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Trademark Appeal Case

著名商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第9345号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「金盃菊正宗」(標準文字)の文字を横書きしてなり、第33類「清酒」を指定商品として、平成9年10月17日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、『本願商標は、下記の商標と類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。』と認定、判断して、本願を拒絶したものである。

引用商標一覧

1 登録第1458527号(商公昭55‐006107)

2 登録第1493067号(商公昭56‐006978)

3 登録第1964970号(商公昭61‐082005)

4 登録第2036553号(商公昭62‐069104)

5 登録第2189398号(商公平01‐026547)

6 登録第2497651号(商公平04‐052005)

7 登録第2497652号(商公平04−052008)

8 登録第2636254号(商公平04−110140)

9 登録第2721705号(商公平04‐110143)

10 登録第4055801号

11 登録第4055803号

3 当審の拒絶理由

本願商標は、兵庫県神戸市東灘区御影本町一丁目7番15号に所在する菊正宗酒造株式会社が、本願商標の登録出願前から、商品「清酒」に使用して、我が国の取引者・需要者間において、広く認識されている「菊正宗」の文字を有してなるものであり、同社は、万治2年(1659年)12月に創業されて以来、今日まで約340年の歴史を誇る我が国清酒業界のトップメーカーの一つであり、同社が清酒に使用している「菊正宗」の商標は、明治18年より使用され、同社の社名ともなっており、書体を微妙に変化させながら多くの関連商標が登録されてきたものである。そして、現在、使用されている「菊正宗」の商標には24件の防護標章登録がなされていることからみても、我が国の取引者・需要者間において、広く認識されていたものであることは明らかなところである。

しかして、本願商標「金盃菊正宗」の文字は、全体として特定の語義を有するものではないばかりでなく、「金盃」の文字部分は、金製の盃を意味するものあり、一方、「菊正宗」の文字部分は、上記のとおり、菊正宗酒造株式会社の使用に係る著名商標であることから、容易に「金盃」の文字と「菊正宗」の文字とを結合させたものと理解・認識されるものである。

そうとすれば、本願商標は、その構成中に、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「菊正宗」の文字を含むものであるから、出願人が本願商標をその指定商品である「清酒」について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、「菊正宗」の文字部分に注意が惹かれ、菊正宗酒造株式会社の使用に係る著名な商標である「菊正宗」を想起し、該商品が同社あるいは同社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、この商標登録出願に係る商標は、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 請求人の意見

本願商標は、その構成文字を同書、同大、同間隔に表示してなり、その外観構成がまとまりよく一体に表されているばかりか、「菊」の文字は、「金盃」と同じく、キク科キク属に属する多年草を意味する既成の語であり、例えば「白菊」「綾菊」「晴菊」などの如く、清酒の商標として多く用いられていることから、菊正宗酒造株式会社との結びつきは強くないといえるものである。

また、「正宗」も、清酒の慣用商標であり、清酒の商標として多く用いられている。

そうとすると、本願商標は、その構成中に「菊正宗」の文字を含むとしても、これに接した需要者・取引者をして「金盃」と「菊正宗」に分断して観察される格段の理由はないというべきものであり、むしろ「正宗」が清酒の慣用商標であることから、「金盃菊」印の「正宗」と理解されるとするのが妥当なものである。

したがって、本願商標を指定商品「清酒」に使用した場合、これに接した取引者・需用者は、自他商品識別標識として機能する「金盃菊」の文字部分に注意が強〈惹かれ、この部分より生ずる「キンパイギク」の称呼をもって取引に資されるというのが妥当なものであり、殊更「菊正宗」を分離、抽出して観察することはないというのが相当なものである。

5 当審の判断

商標の類否の判断に当たっては、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を、取引の実情等にも照らして、総合的、全体的に考察すべきである。

これに加えて、その商標の一部が強い識別力を有しており、その他の部分が単に付加的な意味しか有せず、かつ、両者の間に密接な関連のないときは、商標の各構成部分が分離して看取される場合もあり、識別力を有する要部を抽出して二つの商標を対比することにより類否を判断するのが相当である。

そこで、これを本願についてみれば、本願商標は、「金盃菊正宗」の文字を横書きしてなるところ、「金盃」の文字部分は、金製の盃を意味するものあり、一方、「菊正宗」の文字部分は、菊正宗酒造株式会社の使用に係る極めて著名な商標であり、登録第1964970号商標には、防護標章登録が多数されており、また、当庁のホームページに「日本国周知・著名商標検索」として掲載されているばかりでなく、日本酒の分野で非常に強い識別力を有しているものであって、また「金盃」と「菊正宗」との間に密接な関連があることを認めるに足る証左も存しないから、本願商標の要部は「菊正宗」の部分であり、「金盃」はその付加部分とみるのが相当である。

したがって、本願商標「金盃菊正宗」は、これをその指定商品「清酒」に使用するときは、該商品が菊正宗酒造株式会社あるいは同社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

本願商標は、その構成中に「菊正宗」の文字を含むとしても、これに接した需要者・取引者をして「金盃」と「菊正宗」に分断して観察される格段の理由はないというべきものであり、むしろ「正宗」が清酒の慣用商標であることから、「金盃菊」印の「正宗」と理解されるとするのが妥当なものである旨主張するが、本願については、上記のように判断するのが相当であって、請求人の主張は、採用することができない。

以上のとおりであって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであり、原査定は、適用条文について相違する点はあったが、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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