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Trademark Appeal Case

外国語商標の称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35575号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4185901号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4185901号商標(以下、「本件商標」という。)は、「STOLBOVAYA」の文字を横書きしてなり、第33類「洋酒」を指定商品として平成7年10月13日に登録出願され、同10年9月11日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点

1 請求の趣旨

結論掲記の審決。

2 請求の理由

(1)請求人の引用商標

請求人の所有に係る登録第1865485号商標(以下、「引用商標」という。)は、下記に示すとおりの構成よりなり、第28類「ソ連産のウォッカ」を指定商品として昭和58年9月26日に登録出願、同61年5月30日に設定登録、その後、平成8年3月3日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであって、現に有効に存続しているものである。

(2)理由の要点

本件商標は、引用商標とは称呼及び外観上相紛らわしい。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。また、引用商標は、本件商標の出願日において著名なものであったので、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号にも該当する。

(3)請求の根拠

本件商標は、証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項によって無効とされるべきである。

(4)具体的理由

(a) 商標法第4条第1項第11号について

*称呼上の類似

(本件商標の称呼)

本件商標はロシア法人によって所有されているので、ロシア本国では同人によって使用されるものであることは明らかである。また、本件商標の指定商品にはロシア産のウォッカが含まれており、ウォッカはロシアが本場である。その結果、本件商標がロシア産のウォッカに使用されることは当然あり得る。

わが国において、取引上海外の商標所有者の商標はその母国で称呼されているのと同じ称呼で取り扱われる。ロシア産のウォッカについても例外ではなく、わが国においてもロシア法人が取り扱うロシア産のウォッカに使用されるローマ字書きされる商標はロシア語読みされる。特に、ウォッカはロシアが本場であり、数多くのウォッカがロシアから輸入されている。そのため、ウォッカの取引者、需要者はロシアとの交流が深く、ロシア産のウォッカに使用されるロシア語読みされる商標に接する機会も多いものとなって、ロシア語読みに自然と精通するものとなる。この点で、本件商標はロシア産のウォッカに使用された場合には、なお一層、ロシア語読みされるものと言える。

ロシア語には普通のローマ字にはない語があるが、ロシア語からなる商標はその使用される商品が海外で販売される場合には、対応するローマ字に変換することが儘行われる。このようなローマ字に変換した場合にも、ロシア語読みされる。

請求人は、上述したことを立証するために、普通のロ一マ字で書されている引用商標が「ストロワヤ」とわが国でロシア語読みされていることを示す書籍の写しをここに提出する。ロシア産のウォッカに使用される引用商標が現実の取引においてロシア語読みされることがある以上、ロシア産のウォッカに使用される他の商標も現実取引においてはロシア語読みされることがあると言える。

以上述べたことからして、本件商標は時として取引においてロシア語読みされるものと言える。本件商標がロシア語読みされた場合には、その構成中の「B」の文字は特定の音声を表すものではなく、単なる発音上の記号となることがある。そのため、本件商標は取引上時として「S‐TO−LO−VA−YA」と発音されて、「ストロワヤ」と称呼されることがあり得る。現に、本件商標のBrandy書誌的事項においては該商標の称呼を「ストロワヤ」と認定している。

(引用商標の称呼)

上述したように、引用商標は現実取引において「ストロワヤ」と称呼されている以上、類否判断に際しても「ストロワヤ」が引用商標の称呼とされるべきである。

(まとめ)

以上述べた如く、本件商標と引用商標とは「ストロワヤ」の称呼を共通にする称呼上相紛らわしい商標となる。

*外観上の類似

(外観上の類似の判断に際しての基本的姿勢)

引用商標はその構成からしてラベルそのものと解される。一方、本件商標は文字のみならなる。しかるに、ウォッカを始めとして酒類の商標が商品に付される場合には、一般にその商品の容器である瓶に貼付されるラベル上に表示されるものである。ラベルが貼付されていない瓶で洋酒が販売されることはない。この取引の実情に鑑みれば、本件商標も実際の取引においては、ラベル上に表示されるものとなる。

商標の類否とは、現実の取引における出所の混同を防止するために取り入れられた概念であるから、この類否の判断にあたっては可能な限り取引の実情を勘案すべきである。そうでなければ、商標類否の判断が実際の取引と遊離して、本来他人の登録商標と出所の混同を生じる商標の登録を認めてしまうという弊害が生じるからである。出所の混同を生じる商標の登録・使用を阻止することによって競業秩序を図ることを目的とする商標法にとってこのような事態の発生はその趣旨に反するものとなる。

以上述べたことからして、本件商標と引用商標とが外観上類似するか否かの判断に際しては、本件商標がロシア産のウォッカの瓶のラベル上に表示されたことも勘案すべきである。すなわち、単に、引用商標がラベルであって、本件商標がローマ文宇のみからなる故に外観上相違すると判断すべきではない。

(「STOLOVAYA」と「STOLBOVAYA」との比較)

以上の取引事情を踏まえて、「STOLOVAYA」と「STOLBOVAYA」との外観上の類否を検討する。両者は発音記号の「B」の文字の有無で相違するに過ぎない。しかるに、本件商標が10文字で、引用商標が9文字と商標文字数としては短いものとはならない。したがって、視覚上最も注意を惹かない中間に位置する「B」の文字は本件商標の全体の綴りに埋没するおそれがある。

