Trademark Appeal Case
周知商標との類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第16426号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、平成5年1月19日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原審において登録異議の申立てがあった結果、原査定は、「登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲各号証より、申立人は、同人が引用する商標(「POLO」および「競技中のポロプレーヤーの図形」よりなる商標)を被服その他のファッション関連商品について永年使用し、該商標が同人の取り扱う商品を表すものとして、我が国においても、本願商標の出願時には取引者、需要者間に広く認識されるに至っていることが認められる。他方、本願商標は、一見して中央部に大きく表された図形が人目を引き、該図形はポロ競技中のプレーヤーの形状がシルエット風に黒色で明確に描かれており、これが申立人が引用する『競技中のポロプレーヤーの図形』とは、たとえ両者を子細に比較した場合においては差異があるとしても、その着想を同じくする特徴あるものであるから、本願商標の欧文字中に『POLO』の文字を含むことも相まって申立人の引用する商標を連想するほど相似たものというべきである。してみれば、出願人が本願商標をその指定商品に使用した場合、取引者、需要者は、これより直ちに、上記の申立人あるいは同人と何らかの関連がある者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。」旨認定判断して本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)「POLO」「ポロ」「Polo」の商標の周知性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 ’84ザ・ブランド」の記載によれば、次の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立し、ポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出、服飾業界の名誉ある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。そのころからその名前は我が国服飾業界において知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレイヤーの図形の各商標(以下「引用商標」という。)が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッションブランド総覧1980年版」における「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略 ’85」の「ポロ・バイ・ラルフローレン」の項の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、「世界の一流品大図鑑 ’79年版」(株式会社講談社 昭和54年5月発行)、別冊チャネラー「ファッションブランド年鑑 ’80」(株式会社チャネラー 同54年9月発行)、「男の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’80年版」(株式会社講談社 同55年6月発行)、「MEN’S CLUB 1980.12」(婦人画報社 同55年12月発行)、「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(株式会社講談社 同56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典 ’84ザ・ブランド」、「流行ブランド図鑑」(株式会社講談社 同60年5月発行)のそれぞれにおいて、眼鏡については、前記の「世界の一流品大図鑑 ’80年版」、「ファッションブランド年鑑 ’80」、「男の一流品大図鑑 ’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
他に、これを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月11日判決言渡)及び及び東京地方裁判所の判決(平成8年特(わ)1519号、平成9年3月24日言渡)があるほか、上記商標の周知性を認めた判決として、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第250号、同第251号、同第252号、同第267号、同第290号(以上平成11年12月16日言渡)、同第268号、同289号(以上11年12月21日言渡)等がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として、遅くとも本願の登録出願時までには既に我が国において取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、別掲のとおり、馬に乗った一人の競技者がマレットを振り上げてポロ競技をしている図形を描き、それを円状に囲むように「ROYAL COUNTY OF BERKSHIRE POLO CLUB」の欧文字で書し、その下段に「ロイヤルカウンティオブバークシャーポロクラブ」の片仮名文字を横書きしてなるものである。しかして、本願商標の各文字部分から生ずる「ロイヤルカウンティオブバークシャーポロクラブ」の称呼は長音も含めて20音という長い音数からなり冗長であるばかりでなく、これらが一連一体の熟語として親しまれた観念を有するものとして広く認識されているともいえないことに加え、上記図形部分はポロ競技のプレーヤーを認識せしめるものであることからすれば、「POLO」及び「ポロ」の文字部分自体が着目され、本願商標は全体として「ポロ(競技プレーヤー)」の観念及び「ポロ」の称呼を生ずるものというのが相当である。
他方、上記のとおり、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されている引用商標は、「ポロ(競技プレーヤー)」の観念及び「ポロ」の称呼を生ずるものといえる。
そうとすると、上記認定のとおり、我が国において遅くとも本願商標の登録出願時までには引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたという取引の実情を考慮すると、本願商標は、その指定商品に使用する場合には、引用商標と構成上相違する点があるとしても、時と処を別にしてこれに接する取引者、需要者は、前記した実情から「POLO」及び「ポロ」の文字又はポロ競技の図形部分に着目して、引用商標を連想、想起し、ラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(3)請求人の主張について
ア)請求人は、本願商標を構成する文字は英国に実在する特定のポロ競技団体の名称を表す旨主張しているが、たとえそうであるとしても、我が国においては、上記ポロクラブは知られたものではなく、本願商標に接する取引者、需要者が本願商標の構成中の「ROYAL COUNTY OF BERKSHIRE POLO CLUB」の文字部分から直ちに上記ポロクラブを表したものと理解し、これを一連一体のものとして認識するとは言い難いから、請求人の主張は採用できない。
イ)その他、請求人は、当庁における審査例を掲げて種々主張するところがあるも、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断が示されているのであって、必ずしも確立された統一的な基準によっているものとはいえず、仮にその中に矛盾や誤りがあるとしても、具体的事案の判断にあたっては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきであるから、この点に関する請求人の主張も採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものとするとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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