結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第30029号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件登録第473907号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ソルポール」の片仮名文字と「SORPOL」の欧文字とを上下二段に書してなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品として、昭和30年3月12日に登録出願、昭和30年12月6日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2.本件審判請求の趣旨及び理由
請求人は、「本件商標は、その指定商品中『粉状、粒状、液状、泥状のプラスチックス』についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至甲第5号証を提出している。
(1)請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品中「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチツクス」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。
そして、本件商標は、専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならないので、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の指定商品中上記商品についてはその登録を取り消すべきものである。
(2)被請求人は、「本件商標は、その請求に係る指定商品について『ソルポール/SORPOL』の商標を付して、少なくとも昭和30年発売以来現在に至るまで日本国内で継続的に使用しており、以下に示す乙各号証をもってその使用の事実を立証する。」と答弁している。
しかしながら、被請求人の提出した証拠では、商標法第50条第2項に規定する商標登録の取消しを免れるための要件を充足せず、商標登録の取消しは免れえない。以下乙各号証毎に陳述する。
(A)乙第1号証は、被請求人の商品写真である。同号証には、(1)SORPOL7794(液状)、(2)SORPOL7829(粒状)、(3)SORPOL7518(粉状)との表示の横に写真が紙に貼付されており、撮影日平成11年4月1日撮影者種和彦と記載されている。当該号証に表された写真からは、包装容器に貼付された紙状のものに「TOHO」の欧文字と「ソルポール7794」、「ソルポール7829」、「ソルポール7518」の文字と図形並びに識別不能な文字が表され、かつ包装容器に流動体又は粉末状の白い物質が入れられていること、写真(1)、(3)について当該包装容器の右側に紙が置かれその上に白い粉末状の白い物質があること及び写真(1)について当該包装容器の右側にビーカーが置かれその中に白い流動体状の物質が入れられてしいることは視覚で認識できる。
(B)乙第2号証は、被請求人の「農業助剤研究室」から平成8年3月23日付け大日本インキ工業株式会社への「商品送付状」である。この「商品送付状」には、「内容:アクリル樹脂エマルジョン」、「サンプル名称:SORPOL−7794」の「サンプルを送付しました。」との記載がある。したがって、サンプル「SORPOL−7794」が東邦化学工業株式会社から大日本インキ化学工業株式会社に引き渡された事実が推認される。
しかし、「サンプル」としての商品は、顧客の開拓等のため無償で供給されるものであり、サンプル自体は取引の対象として市場に流通するものではない。よって、サンプルは、商標法上の商品には該当しない。したがって、本件審判に係る「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチックス」について登録商標「ソルポール/SORPOL」が使用されたものとは認められない。
(C)乙第3号証は、被請求人の「農業助剤研究室」から1997年(平成9年)6月30日付け日本モンサント株式会社への「商品送付状」である。
しかし、同号証にも乙第2号証と同様に、「サンプル(SORPOL7829)をお送り致します。」との記載があり、「SORPOL7829」は「サンプル」である。よって、上述の法理から乙第3号証のものも商標法上の「商品」には該当しない。したがって、本件審判に係る「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチックス」について登録商標「ソルポール/SORPOL」が使用されたものとは認められない。
(D)乙第4号証は、被請求人の「農業助剤研究室」から平成9年(1997年)6月25付けの日本農薬株式会社への「SORPOL7518」についての「製品規格書」である。
そして、乙第5号証は、99年(平成11年)2月3日付けの日本農薬株式会社福島工場宛の「ソルポール7518」についての「出荷連絡票」である。
上記、乙第4号証及び乙第5号証からすると〈組成内容〉「ロジングリセリンエステル」を内容物とする「ソルポール7518」が「11個」出荷されたことが推認され得る。
そこで、次に「ロジングリセリンエステル」が如何なる商品であるかを検討する。「ロジングリセリンエステル」は、 ロジンエステル」又は「エステルロジン」に該当すると思われる。「ロジンエステル」又は「エステルロジン」は、ロジンをグリセリンと加熱しエステル化したアビチエン酸グリセリンエスヒテルをいう。「ロジングリセリンエステル」は、別名「エステルガム」とも呼ばれる。ここに「ロジン」とは、淡黄色ないし黄褐色の塊で、松に含まれる樹ぶ脂酸を精製する等して製造されるもので、ワニス、石鹸、塗料、化粧品、医薬(消炎鎮痛プラスター、紳創膏)、染料、加工糸、農薬、殺虫剤等様々な物体を組成する化学物質の一つとして用いられる(甲第3号証乃至甲第4号証)。
