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Trademark Appeal Case

欧文字商標の称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成6年審判第9241号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

I.本件商標

本件登録第2499057号商標(以下、「本件商標」という。)は、「Deguceram」の欧文字を横書きし、平成2年5月17日登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品とし、同5年1月29日登録されたものである。

II.請求人の主張

請求人は「登録第2499057号商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求める審判を請求、その理由の概要を次のとおり主張、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。

1.引用商標

請求人が無効の理由として引用する登録第2151351号商標(以下、「引用商標」という。)は、「ドゥーセラム」の片仮名文字と「DUCERAM」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、昭和61年3月14日登録出願、第1類「人工歯用材料、その他本類に属する商品」を指定商品として平成1年7月31日登録されたものである。

本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず、登録されたものであり、同法第46条第1項により無効とされるべきである。

2.本件商標と引用商標の比較

(1)称呼

本件商標「Deguceram」は、「デグセラム」の称呼を生ずるとともに、商標中「Degu」の文字のうち子音「g」が脱落消失し「デウ」と発音、さらに「ドー」と音が変化して発音されるのが普通であるから、「デグセラム」の称呼はこれを一気一連に称呼した場合、「デウセラム」又は「ドーセラム」に音が変化して称呼され聴取される。

そして、本件商標から生ずる「デグセラム」「デウセラム」「ドーセラム」の各称呼は日本語において発音と音感とが極めて近似した音となり、商取引において一気一連に称呼した場合、本件商標は、「ドーセラム」又は弱音「ム」が消去(脱落)され、「ドーセラ」と称呼され聴取される。

他方、引用商標は、その構成前記のとおりであるから、商標中の「ドゥーセラム」の文字部分から「ドゥーセラム」の称呼が生ずるとともに、「ドーセラム」と自然に称呼される(なお、「ドゥーセラム」の称呼は構成音中の「ドゥ」が日本語において発音が困難であるから、これを一連に発音する場合、「ドー」と称呼するのが常である)。また、構成文字中「DUCERAM」の文字部分は、「ディユウセラム」の称呼を生ずるとともに、「デウセラム」及び「ドウセラム」の称呼も生じ、商取引上この両称呼を一気一連に称呼するときは「ドーセラム」と、さらに称呼中語尾音の「ム」は弱音であり、省略又はほとんど聴取不可能な音と化し「ドーセラ」と称呼され聴取される。

そして、本件商標と引用商標とは、後半の「セラム」の音を共通にし、「デウセラム」又は「ドーセラム」の如く、音感覚が同一か又は極めて近似した音として称呼され聴取され、それぞれその指定商品について使用した場合、相紛らわしい商標である。

(2)外観

本件商標「Deguceram」と引用商標「DUCERAM」を対比観察した場合、その文字の配列において、

▲1▼語頭において「D」がそれぞれ同一、

▲2▼引用商標の第2字が「U」で第3字「C」をはさんで第4字が「E」の文字であるのに対し、

▲3▼本件商標は第2字が「e」で第3字「g」をはさんで第4字が「u」で、引用商標と順位が入れ替わり、しかも本件商標は文字数が9字という比較的字数の多い商標、

▲4▼両商標ともに商標を構成する後半の文字「ceram」「CERAM」を共通、

▲5▼引用商標は二段構成であるが、これを商品について使用するときは、欧文字部分のみを使用することもあり、また、それが業界における商標使用の実態でもある。

以上の条件により、両商標を離隔観察する場合、消費者の印象の薄れや錯覚を起こすことが少なくないから「g」の有無、「e」と「u」の位置逆転の有無について「記憶上の錯覚」あるいは「漠然とした印象上の錯覚」が生じ、本件商標と引用商標とが外観上類似する商標となる。

(3)観念

本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を有しない造語であるから、観念上において同一でもなければ類似するものでもない。

3.取引業界における実情

請求人は、人工歯用材料の輸入、販売等に関する業務を行い、ドイツ国DUCERA社とは古くから取引があり、DUCERA社製品の日本国での輸入代理店として、その輸入、販売に携わっている。請求人は、DUCERA社から商品を輸入、本件商標を人工歯用材料に付して1987年11月頃(甲第1号証)から日本国内のユーザーに供している。この歯用材料の特性が格別優れていること及び甲第2号証にあるような広告を全国的に継続的に行い、業界内で爆発的な人気を博し、取引者間で広く知れわたるに至っている。今年(1994年)に入り、記述のような被請求人の商標を請求人の歯用材料と実質的に同一の材料に付した商品(甲第3号証)が当業界に現れ、混乱におちいっている。

III.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁、その理由の概要を次のとおり主張、証拠方法として乙第1号証ないし同第28号証を提出した。

