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Trademark Appeal Case

不使用取消審判の商品認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第31145号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2574368号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ICES」の欧文字を横書きした構成よりなり、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和60年12月23日に登録出願、平成5年9月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出している。

(1)請求の理由

請求人の調査によれば、本件商標は上記指定商品中「電子応用機械器具」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。

そればかりでなく、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権の登録もない。

(2)弁駁の理由

(ア)商品について

被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第4号証の商品(以下、「本件使用商品」という。)は「電子応用機械器具」に属しない商品である。

特許庁商標課編「類似商品審査基準」(昭和61年3月28日発明協会発行)(以下、「旧商品審査基準」という。)には、「電子応用機械器具」として「電子応用扉自動開閉装置」は例示されているが、「入室管理システム」又はそれに近い商品は例示されていない。

因みに、商標法施行規則第3条の商標法施行令(昭和35年政令第19号)第1条「商品区分」の規定する別表(以下、「旧別表」という。)には、「電子応用機械器具」として「電子応用扉自動開閉装置」及び「入室管理システム」又はそれに近い商品は例示されていない。

すなわち、本件使用商品は、乙第3号証及び乙第4号証カタログの記載におけるセキュリティやトータルセキュリティシステムの表示及び説明に鑑み、明らかに安全目的のコンピューターを利用した「保安用機械器具」と認識されるものである。

かつまた、乙第3号証において「また、自動ドアや引き戸タイプの入口にも設置いただけます。」の明示より、本件使用商品は、「電子応用扉自動開閉装置」や「引き戸タイプの扉開閉装置」に設置されるものであっても、それ自体、「電子応用扉自動開閉装置」そのものを意味するものではないことは明らかである。

上記事実より、唯一、本件商標の使用の事実を立証する乙第2号証の「登録商標の使用説明書」記載の商標の使用に係る商品名「電子応用扉自動開閉装置」は、前記「保安用機械器具」の証明に他ならないものであり、したがって、本件商標の使用には該当しないものであること明白である。

今日、コンピューターとソフトウェアーとを備え、それによって駆動する商品は多数存在する。例えば、数値制御フライス盤(金属加工機械器具)、コンピューターとソフトウェアーとを備え温度測定、気圧測定、湿度測定、汚染物資濃度測定などを行う大気測定装置(測定機械器具)、及びコンピューター制御により外貨交換、外貨両替、国際運輸料金の精算等を行う金銭処理装置、通貨両替機、現金自動支払機、自動金銭出納機(事務用機械器具)等は、「電子応用機械器具」とは一般に理解されていないものであって、これらコンピューターによって制御される機械器具であっても、依然として金属加工機械器具、測定機械器具及び事務用機械器具の範疇に属する商品である(甲第3号証ないし甲第5号証)。

したがって、本件使用商品は、あくまで「保安用機械器具」及びその範疇に属する商品であって、「電子応用扉自動開閉装置」及びその範疇に属する商品ではなく、結局、「電子応用機械器具」に包含されないものである。

なお、本件使用商品と同一商品と思料されるセコム社の「入室管理システム」は、「安全器機」に属する商品として記載及び紹介されている(甲第6号証)。

(3)使用について

被請求人が証拠として提出した乙第1号証ないし乙第4号証は本件商標の使用を証明する証拠とはならない。

乙第1号証の総合カタログは、昭和61年2月1日発行のものであり、本件審判請求の登録前3年以内のものでないから、採用することができない。

乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標の使用の表示例は皆無であるから、本件商標の使用の事実を立証したものに該当しない。

乙第2号証の登録商標の使用証明書は、乙第3号証及び乙第4号証と同一か否か不明である。仮に、同一であったとしても、「入室管理システム」は、「電子応用扉自動開閉装置」ではなく、コンピューター制御による「保安用機械器具」の証明にすぎないものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。

本件商標は、商標権者がその使用を許諾した通常使用権者である株式会社イトーキクレビオにより、本件審判請求の登録(平成11年9月16日)前の3年以内である平成8年10月31日より平成11年1月11日の間において、日本国内において、「電子応用機械器具」における「電子応用扉自動開閉装置」の範疇の「入室管理システム」商品(乙第3号証、乙第4号証)上での商品名「カードエントランス・システム、又は、イトーキ・カードエントランス・システム」と表示されている商品について使用された事実がある(乙第2号証)。

すなわち、商標権者が販売する上記「入室管理システム」商品については、昭和60年の発売頭初から「イトーキ・カードエントランス・システム」の欧文表示の頭文字を意味する「ICES」の商標を付して商標権者自身によっても使用されていたが(乙第1号証)、ここ数年来カタログ上では「カードエントランス・システム」又は、「イトーキ・カードエントランスシステム」の表示をしている(乙第3号証、乙第4号証)。

しかして、本件商標の通常使用権者であり、かつ、上記商品の製造会社である株式会社イトーキクレビオにおいては、「受注書」、「見積書」等の取引書類において、本件商標を上記の「入室管理システム」商品について、上記の期間において第三者との当該商品の取引きにおいて使用していたことが、乙第2号証により明らかである。

