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Trademark Appeal Case

立体商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第19935号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、その構成を別掲に示すものとし、第30類「アイスクリーム,シャーベット,フローズンヨーグルト,その他の菓子及びパン,氷,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アイスクリーム用凝固剤,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、平成10年2月10日に立体商標として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、当審における平成11年12月14日付の手続補正書をもって「アイスクリーム,その他の菓子及びパン」と補正されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、その指定商品中『菓子及びパン』との関係よりすれば、指定商品の形状の一形状を表したものと容易に認識される立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品中『菓子及びパン』に使用しても、単に商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨の理由で本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)平成8年法律第68号により改正された商標法における立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。

また、商品の形態を不正競争防止法により保護を求めた事件の判決においても、例えば、「商品の形態自体は、その商品の目的とする機能をよりよく発揮させあるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来、商品の出所を表示することを目的とするものではないけれども、二次的に出所表示の機能を備えることもありうべく、この場合には商品の形態自体が特定人の商品たることを示す表示に該当すると解すべきである。」(東京地方裁判所 昭和50年(ワ)第3035号 昭和52年12月23日判決言渡【最高裁判所事務総局発行 無体財産権関係民事・行政裁判例集第9巻第2号769頁】)との判示がなされているところである。

(3)これを本願についてみるに、本願商標は、別掲に示すとおり、厚みをもたせた略半円形状の立体的形状よりなるものであって、これを補正後の指定商品に使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状の一形態を表してなると認識するにすぎないと判断するのが相当である。

請求人は、本願商標の形状・構成の特徴を挙げて、「請求人の製造販売する商品以外には、本願商標が表す商品形状と同一又は類似する形状をした菓子及びパンは何ら市場に存在していない。しかも、本願商標は、外周部分のボリューム感と内径部分に表された模様とが一体となって、全体としてまとまりの良い形状を表現している。本願商標の使用に係る商品に接した需要者は、同商品を脳裏に記憶し、同商品が特定の何人かの業務に係る商品であると認識し、よって、同商品と他者の製造販売する商品を十分に識別することができる。」と主張している。

しかしながら、本願指定商品を取り扱う業界においては、味や包装、容器の形状などのほかに、商品そのものの形状に特徴をもたせたものを採択し、販売していることが一般に行われていることは顕著な事実であって、請求人の主張する本願商標の形状の特徴は、商品の見た目の美しさ(美感)を効果的に際立たせるための範囲のものというべきであり、本願商標が殊更ユニークな形状を呈しているとはいえないものである。

したがって、本願商標は、前記認定のとおり、商品の形状の一形態を普通に用いられる方法の範疇で表示する標章のみからなる商標というべきであって、本願商標は、その形状に特徴をもたせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められず、この点に関する請求人の主張は採用できない。

4 結 論

してみれば、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。

よって、結論のとおり審決する。

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