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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30339号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2620348号商標(以下「本件商標」という。)は、「SPIRAS」の文字を書してなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和62年1月29日に登録出願、平成6年1月31日に登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第15号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者または質権者により使用された事実が存在しない。さらに、本件商標の商標権者が、上記指定商品「電子応用機械器具」について本件商標を使用していないことについての正当な理由があるものとも認められない。

したがって、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」は当然に取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

本件商標は、「SPlRAS」の英文字を同一書体、同一間隔で一連に横書きしたものであるのに対して、乙第1号証ないし同第3号証及び同第7号証においては、いずれも「Ex−SPlRAS」が使用されている。「Ex−」の文字部分は目に付きやすい先頭部分に配置されていると共に全体として同一書体、同一の大きさで表されており、使用商標全体として一つのまとまった商標を認識させるものである。このことは、ある特定の商標と当該商標の先頭にEXが結合された他人の商標とが有効に併存登録されている甲第1号証ないし同第14号証の事実からも裏付けられる。

従って、本件商標と使用に係る商標とは、外観上も称呼上もまったく別異の商標であり、社会通念上同一性を有するものとは到底言えない。このことは、平成8年審判第19736号の審決において、「サロニック マイボーグ」あるいは「サロニック マイボーグ」の使用は、登録商標「マイヴオーグ」と社会通念上同一性を有する商標の使用ではないと判断されていることからも、裏付けることができる(甲第15号証)。

また、乙第6号証には品目名称として「SPlRAS/WlN48CH」が記載されているが、これはコンピュータに入力されたデータを出力した帳票とみられるところ、例えばデータ長の制限から商標の一部が省略されて入力されたり出力されたりする可能性もあり、「SPlRAS/WlN48CH」が商標として製品に用いられている標章と一致しているか否かは不明である。また、乙6号証を見る限りでは、「SPlRAS/WlN48CH」がどのような商品であるか(例えば、乙第1号証ないし同第3号証で提出されたカタログ中の「Ex−SPlRAS」製品と同じ製品であるか)はまったく証明されていない。

なお、請求人は本審判の請求を行うに先立って、被請求人が本件商標を使用しているか否かについての予備的な調査を行った。それによると、港区虎ノ門所在の被請求人の東京営業所に「スパイラス」を購入したいと申し入れたところ、同社の営業担当者から同名称の商品は、以前に被請求人の子会社であった「ケイエスディ」が販売していたコンピュータソフトであり、一時被請求人の名前でわずかに販売されたことがあったかもしれないが、現在は販売していないとの回答を得た。この回答により、請求人は被請求人が本件商標を使用していない可能性が高いとの感触を得て審判請求に及んだものである。この時点で「イーエックススパイラス」を購入したいと当該営業所に申し入れたらあるいは営業担当者から商品の紹介を受けられた可能性が大変高かったと思われる。このこと自体、営業担当者が「スパイラス」と被請求人が実際に販売していた製品「イーエックススパイラス」を同一の商標の元に販売されている商品と認識していないということを示唆するものである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証を提出した。

本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に被請求人によって、請求に係る指定商品中の「電子計算機用のプログラムを記憶させた磁気ディスク」および「電子回路」について使用されていたものである。

乙第1号証は、「拡張版・多目的ダイナミックデータ処理&解析システム(以下、「本システム」と称する)」との記載と共に本件商標が表示された製品カタログである。本システムは、高速A−D変換器とデータ集録用の増設RAMおよびソフトウェアから構成され、パーソナルコンピュータで動作するものである。上記ソフトウェアは、「計測プロフィールの設定機能、データ集録機能、集録データの処理機能、集録データの解析機能およびシステム管理」の構成から成り、3.5インチフロッピーディスクに記憶され、このフロッピーディスクが売買または貸渡しの対象となっている。従って、本システムに使用されるフロッピーディスクは、「電子応用機械器具」に含まれる「電子計算機用プログラムを記憶させた磁気ディスク」に相当し、「高速A−D変換器」と「データ集録用の増設RAM」は、同じく「電子応用機械器具」に含まれる電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。)に相当するものである。

なお、上記製品カタログ中には、「Ex−SPlRAS」と表示されているが、「Ex」及び「−」は、単なる符号であり特別顕著性を有しない部分であるから、識別力を有する部分は、「SPlRAS」のみである。

乙第2号証は、「共和・電子計測器KYOWA’97総合カタログ」、同第3号証は、「共和・電子計測器KYOWA’98〜’99総合カタログ」であり、これらにも本件商標が付された「拡張版・多目的ダイナミックデータ処理&解析システム」が掲載されており、乙第1号証に掲載されている本システムと実質的に同じである。

