結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成5年審判第1651号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1.本件登録第2011212号商標(以下、「本件商標」という。)は、別紙(1)に表示したとおりの構成よりなり、第2類「肥料」を指定商品として、昭和61年5月13日登録出願、同63年1月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2.請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する、不正競争防止法第4条第1項及び商標法第4条第1項第2号の規定に基づき、通商産業大臣が指定した、パリ条約の同盟国であるアイルランド国の記章の四(昭和60年6月26日通商産業省告示第258号)は、別紙(2)の▲1▼、▲2▼、▲3▼及び▲4▼として表示したとおり4つの記章からなるもの(以下、「アイルランド国の記章」という。)である。
3.請求人は、「本件商標の登録は、無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第5号証を提出している。
(1)本件商標が、商標法第4条第1項第2号に該当する理由
本件商標の形状は、典型的な三ツ葉のクローバーの図形を主体としており、これはパリ条約の同盟国の国の記章であって、通商産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標である。詳言すれば、本件商標は、昭和60年6月26日付け官報第175212号、通商産業省告示第258号として、商標法第4条第1項第2号の規定に基づいて、通商産業大臣がアイルランド国の記章として指定した4件の記章の一つと同一又は類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第2号に該当する。
(2)本件商標が、商標法第4条第1項第6号に該当する理由
前記官報の指定前においても、この種クローバーの図形は、アイルランド国の象徴であるとの特許庁の判断が数次に亘り示された。即ち、過去における3件の商標登録異議申立において、担当の審査官は何れも前記の判断を前提に異議申立を理由有りと決定した。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第6号にも該当する。
4.被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第3号証を提出した。
(1)先ず、本件商標は、黒の太い線で三ツ葉の模様を左右対称に描き、その中心部から斜め左下に短い茎を描いてなる図形の白抜き中央部に、欧文字「SHAMROCK」を黒色のゴシック体で左横書きしてなる、図形と文字とが渾然一体となった結合商標である。他方、請求人の言われているアイルランド国の記章は、いずれも三ツ葉の模様を描いてはいるが、どこにも「SHAMROCK」の文字は見当たらず、しかもそのうちの3つは緑色で全体を塗りつぶしており、残り1つは緑色の地に浮き彫り風に描いてなるものであって、その茎といえば、真っ直ぐか、若干左斜め下あるいは右斜め下に向け曲線的に描かれている。上記のように本件商標とアイルランド国の記章とは、色彩の相違ともあいまって外観上顕著に相違していることは明らかである。被請求人は、この考察方法とその趣旨が近似する次の審決例を挙証する。
▲1▼昭和52年審判第2125号審決、▲2▼昭和55年審判第20697号審決、▲3▼昭和58年審判第10864号審決
この審決例▲1▼は、擬人化した太陽の図形を、一方はほぼ全体を輪郭線で描き、他方は炎の部分を黒く塗りつぶしてなるものにおいて、個々の部分がそれぞれ相違し、また全体的にもその構成を異にするとして外観上非類似とされた例、審決例▲2▼は、「N」と「D」の各文字の一部を結合した点において共通するところがあるとしても、一方は黒色円形図形中に、白抜きした構成であるのに対し、他方は単に黒色で図形を書したものであるとして外観上非類似とされた例、審決例▲3▼は、動物図形に関するもので、一方は線描き、他方は黒く塗りつぶして表されており、いかなる動物か判然としないものとして外観上非類似とされた例である。確かに本件商標も、アイルランドの記章も共に「クローバー」を図案化して描いたものであるが、本件商標の場合は「クローバー」の図を黒の太い輪郭線だけで描き、そしてその白抜き部分に「SHAMROCK」の文字を図形と渾然一体化させて描いてなるものであるのに対し、アイルランド国の記章は、図形のみからなるものであり、しかもこれが全体に亘って緑色に塗りつぶされているか、緑色の生地に浮き彫り風に描かれている。また、茎部についてみると、本件商標の場合は、左斜め下に直線的に伸びているのに対し、アイルランド国の記章は、真っ直ぐ延びているか、右斜め下に曲線で延びているかであり、又若干左斜め下に延びているものもあるが、本件商標のように直線的でなく曲線的である。
以上のように、本件商標とアイルランド国の記章とは、同じ「クローバー」を描いてはいるが、本件商標の場合は、「SHAMROCK」の文字と一体化させたという点でアイルランド国の記章と顕著に相違していると共に、個々の点でも相違している故、時と所を異にしても相紛れるおそれの全くないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第2号、同第4条第1項第6号に該当するものでないので、同46条第1項第1号によってその登録を無効にされるべきものでない。
5.そこで、本件商標とアイルランド国の記章との類否についてみるに、本件商標は、その構成別紙(1)に表示したとおりであって、特定の植物を認識させるとは言い難い三ツ葉の植物(クローバー、カタバミ等)を図案化したものと認められる太い線で描かれた輪郭図形の中に「SHAMROCK」の欧文字を配してなるところ、この図形と文字とがまとまりよく表されているものであるから、本件商標は、常に一体のものとして看取されるというのが相当である。
これに対し、アイルランド国の記章は、別紙(2)の▲1▼乃至▲4▼に表示したとおりであって、その中の▲1▼は、緑色に彩色された三ツ葉の植物を図案化したものと認められる記章であり、▲2▼は、緑色の矩形図形の中に▲1▼と同じ三つ葉の植物図形を白抜きにしてなる記章であり、▲3▼は、金色で縁取られた赤色の盾型図形の中に「IRELAND」の欧文字と緑色で彩色された三ツ葉の植物を配してなる記章であり、▲4▼は、金色で縁取りされた赤色の五角形の中に緑色の三ツ葉の植物図形を配してなる記章である。
してみれば、本件商標とアイルランド国の記章とは、その構成態様を著しく異にするものであるから、それぞれ時と所を異にして離隔的に観察するも互いに相紛れるおそれのない外観形象よりなる非類似の商標というのが相当である。
つぎに、請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第6号にも該当するものであると主張しているが、商標法第4条第1項第6号は、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」と規定するところ、本号にいう「国」とは日本国のみをいうものと解すべきである。これに対し、請求人が引用する前記記章は、パリ条約同盟国の一国であるアイルランド国の記章であるから、アイルランド国が本号でいうところの国には該当しないものであり、さらに、請求人の示す前記審査例は、本件と事案を異にするものであるから、この主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第2号及び同第6号に違背して登録されたものでないから、結局、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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