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Trademark Appeal Case

称呼類似による混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35082(T2000−35082/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2706197号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成2年10月26日登録出願、商標の構成を後掲(1)に示すとおり「ミスティラ」、「MISTYLA」とし、指定商品を旧第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」として、同7年4月28日に設定の登録がされ、該登録に係る商標権は現に有効に存続するものである。

2 引用商標 請求人が本件商標の登録無効を述べる理由に引用する登録第1724271号商標(以下、「引用商標」という。)は、昭和56年5日14日登録出願、商標の構成を後掲(2)に示すとおり「MUSTELA」とし、指定商品を旧第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類 」として、同59年10月31日に設定の登録がされ、該登録に係る商標権は平成7年8月30日に存続期間の更新の登録がされ、現に有効に存続するものである。

3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べている。

(1)請求理由の要約

請求人の所有に係る引用商標は、同人がクリームソープ、ベビーフレグランス等のベビースキンケア商品に使用し需要者間において広く認識されているものであって、本件商標はこれに類似し、その出所について混同を生じさせるものであるから、その登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものというべく無効とすべきものである。 (2)無効事由

本件商標は、以下の理由から明らかなように、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号によって無効にすべきものである。

(3)無効原因

(ア)引用商標について

引用商標は、長年にわたりスキンケア商品を研究してきたフランスの製薬会社である請求人が、本国のフランスをはじめ、主にヨーロッパ各国で使用し、需要者の間で広く認識されるに至った商標である。 すなわち、請求人が使用する「MUSTELA」ブランドのベビースキンケア製品(以下、「請求人商品」という。)は、その高い品質により、薬剤師やヘルスケアの専門家の高い支持を受け、病院や産婦人科において45年以上もの間愛用され続け、現在はフランスでNo.1のシェアを誇るまでに至っているものであって、今やフランスのみならず、世界中で高品質、高い安全性の代名詞にまでなっているものである。

また、請求人は世界各国で請求人商品を販売しており(甲第3号証乃至甲第15号証)、そのヨーロッパ各国におけるシェアは、フランスにおいては43%、スペインにおいては30%、メキシコにおいては10%、ポルトガルにおいては50%、ベルギーにおいては40%を占め、各国においてリーダーシップ的地位を獲得しており、その売り上げの60%はフランス以外の国によっているものである(甲第3号証乃至甲第5号証)。

以上のように、請求人の使用する引用商標は、主にヨーロッパを中心に世界45カ国で広く知られるに至り、特に外国において周知となっているものである。従って、本件商標の出願時である平成2年時には、その取扱いに係る商品に使用する商標「MUSTELA」は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、主に世界中の医療関係者の間に広く認識され、周知となっていた商標である。

(イ)両商標の類似について

本件商標は、「ミスティラ」のカタカナ文字と「MISTYLA」の英文字とを二段書きにしてなり、文字通り「ミスティラ」の称呼が生ずる商標である。一方、引用商標の「MUSTELA」は、その文字より「ミュステラ」又は「ムステラ」の各称呼が生ずる商標である。

ここで、本件商標から生ずる称呼である「ミスティラ」と引用商標から生ずる称呼である「ミュステラ」とを比較すると、両商標は「ミ」「ス」「テ」「ラ」の4文字を共通にし、両者の差異は「ミ」及び「ミュ」、「ティ」及び「テ」にあるにすぎないものである。 さらにこれらの差異について検討するに、「ミ」及び「ミュ」はともに両唇閉塞通鼻音であって、ともに「マ」行に属する近似音であり、また「ティ」と「テ」についても、ともに無声破裂子音「t」が母音「e」或いは「i」と結合した音であって近似した音であることは、審決例においても認められているものである(甲第16号証乃至甲第20号証)。

以上からして、両商標は一息に発音された場合、その語感が近似し、両商標は称呼上類似する商標というべきものである。

(ウ)出所混同について

上述のように請求人がベビースキンケア製品等に使用する商標「MUSTELA」は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、主に世界中の医療関係者の間に広く認識され、周知となっていた商標である。

ここで、引用商標は旧第1類「化学品(他の類に属するものを除く)、薬剤、医療補助品」をその指定商品とするものであるが、上述のとおり、請求人はフランスの製薬会社であり、引用商標が付された製品も、製薬会社において作られ、化粧品の基準よりも高い、医薬品と同じ高い厳しい基準で品質管理されていること等から、主に世界中の医療関係者において広く知られているものである。

また、本件商標の指定商品中「薬剤」は、引用商標の指定商品中「化粧品」と製造者、流通経路及び小売店舗を同一にすることが多いほか、近年化粧品は品質面においても薬品に近似してきているものである(甲第21号証乃至甲第27号証)。

以上のような事情に鑑みると、請求人がベビースキンケア製品等に使用する商標として、主に世界中の医療関係者の間に広く認識され、周知となっていた引用商標と類似する商標である本件商標が「薬剤、医療補助品」等を指定商品とする本件指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、恰もその商品が請求人の製造・販売にかかるものであるかのごとく、あるいは請求人と何らかの経済的・組織的関連があるかの如く認識し、その出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求に対して、答弁していない。

5 当審の判断

請求人は、その所有に係る「MUSTELA」商標(引用商標)は同人がクリームソープ、ベビーフレグランス等のベビースキンケア商品に使用し需要者間において広く認識されているものであって、これに類似する本件商標はその出所について混同を生じさせるものであるから、その登録は商標法第4条第1項第15号に違反し、無効とされるべきものと述べている。

そこで、先ず、請求人主張の「mustela」商標の周知・著名性についてみるに、その提出に係る甲第3号証、甲第5号証ないし甲第15号証の甲各号証によれば、請求人に係る「mustela」の文字よりなる標章(以下、「請求人商標」という。)は、その取扱いに係る石鹸、クリーム、シャンプー等のいわゆるベビースキンケア商品を表示するものとして、仏国をはじめ西欧諸国を中心として相当程度に需要者間に認識せられた商標と認め得るものである。

しかしながら、請求人商標の我が国における状況をみるに、請求人は僅かに甲第4号証(製品パンフレット)を提示したのみで、それも、どの時期にどの地域でどの位の数量のものを頒布したものかという点は明らかでなく、また、いわゆる「mustela」ブランドのベビースキンケア商品が我が国国内において、どの時期に、どの地域において、どの位の数量のものが取り扱われ、販売されたものかという具体的な状況を示す書類(例えば、取引伝票、広告・宣伝の実績を示す広告物等)も皆無であるから、この一片のパンフレットのみをもって請求人商標の我が国における周知・著名性を客観的に明らかにし得るものとはいい難く、また、請求人商標の西欧諸国における周知事情が一定程度我が国の当業者ないしは需要者間において認識せられていたものかどうかの点も定かでなく、その状況は不明というほかはないから、結局、請求人提出の甲号証をもってしては、請求人商標の我が国における周知・著名性を十分理由づけるものとすることはできない。

そうすると、我が国における請求人商標のベビースキンケア商品についての周知・著名性は明らかでないから、これを前提に本件商標の混同可能性を述べる請求人の主張は妥当でなく、採用することはできない。そして、このほか、本件商標と引用商標又は請求人商標との類否について述べる請求人の主張も前提を欠くものであって、採用の限りでない。その他、請求人の主張を認めるに足りる証拠はない。

してみれば、本件商標をその指定商品について使用したとしても、需要者をして、請求人又は請求人と事業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品の如く、その出所について混同を生じさせるおそれはないといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものということはできないから、同法第46条第1項により、これを無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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