Trademark Appeal Case
著名商標と混同の判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第19753号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標は、別紙に表示するとおりの構成よりなり、第14類「金及び金合金,銀及び銀合金,白金及び白金合金,きゅうす,コーヒーポット(電気式のものを除く),コップ,杯,皿,サラダボール,スープ鉢,茶わん,ティーポット,水差し,たる,つぼ,パン入れ,貴金属製のくるみ割り器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶,水盤,針箱,宝石箱,ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口,靴飾り,コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,時計の部品及び附属品,記念カップ,記念たて」を指定商品として平成5年8年3日に商標登録出願されたものである。そして、指定商品については平成7年3年2日付けの手続補正書により、「貴金属製きせる・きせる筒・たばこ入れ・たばこケース・たばこホルダー・灰皿・パイプ・その他の貴金属製喫煙用具,イヤリング,カフスボタン,貴金属製き章,貴金属製バックル,貴金属製バッジ,貴金属製ボンネットピン,ネクタイ止め,ネクタイピン,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,メダル,指輪,ロケット,その他の身飾品,時計,時計の部品及び附属品」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ ローレン カンパニー』が、『被服、ネクタイ』等に使用して本願の出願時には既に著名となっている商標『ポロプレーヤーの図形』及び『POLO』の文字を有してなるものであるから、このような商標を本願の指定商品に使用するときには、これが恰も上記会社或はこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
請求人は日本国内及び海外の辞書、辞典を調査したところ、全て「POLO」は「スポーツ名」としか記載されておらず、アメリカのデザイナー「ラルフ・ローレン」の事は一切記載されていない。同時に「POLO」は、イタリアの探検家「MARCO POLO(マルコ・ポーロ)」の「略称」「名前」として記載されているのが普通である。「POLO」はそもそもペルシャで始まりイギリスで発達した「スポーツ」に過ぎず、「スポーツ」として「POLO」を知らない日本人はいない程である。その為、「テニス」「ゴルフ」と同様に、「一般用語」として認められるべきである。
「POLO」又は[POLO RALPH LAUREN」が「ラルフ・ローレン」のものであるとしても、「POLO」との合成語の全ての商標が「ラルフ・ローレン」のものと決めつけるべきではない。
4 当審の判断
(1) (株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平2(行ケ)183、平成3.7.11)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として、遅くとも昭和55年頃までには既に我が国におりて取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)本願商標は、別紙に表示するとおり馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形および「ASCOT PARK POLO CLUB」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、「ASCOT」、「PARK」、「POLO」、「CLUB」の文字についてはそれぞれ既成の意味を有する語であり、これら4つの語を結合してなるものであることは明らかであって、「POLO」の文字部分が1つの語に吸収されて埋没しているものではなく、かつ、文字部分または図形をも含む全体としてのものが不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものともいい難いものである。
そうすると、本願商標を、デザイナーが一般にその業務として取り扱い得る貴金属製の商品、身飾品、時計を含むその指定商品に使用した場合には、前記実情から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字または馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形に注目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る「POLO」及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形標章を連想・想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
請求人は、「POLO」は、国内及び外国の辞書、事典には「スポーツ名」としか記載されていない。同時に「POLO」は、イタリアの探検家「MARCO POLO(マルコ・ポーロ)」の「略称」「名前」として記載されているのが普通である。アメリカのデザイナー「ラルフ・ローレン」とは記載されていないから、本願商標は登録すべきである旨主張し、さらに当庁における審査例を挙げて種々述べているが、かかる主張は前記認定判断に照らし失当であり、採用することができない。
(3)以上のとおり、同趣旨により本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。