乙第4号証及び同第5号証は、上記「’98〜’99総合カタログ」を印刷した印刷会社から被請求人に宛てた平成10年3月31日付印刷会社の「納品書」および「納入を確認する伝票」である。

乙第6号証は、被請求人が「本システム」を得意先(ホシリカガクキカイ)に納品するために発行した「作業指示票」である。これにより「SPlRAS」商標が付された本システムが、平成10年3月16日に完成したことが証明される。

乙第7号証は、「振動解析処理システム」についての「物品供給契約書」である。これによれば、「振動解析処理システム」には「Ex−SPlRAS」と称するソフトウェアが含まれており、この物品供給契約書に基づいて、振動解析処理システムの解析処理プログラムが記憶されたフロッピーディスクが、顧客である「東京国立文化財研究所」に平成8年3月29日までに納入されたことが明らかである。

乙第8号証は、乙第6号証に関連するものとして「振動台データ集録装置 型式96−6287型」と称する製品についての「製作仕様書」であり、被請求人から製品の発注者(住友金属工業株式会社)に発せられたものである。

乙第9号証は、乙第8号証の添付資料である「多目的動的データ集録&処理システム SPlRAS/WIN 機能仕様書」である。

乙第10号証は、被請求人の100%子会社であり、「多目的動的データ集録&処理システム」の共同開発会社である「株式会社共和ハイテック」のホームページをダウンロードしたものをプリントアウトした記録で、これにより「Spiras/Win」商標が、被請求人の100%子会社でもその使用が開始されていたことが明らかである。

4 当審の判断

そこで、被請求人が本件商標の使用の事実を証明するものとして提出した乙号各証をみるに、乙第1号証ないし同第3号証は、それぞれ1994年5月、1997年3月及び1998年4月に印刷発行された被請求人の製品カタログであるところ、その表題部分には「拡張版・多目的ダイナミックデータ処理&解析システム」の文字と共に「Ex−SPlRAS」の文字が表示され(以下、「使用商標」という。)、その説明欄には、当該システムは高速A−D変換器とデータ集録用の増設RAMおよびソフトウェアから構成され、パーソナルコンピュータで動作するものであることが掲載されており、乙第4号証(印刷会社の納品書)及び同第5号証(納入を確認する伝票)によれば、乙第3号証のカタログは、平成10年3月31日に有限会社日之出工芸印刷社から被請求人に納品されたものであることを認めることができる。

また、乙第7号証(物品供給契約書)によれば、被請求人は、東京国立文化財研究所に振動解析処理システム一式を平成8年3月29日までに納入したことが認められるところ、「振動解析処理システム」には「Ex−SPlRAS」と称するソフトウェアが含まれており、振動解析処理システム一式の納入とともに「Ex−SPlRAS」と称するソフトウェアが記憶されたフロッピーディスクも納入されたものと推認し得るところである。

この点について、請求人は、本件商標と被請求人の使用商標とは、社会通念上同一性を有するものとはいい得ないから、本件商標を電子応用機械器具について使用していたとは認められない旨主張している。

しかしながら、被請求人の使用商標は、上記のとおり、「Ex−SPlRAS」の文字を書してなるものであるところ、構成中の「Ex」の文字部分は、一般に商品の規格、型式、種別などの記号、符号として採択使用されている欧文字であって、商標等に付加して取引上普通に用いられているものの一類型にすぎないものであるから、使用商標の要部は、「SPlRAS」の文字部分にあるものとみるのが相当である。

そうとすれば、被請求人の使用商標は、その要部において本件商標と同一の構成からなるものであるから、結局、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲内の商標であるといい得るものであり、かつ、その使用に係る商品も取消請求に係る指定商品である「電子応用機械器具」に包含されているものである。

してみれば、被請求人の提出した乙第1号証ないし同第5号証及び同第7号証を総合すれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品に包含されている商品について、本件商標を使用していたものといわなければならない。

なお、EXの文字を含む商標の併存事例として提出された甲第1号証ないし同第14号証の登録例及び社会通念上同一性を有する商標の使用であるか否かについての甲第15号証の審決例は、いずれも本件商標とその構成態様を著しく異にする商標の事例であるから、その判断を本件に当てはめることはできないものであり、また、請求人の予備的調査に基づく主張も一営業担当者の回答に依拠するに過ぎないものであるから、直ちに、その主張を採用することはできない。

また、被請求人は、平成11年4月20日付けで「第2答弁書」(証拠方法としての乙第8号証ないし同第10号証を含む。)を提出しているが、本件については先に提出された前記乙第1号証ないし同第5号証及び同第7号証をもって本件商標の使用が認定できるものであるから、これについて請求人の「弁駁」は求めずに判断した。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、請求に係る商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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