結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成9年審判第21142号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2586938号商標(以下「本件商標」という。)は、「生命の貯蓄体操(自彊術)」の文字を横書きしてなり、平成3年3月18日登録出願、第26類「雑誌、新聞」を指定商品として、平成5年10月29日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条の規定によりその登録は無効とされるべきであると主張して、その理由を次のように述べるとともに、証拠方法として甲第1号証ないし同第19号証(枝番を含む)を提出している。
(1)本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するものであることについて
(ア)請求人は、昭和50年に愛媛県により認可された社団法人であり、その目的は「県民の健康と体力づくりのため生命の貯蓄体操(自彊術体操・要の体操及び組み体操)を普及しスポーツの振興に寄与する」ことにあって、「生命の貯蓄体操の普及活動」「生命の貯蓄体操の指導者の養成」などを行う公益法人である(甲第3号証)。
現在のように法人化されたのは昭和50年であるが、そもそもは、現在の代表者が昭和43年に、職場で実践できる健康体操を提唱したことに始まる。
この健康体操は、折からの健康ブームもあってか大変な好評を博し、昭和48年にその評判が日本船舶振興会の会長の耳に届き、同氏はこれを「生命の貯蓄運動」と命名し、全国に普及させることを望んだ。それを受けて同年10月には松山市内に「生命の貯蓄運動推進総本部」が設けられた。この時点での規模は、支部数15カ所、道場数100カ所、職域サークル28カ所、指導員数92名であった。以降、昭和50年に法人化されるまで「生命の貯蓄運動」並びに「生命の貯蓄」の標章を用いて健康体操の普及活動を展開した(甲第4号証の1及び2、甲第5号証)。
(イ)このような経過を踏まえ、請求人は昭和50年に愛媛県に法人化の申請を行い、同年12月4日に「社団法人生命の貯蓄体操普及会」として認可され、同12月24日に設立登記が完了した。と同時に、体操の名称(商標)を現在の「生命の貯蓄体操」と改めた。当時の規模は、組織替えもあったが、14支部、72道場、53サークルで指導員は240名を数えた。
法人化から間もない昭和51年には厚生省保険局から保健婦研修会での講師の要請があり、同年7月に行われた研修会で請求人が「生命の貯蓄体操」を全国から参加した保健婦に指導した(甲第6号証)。そして、このころから全国各地の国保連合会(都道府県単位)や健康維持に関係する部局(県の福祉部など)等から、請求人の健康体操に対する講演や指導の依頼が相次ぐようになり、多数の行政官庁で、「生命の貯蓄体操」が実施され、同時に市町村単位でも、この健康体操の指導者を養成するための活動が昭和51年から展開され、毎年多くの市町村で研修会などが行われ、また、請求人自らも、「生命の貯蓄体操」の指導者を養成するための研修会や講習会を毎年開催しているほか、この体操による効果を医学的な見地から研究するための会合なども定期的に行っている(甲第7号証及び同第8号証)。
このような積極的な普及活動の結果、「生命の貯蓄体操」は保健関係者を中心に知名度が高まり、遅くとも、本件商標の出願日である平成3年3月18日の時点では全国的に周知商標となっていた(甲第9号証の1〜13)。
(ウ)請求人の普及活動は保健関係者に止まらず、世間一般を対象としても活発に展開されている(甲第8号証及び同第12号証ないし同第16号証(枝番を含む))。
因みに、平成9年8月時点における請求人の規模は、支部数111カ所、道場数2500カ所、会員数32000人である。これだけ多数の会員が存在していることから見て、請求人の健康体操の愛好者(会員が指導・教授している者)は全国で概ね150万人と言われている。
(工)このように、請求人商標「生命の貯蓄体操」は、本件商標の出願日以前から、請求人の提供に係る健康体操を表示するものとして全国的に広く知られていたことは疑う余地がない。本件商標は、「(自彊術)」の部分を含む点で請求人商標と相違するけれども、「自彊術」は健康体操の種類を表示する普通名称である(甲第17号証の1及び2)。
なお、請求人は本件商標の登録について承諾したことは一切なく、被請求人が無断で出願して登録したものである。
それ故、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当するにも拘わらず誤って登録されたものであるから、同法第46条の規定により無効とされるべきである。
(2)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものであることについて
請求人商標「生命の貯蓄体操」が、本件商標の出願日前から、請求人の健康体操を表示するものとして全国的に著名となっていることは上述した。そして、請求人も標章「生命の貯蓄体操」を用いて広報誌や解説書などの書籍を出版しているほか、甲第14号証をはじめとする様々な書籍類の監修に関与している。また、本件商標中の「自彊術」が健康体操の普通名称に過ぎず、請求人もこれを実施していることも前述の通りである。
このような状況の下で、被請求人が本件商標「生命の貯蓄体操(自彊術)」を指定商品「雑誌、新聞」に使用した場合には、当該商品が請求人(或いは少なくとも請求人と何らかの関係を有する者)の出所に係るものであるかの如く誤認・混同されるであろうことは疑う余地がない。従って、本件商標は商標法第4条第1項第15号にも違反して登録されたものであり、無効とされるべきである。
被請求人は、答弁していない。
請求人が提出した各甲号証を総合して検討すれば、遅くとも、本件商標の出願日である平成3年3月18日以前に、「生命の貯蓄体操」の文字からなる標章が、国や地方自治体などの行政機関における、国民(住民)の保健・健康を所管する部局・機関及びその業務に携わる者、ならびに、身体の健康を主目的とする体操(以下「健康体操」という)の愛好者間で、請求人の健康体操を表示するものとして、かつ請求人の略称として、広く認識され、かつ著名となっていたということができ、他にこれを否定すべき証拠はない。
一方、本件商標は、「生命の貯蓄体操(自彊術)」の文字よりなるものであるところ、その構成中の「(自彊術)」の文字は、体操の種類を表示する普通名称と認められるものである(株式会社岩波書店発行「広辞苑」第二版<甲第17号証の1>、株式会社大修館書店発行「最新スポーツ大事典」初版<甲第17号証の2>)。
そうとすれば、本件商標をその指定商品について使用する場合には、「自彊術」の語は「生命の貯蓄体操」の語の体操の種類を表示したものと認識されるものである。よって、本件商標の自他商品識別標識としての機能を果たしうる部分は、「生命の貯蓄体操」の文字部分にあるといえるから、当該文字に相応して「イノチノチョチクタイソウ」の称呼が生ずるといえ、これは、前記した、請求人の採択・使用に係る標章から生ずる称呼と同一のものである。
また、本件商標構成中の「生命の貯蓄体操」の文字は、前記した、請求人の採択・使用に係る標章と同一の配列文字よりなるものである。
さらに、本件商標、及び請求人の使用している標章からは、共に「生命を蓄える体操」とでも言うべき意味が、看取されるものである。
したがって、本件商標は、請求人の採択・使用に係る「生命の貯蓄体操」の標章と、その称呼、外観及び観念において類似する商標と認められる。
ところで、本件商標の指定商品に属する専門誌、あるいは専門紙においては、ある特定の分野のことを内容とした雑誌、あるいは新聞が取り引きされており、事実、請求人も、同人の普及活動している生命の貯蓄体操に関することを内容とした「生命の貯蓄」という新聞を発行している(第13号証)。
してみれば、以上の実情からして、被請求人が本件商標をその指定商品に使用する場合、これが請求人の業務に係り、或いは請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、請求人の主張する他の無効理由について論及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項により、その登録は無効とされるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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