその商品の品質について誤認を生ずる恐れがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由の要点

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲第3号証ないし同第5号証によれば、株式会社ダリヤが、顔用のパック状の商品について「オリオリフェイスマスクA」と使用し、同様に、株式会社サン・ジャパンが、「フェイスケアマスク」、ポーラ化成工業株式会社が、「フェイスフィットマスク」とそれぞれ使用している事実を認めることができる。

さらに、甲第2号証の「1999 Cosmetics in Japan」(株式会社週刊粧業平成10年10月15日発行)の商品名の項目には、「フェイスマスク」、「フェイス」及び「マスク」の各文字と他の文字とを結合し、また、甲第6号証、同第8号証及び同第9号証には、株式会社資生堂が、「マスク」の文字と他の文字とを結合し、使用している事実を認めることができる。

そうすると、申立人の提出に係る甲各号証を総合勘案すれば、「フェイスマスク」の語が「顔用のパック状の商品」を指称するものとして使用されている事実もあることから、「フェイスマスク」の文字よりなる本件商標に接する取引者、需要者は、それより「顔用のパック状の商品」を表しているものと容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、それをその指定商品中「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤」について使用するときは、その商品が「顔用のパック状の薬剤」であることを認識するにとどまり、単にその商品の品質、用途を表示するというべきであり、また、「顔用のパック状の薬剤」以外の「薬剤」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見の要旨

(1)本件商標の指定商品には、「化粧品」は含まれていないことについて

申立人は、本件異議申立書において、「フェイス」や「パック」の語(文字部分)が第3類の商品に一般的に使用されていると述べているが、甲第1号証及び甲第2号証の文献に記載の商品は第3類の「化粧品」に属するものである。すなわち、

甲第1号証の「医薬品・化粧品等/広告の実際」という文献は医薬品・化粧品等とあるが、甲第1号証として引用されている部分は全て化粧品の表示に関する部分だけである。しかも、その化粧品に関する表示について、この文献で「パック」や「マスク」が記載されているのは、全て化粧品についてのもので薬剤とは何の関係もない。

甲第2号証の「1999/cosmetics in japan」は、まさしく日本の化粧品総覧という副題が付けられているように、化粧品についてのみ記載されているものである。

したがって、この文献の記載内容も薬剤とは何の関係もない。

しかるに、本件商標の指定商品には、そもそも「化粧品」は含まれていないのである。したがって、指定商品に含まれていない商品に関して本件商標の識別性を論じることは無意味である。

そして、本件商標の指定商品において、第3類の「化粧品」以外の商品については、「フェイス」や「パック」の語(文字部分)が品質等を表す語として一般的に使用されていることもなく、本件商標は後述のように、その構成文字についても識別力を有する造語商標である。

(2)本件商標は、第5類の「薬剤」を含む指定商品について識別力があることについて

(ア)申立人主張の矛盾と誤り

申立人は、本件異議申立書において、本件商標が第5類の商品についても品質等を表すにすぎない旨述べているが、その立証は全くない。なお、甲第3号証ないし甲第9号証には第3類の「化粧品」に属する商品が記載されているだけである。しかも、「フェイスマスク」の文字を表示している商品は、甲第3号証の株式会社ダリヤの化粧品に属する「化粧水」のみであるが、この商品が商標権者の使用する「パック状の薬剤」とは非類似の商品であるとしても、商標権者が「フェイスマスク」の商標を周知・著名にしている状況下でかかる商品を販売していること自体が商道徳上問題があると言わなければならない。

また、申立人は、本件商標が「顔用のパック状の商品(薬剤)」を直感させるにすぎないとも述べているが、それは後述のように、そもそも本件商標の商標権者である「久光製薬株式会社」が、本件商標「フェイスマスク」を「パック状の薬剤」に大々的に使用してきた結果、取引者又は需要者に「フェイスマスク」が「パック状の薬剤」について有名になっているがゆえに、本件商標がその使用商品との関係性を想起させるに至っているという事実を示しているにすぎないのである。

(ロ)本件商標の登録審査の経緯

本件商標は、平成9年10月16日に商標出願されたものであるが、その出願時の指定商品には「化粧品」が含まれていた。これに対して、本件商標は「(美顔用)フェイスマスク」を認識させるから商標法3条1項3号等に該当する旨の拒絶理由通知を受けたのであるが、商標権者が本件商標を主として使用している商品は「薬剤」であり、「化粧品」ではないため、誤解を敢えて避けるために、指定商品から「化粧品」を削除したものである。その際、審査官からの指摘に従って、使用商品を明確にするために「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤,その他の薬剤」と補正したのである。この「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤」とは、後述する本件商標の使用に係る商品のパッケージに薬効成分がうたわれているように「薬剤」に属する商品であって、かつ、この商品について、本件商標を使用しているのは商標権者のみである。したがって、この意味からも本件商標が薬剤について品質表示語として使用されているという事実はないし、そのような主張は誤りであることは明白である。