そして、乙第5号証に示された「出荷連絡票」では、商品「ロジングリセリンエステル」は「日本農薬株式会社」に納入されている。日本農薬株式会社は、農薬専業で業界第2位の地位を占め、殺虫剤、除草剤、殺菌剤その他の農薬の分野に事業展開しているが、プラスチック業は行っていない(甲第5号証)。そうとすると、日本農薬が購入した「ロジングリセリンエステル」は、殺虫剤等の農薬原材料として購入された化学物質の一種であると考えられる。したがって、「ロジングリセリンエステル」は、化学品であり、本件審判に係る指定商品「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチックス」と認めることはできない。
(E)乙第6号証は、「製品安全データシート」である。この「製品安全データシート」は、製品「ソルポール7248」に関するものである。
しかし、このような「製品安全データシートは、商品に関する「広告、定価表又は取引書類」に当たらない。したがって、「製品安全データシート」へ標章を使用しても商標法上の使用(商標法第2条第3項第7号)には該当し得ない。
また、「製品安全データシート」が、「取引書類」の一態様に解され得るとしても乙各号証からは、この書面が展示、又は頒布された事実を出すことはできない。
3.答弁の趣旨及び理由
被請求人は、「本件の審判請求を棄却する、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び弁駁に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至乙第8号証を提出している。
(1)請求人は、本件商標は商標権者により、継続して3年以上日本国内で商品「第1類 粉状、粒状、液状、泥状のプラスチック」について使用されていないので、本件商標は指定商品中「第1類 粉状、粒状、液状、泥状のプラスチック」について取消されるべきものであると主張している。
(2)しかしながら、本件商標は被請求人が、その請求に係る指定商品について「ソルポール/SORPOL」の商標を付して、少なくとも昭和30年発売以来現在に至るまで日本国内で継続的に使用しており、以下に示す乙各号証をもってその使用の事実を立証する。
(3)被請求人は、少なくとも昭和30年12月本件商標登録以来原料プラスチックとして取り引きされる「重合型プラスチック」であるアクリル樹脂のエマルジョン(液状)に「SORPOL7794」、同じく「重合型プラスチック」であるポリアクリル酸ナトリウム架橋体(粒状)に「SORPOL7829」、またロジングリセリンエステル樹脂(粉状)には「SORPOL7518」なる商標を付して販売活動を現在に至るまで継続している。
直近3年間における使用の事実を証するため乙第1号証(商品の一例写真)、乙第2号証(商品送付状の一例)、乙第3号証(商品送付状の一例)、乙第4号証(商品規格書の一例)、乙第5号証(出荷連絡票の一例)乙第6号証(製品安全データシート(MSDS)の一例)、の各号証を以って立証する。
(4)上記に詳述して立証した事実により、本件商標は本件審判請求の予告登録前3年以内にその指定商品中「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチック」について被請求人により日本国内において継続的に使用されているので、本件審判請求は成り立たない。
(5)本件商標の使用状態の写真を補充する。いずれも乙第1号証の写真に示す商品の拡大写真である。
(6)請求人は、被請求人の提出した乙各号証毎に陳述している。しかしながら、被請求人はこれに対し理由のないものとして答弁する。
(A)請求人は、「...物質が入れられていることは視覚で認識できる。しかし...白い物質が具体的に如何なる物であるかは認識することは出来ない。」としている。
しかしながら、被請求人は、乙第1号証として商品写真を、また拡大写真を乙第1号証の2として提出しており、乙第1号証の商品写真(1)及び乙第1号証の2の写真(1)は乙第2号証で明らかなようにアクリル樹脂のエマルションであり、被請求人が液状のプラスチックを「SORPOL7794」と表示した容器に入れていることがわかる。
同様に乙第1号証の商品写真(2)及び乙第1号証の2の写真(2)は乙第3号証で明らかなようにポリアクリル酸Na架橋体(100%)樹脂の粒体であり、被請求人が粒状のプラスチックを「SORPOL7829」と表示した容器に入れていることがわかる。
また乙第1号証の商品写真(3)及び乙第1号証の2の写真(3)は乙第4号証で明らかなようにロジングリセリンエステルの粉末であり、被請求人が粉状のプラスチックを「SORPOL7518」と表示した容器に入れていることがわかる。
以上のように「写真の物質が如何なる物であるかは認識できない」とする請求人の主張は当を得ていない。
(B)請求人は、乙第2号証及び乙第3号証は「サンプル」であり、本件審判に係る「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチック」について商標を使用したとは認められないとしている。
しかし、乙第2号証及び乙第3号証によっても、商標の使用の事実が証明されるものである。即ち、取引きを行うために販売業者や消費者等に商品の見本(サンプル)を頒布する行為は、商標法第2条第3項第7号にいう「商品の広告に標章を付して頒布する行為」であると解されるものである。
以上の如く、サンプルを現在においても日本国内における取引きに関して引き渡し頒布している事実からして、商標の使用を「現在使用中」と解すべきは否定する余地がないといえる。かくて、乙第2号証及び乙第3号証を以て、ともに使用を証する証拠と認められるべきものである。
(C)請求人は、乙第5号証により商品「ソルポール7518」が「11個」出荷されたことは認めつつも、「ロジングリセリンエステル」は化学物質の一つとして用いられ、また出荷先の「日本農薬株式会社」が「農薬専業」で「プラスチック業は行っていない。」から「ロジングリセリンエステル」は「農薬原材料として購入された化学物質の一種であると考えられる。」ので「化学品」であり本件審判に係る「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチック」とは認めることはできないとしている。