1.被請求人会社について

被請求人「デグサ・アクチェンゲゼルシャフト」(Degussa AG.以下、「デグサ社」という。)は1843年の古くに創設、1873年(明治6年)株式会社に改組、爾来、化学工業薬品、医薬品、歯科用合金、顔料、精製貴金属、工業用炉、歯科用機材等の開発製造販売を主業務として発展、平成5年9月現在、ドイツ国内の40社と海外に122余りの子会社、関連会社・グループ全体の年総売上高約1兆19,20億円、約32,000名の従業員を擁する世界企業として国際間に揺るぎない地位を築いている。

日本との製品取引は、第二次大戦前からと極めて古く、また技術援助契約・合弁事業等により日本の大手企業多数とも緊密な連携を保ち、1969(昭和44)年11月には被請求人全額出資の「デグサ・ジャパン(株)」(東京都港区所在)を設立、被請求人製品の組織的かつ積極的な供給体制を整え今日に至っている。

それゆえ、被請求人の代表的出所標識たる登録第475865号商標「DEGUSSA」が取引者、需要者間に広く知られていたことは世人の等しく認めるところである。

2.本件商標と引用商標の比較

(1)称呼

上記事実を踏まえた上で、本件商標「Deguceram」は、前半「Degu」の文字が被請求人の商号の略称兼代表的標識たる「DEGUSSA」の冠頭部「DEGU」(「Degu」)を、後半「ceram」の文字が本件商標の使用に係る商品「メタルセラミック・クラウンブリッジ用ポーセン」、すなわち歯科用金属焼付用陶材がセラミックを原材料とした歯科用材料であることから、原材料を示すセラミック(CERAMIC)中の「CERAM(ceram)」の部分を採用したものである。

しかして、本件商標は、前記事実に照応して「デグセラム」の自然称呼が生ずる。また、全体として「デグサ社のセラミック」商品の如き意味合いを暗示させる。

次に、引用商標「ドゥーセラム」「DUCERAM」(上下二段併記)は、引用商標に係る商品がドイツ国の「Ducera Dental GmbH」の製品であり、かつ請求人は該商品の輸入販売会社であり、引用商標中の前半「DUCERA」の文字が上記製造会社の略称兼代表的出所標識たる「DUCERA」に語尾「剛を付加したものであり、引用商標の使用に係る商品「歯科用陶材」がセラミックを原材料とした歯科用材料であることから、原材料を示すセラミック(CERAMIC)中の「CERAM」の部分を採用したものと思われる(ちなみに、この場合、商号の略称「DUCERA」中の「CERA」の部分と「CERAMIC」中の「CERA」の部分がたまたま共通、重複したにすぎない。)。

しかして、引用商標は、上記構成よりなるところ、かかる構成の場合、一般に上段の片仮名表示が下段の欧文字の字音を定めたものとみなされ、片仮名表示どおり「ドゥーセラム」の自然的称呼が生じる(なお、被請求人は、片仮名文字「ドゥーセラム」がこれを」連に発音する場合、「ドーセラム」の如く発音聴取されることを否定するものではない。)。また、全体として「ドゥーセラ(Ducera)社のセラミック」商品の如き意味合いを暗示させる。

そこで、該「デグセラム」の称呼と「ドゥーセラム」(又は「ドーセラム」)の称呼を対比すると、両者は前者5音、後者4音とその構成音を相違するのみならず、称呼における識別上最も重要な要素を占める語頭音において「デグ」と「ドゥ(ド)ー」の顕著な差異を有し、しかも該差異音とても「デ」「グ」「ドゥ(ド)」のいずれもが破裂音の濁音として強く、明瞭に発音聴取され、かつ、前者が全体として「デグサ社のセラミック」商品、後者が全体として「ドゥーセラ(Ducera)社のセラミック」商品の如き意味合いを暗示させることも相侯って、両者は全体をそれぞれ一連に称呼するも互いに明確に聴取可能な非類似の商標である。

(2)外観

本件商標と引用商標とを外観上より比較すると、両者は、文字構成前記のとおりであるから、特に詳述するまでもなく、非類似のものである。仮に百歩譲って、請求人の主張のとおり欧文字同士を対比させた場合、前者はアルファベットの9文字、後者はアルファベットの7文字とその構成文字を異にし、語頭「D」と語末「ceram」「CERAM」の6文字を共通にするも、第2文字目において「e」と「U」、前者の第3文字目「g」と第4字目「u」の有無の顕著な差異を有する。

しかも、本件商標は、被請求人商号の略称兼代表的出所標識と「ceram」、また、引用商標は、製造会社商号の略称兼代表的出所標識と「CERAM」の構成であること上記したとおりであるから、文字構成及び発想を異にする本件引用両商標をそれぞれの指定商品について使用しても、商品の出所につき混同を生じるおそれのない外観上非類似の商標である。