4 当審の判断

(1)被請求人が、本件商標を本件審判の取消対象商品について所定の時期において使用していた事実を証明するものとして提出した本件使用商品(乙第1号証ないし乙第4号証)は、「入室管理システム」と称するものであり、請求人の提出に係る現代商品大辞典(甲第6号証)によれば、「オフィス等で企業情報漏洩防止、安全管理の強化、業務効率等を目的として開発された入室管理システムで、主として電算室、重要書庫、金融機関の通用口等に使用される。暗証番号で解錠するテンキー、磁気カード、入室の時間制限をするタイマ等を必要に応じて組み合わせシステム構成できる。」旨の記載が認められるものであって、セキュリティ管理用の入室管理システムに関する商品といえるものである。そして、そのシステム構成はおよそ、管理用パソコン、データコントローラー、テンキー又はカードリーダの各機器からなり、これにより「電気錠」の施解錠、或いは「自動ドアー」の開扉等を行うものである。

しかして、本件使用商品は、磁気カードを用いて、カードに記録されているデータをカードリーダが読み取り、そのカードが正当に入室を許可された人のカードであれば電気錠が解錠し、或いは自動ドアーが開扉するところの「カードリーダ」を主とするものである。

そうすると、特許庁商標課編「商品区分解説」(昭和55年3月31日改訂版発明協会発行)では、「電子応用機械器具」の概念に属する商品として、「この概念には、電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素になっているものだけが含まれる。」と解説しているところであって、磁気カードの記録された情報・データを読み取る装置であるところの当該「カードリーダ」は、その機能の本質的な要素が電子の作用を応用したものであるから、その機構よりして「電子応用機械器具」の概念に含まれる商品とみることが可能であり、かつ、この範疇に属する商品というのが相当である。

(2)請求人は、旧別表及び旧商品審査基準において、本件使用商品に関する商品が例示列挙されていないこと、コンピューターによって制御される機械器具であっても、依然として他の機械器具の範疇に属する商品があること、及び被請求人の提出に係るカタログの記載におけるセキュリティやトータルセキュリティシステムの表示及び説明からして、本件使用商品は安全目的のコンピューターを利用した「保安用機械器具」と認識されるものである旨、主張するが、願書に記載する指定商品の表示においては「○○○システム」の如き商品表示は、係る個々の構成機器の権利範囲が必ずしも明確でないため実務上でも認め難い表示であって、指定商品表示として旧別表及び旧商品審査基準に例示されていないこと明かである。また、前出「商品区分解説」の「電子応用機械器具」についての説明において上記解説に続けて、「ただし、通信機械器具は、何らかの形で電子の作用を応用しているものが多いが、『通信機械器具』という概念がある以上、『電子応用機械器具』には含まれない。また、医療用のものとして、例えば、『医療用X線装置』は、この概念から除かれ、第10類『医療機械器具』に属する。」旨解説されているところ、これを当該「カードリーダ」に当てはめてみるに、旧商品審査基準において、「保安用機械器具」の概念に属するものとして例示列挙された「救命用具(救命衣、落下傘を含む。)」、「消火器 消火栓 消防用ホース(其他のホースを含む。)」、「オイルフェンス」、「火災報知機 盗難警報器」、「保安用ヘルメット」、「鉄道用信号機 てんてつ機」の各商品には、当該「カードリーダ」を含む「入室管理システム」又はそれに近い商品は例示されていないものであって、これら「保安用機械器具」の概念の下に例示された商品と機能、用途、目的において必ずしも同じくするものといい得ず、かつ、請求人が挙げた、数値制御フライス盤の如く、従来から存する金属工作機械器具としてのフライス盤がコンピューターによって制御されるか否かに関係なく、ともに「金属加工機械器具」の概念に属する商品とするような一般の認識が確立しているものともいえない。

してみれば、前記認定のとおり、当該「カードリーダ」は、管理用パソコン、データコントローラーとともに入室管理システムに使用される構成機器の一であって、単独で取引の対象にもなる商品でもあり、その機械器具の機能の本質的な要素の点をもって認識され、取引に資されること否定し得ないところである。

したがって、本件使用商品は、「保安用機械器具」及びその範疇に属する商品であって、「電子応用扉自動開閉装置」及びその範疇に属する商品ではない旨の主張、乙第3号証及び乙第4号証カタログの記載及び「安全器機」に属する商品として記載(甲第6号証)等によっては、「入室管理システム」に関する商品が、必ずしも「保安用機械器具」に属するものと断じ得ないから、この主張は採用できない。

(3)そこで、乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証の各商品カタログをみるに、被請求人(商標権者)が「カード・エントランス・システム(Card Entrance System)」等と称して「入室管理システム」に関する商品を取り扱っていることがみとめられ、さらに、登録商標の使用説明書とする乙第2号証の見積書、受注報告書の取引書類において、品名として「ICES 入室管理システム(オンライン増設仕様)」、「カードリーダ(テンキー付)ICES」、「カードリーダ(テンキー無)ICES」及び「ICES 10キー無」等の記載が認められるところであって、これら乙各号証を合わせみれば、前記認定の当該「カードリーダ」について、被請求人(商標権者)若しくは通常使用権者と認め得る「株式会社イトーキクレビオ」により昭和61年以降継続して取引が行われていたことを充分窺わせるものである。

そして、取引書類(乙第2号証)の記載に照らせば、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる標章をもって、「電子応用機械器具」の範疇に属する当該「カードリーダ」について実際の取引において使用していたものと認め得るものである。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件審判の取消請求に係る指定商品について、その登録を取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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