Trademark Appeal Case
立体商標と「エアコン」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−9985(T2000−9985/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、その構成を別掲に示すものとし、第1類、第3類及び第5類に属する商品を指定して、平成11年1月28日に立体商標として登録出願されたものであり、その後、指定商品については、平成11年12月1日付の手続補正書をもって、第1類「防かび剤,その他の化学品,植物成長調整剤類,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),高級脂肪酸,非鉄金属,非金属鉱物,原料プラスチック,パルプ,工業用粉類,肥料,写真材料,試験紙,人工甘味料,陶磁器用釉薬」、第3類「消臭芳香剤,その他の香料類,せっけん類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」及び第5類「消臭剤(身体用のものを除く),その他の薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,医療用腕環,失禁用おしめ,人工受精用精液,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,防虫紙」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係において、その商品の包装(収納容器)の一形態を表したものと容易に認識させるスプレー式の容器の立体的形状に、未だ普通に用いられる方法の範囲を出ないと認められる方法で『エアコン』の文字を書してなるものであるところ、『エアコン』の文字は一般に『エアーコンディショナー』の略語として使用されており、全体として『スプレー式でエアコンに用いるもの』と認識されるものと判断される。してみると、本願商標は、その指定商品中『エアコン用の防かび剤,エアコン用の洗浄剤』等との関係においては商品の品質、用途、商品(包装)の形状を表示するにすぎないものと認められる。したがって、この本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する」旨の理由で本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
(1)本願商標は、スプレー容器の立体形状を表すとともに、胴部上部に「エアコン」の文字を表したものであり、願書添付の書面に示す通り、「エ」の文字を大きく、「アコン」の文字をやや小さく、字形に沿った黒地背景内において白抜きで表すとともに文字部分の上部に薄墨を施すという全体として独特の手法をもって「エアコン」と表した構成に係るものである。
(2)「エアコン」の文字自体は「エアーコンディショナー」に限られず、「エアコンプレッサー」の略称とも解することができ、多様的意義を有しており、「エアコンディショナー」の略語であると決めつけるべき要素は何ら存在しない。さらに、指定商品との関係からすれば、これら特定の機器の略称として認識する以外に単なる造語としても認識可能である。
(3)「エアコン」は商品区分第3類「せっけん類、香料類、化粧品、歯磨き」及び第5類「薬剤」についてそれぞれ登録第3265870号及び登録第3088345号として登録されており(甲第1号証及び甲第2号証)、本願出願人が所有する登録商標であり、これら登録商標は標準文字と同様の態様で表示されたもので、その表現態様に特殊性は無く、「エアコン」の文字・表示そのものが第3類及び第5類の商品群との関係において自他商品識別力を有する商品識別標識であると認められていることの証左である。
(4)以上の通り、本願商標はスプレー式容器の立体形状と自己の登録商標である「エアコン」とを組み合わせてなるもので、しかも「エアコン」の表示自体も商品の品質を表示するために普通に用いられる方法で表示されるような態様ではなく、独特の表示態様に係るもので、商標法第3条第1項第3号並びに第4条第1項第16号を理由に拒絶されるべきではない。
4 当審の判断
本願商標の構成は、別掲に示すとおり、円柱状の立体の形状と「エアコン」の片仮名文字との結合よりなるところ、まず、その立体の形状についてみるに、これは、ノズルの先端部分が附属したスプレー式の円柱状容器の形状を表したものと容易に認識されるものであって、該立体の形状は商品の包装(収納容器)の一形態を表したものというのが相当であり、本願商標を構成する立体部分は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
次に、構成中の「エアコン」の文字部分についてみるに、「エ」の文字は他の「ア」「コ」「ン」の文字よりも大きく表されてはいるものの、各文字とも籠字風書体で統一されており、また、各文字の上部が下部とは異なる模様で表されてはいるものの、全体として特異な外観を呈しているとはいえず、「エアコン」の文字を普通に用いられる方法の範囲で表した構成のものというのが相当である。
しかして、該「エアコン」の文字は、「エアコンディショナー」「エアコンディショニング」の略称として一般に使用され、認識されるといえる(広辞苑・大辞林)語であって、それ以外の語義を有するものとは認められず、請求人のいう「エアコンプレッサー」の略称と認め得る証拠はない。
一方、「エアコン」の語について、例えば、防かび剤、洗浄剤、消臭剤等の化学品、せっけん類、薬剤業界関連のいわゆるインターネット情報によれば、「エアコン内部洗浄剤」「エアコンかび防止剤」の表示とともにスプレー式の当該商品が表示されている事実(http://www.mituharu.co.jp/eakonnkurina2.html)、「カーエアコン超簡単洗浄 よく読んでみると、エバポレーターを洗浄するタイプだった。 簡単に言うと、家庭用エアコンの洗浄剤がありますよね、エアコンの本体カバーを開けて、スプレーしたら、排水口から、ドロドロの水が出てくる宣伝、あれの車用ですね。」との表示とともに、当該の商品が表示されている事実(http://www.kanesho.com/surf/mente/mente-9-1.html)が認められるところである。
しかして、上記実情及び事実よりすれば、本願商標中の「エアコン」の文字は、これをその指定商品中「エアコンディショナー用の防かび剤、エアコンディショナー用の洗浄剤、エアコンディショナー用の消臭剤」に使用するときには、取引者、需要者は、それがエアコンディショナー用の商品であることを表示するもの、すなわち、商品の用途、品質を表示した語と理解し、自他商品の識別標識を表示したものとは認識しないとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品中「エアコンディショナー用の防かび剤、エアコンディショナー用の洗浄剤、エアコンディショナー用の消臭剤」に使用するときには、商品の用途、品質、包装の形状を表示するにすぎないものというべきであり、それ以外の「化学品、せっけん類、薬剤」に使用するときには商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
請求人は、「3」の(1)ないし(4)の主張をしているが、その主張については前記(4)で認定・判断したとおりであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
5 結 論
してみれば、本願商標は商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
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