Trademark Appeal Case
形状商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−9652(T2000−9652/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1.本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成10年9月25日に登録出願、指定商品については願書記載の指定商品を平成12年3月29日付手続補正書により、第11類「湯たんぽ」と補正しているものである。
2.原査定の理由
原査定は、「本願商標は、『湯たんぽ』であることを看取させる形状を表してなるにすぎないものであるから、これを本願指定商品中『湯たんぽ』に使用しても、単に商品の品質、形状を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する旨の拒絶の理由を示し、そして、『本願商標は湯たんぽの図形ではあるが、独自の機能並びに形状を有するものであって、それ故、登録性を有する』旨の請求人の主張に対し、本願商標は一見して直ちに『湯たんぽ』とわかる図形であり、かつ、写実的に描いてなり、その外観も特別な独創的形状を有しているものとは言い難く、湯たんぽの類型的図形を表したものと見るのが相当であり、たとえ実用新案、意匠権に基づくものであったとしても、本願商標は指定商品である湯たんぽの品質、形状を表したものに止まり、何ら自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認められない。」旨認定して、本願を拒絶したものである。
3.請求人の主張(要旨)
本願商標が何故に自他商品識別力なしとされたのか、甚だ疑問である。実用新案権、意匠権に基づく独特の形状をしているにも拘わらず、「湯たんぽの類型的図形云々」とはあまりにも雑なとらえ方と云わざるを得ない。
湯たんぽである以上、湯たんぽの類形であることは当然のことであり、殊に意匠権が認められていることは、湯たんぽの範囲であってもその形状が独創的、独自であって、従来の湯たんぽとは一線を画すので、「形状としての新規性を認められたから」にほかならないことである。意匠(形状)が独創、独自であれば、自他商品識別力があるのも当然のことであり、他(同業者)に同じ形状の湯たんぽを製造、販売しているものはいない。本願商標の図形の湯たんぽは請求人独自のものであることは云うまでもない。
本願商標は図形商標ではあるが、写実的なため、立体商標的なものであることから、特許庁における過去の登録例を立体商標に限って、探すに、登録第4171627号(甲第1号証)は包装用器具(及び薬剤として)として登録されたものであるが、単なる包送用容器と云えば云えるもので、何処に自他商品識別力があるのか疑問である。次に、登録第4205191(甲第2号証)であるが、指定商品は「紙製調理用鍋」であるところ、単なる銀紙カップそのものであり、これとて、自他商品識別力など、何処にも見当たらない。更には登録第4329549号(甲第3号証)に至っては、包装用容器として周知のパッケージそのものであり、甲第1号証、同第2号証ともども、自他商品識別力が皆無のものである。
本願商標は実用新案権、意匠権で認められた湯たんぽの形状をそのまま図形商標としたものであるため、独自の形状をしていることから、自他商品識別力があることは説明を要しない。
4.当審の判断
(1)本願商標は別掲に示すとおりの構成よりなるところ、請求人自らも認めているとおり、指定商品「湯たんぽ」の形状の一を表したものと容易に理解されるものである。
そして、本願指定商品を含む各種商品を、例えば、商品カタログ或いは商品の使用説明書等に当該商品を把握させるため、写真又は写実的図形をもって商品の特徴、デザイン等を表示することは取引上普通に行われているところであるから、これを指定商品「湯たんぽ」について使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものと認識するに止まり、それ自体、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとするのが相当である。
(2)請求人の主張する湯たんぽの独自の形状とは、原審において提出した資料1(実用新案公報、登録番号1961119)中の「考案の詳細な説明」(産業上の利用分野・技術的課題)をみるに、当該考案は、要するに従来の湯たんぽの形状では店頭販売では場所をとり過ぎ、陳列すべき商品の数が制限され、また、取扱い性についても、湯の出し入れの際、湯たんぽを持ち続けなければならない等の問題があったものを形状的改良を施すことにより取扱いやすく、かつ、使用しやすい湯たんぽにしたということである。
そうとすれば、本願商標が通常の湯たんぽの形状とは異なる点を示しているとしても、それは機能的にみて商品「湯たんぽ」の本質的形状において変わりはなく、前示のとおり、通常の湯たんぽに比べ湯たんぽの機能をより発揮させるためのものというべきであるから、それをもって自他商品の識別力を有するものとは認められない。また、通常の湯たんぽの形状とは異なる点があっても、それが商品の機能に関わるものである以上は、これに接する取引者、需要者は、当該商品「湯たんぽ」の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
そして、実用新案権、意匠権を有するものであっても、同法における保護はそれぞれの法目的に基づいて、保護の対象、要件、権利の範囲、効力等が定められているものであって、これらに従った実用新案権、意匠権の実施と商標の使用とは明らかに異なるものであるから、実用新案権、意匠権による独占を理由として自他商品の識別力を有するに至ったとは認めることはできないばかりでなく、却って、実用新案権、意匠権消滅後は何人も実施が予定されているというべきであるから、請求人の主張は採用できない。
なお、実用新案権(登録番号1961119)は、既に存続期間満了により消滅している。
さらに、請求人は立体商標の登録例として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出しているが、該登録商標は、立体的形状のみを構成要素とするものでなく、これと文字、図形等の標章の結合により構成されているものであるから、本件と事案を異にするため、それに基づく請求人の主張も採用の限りでない。
5.むすび
したがって、本願商標は指定商品の形状を表示したものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は正当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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