(ハ)本件商標と同一構成文字の商標が識別力を認められ登録されている事実

第5類の薬剤を含む商標についての登録

本件商標権者は、本件商標と同一の構成文字である片仮名文字の「フェイスマスク」よりなる商標を、第5類の「薬剤」を含む商品について出願し、自他商品識別力を認められて登録を受けているものである(登録第4066619号、乙第1号証)。そして、この商標登録に対しては、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号を根拠条文として登録異議の申立てをうけたが、登録維持の決定がなされたものである(乙第2号証)。

この異議決定の判断は、商標権者が主張した当該商標はその構成において識別力を有する造語商標であり、かつ、現実にも自他商品識別標識として認識されているということを容認したものであって、この判断は、構成文字を同様とし、その構成態様についても書体を明朝体にしたかゴシック体にしたかの違いしかない本件商標にも同様に当てはまるものである。それゆえに、本件商標はその指定商品、すなわち、「化粧品」を除く第3類の商品と「薬剤」を含む第5類の商品の全部について識別力を有する商標である。

(3)本件商標が商標権者・久光製薬の商標(識別標識)として周知・著名となっている事実について

ところで、商標権者は、本件商標をその指定商品中の第5類の「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤」に含まれる「シートタイプの保湿効能を有する薬剤」について、自己の商標として大々的に使用してきた結果、本件商標は商標権者・久光製薬株式会社の提供する上記商品のブランドとしての地位を確立している。

このように、本件商標は、その取引の実際において、品質表示語として理解されることはなく、一種の造語商標として自然に認識され、商品識別標識としての機能を十分に果たし得ているものである。

してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合においては、一種の造語商標として認識されることから、商品の品質、用途等を表示するものではなく、自他商品の識別機能を十分に果たすものである。また、同様に、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない。

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定には該当しない商標である。

よって、本件異議申立ては理由がなく、本件商標の登録は維持されるべきである。

5 当審の判断

(1)本件商標は、「フェイスマスク」の文字を書してなり、第3類及び第5類に属する前記したとおりの商品を指定商品とするものであるところ、申立人の提出に係る甲第2号証ないし同第5号証によれば、化粧品の業界において「フェイスマスク」の語が「顔用のパック状の商品」を指称するものとして使用されている事実を認めることができる。

この点に関し、商標権者は、本件商標の指定商品は「化粧品」を除く第3類の商品と「薬剤」を含む第5類の商品であって、申立人より提出された甲第2号証ないし同第9号証には第3類の「化粧品」に属する商品が記載されているだけであるから、第5類の「薬剤」については識別標識としての機能を十分に果たし得る旨主張する。

しかし、第5類の「薬剤」の概念に含まれるものは、薬事法(昭和35年法律145号)の規定に基づく「医薬品」の大部分と、同法にいう「医薬部外品」の一部の商品が含まれると認められるところ、「医薬部外品」であっても、その使用目的において人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増す等の用途に使用されるもの(例えば、「薬用化粧品」)は、第3類の「化粧品」の概念に含まれると解される。

そして、「化粧品」の中には、「薬用クリーム,薬用化粧水」など、実質的には「薬剤」との境界があまり明確でない商品があり、「顔用のパック状の化粧品」についても「薬剤」に近い商品があると認められる。

したがって、現に化粧品について「フェイスマスク」等の語が「顔用のパック状の商品」を表すものとして使用され、また、これと本件商標の指定商品中の「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤」の商品が、ともに需要者層を共通にするものであることよりすれば、本件商標を「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品は「顔用のパック状の商品」であると認識して取引にあたる場合が多いというのが相当である。

したがって、商標権者の上記の主張は採用することができない。

(2)このように、本件商標は、「フェイスマスク」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、これを指定商品中の第5類の「肌あれ、あれ性、にきび、油性肌、日やけによるしみを防ぐ効果を有するパック状の薬剤」について使用した場合は、これに接する取引者・需要者は、その商品が「顔用のパック状の薬剤」であることを認識するにとどまり、単にその商品の品質、用途を表示するにすぎないというべきであり、また、「顔用のパック状の薬剤」以外の「薬剤」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

なお、商標権者は、本件商標を「シートタイプの保湿効能を有する薬剤」について、自己の商標として大々的に使用してきた結果、本件商標は商標権者(久光製薬株式会社)の提供する上記商品のブランドとしての地位を確立しているものである旨証拠を提出して主張するが、商標権者の使用に係る商標は、提出に係る証拠によれば「ライフセラ」の文字と「フェイスマスク」の文字とを二段に表したものがほとんどであって、「フェイスマスク」の文字のみによるものでなく、この部分が独立して商品の出所表示として機能しているものとは認められない。

この点に関する商標権者の主張は採用することができない。

(3)したがって、本件商標に対する前記3の取消理由は妥当なものと認められるから、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定により、結論掲記の指定商品について取り消すべきものである。

しかし、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、その品質、用途を普通に用いられる方法で表示する標章として取引者・需要者に認識されるものとは認められないから、商標法第43条の3第4項の規定により、登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

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