しかも、本件商標がラベル上に表示された場合には、ラベル上には文字商標以外にも図形やその他の装飾並びに様々な商品の品質表示等の数多くのものが表示されるため、必然的にその文字商標は比較的に小さく表示されるものとなる。また、ラベル上には図形やその他の装飾並びに様々な商品の品質表示等の数多くのものが表示される結果、文字商標に対する注意力は相対的に低いものとならざるを得ない。

以上述べた事情からして、本件商標の発音記号の「B」の文字の存在は迅速に行われる取引においては往々にして見落とされるおそれがある。したがって、本件商標は引用商標とは時と処を異にした離隔観察においては外観上相紛らわしいものとなる。

(引用商標の著名性による外観上の混同)

引用商標は、オレンジとしモンの香を添加されたウォッカに使用されてすでにわが国でも著名なものとなっていた。

需要者は信頼できる品質の高い商品を購入したいと常に希望している。著名商標が使用された商品は品質が高く信頼性が高いものである。商品の信頼性が高いからこそ商標は著名なものとなるのである。そのため、需要者は可能な限り著名商標が使用された商品(いわゆる有名品)を購入することを希望する。それ故、著名商標は商標に基づいて商品を選択する際に先入観念として需要者の意識に強く働きかけ、他の商標を見たときにも、往々にしてこれを著名商標と思い込んで見誤まってしまうことがある。特に、購入する商品が有名品であることを望む需要者は接した商標が著名商標であればよいと思っているため、著名商標と思い込むおそれは大きい。引用商標もそのような商標の一つである。

つまり、「STOLOVAYA」なる商標が使用されたロシア産のウォッカを購入したいと思っている需要者は、例えば「STOL..VAYA」、「STO..OVAYA」なる綴りの商標に接したときに、「STOLOVAYA」なる商標に強く影響を受けて(特に、これが「STOLOVAYA」であることを望むことによって)、これら商標を「STOLOVAYA」であると見誤ってしまう。

このように引用商標が著名で、需要者が当該商標が使用されたロシア産のウォッカをの購入を希望するものである点からも、本件商標に接した場合にこれを引用商標であると見誤ってしまう。

(まとめ)

以上述べた理由から、本件商標は引用商標とは外観上も相紛らわしいものとなる。

(結論)

以上述べた如く、本件商標は引用商標と称呼及び外観上相紛らわしい類似のものとなる。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(b) 商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

引用商標は、本件商標が出願された当時には、すでにロシア産のウォッカについて著名なものであったから、本件商標は商標法第4条第1項第10号にも該当する。

また、本件商標の指定商品である洋酒は同一の業者によって製造、販売され、同一の流通艦路を通じて取引され、同一の店舗で販売されるものである。そのため、本件商標が使用された洋酒は、請求人と人的ないしは資本的に何らかの関係にある者の業務に係るものであると、その出所について混同を生じるおそれがある。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

(c) むすび

以上述べた如く、本件商標は商標法第4条第1項第11号、第10号及び第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項によって無効とされるべきである。

3 証拠方法

請求人は、証拠として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、これに対して何ら答弁していない。

第4 当審の判断

わが国においては、ロシア産のウォッカは、商品に付する商標をロシア語からローマ字に置き換えて貼付され、ロシア語読みされているものである。そのことは、例えば、講談社編者「2000版世界の名酒事典」株式会社講談社、平成十一年十一月十日第一刷発行、に紹介されている商品リストよりも知り得ることである。

さらに、ローマ字に置き換えた「b」の文字は、特定の音声を表すものではなく、単なる発音上の記号となることがある。

そこで、本件商標と引用商標の類否について判断するに、本件商標は、「STOLBOVAYA」の文字を横書きしてなるところ、ロシア語においては、「B」の文字を称呼するときに発音しないことも、決して少なくないものであることより、本件商標は、「STOLBOVAYA」の文字より、「ストロワヤ」の称呼をも生ずるものと見るのが相当である。

他方、引用商標は、下記に示すとおりの構成よりなり、その構成中の「STOLOVAYA」の文字より、その構成文字に相応して「ストロワヤ」の称呼を生ずるものと認められる。

そこで、本件商標より生ずる「ストロワヤ」の称呼と引用商標より生ずる「ストロワヤ」の称呼を比較するに、両称呼は、「ストロワヤ」の称呼を共通にする類似の商標である。

次に、外観についてみるに、本件商標の「STOLBOVAYA」の文字は、10字の構成よりなり、引用商標の「STOLOVAYA」の文字は、9字の構成よりなり、両商標は、比較的長いの文字数よりなるものであるところ、「S」「T」「O」「L」「O」「V」「AY」「A」の配列文字を共通にし、相違するところは、本件商標において外観の識別上、印象の弱い第5文字目に「B」の文字を有する差にすぎず、本件商標と引用商標とは、時と所を異にして離隔観察するときは、外観においても類似するものと認められる。

さらに、観念についてみるに、本件商標の「STOLBOVAYA」は、特定の観念を生じない造語と認められるものであるが、引用商標の「STOLOVAYA」は、講談社編者「2000版世界の名酒事典」株式会社講談社、平成十一年十一月十日第一刷発行によれば、ロシア語で「食卓の」の意味合いを有する語であって、両商標は、観念において、比較することができない。

そうすると、本件商標と引用商標は、観念においては、比較することができないが、称呼、外観において類似する商標であって、本件商標の指定商品には、引用商標の指定商品を包含するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その余の無効理由について検討するまでもなく、同法第46条第1項第1号に該当し、その登録を無効とすべきものである。

以上のとおりであるから、請求人の審判請求を容認することとし、審判費用の負担については、商標法第56条第1項、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定を適用して、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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