しかしながら、ロジングリセリンエステルは、請求人が提出した甲第3号証においてもロジンは樹脂(=プラスチック)であり、ロジングリセリンエステはラッカー用樹脂として用いることもあるということが記載され、「プラスチック」であることが証される。
また、請求人の提出した甲第3号証と同一文献の別項目である乙第7号証には「プラスチック」には天然樹脂も含まれることが記され、ロジン(=松脂)は「プラスチック」に含まれることがわかる。
また、「ロジングリセリンエステル」は、請求人提出の弁駁書にも記されているように「ロジンエステル」とも言われ、乙第8号証に示すように、これは「エステルガム」とも言われて樹脂(=プラスチック)であることが証される。そして、用途についても「農薬」として使用される旨の記載はない。
ちなみに、被請求人の商品「ソルポール7518」出荷先の「日本農薬株式会社」において、「ロジングリセリンエステル」は、樹脂(=プラスチック)のアモルファス(非晶質)としての性質を利用して農薬固体有効成分の水系中での結晶析出を抑制するため、あるいはプラスチックの性質を利用して農薬物質に皮膜を作り農薬成分の浸出速度をコントロールするコーティングのために使用されている。
したがって、「ソルポール7518」は「プラスチック」として使用されている。
(D)請求人は、乙第6号証の「製品安全性データシート」は「広告、定価表又は取り引き書類に当たらない。」としている。
しかしながら、「製品安全性データシート」は販売に必要な書類であり、「製品安全性データシート」が有るということは商品が市場に流通していることを裏付けるものである。
(E)以上の立証した事実により、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内にその指定商品中「粉状、粒状、液状、泥状のプラスチック」について被請求人により日本国内において継続的に使用されているので、本件審判請求は成り立たないものである。
4.当審の判断
被請求人の提出した乙各号証をみるところ、乙第1号証の1及び2(商品及び商標使用写真)には、「ソルポール7794」、「ソルポール7829」そして「ソルポール7518」の表示を付してなる包装容器及びその容器に収容されたとみられる物質が包装容器の右側に配されたビーカー及び紙にそれぞれ置かれているものであ。
しかして、乙第2号証(商品送付状)には、「サンプル名称;SORPOL−7794、内容;アクリル樹脂エマルジョン、形状;外観 白色液体」の記載がみられ、乙第3号証(商品送付状)には、「高吸水性樹脂(紙オムツに使用される物)サンプル(SORPOL7829)、また、SORPOL 7829、組成;ポリアクリル酸Na架橋体(有効成分100%)、(水と接触することで、粒がゲル状になる......)、その他のサンプルとして、SORPOL 7248 組成;ポリアクリル酸Na(有効成分40%)」の記載がみられ、そして、乙第4号証は、SORPOL 7518製品規格書であるところ、該製品規格書には、「1.外観(25°C)淡黄色粉末、2.粒度35メッシュ全通通過、〈組成内容〉ロジングリセリンエステル」の記載がみられるものである。しかして、ロジングリセリンエステルは、天然樹脂の一つであるロジンをエステル化したものであって、これはその用途よりしてプラスチックの組成を表示したとみられるものである。
してみると、「ソルポール7794」は乙第2号証の記載内容と、「ソルポール7829」は乙第3号証の記載内容と、そして、「ソルポール7518」は乙第4号証の記載内容とそれぞれに対応しているものであるから、「ソルポール7794」の表示を付してなる包装容器には「液状」、「ソルポール7829」の表示を付してなる包装容器には「粒状」、そして、「ソルポール7518」の表示を付してなる包装容器には「粉状」のプラスチックが、それぞれ収容されていると理解されるものである。してみると、包装容器に表示された「ソルポール7794」、「ソルポール7829」、そして、「ソルポール7518」は、順次、「液状」、「粒状」、そして、「粉状」のプラスチックの商標としてそれぞれ表示されていると認識されるものである。
そして、乙第2号証は被請求人の「農業助剤研究室」から平成8年3月23日付け大日本インキ工業株式会社へのSORPOL−7794の「商品送付状」であり、乙第3号証は被請求人の「農業助剤研究室」から1997(平成9)年6月30日付け日本モンサント工業株式会社へのSORPOL7829の「商品送付状」であるところ、これらの商品送付状の商品はサンプルであって、顧客の開拓等のため無償で供給され、サンプル自体は取引きの対象として市場に流通するものではない旨請求人は主張するが、サンプルは一般に商品の見本として、商品を特定し、商品販売の促進のために用いられるものであるから、上記「商品送付状」に係る商品「液状」及び「粒状」の各プラスチックが取引上出荷されたものとみられる。そして、乙第4号証は被請求人から平成9年6月25日付け日本農薬株式会社へのSORPOL7518製品規格書であり、乙第5号証は被請求人から99(平成11年)年2月3日付け日本農薬株式会社へのソルポート7518の「出荷連絡票」であるところ、これらより、現に99(平成11年)年2月3日付けで商品「粉状」のプラスチックが取引上出荷されていることがみられる。
しかして、「液状、粒状、粉状のプラスチック」は請求に係る指定商品「液状、粒状、粉状、泥状のプラスチック」の範疇に属する商品と認められるものであり、そして、上記の商標は本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標をその指定商品中の上記に使用していたことを認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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