(3)観念

さらに、本件商標は、格別語義を有しない造語商標であり、引用商標も特定の観念を有しない造語と考えられ、両者は、観念上比較すべくもなく、類似しない。

3.被請求人とDUCERA社との関係について被請求人と「デュセラ・デンタル・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング」(Ducera Dental GmbH 以下、デュセラ(Ducera)社という。)は、本件商標及びその連合商標に係る商品の製造販売会社で、かつ、デュセラ(Ducera)社自体も被請求人デグサ・デンタル・グループのドイツ国のメンバーであり、同社は「歯科セラミック(CERAMIC)」の専門メーカーとして歯科セラミック材料(陶材)を被請求人に提供している。

さらに、平成7年1月1日をもってデュセラ(Ducera)社は、被請求人の資本金100%の完全なグループ会社となった(乙第23号証、同第28号証)。

IV.当審における判断

そこで、本件商標と引用商標の類否について判断する。

本件商標は、前記のとおり「Deguceram」の欧文字を横書きしてなるものである。

ところで、被請求人提出の乙第5号証(94年2月作成の総合カタログ)、同第6号(商標研究会発行の「新版 日本有名商標録」、同第7号証(商標調査会発行の「日本商標名鑑’88」中被請求人の項)、同第8号証(小学館発行「独和大辞典」)、同第10号証(本件商標「DEGUCERAM(デグセラム)」製品のパンフレット)、同第12号証(三金工業(株)社の会社・製品パンフレット)、同第24号証(「dental−labor」1993年9月号の抜粋)によると、被請求人デグサ社は、歯科用材料の製造会社として、歯科用材料の取引者、需要者間に、同社の我が国における関連会社を通じて相当程度知られていたものと推認することができる。

そうすると、このような取引の実情に鑑みると、本件商標は、その構成中前半の「Degu」の文字部分につきこれに接する取引者、需要者に被請求人「デグサ社」(Degussa AG.)の商号の冠頭部「Degu」を表示したものと想起させるとみるのが相当であるから、上記文字構成に相応して「デグセラム」の称呼が生じるものとみるのが自然である。

他方、引用商標は、上記のとおり「ドゥーセラム」の片仮名文字と「DUCERAM」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ、一般に欧文字に仮名文字を併記した場合にあっては、その仮名文字が欧文字部分の称呼を特定すべき振仮名としての機能を果たすものと無理なく認識し得るときは、その仮名文字より生ずる称呼をもってその称呼が特定され、これをもって取引に資されているものとみるのが自然であるから、その構成文字に相応して「ドゥーセラム」の称呼が生ずる。そして、請求人主張の如く「ドゥーセラム」の称呼は、構成音中の「ドゥー」が通常日本語において発音が困難な音であるところから、これを一連に発音する場合、発音し易い「ドー」の音をもって称呼することも少なくないものと認められるので、引用商標は、「ドーセラム」の称呼も生ずるものと認められる。

そこで、本件商標より生ずる「デグセラム」の称呼と引用商標より生ずる「ドゥーセラム」又は「ドーセラム」の称呼を比較するに、両称呼は前者が5音、後者が長音を含む4音構成よりなり、称呼における識別上重要な要素を占める語頭において「デグ」と「ドゥー」又は「ドー」の音に差異があるところ、「デグ」は2音であるが、「ドゥー」又は「ドー」は1音(長音)であって、音数が異なるばかりでなく、いずれも破裂音であって比較的明瞭に発音され、聴取されるものである。

そうすると、本件商標と引用商標における上記の差異が称呼全体に与える影響は大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合には、両者は、その語感語調が異なるものとなり、称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標である。

次に、外観について比較するに、本件商標は、「Deguceram」と欧文字のみで表示してなるのに対し、引用商標は、「ドゥーセラム」の片仮名文字と「DUCERAM」の欧文字を上下二段に表示してなるものであり、しかも、欧文字同士を比較しても、その構成文字が前半部において前者が「Degu」と後者が「DU」と異なり、そして、該「Degu」の文字部分は被請求人「デグサ社」(Degussa AG.)の商号の冠頭部「Degu」を表示したものと想起させること前記認定のとおりであるから、本件商標と引用商標とは、離隔観察をする場合、外観上も印象、連想等を異にし、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

さらに、本件商標と引用商標とは、請求人及び被請求人の主張の如く、特定の観念を有しないものであるから、両者は観念において比較することができない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、観念、称呼のいずれの点よりみても非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず登録されたものであるとする請求人の主張は理由がなく、同法第46条第1項の規定により無効とすべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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